第三阿房列車 (新潮文庫)

著者 :
  • 新潮社
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本棚登録 : 317
レビュー : 27
  • Amazon.co.jp ・本 (293ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101356358

作品紹介・あらすじ

「長崎へ行こうと思う。行っても長崎に用触はないが、用事の有る無しに拘らず、どこかへ行くと云う事は、用事に似ている。だから気ぜわしない」。ヒマラヤ山系氏を共づれの、珍道中がまた始まった。途次、病を得た百〓@6BE1@(けん)先生は、舞聊をかこつあまり「なまけるには体力が必要である」という真理まで発見した。走行距離は総計約1万キロ。名作随筆「阿房列車」シリーズはついに完結を迎える。

感想・レビュー・書評

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  • 相変わらず、「用事はないが、列車に乗る」先生。
    相棒・ヒマラヤ山系くんとのとぼけた掛け合いも良い。

    個人的には、八代を贔屓にしてくれるのが嬉しい。

  • 阿房列車で初めて百閒先生の著作に触れたのですが、第一から第三まで、先生と山系さんとご一緒させていただく中で、すっかり先生のことが大好きになってしまいました。
    巻末の解説も愛に溢れていて素敵です。

    最後の不知火阿房列車に出てきた謎の男とは結局どうなったのか、とても気になります。阿川さんの解説にもあったように、本当に、第四、第五と続いてほしかったなという気持ちでいっぱいです。

  • 第一、第二と変わらず、なんの用事もないが汽車に乗っていろんなところへおでかけするという内容。旅行っててきぱきするよりはだらだらしたほうが楽しいものなぁ…。今回珍しく百閒先生は旅行中に病を得ている。そこで「なまけるには体力が必要である」という真理に至ったそうな…

  • 百閒先生が房総阿房列車を走らせて我が故里・銚子に来ていたとは嬉しい限りだ。泊まった旅館の名は書かない主義なので、どこに泊まったかを想像しながら読むのも楽しかった。九州では大雨で不通になる路線を、ぎりぎりのところで走り抜け、四国では病に苛まれ、あまり良い旅ではなかった。松江と不知火では、摩訶不思議な夢とも現とも思われる話で、百鬼園の幻想世界を醸し出していた。カバーの百閒先生が正に口をへの字に結んで写真に映っている様が、何とも微笑ましい。

  • 底本1956年刊行、初出1954~55年。房総半島、長崎、四国、山陰松江、宮崎経由の八代等の紀行文である。新幹線はもとより電車特急こだますらない時代なので、へえーっということが多かったが、鉄道旅行を叙景的に記すというよりは、著者の内心に目が向けられることが多く、紀行文とはやや異質な趣き。もっとも、長崎行きの寝台急行に26時間ほど揺られたり、食堂車連結が進んだ時代の利用者像、九州の八代に日豊本線経由で向かう際、宮崎に一泊する等、戦後10年くらいの時代感覚が蘇ってくる。

  • 2016.10 本棚整理のため第一阿房列車から第三阿房列車まで再読。

    時代を越えて愛される列車紀行エッセイ。百閒先生の軽妙洒脱な文章からガタンゴトンと線路の楽しいリズムを感じるよう。どうしても続けて3巻読んでしまう形になるので慣れもあってか、第一☆4.5、第二☆3.5、第三☆3くらいの評価。10年に一度は読みたい名作。 (レビューは1~3巻共通)

  • 阿房列車もとうとう最終列車が出た。この後、百けん先生は何度か鉄道旅行をしているらしいのだが、それが阿房列車シリーズにまとめられることはなく、晩年は身体が衰えて列車での長旅ができなくなったため、結果的にこの第三阿房列車が最終列車となってしまった。まさに「なまけるには体力が必要」であったわけだ。しかし、その遺志は阿川弘之、最近では酒井順子に受け継がれ、今日に至るも阿房列車を走らせる輩は後を断たない。

    もともと阿房列車の楽しみは卒意の面白さというか不作意の妙といったところにあった(もっとも、同乗したヒマラヤ山系氏が後に書き記したところによると、当初よりかなりの部分がフィクションだったようだが)のだが、第三阿房列車では「菅田庵の狐」や「列車寝台の猿」などやや "狙った" 作編も含まれている。まあ、それはそれで独特の恐怖感があり、楽しめる。

  • 目的地に用もなく、ただ単に列車に乗るということをくり返す、作者:内田百聞。列車が手段でなく、目的と化している。これは飛行機マイル修行を行っている身としては、十分共感できる。

  • 百閒先生のこの絵に描いたようなへの字口と、いかにも偏屈そうなしかめっ面が好きなんだよなぁ。
    この顔まんまのテンションで、こんなにとぼけた作品を書くとは。

  • 内田百閒先生は旅が好きなのではなくて、列車が好きな人なんだなあとつくづく思う。今でいう鉄道オタクではなく、ただ好きなだけのようだ。旅行に行くのが目的ではなく列車に乗るのが目的のように感じる。しかし、そんな詮索も百間先生からしたら面倒くさいものだろう。一度でいいからこのような旅を私もしてみたい。あてもなくぷらぷらと。

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