青年のための読書クラブ (新潮文庫)

著者 :
  • 新潮社
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  • Amazon.co.jp ・本 (257ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101356815

作品紹介・あらすじ

伝統あるお嬢様学校「聖マリアナ学園」。転入生・烏丸紅子は中性的な美貌で一躍、学園のスターとなる。その裏には異端児たちの巣窟「読書クラブ」の部長で、容姿へのコンプレックスを抱えたニヒリスト妹尾アザミの、ロマンティックな詭計があった…。学園の創設から消滅までの百年間に起きた数々の事件の背後で活躍した歴代の「読書クラブ」員。その、あらぶる乙女魂のクロニクル。

感想・レビュー・書評

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  • 以前、読みかけてすぐに挫折したのに、今回再び手に取ると夢中になって一気読み。相性とでもいうのでしょうか、本との運命は摩訶不思議。
    伝統あるお嬢様学校が舞台の正史ではない歴史記述、読書クラブ誌。百年間に起きた数々の事件の背後には読書クラブ員が暗躍。それぞれのストーリーがお嬢様学校特有の香りのなか、どきどきしながら幕が上がりそして終演をむかえる。生徒会、演劇部、新聞部、そして南のへんなやつ等である読書クラブ。それぞれの魅力的な登場人物たちに想像力が刺激される。最後には歴代の読書クラブ員たちが登場し、おおー!と喜んでしまった。

  • 由緒あるお嬢さま学園、聖マリアナ学園の1969年から2019年の裏事件簿。
    学園の王子の恋愛事件
    学園創始者の秘密
    バブル期の波乱
    現代っこの二面性
    学園の終焉

    山岸涼子?吉田秋生?野ばら?ヅカ?な世界に戸惑う導入。
    このまま行くのはけっこうツライかも、と読み進めると、二章目のミステリから勢いついて、三章目でガラリと印象が変わる。
    すっかりのまれた四、五章目。
    最後にはクラブに入ってないことが悔やまれるほど。
    「いつの時代も、我々のような種類の者は存在する。若者は悲しく、回り道をぐるぐると雄々しく生きてゆく。なるほど、我々はかほどに老いたが、明日には常に誰かのーつまりは貴方の、輝く未来である。おぉ、それで十分ではないか?それがつまりは、生きたということではないか?」

    「うつくしいものにこそ至上の価値があるとする、閉ざされた乙女の価値観の楽園」は十代のこの時期、今でも多分存在する。
    残酷な世界。
    すごく狭い学園の話だけれど、その時代を切り取る事件の数々が皮肉でグサリと刺さる。
    アウトローな読者クラブの面々の密かな活躍に小さく喝采。

    「シラノ・ド・ベルジュラック」
    「哲学的福音南瓜書」
    「マクベス」
    「緋文字」
    「紅はこべ」
    それぞれの本との一体感もよかった。
    やっぱりベルジュラックはせつない。
    美貌か詩情か。永遠のテーマかも?

    • 円軌道の外さん

      はじめまして!
      フォロー&お気に入りポチ
      ありがとうございました(^O^)

      兵庫県に住む、
      猫と映画とロックと活字中毒な
      ...

      はじめまして!
      フォロー&お気に入りポチ
      ありがとうございました(^O^)

      兵庫県に住む、
      猫と映画とロックと活字中毒な
      プロボクサーです。


      この作品は残念ながら
      まだ未読ですが、
      素晴らしいレビューに
      いたく共感しました(>_<)

      桜庭さんの小説は
      美少女を主役にした漫画的世界観のものが多いので
      最初は油断して読んでるんやけど、
      読み終わる頃には
      なぜかどっぷり浸っているから不思議です(笑)

      思春期の頃に感じていた
      焦燥感や苦悩や痛みを読むたびに思い出させてくれて
      切ないんやけど、
      必ずまた読みたくなっちゃうんですよね(笑)


      この小説は残念ながらまだ読んでないので
      借りたい本リストに書いて
      今度また図書館でチェックしてみたいと思います!


      これから何かと
      レビュー等参考にさせてもらいますんで、
      今後ともよろしくお願いします(^_^)

      コメント頂ければ
      必ずお返しに伺います☆

      2013/05/17
    • shuwachoさん
      ポチポチ&フォロー、そしてコメントまで!
      こちらこそありがとうございます。

      実は桜庭さんの本は今回が初なのです。
      「読書クラブ」っ...
      ポチポチ&フォロー、そしてコメントまで!
      こちらこそありがとうございます。

      実は桜庭さんの本は今回が初なのです。
      「読書クラブ」って「赤毛のアン」の影響がものすごく弱いワードで抗えなかった!
      笑。
      文体、世界が合わないのではないかと不安でしたが、とても楽しかった!
      是非他の本も読んでみようかなと思っています。

      円軌道さんって、ロックが好きなプロボクサー!
      そんな肩書きの方と、今の私ではなかなかお話する機会もないです。
      でもブクログでは本の感想を読み合うことができるんですね。
      フフフ。まさに「読書クラブ」のようです。
      これからも円軌道さんのフンワリとやさしい感想を楽しみにしています。
      2013/05/20
  • 東京山の手にある聖マリアナ学園。幼稚舎から高等部までは同じ敷地内にある同じ学び舎に通う。生徒には政治家の娘や子爵の血を引く良家の子女が多く、清楚な彼女たちはクリーム色の制服をまとい、たおやかな様子。

    と、いかにもな設定で始まるのだが、良い意味で予想し得ない方向へ…。

    居場所を見つけられずにいた下町育ちの転入生が、ある人物の指導を受けて学園の「王子」に変身したり

    創始者マリアナの秘密に迫ったり、

    時代の移ろいと共に成金の娘たちが学園に増殖し、権威が揺らいだり

    大人しい赤面症の娘が突然ロックバンド「人体模型の夜」を結成したり

    謎に包まれた「ブーゲンビリアの君」に恋い焦がれたり

    桜庭作品で一番好きかもしれない。
    この悪ふざけ、良い!

    また、うろ覚えの「シラノ・ド・ベルジュラック」や「マクベス」、未読の「緋文字」、「紅はこべ」など古典名作が命を吹き込まれて鮮やかな存在感。

    我が母校にも後輩から熱い視線を浴びてアイドル化している子、いたなぁ。長身でスポーツ万能、ボーイッシュな王子様。皆が創り上げるイメージとは違って、本人は普通に可愛い乙女だったりしたみたいだけど。

  • 桜庭一樹さんといえば私の男と思う人が多いと思うが、私はこういう作品にこそ桜庭一樹さんを感じる。
    どこか閉鎖的で耽美的さらには厭世的でいて、ユーモラスゆえに読み進めやすい。
    この本はとても好きすぎて、高校生の時からもう10回以上読んでいる気がする。

    あれは実に悪くない季節でした という語り方もまた唆られる

  • タイトルには青年とあるけれど、物語の舞台は由緒正しい女学校。(まあ青年には広義で女子も含みますし、読み終わるとなんとなく青年とした意味がわかる気はしますが)。その聖マリアナ学園の読書クラブ部誌に、1969、1960、1990、2009、2019年に起こった出来事がそれぞれの時代の部員によって記録されているという体裁。

    いかにも女子高らしく、毎年「王子」を選ぶイベントがあったり、かと思えば生徒会、演劇部、新聞部などが乙女らしからぬ政治的な活動(あくまで学内の勢力争いですが)をしていたり、リアリティとフィクションのバランスの取り方が上手いので、最後まで面白く読めました。

    個人的に好きだったのは2章の「聖女マリアナ消失事件」。学園の創立者である修道女マリアナの過去から失踪にいたるまでのお話なのですが、これが妙に泣けました。

  • もう少し若いときに読めばよかったかも。
    読書クラブという少女たちの園に纏わる手記の形をとった短編集でした。
    誰が書いているかは予想つきやすいんですが。

    なかでは『シラノドベルジュラック』が特に気になりました。
    演劇のモチーフが多くて楽しめました。

  • 桜庭作品で一番好きと言っても過言ではない作品。
    短編連作であるため、1作読むのも苦労はしないし最終的に伏線が回収されて全ての短編が繋がるようなところも素敵だ。
    ブーケンビリアの君とか、ちょっと憧れるし。

  • カンバセ。出ました出ました。

  • あるお嬢様学校のお話し。
    歴代、歴代と、学校を騒がせるスターの様な人たちが何気に繋がっている。

    最初は面白いが、中盤からだれてくる。

    引用で用いていた、シェイクスピアのマクベスが読みたくなった。

  • 背景や状況が面白くて、夢中で読みました。

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著者プロフィール

1971年島根県生まれ。99年、ファミ通エンタテインメント大賞小説部門佳作を受賞しデビュー。2007年『赤朽葉家の伝説』で日本推理作家協会賞、08年『私の男』で直木賞を受賞。著書『少女を埋める』他多数

「2023年 『彼女が言わなかったすべてのこと』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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