- Amazon.co.jp ・本 (352ページ)
- / ISBN・EAN: 9784101357768
作品紹介・あらすじ
騙されて江戸に来た13歳の少女・お末の奉公先「鱗や」は、料理茶屋とは名ばかりの三流店だった。無気力な周囲をよそに、客を喜ばせたい一心で働くお末。名店と呼ばれた昔を取り戻すため、志を同じくする若旦那と奮闘が始まる。粋なもてなしが通人の噂になる頃、店の秘事が明るみに。混乱の中、八年に一度だけ咲く桜が、すべての想いを受け止め花開く――。美味絶佳の人情時代小説。
感想・レビュー・書評
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タイトルや表紙の絵とは違ったミステリ仕立てのある意味怖い作品。従姉妹の不始末のために、騙されて田舎から出てきた純朴な娘(お末)が周辺を巻き込んで成長して行く物語だが、そこに復讐が絡んでくる。従姉妹が殺された疑いがあったり、お末と一緒に店を向上させようとした若旦那に大きな秘密があり、モヤモヤした気分になる。全てが判明した時に「鱗や」は閉店となるが、残っていた店員たちが再生する。最後のシーンが感動的。お末と若旦那の将来が気になる。
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奉公に出た少女・お末と奉公先の若旦那が、傾いた料理茶屋を再建する話と思ったら、とんでもないミステリーで、予想外の展開、結末でした。時代小説、料理モノと言えば、シリーズ化されそうですが、一巻で完結です。
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表紙の絵の可愛らしさもあって、頑張る女の子の成長記録かしらと読みはじめましたが、そこは西條奈加、そんな甘酸っぱい物語では終わりませんでした。お末の真っ直ぐな目で見た様を描きながら、一方で人の業の深さ、恐ろしさを浮き彫りにしていきます。
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江戸の料理屋に奉公に来た少女、お末が主人公。ミステリー仕立ての人情もので、読みやすかった。ほっこりというよりは切ない話だけど、読後感は良い。
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たまたま手にして読み始めましたが、面白く、あっという間に読み終えました。江戸時代の上野にある落ちぶれた料亭が舞台、主人公はひょんなキッカケでそこに駆り出され働く13歳の女の子、ということで、その子のドタバタサクセスストーリー的な短編系かと思いきや、本筋はしっかりミステリー作品です。主人公お末も可愛らしく応援したくなります。ほっこりするシーンや当時の料理の話しもあったり色々楽しめた1冊でした。
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若旦那の優しさの内側と、お末の真っ直ぐな無垢さが心地よい。
読みやすいし、先が気になる講成でよかった。 -
ろくでもない奉公先だった鱗やが、若旦那の手腕により見違えるような料理屋になり、それに応えるよう懸命に働くお末。
良い方へ良い方へと動き出すお話は読んでいて気持ちがいい。これはお末の成長物語なのかな、シリーズものとして続くのだったら嬉しいな、なんて思いながら読み進めると、段々不穏な空気が立ち込め、そして鱗やの存続に関わる事件が起きる。
けれどそんな苦況にもめげず、鱗やの再建に尽力する奉公人たち。そうして迎えた大団円。
シリーズものとして続きを望む気持ちも落ち着くくらい、きれいな終わりだった。
やっぱり西條さんのお話はおもしろい! -
久しぶりに西條奈加さんが読みたくなり購入。
良い物語でした。