大川契り 善人長屋 (新潮文庫)

  • 新潮社 (2018年6月28日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (400ページ) / ISBN・EAN: 9784101357775

作品紹介・あらすじ

掏摸に騙りに美人局。住人が全員悪党の「善人長屋」に紛れ込んだ本当の善人・加助が、またしても厄介事を持ち込んだ。そのとばっちりで差配母娘は盗人一味の人質に。長屋の面々が裏稼業の技を尽して救出に動く中、母は娘に大きな秘密を明かす。若かりし頃、自らの驕り高ぶった態度が招いた大きな罰のことを──。流れゆく大川が静かに見つめた、縺れた家族の行方を丹念に描く人情時代小説。

感想・レビュー・書評

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  • シリーズ3の一冊。

    これまでで一番好きかも。というのも、いつも以上に鼻の奥がツンとくる人情が溢れていたから。

    一日一善じゃ足りない一日三善の加助さんがどんどん一人一人を、善人長屋全体を温めていくこの描き方が芯まで沁みる。

    そして読み手の心に響く言葉は数えきれないぐらい。
    じぃんときたな。

    中でもお縫一家、お縫の母の秘められた過去がいい。

    驕り高ぶった末の痛みという経験で愛を知り、娘に繋ぐ教えの愛のリレーに涙。

    そして儀右衛門の姿がまた最高。

    人としての器の大きさ、愛の深さがキラリ。

    次なるキラリ輝くのは誰か、次巻が楽しみ。

  • 「善人長屋」「閻魔の世直し」の続編。

    表題作回は、お縫の父・儀右衛門と、母・お瞬の馴れ初めの話。
    なぜ、母はこんなにも父を慕うのか。こんなにも信じているのか。

    儀右衛門がお瞬にプロポーズをした日、大川は嵐に見舞われ、氾濫寸前だった。身投げをしようとしたお瞬の下に、ずぶ濡れの儀右衛門が現れる。
    お瞬は限界だった。水仕事で調子に乗って、男たちを手のひらの上で弄んでいたと思っていたら、仕返しとばかりに拉致監禁の上、手籠にされてしまった。
    一命は取り留めたものの、残していた財産は強盗に奪われ、一文無しになった。江戸から離れようと決心したその日、嵐がやってきた。
    嵐の中、病に臥した祖母を背負い、深川八幡のお堂にたどり着いたお瞬の迎え入れたのは、男衆の好奇の目と、女衆の嫉妬の目だった。
    「私は出て行くから、ばあさんは置いていくよ」
    啖呵を切って、嵐の大川まで戻った時には、川の堤ははち切れんばかりだった。

    死のうと思ったが、川に飛び込む一歩が出ない。

    身体を汚され、金も奪われ、人々から忌み嫌われ、生きることに絶望しておきながら、まだ私は生にしがみ付くのか。

    馬鹿馬鹿しい自分に嫌気がさした時、儀右衛門が現れた。

    儀右衛門は、お瞬の行きつけの質屋の店子をしていた。水仕事で貢がせた男たちから受け取った品物を、質屋に出してお金に換えていたころに知り合ったのだ。儀右衛門は常にお瞬に言っていた。「人の心を粗末にしちゃならねえよ」と。

    嵐の中やってきた儀右衛門を見て、お瞬は、自分が生にしがみついていたのは、死ぬ前にもう一度儀右衛門に会いたかったからだと気づいた。同時に、儀右衛門の過去の言葉が胸を抉った。

    この人の、言った通りじゃないか。

    自嘲したお瞬の両肩を、儀右衛門の力強い両手が抱える。そして、

    「お瞬、私と結婚してくれ」

    「大川契り」の中には、色んな短編が入っているが、個人的には「侘び梅」の話が良かった。あまり物語の中心にいない人物にスポットライトが当たる回は、スピンオフらしくて素敵だと思った。

  •  今回は短編集で長屋の人々のいろいろな面を見ることが出来ます。

     加助さんだけはかわらないけどね

  • シリーズ2作目と間違って読んじゃった3作目。
    2作目を飛ばして読んでも問題ない話でよかった!
    今回も短編集で読みやすい。
    最後にあるお縫ちゃんの両親の話は思ったよりも重かった…
    お縫ちゃんのお母さん、お俊さんの壮絶な過去。
    それでも前を見て立っていられる強さが凄い。
    お俊さんの凄さを容姿に惑わされずにしっかり分かっていてくれた儀一さんは立派な人だなぁ。

  • 加助の過剰な親切心がトラブルに発展するお決まりのパターンが中心ですが、今回はなんと言っても儀右衛門とお俊夫妻の懐の大きさが際立つタイトル作が秀逸でした。
    続編の上梓を首を長くして待とう。

  • お縫の姉であるお佳代に始まり、母であるお俊の物語で終わる。

    毎度のことながら儀右衛門とお縫の頭の冴、長屋のみんなの活躍っぷりを楽しみながら読めた。
    今回は加助さんの反省会もありでした。

    どうして西條奈加さんの小説はこんなにすらすら読めてしまうのだろうか。
    登場人物の陰もありつつまっすぐなところがいいんだろうな。登場人物がみな魅力的で、善人長屋シリーズの続きをまたどこかで読めたらいいな。

    • かもさん
      突然ご質問失礼します。シリーズ2作目と3作目の順番を間違えて、2作目をとばして3作目を買ってしまったのですが、2作目とばすとネタバレとかあっ...
      突然ご質問失礼します。シリーズ2作目と3作目の順番を間違えて、2作目をとばして3作目を買ってしまったのですが、2作目とばすとネタバレとかあったりしますか?因みに1作目は既読です。
      2024/05/26
    • たおさん
      かもさん>
      返信の方法としてこれで合ってるのかわかりませんが、そして内容も本が手元にないので正確ではないのですが…
      お縫の心情の変化などがも...
      かもさん>
      返信の方法としてこれで合ってるのかわかりませんが、そして内容も本が手元にないので正確ではないのですが…
      お縫の心情の変化などがもしかすると2冊目に戻った時に違和感かもですが、一応はそれぞれの冊子で一区切りついていたイメージです。
      3冊目は1冊目みたいに短編続きで、お縫の両親の過去など出てきます。2冊目は1冊全てで1物語、という感じでした。
      2冊目より3冊目が面白い(個人の感想です)ので、おすすめは順番通りに読むです!
      2024/05/27
    • かもさん
      たおさん>
      ご返信ありがとうございます!
      短編の1話だけ読んでしまいましたが、ちゃんと2作目買って順番通り読むことにします。ありがとうござい...
      たおさん>
      ご返信ありがとうございます!
      短編の1話だけ読んでしまいましたが、ちゃんと2作目買って順番通り読むことにします。ありがとうございました!
      2024/05/28
  • 今作は『家族』がテーマなのかななんて思いながらサクサクと読了。
    儀右衛門の旦那とお俊さんの馴れ初めから長女との不仲の理由も回収されてよかった。
    わたしもタヌキなのかどうにも加助さんが苦手なのは仕方ないとこかなと。

  • シリーズ3作目。安定の面白さだった。やっぱり短編も良いな。空き時間に1話ずつキリ良く読める。
    今作はお縫ちゃんのお兄さんとお姉さんも登場。儀右衛門さんとお俊さんの馴れ初め話もあり、千鳥屋の家族事情が明らかになる。好きなシリーズなので、続編が出たらいいなあ。

  • 善人長屋(本当は千七長屋)に本当の善人は
    独りだけで残りはスリ・騙り・盗人など悪の
    部分を持つ故に普段は善人を装っている設定

    今回は短編ながら設定の根幹にかかわる重要
    な話もある

    最近感じているのはこのシリーズは都築道夫
    のなめくじ長屋シリーズの様に個々の異能を
    つかい事件を解決するパターンで読んでいて
    小気味いいんだよね(´・ω・`)

  • 三冊目も大層楽しめた。

    読み終えて、ふと。

    まだこのシリーズは続くのではないかと。
    大川契りはてっきりお縫と文吉の大団円かと
    思っていたのだが…なんとなく中途半端に終わって。

    続くのなら…うれしいのだが。

  • 安定の加助さんの善行に、それを半ば諦めて巻き込まれてる長屋の面々。善人長屋を読んだのが結構前だったので、長屋の裏家業や人柄とかを忘れてるところもあったんですが、やっぱりおもしろかったです。お縫ちゃんの姉のお佳代、気持ちはわかるけど…自分がしんどかろうなとかわいそうになりました。文さんとお縫ちゃんもこれからどうなることやら。鈍いからな~2人とも。幼なじみは難しい。

  • 今回は1作目と同様に短編が集まったもの。
    相変わらず加助の親切ごかしとお縫のでしゃばり具合にイラッとするけど、文吉の思いを加助が「お縫ちゃんが好きなのは…」で、なんだそういう判断はできるのかぁとホッとした。
    最後の「大川契り」で文吉がお縫の無事に掛け値なしに喜んだのが可愛い。この二人が自分の思いに気がつくのはいつなのかな。
    モグラ一味がお金のためにお俊とお縫を人質にして、最後には二人と頭を並べて考えて意見を聞くっていうのは、江戸時代ならではかな。

  • 善人長屋シリーズ三作目。
    8つの物語が紡がれた短編集。

    泥つき大根、子供質、兎にも角にもでは加助の親切がもたらす物語、弥生鳶では以前有名であったスリの再登場の裏、雁金貸しではお縫の姉お佳代の借入額に相違がある証文の細工を突き止める話、
    詫梅では文吉の兄唐吉の不審な夜歩き、
    鴛鴦の櫛、大川契りではお俊が儀右衛門の馴れ初めについて描かれている。

  • 「善人長屋」「閻魔の世直し」と読み進めてきて本作を手に取りました。お縫を取り巻く人々の悲喜交々のエピソードに心惹かれます。特にお縫の父と母の出会いを描く、「エピソード0」的な表題作の一編が一番印象に残りました。江戸の町人たちを描く人情ものをもっと読みたくなりました。

  • 善人長屋のお縫さんの両親の馴れ初めが分かり、気風の良さに惚れ惚れした。

  • 掏摸に騙りに美人局。住人が全員悪党の「善人長屋」に紛れ込んだ本当の善人・加助が、またしても厄介事を持ち込んだ。そのとばっちりで差配母娘は盗人一味の人質に。長屋の面々が裏稼業の技を尽して救出に動く中、母は娘に大きな秘密を明かす。若かりし頃、自らの驕り高ぶった態度が招いた大きな罰のことを――。流れゆく大川が静かに見つめた、縺れた家族の行方を丹念に描く人情時代小説。
    (2015年)
    --- 目次 ---
    泥つき大根
    弥生鳶
    兎にも角にも
    子供質
    雁金貸し
    侘梅
    鴛鴦の櫛
    大川契り

  • これはテレビで放送していたような・・・たしかそうだった。
    まぁ、無難な内容だったかな。
    気楽に読めて楽しめた。

  • キャバ嬢だったのか。

  • 「西條奈加」の連作時代小説『大川契り―善人長屋―』を読みました。
    『善人長屋』、『閻魔の世直し―善人長屋―』に続き、「西條奈加」の作品です。

    -----story-------------
    母が明かした秘密。
    大川の端で交わした父との約束。
    そっと寄り添う家族に涙、涙、涙!

    掏摸(すり)に騙(かた)りに美人局(つつもたせ)。
    住人が全員悪党の「善人長屋」に紛れ込んだ本当の善人「加助」が、またしても厄介事を持ち込んだ。
    そのとばっちりで差配母娘は盗人一味の人質に。
    長屋の面々が裏稼業の技を尽して救出に動く中、母は娘に大きな秘密を明かす。
    若かりし頃、自らの驕(おご)り高ぶった態度が招いた大きな罰のことを――。
    流れゆく大川が静かに見つめた、縺(もつ)れた家族の行方を丹念に描く人情時代小説。
    -----------------------

    『善人長屋』シリーズの第3作にあたり、2014年(平成26年)に刊行された作品です。

     ■泥つき大根
     ■弥生鳶
     ■兎にも角にも
     ■子供質
     ■雁金貸し
     ■侘梅
     ■鴛鴦の櫛
     ■大川契り

    長屋の平和を守るため、悪党たちしぶしぶ大奮闘! スリに詐欺師に美人局、実は凄腕ばかりの善人長屋に迷い込んだ人助けが生き甲斐の真の善人「加助」、、、

    あふれる善意で人助けに燃え、減らず口の不良娘やケガをした当たり屋、不審な傷だらけの男児など、面倒の種をせっせと連れ帰り、そのたび騒動に巻き込まれる住人たちは戦々恐々。

    しかも拾った行き倒れが西国の盗賊一味と判明… とばっちりで差配の母娘が囚われて―!? 長屋の知恵を結集し、二人を無事に救い出せ!


    本シリーズは安定の面白さですねー 第2作の長篇も良かったですが、短篇の連作の方がテンポが良くて愉しめますね、、、

    本作では、差配「儀右衛門」の娘「お縫」に纏わるエピソードが多かったですね… 茶問屋玉木屋に婿に入った兄「倫太郎」や長屋を極端に嫌う姉「お佳代」、母「お俊」の過去など、長屋に関わる人間模様が知れて物語の幅が広がってきた感じです。

    「お縫」と「お俊」が捕らえられ、「儀右衛門」と「お俊」の馴れ初めが明らかになる『鴛鴦の櫛』と『大川契り―』は感動できましたね、、、

    「お縫」と「文吉」の恋の行方も気になるところですが、本シリーズは、現時点本作までしか執筆されていないようです… 続篇を読みたいなぁ。

  • 最初は言葉遣いが慣れないな〜と思いながら読んでいたけど、ストーリーが面白くて引き込まれていってむしろハマってしまった。

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著者プロフィール

1964年北海道生まれ。2005年『金春屋ゴメス』で第17回日本ファンタジーノベル大賞を受賞し、デビュー。12年『涅槃の雪』で第18回中山義秀文学賞、15年『まるまるの毬』で第36回吉川英治文学新人賞、21年『心淋し川』で第164回直木賞を受賞。著書に『九十九藤』『ごんたくれ』『猫の傀儡』『銀杏手ならい』『無暁の鈴』『曲亭の家』『秋葉原先留交番ゆうれい付き』『隠居すごろく』など多数。

「2023年 『隠居おてだま』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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