とかげ (新潮文庫)

著者 :
  • 新潮社
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本棚登録 : 4978
レビュー : 460
  • Amazon.co.jp ・本 (179ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101359120

感想・レビュー・書評

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  • この本の36ページ、「どうしてもどうしても…」からの8行は、ずっと忘れることは無いんだろうなーと思った。

  • 穏やかな胸の痛みと、木漏れ日のような優しさ。
    よしもとばななの文章を読んでいると不思議な感覚になります。


    とかげのようなカップル、とても素敵。

  • 私の最も好きな本。
    何度も読み返してもうボロボロだけど、大切な宝物。

  • すきってこういうことだったなぁ。

    人に恋したときってこうだったなぁ。

  • よしもとばななさんの小説を読んだあといつも感じるのだけど、僕のこころのなかに何か錠剤みたいなものが、ぽちょん、と落ちているのです。
    たぶんその正体は、ところどころに散りばめられたあたたかな文章たち。
    消せない過去とか、満たされない思いとか、生きていく上で運命的に抱えてしまった傷痕と戦う登場人物が、一見すると淡々と流れているように見える日々のなかで一生懸命考えた、足あと。

    それは、彼らがやっぱり誰かとの出会いのなかで発見したり驚いたりするものなのだけど、のうのうと生きている僕にはすぐ馴染まない言葉で、文章として平易ではあっても、消化するのに時間がかかってしまう。
    だからある意味、胃に落ちた錠剤のような、違和感を持っているのだと思う。

    でもその文体が好きすぎて、全然嫌じゃないし、むしろそれがすこしずつ、しゅわしゅわと溶けていく過程が愛おしい。
    じんわりとからだに浸透していくその錠剤は、「人生の意味」みたいなものをやさしく説いてくれる。そうして、たしかにこの短編集のテーマは「癒し」だなと、つよく感じるのであります。



    「また会ってください。」
    私は言って、彼女の手を握った。
    どうしてもどうしてもさわりたくて、気が狂うほど、もういてもたってもいられなくて、彼女の手に触れることができたらもうなんでもする、神様。
    そう思った。そう思ってした。自然も不自然もない。せざるをえない。思い出した。(中略)本当はただたださわりたくて、キスしたくて、抱きたくて、少しでも近くに行きたくてたまらなくて一方的にでもなんでも、涙が出るほどしたくて、今すぐ、その人とだけ、その人じゃなければ嫌だ。それが恋だった。思い出した。(「とかげ」p.38)


    「わかるよ。普通の回数ではないってことが。はじめのときにわかったよ。」
    彼は言った。
    私は本当に言葉を失い、世の中は私があれこれ考えているから動いているのではなく、おおきな渦巻きのなかに私もこのひとも誰も彼もがいて、何も考えたり苦しんだりしなくてもただどんどん流れては正しい位置に注ぎ込まれていくのかもしれないと思った。
    自分が世界の中心だと思っていた世界からわずかに一歩をはずした瞬間だった。
    それは歓喜でも、失望でもない感覚で、ただ今まで余分な筋肉を使っていたのをゆるめたような妙にこころもとない気分だった。(「大川端奇譚」p.172)

  • 20160512
    よかった!!

  • 中学生くらいの時にいちど読んだ気がするのですが、そのときわからなかったことが紐解けたような感覚でした。柔らかいことば遣い。倒錯したものをいきること。

  • 昔読んだときはまったく意味がわからないものだらけでした。ここに書いてあることはすべて、「話したい、言葉にしたくない何もかものこと」だったからだと思います。
    すこしずつ、言葉にしないほうがきちんとわかる何もかものことを知って、はっきりはしていないけど、すきとかきらいとかいいとかわるいとかじゃないもっと大事なものの伝え方を教えてもらったような気持ちでした。
    血と水の中にあるお父さんの手紙、「どこにいても、あなたは許されていて、愛されています。私たちからだけではなく。」という言葉がだいすきです。宗教くさい、というけれど、親子とか家族、愛情というのはどれも少なからず宗教のような気がします。
    根拠はないけどすき、たいせつ、だから生きてゆける、だめになってもまた見つけるしすきになれるという気持ちはきっとなによりもつよい。

  • 六つの短編から成る一冊。
    あとがきによると いくつかのテーマがあるようだが、「癒し」「孤独」を強く感じた。全編、恋人とのはなしであったが 人はそういうものを愛する人との間に見出しているのだと実感した。
    寂しさと向き合うのがつらくなったときに読むのが良いと思う。救いがあるとかではなくて、なんとなく寄り添ってくれるような気がする。

  • 生きることと、死ぬこと。
    祈り。
    回復する傷…。

    1篇1篇が、透明感を持ちつつ重くのしかかってくる。
    でも、すべてに希望がある。
    ばななさん、大好きです。

著者プロフィール

吉本ばなな(本名:吉本 真秀子 よしもと まほこ、旧筆名:よしもと ばなな)
1964年、東京都生まれの作家。日本大学芸術学部文芸学科卒業。卒業制作の「ムーンライト・シャドウ」が日大芸術学部長賞を受賞。また「キッチン」で第6回海燕新人文学賞を受賞、デビュー作となる。
1989年『TUGUMI』で山本周五郎賞を受賞。1996年イタリアのフェンディッシメ文学賞(35歳以下部門)、1999年イタリアのマスケラダルジェント賞文学部門を受賞。2000年『不倫と南米』でBunkamuraドゥマゴ文学賞を受賞。その他代表作に、映画化された『アルゼンチンババア』などがある。
海外での評価が高く、著作が多くの国で翻訳されてきた。

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