アムリタ(上) (新潮文庫)

著者 :
  • 新潮社
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レビュー : 269
  • Amazon.co.jp ・本 (295ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101359144

作品紹介・あらすじ

妹の死。頭を打ち、失った私の記憶。弟に訪れる不思議なきざし。そして妹の恋人との恋-。流されそうになる出来事の中で、かつての自分を取り戻せないまま高知に旅をし、さらにはサイパンへ。旅の時間を過ごしながら「半分死んでいる」私はすべてをみつめ、全身で生きることを、幸福を、感じとっていく。懐かしく、いとおしい金色の物語。吉本ばななの記念碑的長編。

感想・レビュー・書評

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  • ツグミ?キッチン?どちらだったかな、すごく気に入ったので次もずっと読みたいと思っていたのだが、手に取るとどうも短編とかエッセイっぽくて、なかなか実現できなかったところ、ようやくこれを手にした。でもって期待は裏切られなかった。ところどころ理解不能な感情もあるけど、彼女のこの世界観が心地よかったし、何よりこの人間関係をうらやましく思った。でも読み終わってみたら、すごく面白かっただけに、今の自分の面白くなさ魅力のなさに幻滅、意気消沈。まだ今週あと一日あるという現実に疲れているからか、読み手の気分で本の印象が変わっては作者に申し訳ないけど。

  • 2012.9.17読了。

    なんというか、スピリチュアルなものをごくナチュラルに差し出されると、少し疲労する。

  • よしもとばなながまだ吉本ばななだった頃に書いた作品で、
    私が彼女の作品にはまったきっかけとなった1冊。

    とにかく主人公の朔ちゃんが大好きで、私の永遠の憧れの女性。
    もうすぐ私も彼女と同い年になろうとしていることに今気づいて愕然とした。

    私のバイブルとも言える本。
    無人島に持って行く1冊を選ぶんだったら迷いなくこの本を選ぶ。
    辛い時にはいつもこの本を読めるように、
    10代の頃は常に分厚いハードカバーを持ち歩いていた。

    ばななさんの本を読むと、自分が取り戻せるふしぎ。
    今も、辛くなったときは絶対彼女の本を読み返す。
    時には会社にまで持って行く。
    よしもとばななの作品に出会わなければ、
    わたしはどうなっていたんだろうとさえ思う。
    そこまでの作家は他にいない。

  • 好き嫌いがわかれるみたいだけど(解説の沢木耕太郎さんはたぶん駄目なクチだったのだろう)何度もこれで救われたような気がする。
    本当につらかった時期に、ここで描かれている事や、描こうとしていたことに一番深く共感したような気もする。
    ばななさんもアムリタを描いた頃は人生最悪の時期だったらしい。
    極限はつきつめれば本当に当たり前の生活の中にある、みたいなこと。

    色んな読み方が出来る本だと思う。そのうちのひとつに、どこで道が分かれるのかという事がある。

    主人公の朔実ちゃんも好きだけど、自殺した妹の真由のほうに感情移入してしまう。

    " しかし真由と私の違いは、ささいなことですが大きかった。すごい美しい景色のところに旅行に行くと、・・・たとえばそれは奈良でしたが。三輪山の展望台から家族で夕日を眺めていました。
    (中略)
     とにかく真由はそういうとき、あんまりにも景色がきれいだったりするとこわくなって、決して退屈してではなくて「早く帰ろう、うちに帰ろう」っていう子だったの。
     私は、「この景色がもっとよく見えるところがあるはずだから、お山にのぼろう」っていう子だった。"

    でも結局最後には、朔実ちゃんは生命力そのものなんだなと思うようになる。そのまぶしさの分、影はとても濃いということ。それすら記憶の中に包んでやさしく書いている目線が好き。

  • 姉の記憶の欠如、妹の死、弟に生まれた不思議な力、そしてその力にとまどいながら理解し受け止めようとする弟自身と姉、複雑でも愛のある家族の関係、そして姉の恋と姉と出会っていく人々、

    内容を聞くだけだと重く暗くなってしまいそうな話が実際に読むと全然違うんです、優しくて心があたたかくなるようなとても素敵なお話になっています。

    この「 アムリタ 」をキッカケにばななさんの小説へ浸かっていきました。気持ちのモチベーションが定まらないときや時間があるときは今でも無性に「 アムリタ 」を読みたくなります。ほんとうにだいすきな小説です。

  • 描かれている人物が非常に変わっていて、サイキックな感じ。情感豊かな表現が多く、すごい感性だなと思った。物語というよりは、登場人物同士の関係性で話がつながっていく感じで、とても面白いと思った。

  • 後半になるとスピリチュアルなシーンが「もうええねん」て気がしてきてしまった。若干。

  • 主人公のお母さん、弟など周りの人たちがステキで、(下)まで一気に読んでしまいました。

  • ある種の異常を抱えた人達の、あくまでも延々と続く日常
    がひたすら描かれている。
    日常というものへの推察がとても面白くそれを描写するための語彙も驚く程に豊富で、読んでいてとにかく気持ちが良かった。
    サイパンの天国的な描写の数々が印象的だったけれど、そこから出てくる必要性を自然に自覚する朔美がまたとても素敵です。

    朔美が由男のことを「おまえ」と呼んで少しはすっぱな口調で話すシーンがある度、本当の親密さを感じてとてもいいなと思いました。
    家族のささやかな日常の記憶がどれも愛おしくて悲しくていっぱいになりました。

  • 再読。
    妹で女優だった美しい妹が自殺し、その恋人と一線を越え、弟が不思議な能力を開花させてしまい、主人公の私はバイトへ向かう途中に強く頭を打って記憶の大部分を失った。
    そうして喪失を抱えた日々に訪れる、世界からの誘い。
    高知、サイパン、そこで出会った不思議な人々。
    そして妹の元恋人、竜一と築きなおす関係のもたらすもの、動いていくことを止められないからこそのいとおしさ。
    初期の長編。

    初期の、と付けずとも、こんなに長いものを吉本さんはこれ以降書いていないと思う。(王国シリーズは、いちおう巻数分かれてるし…)よしもとさんのすごいところは、長編でも短編でも密度がほとんど変わらないことだと思う。
    初期のころの、熱帯雨林のような空気感が懐かしく、肺においしい。

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著者プロフィール

吉本ばなな(本名:吉本 真秀子 よしもと まほこ、旧筆名:よしもと ばなな)
1964年、東京都生まれの作家。日本大学芸術学部文芸学科卒業。卒業制作の「ムーンライト・シャドウ」が日大芸術学部長賞を受賞。また「キッチン」で第6回海燕新人文学賞を受賞、デビュー作となる。
1989年『TUGUMI』で山本周五郎賞を受賞。1996年イタリアのフェンディッシメ文学賞(35歳以下部門)、1999年イタリアのマスケラダルジェント賞文学部門を受賞。2000年『不倫と南米』でBunkamuraドゥマゴ文学賞を受賞。その他代表作に、映画化された『アルゼンチンババア』などがある。
海外での評価が高く、著作が多くの国で翻訳されてきた。

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