- Amazon.co.jp ・本 (295ページ)
- / ISBN・EAN: 9784101359144
感想・レビュー・書評
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日常のほんの少しのことが、あたたかくて、切なくて、大切なものだと感じることができるので、吉本ばななの本は好き。
アムリタでは由男がよい。
高知で夕焼けをみるところの描写がとても好き。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
再読。
妹で女優だった美しい妹が自殺し、その恋人と一線を越え、弟が不思議な能力を開花させてしまい、主人公の私はバイトへ向かう途中に強く頭を打って記憶の大部分を失った。
そうして喪失を抱えた日々に訪れる、世界からの誘い。
高知、サイパン、そこで出会った不思議な人々。
そして妹の元恋人、竜一と築きなおす関係のもたらすもの、動いていくことを止められないからこそのいとおしさ。
初期の長編。
初期の、と付けずとも、こんなに長いものを吉本さんはこれ以降書いていないと思う。(王国シリーズは、いちおう巻数分かれてるし…)よしもとさんのすごいところは、長編でも短編でも密度がほとんど変わらないことだと思う。
初期のころの、熱帯雨林のような空気感が懐かしく、肺においしい。 -
ツグミ?キッチン?どちらだったかな、すごく気に入ったので次もずっと読みたいと思っていたのだが、手に取るとどうも短編とかエッセイっぽくて、なかなか実現できなかったところ、ようやくこれを手にした。でもって期待は裏切られなかった。ところどころ理解不能な感情もあるけど、彼女のこの世界観が心地よかったし、何よりこの人間関係をうらやましく思った。でも読み終わってみたら、すごく面白かっただけに、今の自分の面白くなさ魅力のなさに幻滅、意気消沈。まだ今週あと一日あるという現実に疲れているからか、読み手の気分で本の印象が変わっては作者に申し訳ないけど。
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上下巻通じて、なんの話だか、さっぱりわからなかったのだが、幸せな気分でページをめくった記憶だけは鮮明に覚えている。物語というより、音がない音楽のような小説。
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主人公の若林朔美は28歳。
お母さんとお母さんの友達と父が違う弟といとこの女の子と住んでいる。
芸能人だった妹を無くし、自分は階段から落ちて頭を打って記憶がおかしなことになっている。
そんな朔美の毎日が、彼女の頭の中の様子と共に綴られているお話。
妹の元恋人と関係を持つなんて、
最低な女だなと思って読んでたけど、
人生何があるか分からない、
人生に起こることの受け取り方って、
もっと自由で良いのかもな、と
なんか不思議な気持ちになった。
時に弟の由男に共感し、
時に朔美に共感し、
でもなんか、竜一朗のことは嫌いかも。 -
「そういう時母はまるで天からの言葉みたいに、すがすがしい発音で、まっすぐな瞳で、言う。わずかな濁りすらない、確信に満ちた響きを発する。愛されて育った娘の持つ財産だ。傲慢というほどでもなく、弱くもない、許された心の持つ偉大な力だ。」
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下巻を読んでから感想書きます。
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後半がきになる
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上巻の3分の1を過ぎた辺りからやたらとスピリチュアルな方に行くなあと思って読み進めていたのだけれど、思ったほど嫌悪感みたいなものは感じずに、そのままするっとばななワールドに引きこまれた。このあたりはさすが。
主人公である朔美のキャラクターの強さが効いてるんだろうなぁ。よしもとばななの世界観、とんでもないとっぴな状況で奇天烈でエキセントリックな登場人物が次々と登場するその舞台は本当にいとおしくて、読み終わって彼らに別れなければならないのが辛く寂しい気持ちになってしまう。
あとがきを読むとこの作品はばななさんのちょうど精神的にしんどい時期に書かれたものということだけれど、そのメンタリティが作品に強く強く影響を与えていて見事な名作になっていると感じる。