アムリタ(下) (新潮文庫)

著者 :
  • 新潮社
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レビュー : 197
  • Amazon.co.jp ・本 (308ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101359151

作品紹介・あらすじ

サイパンの心地よい生活、そして霊的な体験。親しんだバイトとの別れ。新しいバイトの始まり。記憶は戻り、恋人は帰国し、弟は家を出る。そして新たな友人たちとの出会い-。生と死、出会いと別れ、幸福と孤独、その両極とその間で揺れ動く人々を、日々の瞬間瞬間にみつけるきらめきを、美しさを、力強く繊細に描き出した、懐かしく、いとおしい金色の物語。定本決定版。

感想・レビュー・書評

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  • 琴線に触れるフレーズがいろんなところにあった。以前はあまりどうとも思わなかった作家さんの作品を読み返して、今の自分の心にじんわりと染みこんできたことに気づき、驚きとうれしさを感じました。

  • 『 会いたい。
    会って、いろんなことを話したい。
    話したい、という気持ちを
    持ち続けたい。
    はぐれたくない。
    いつも伝え続けたい。
    だれにもわかってもらえなくていい、 この気持ちを。
    でも、伝えようとしたい。 』



    『ああ、なんて人間って
    ばかばかしいんだろう。
    生きていくということや、
    懐かしい人や場所が増えていく
    ということはなんてつらく、
    切なく身を切られることを
    繰り返していくんだろう、
    いったいなんなんだ。

    夢の勢いにかられるように
    ただただ、そう思った。 』

  • 自分の日記を読んでいるようだった。
    生きるって、当たりまえのことだし、毎日が楽しいわけじゃないし、地味なことだし、思い通りじゃないし、無性に涙がでるし、ただ生かされていると感じるときもあるけれど、
    それでも生きるって、あたたかい光に満ちているんだ。

    水みたいに、日の光みたいに。
    定期的に読み直して、人生の糧にしたい作品。

  • 当たり前のように生きていることが、実はすごく微妙なバランスの上になりたっていて、とても危うい世界の中を、奇跡のように歩いているんだ という気持ちになる小説。
    過去の 良いことも悪いことも すべて繋がって今の自分を作っている。目の前を流れていく膨大な出来事を ひとつひとつ 丁寧に手ですくって そして手放していく そんな連続が人生になっていくんだなあ と

  • 感想は上巻と同じ。
    まだ「アムリタ」と「キッチン」しか読んだことがないけど、彼女の作品は設定や話の流れはそれぞれ違えど、書かれてる内容はどれも同じなのかな。
    引用になってしまうけど、こんな悩みや不安や自分自身のテンションの上下に日々振り回されて、「もう生きていくのがめんどうくさくて死にたいような気もするし、面白いから続けたいような気もする」し、生きていくってその連続なんだな、って彼女の作品を読むと強く思う。
    今回はそのことを語るのに、あまり私が得意としない、霊感やスピリチュアルといったものが用いられている。でもそれを用いたところで現実味が薄れることなく、描かれているのはあくまでも日常やリアルな感情の描写。不思議なよしもとばななマジック。やっぱり好き。

  • ばななさんの作品はかれこれもう20年近く読んでいるだろうか。その特徴はというと、どれを読んでもいっしょ、ということかもしれない。そういうと聞こえは悪いのだが、もう少しいい言い方を選ぶと、多分彼女はずっとひとつの物語しか描いてこなかったのだと思う。それは自分の家族や奥さんや彼女を愛して、毎日楽しく生きなさいということなのだが、こうやって口に出すとあまりに単純で恥ずかしくだからこそ、さりげなくそれを伝えるよう彼女は作家として出来る限りの技巧を凝らし、様々な物語を用意しているのだろう。

    この作品に出てくる人たちは様々な能力を持っているがそれに惑わされてはいけない。霊感、スピリチュアル、超常現象など、口に出すといかがわしいことこの上ない世界なのだが、そういうことばっか好き好んで、口にする女の人今まで数多く見てきたが、そんなものは表象に過ぎずばななさんが言いたいことはもっと根源的な基本的なことなのだ。


  • 「神様が飲む甘い水」 「運命の中を泳ぐような水のようにサラサラ流れるようは生き方を、美しいものを手放して美しいもので満たされる人生の仕組みの美しさ、愛とは存在そのもの、生きるとは切望、混沌・矛盾・不完全さが最高」 と教えてもらった 世界の描写の仕方がほんとうに好きだな思った。
    優しい人しか出てこなくて、善悪のお説教はなく、「感動的なストーリー」ではなくありのままの日常を通して生き方や在り方を教えてくれる本でした。 少し長かったですが、読んだ後は肩の力が抜けてこれからも大丈夫なような、なにかを失うことが怖くなくなるような、本当に「水のような」生き方ができるようにしてくれる本でした。 そうは言っても、現実はこんなに美しくないので日常の荒波に揉まれるうちに私はきっと今日の会得を忘れて心が荒むでしょうが、そんな時はまたこの本を読み返そうと思いました。

  • 朔美はゆりのさんを思い起こさせる。
    「聖人が空気の中から宝石をつかまえる」みたいな表現、そのように生きたいと思った

  • ちょっといびつなお話

  • 2018.12.12
    アムリタは何度も読んでますが、ひさびさに再読。

    ※ぴんときた箇所を抜粋

    自分の恋人が同じ朝と夜、同じ時間の流れの中に同時にいると思うだけで、いつもの夕方も甘く見える。電話をしても、のびのびと話せる。夜が静かで長く感じられる。ふだん淋しいと思いたくなくて無理して麻痺させていた感覚が、ひとつひとつ開いていくのが目に見えるようだ。
    →この表現すき。自分もパートナーとはこうありたいなあ。

    真由が弟に伝えたことば
    「由ちゃんも早熟だから気をつけて。私みたいに急がないで。お母さんの作ったごはんとか、買ってもらったセーターとか、よく見て。クラスの人たちの顔とか、近所の家を工事でこわしちゃう時とか、よく見て。あのね、実際生きてるとわかんなくなっちゃうけど、楽屋にいるとよく見えるの。空が青いのも、指が5本あるのも、お父さんやお母さんがいたり、道端のしらない人と挨拶したり、それはおいしい水をごくごく飲むようなものなの。毎日、飲まないと生きていけないの。」
    →近所の家を工事でこわしちゃう時とか、よく見て。というのがなんだか心にひっかかった。

    「ひとりのひとが何かすると、波のようにみんなに何か影響があるんだねえ。」
    →わたしが太鼓のグループをやめたとき、ひとりひとりに送るところを皆が見えるところに送ったのは、そういった意味合いもあった。

    どんどん手に入れては、手放していく美しさ。強くつかんではいけない、あの海も、遠くへ去る友達の笑顔も。

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著者プロフィール

吉本ばなな(本名:吉本 真秀子 よしもと まほこ、旧筆名:よしもと ばなな)
1964年、東京都生まれの作家。日本大学芸術学部文芸学科卒業。卒業制作の「ムーンライト・シャドウ」が日大芸術学部長賞を受賞。また「キッチン」で第6回海燕新人文学賞を受賞、デビュー作となる。
1989年『TUGUMI』で山本周五郎賞を受賞。1996年イタリアのフェンディッシメ文学賞(35歳以下部門)、1999年イタリアのマスケラダルジェント賞文学部門を受賞。2000年『不倫と南米』でBunkamuraドゥマゴ文学賞を受賞。その他代表作に、映画化された『アルゼンチンババア』などがある。
海外での評価が高く、著作が多くの国で翻訳されてきた。

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