うたかた/サンクチュアリ (新潮文庫)

著者 :
  • 新潮社
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本棚登録 : 4699
感想 : 351
  • Amazon.co.jp ・本 (179ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101359168

感想・レビュー・書評

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  • ばななさんの作品に流れる、愛する人を亡くした喪失感、そしてそこからの回復。というテーマが流れているのは他の作品群と同様だと思うのだけれど、この二篇の物語は、ばななさん自身が後書きで述べているように、ちゃんと、きれいな流れのある、誰が読んでもすてきな作品。

    まさにこれだなあ、と気持ちが暖かくなるような気がした。

  • 恋のお話を読みたいと思って手に取った本。
    ちょっとだけ望んでいたものとは違ったけれど、「うたかた」も「サンクチュアリ」も優しいお話だった。

    淡い恋心というものを、その心の状態を、とても愛おしく思う。
    「うたかた」と「サンクチュアリ」で描かれている恋心もまだはっきりした色彩を持たず、淡く優しく心を温めてくれる想いのようだ。
    いつしかその想いは変形し、変色し、変質してしまうかもしれなくても、そんな想いがスタート地点にあればそこに戻っていけるかもしれない。
    どうだろうか?
    「うたかた」と「サンクチュアリ」のその後を読むことが出来たらこの疑問にも答えが出せるかもしれないのに。

    淡い恋心のその後のお話をもう少し探してみようと思う。

  • 失敗作だと書いてあるけれど、私はこの本がとても好きになりました。
    恋愛、というと一気にチープになってしまうのが悲しいけれど、
    それか、もしくはもっと深い愛情のような関係性を通じて
    若い二人のこころの葛藤や世界との関わり方が変わっていく、
    それが心地よい風のようにすーっと通り抜けるような
    お話です。月で言うなら、5月のような小説だと思います。
    何で好きなんだろうと考えると、とても分かりやすいからなんだろうなと。
    それでいて、余韻が幸せを含んでいるからだろうなと。
    今の私にはとてもいいお話でした。
    うたかたのお母さんの包丁のシーンが印象的で、
    大きく変わるには象徴的な意味ででも何でも、一回死ぬ必要が
    あるのかな。と。お話だけど、あのとき人魚が帰らなかったとして
    その後のお話はどう変わっていたんだろうなと、
    もしかしたらお母さんは人魚が帰ってこなくても本当には
    死ななかったのかもしれないななんて、考えたりしました。
    うーんまたも支離滅裂。ですが、私にはとにかく心地いい小説でした。

  • はじめて脇役に感情移入した。

    明るくて、向上心がある。。
    友子のことが気になった。


    「人生はそういういつも自分に有利なものだった。」

    「うまくいかないときだって、人生にはあるのに。」

    「それを認められなくて、プライドから死を選んだ。」

    「友子は貯金を使い果たしてしまったんだ。」


    旦那と恋人が後に、友子を語る言葉。


    これって、
    ほんとうにそうだったのかな。





    あたしはなんとなくだけど、違うと思う。


    貯金を使い果たしたわけでもなくて、
    自分で認められなかったわけじゃないと思う。




    ただ、まっすぐに望んでいたかったんじゃないかな。





    「かわいそうなことをした、かわいそうだと思う」


    2人もいたのに、
    じゃぁ何でなんとかしてあげられなかったの?


    なんか、友子さんの結末が悲しかった。

  • 年度末の決算ということもあって、ここ最近仕事が忙しく通勤時間はうとうとしてしまい、帰宅後も読書時間がなかなかとれず、今読んでいる本は頭に入ってこなくてイライラを募らせています。
    それでもなにか軽い気持ちで読めるものはないかと、書棚を眺めて、タイトルに惹かれて手に取りました。

    しばらくぶりの再読です。中身はあんまり覚えてません(ぇ
    とても空気感のある、まるで景色のように流れていく物語。
    家族のこと、恋愛のこと、死のことも、重くないけどちょっぴり寂しく切なくてアンニュイな気分になりました。
    疲れているときは甘いラブストーリーよりもホラーよりもミステリーよりも、これぐらいの方がちょうどいいな、と思いました。

    あまり本の感想ではなくなってしまいましたが、疲れているときは、ちょっとほろ苦く、さくっと読める本がいいですね。

  • よしもとばなな作品初。
    個人的には「うたかた」が好き。
    淡々とした文章でいろんな意味で中身のない作品と言われていたりするが私は逆にそこが印象に残っている。

  • 実家にある私の本棚にないなあと思っていたら、父のベッド脇にあった。読んだら戻せや(笑)

  • 嵐はすてきなやつだった。
    名前にそぐわず優しくて。

    ばななさんは季節の描写が上手ですね。
    夏の始まりの感じとかまさにその通りでした。

    ふわーっと読めてしまいました。

  • どうしようもなく、苦しくて哀しくて、死にたくなったら、読もうと思う。ばななさんの作品は、落ちてる時に響いてくる。今読んで、泣いたりしなかったのは、あまり落ちてないからなんだろうな。私は間違いなく元気なんだ。でもそれ故に、自分の視点がなんとも平坦で面白くない。「きっと、私は分かり初めている、この見方でもっとたくさんのものを見たい、と私は思った。良いものも、汚いものも、過去も未来も、なんでもかんでもきちんとこの目で見てみたいと生まれて初めて心の底から思ったのだ。」そういう視点を、私も手に入れたいと思った。ただ、今は、そういう時じゃないんだなあ、とも思った。

  • 無限だ、淋しいほどの無限だ。限りある人生の中で、人はその無限の重みに耐えきれなくなり、何度も目をつぶる。このフレーズをまた読むためにきっとまたこの本を手に取る。人に伝えようとしても、この本は、メルヘンに聞こえたり、重すぎたり、全然違うようにとられてしまうだろう。見れば分かる、この弾けるような生きている人たちの姿が。ちなみに、ひとり泣きの技は生きてく上で求められるスキルに間違いなし。

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著者プロフィール

作家。1964年、東京都生まれ。A型。日本大学芸術学部文藝学科卒業。87年、小説「キッチン」(第6回海燕新人文学賞)でデビュー。おもな著作に『ムーンライト・シャドウ』(泉鏡花文学賞)『うたかた/サンクチュアリ』(第39回芸術選奨文部大臣新人賞)、『TUGUMI』(第2回山本周五郎賞)、『アムリタ』(第5回紫式部文学賞)、『不倫と南米』(第10回ドゥマゴ文学賞)『ハゴロモ』『どんぐり姉妹』『鳥たち』『サーカスナイト』『ふなふな船橋』『イヤシノウタ』『下北沢について』など。諸作品は海外30か国以上で翻訳され、イタリアのスカンノ賞やカプリ賞を受賞するなど、海外でも高い評価と多くの読者を獲得している。

「2022年 『人生の旅をゆく 4』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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