王国 その2 痛み、失われたものの影、そして魔法 (新潮文庫)

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  • 新潮社 (2010年2月26日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (160ページ) / ISBN・EAN: 9784101359359

AIがまとめたこの本の要点

プレミアム

みんなの感想まとめ

人との関係の美しさと、心の成長を描いた物語が展開されます。主人公の雫石は、周囲の人々とのそれぞれ異なる愛情を通じて、関係性の大切さを深く理解していきます。彼女の経験は、読者にも大切な気づきをもたらし、...

感想・レビュー・書評

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  • 雫石とおばあちゃん、雫石と楓、雫石と片岡さん、雫石と真一郎くん、その全ての関係が美しくて読んでいて幸せな気持ちになる。
    雫石がそれぞれのことを、それぞれに愛しているのが分かる。
    一つとして同じ関係も同じ愛情もない。
    人との関係って本当に代わりのないものなんだ。
    そのことが本当には解ってなかったなと反省。

    そして雫石がテレビを見て発見したこと。
    「あんなよどみを、あんなくささを飲み込んでもびくともしないなんて、そしてあの人たちが夜に光るコケ類のようにちゃんとそれぞれの美しさを持って生きることを許されているなんて、世界とはなんと包容力があって、すごい浄化作用を持っているのだろう。」
    「私はただここで小さく輝いて、消えていくだけ。小さな小さな物語を作って。それでいい。」
    この発見に私も許された気がした。
    ここで生きていることを。
    私のことも飲み込んでいるこの世界に。
    そしてその世界で一緒に生きている人(雫石のような)に。

  • この巻はとにかく人生、雫石ちゃん(主人公)が人生を語る巻ですね。
    人が生きるってこうだなぁ、ほんと。
    と思いました。
    その1もそうでしたが、読み終わると心に明るい光が広がるような、そんなお話です。
    続きも楽しみ。(積読してます)

  • 雫石が、森から都会へと環境が変わって行くと同時に心も変化し、色々なことを学んでいく。
    TVに中毒になって気づかないうちに、自分の目の前にある事から逃れていたり、人の感情がその空気にまで伝わって周りを変えてしまうことを学んだり、私も雫石と一緒にこの本から沢山学ぶ事が多かった。そして真一郎との関係も気になって早く続きが読みたいと思ってしまう。
    最近好きになった吉本ばなな。どんどんハマってしまう。凄い私よりも周りを敏感に観察していて、そこから感じ取ったことを本に吐き出しているのではと思う。物語なんだけど為になることが多すぎる。学校の先生にオススメされただけある作品だった。

  • あー分かってる方
    繋がってる方なんだなぁ、
    吉本ばななさん(*^^*)

    人生の普遍が物語を通してかかれてます
    深いな〜

  • みんながもっている魔法。
    大切なひとのために、よいことのために
    使いたいな。

  • やっぱりよしもとばななの小説の良さは人と人とが関わる様なのかもしれない
    雫石とその周りの人たちの関係性がとても丁寧で、みんなそれぞれに違う形でお互いを思い合っていて、素敵だった

    TVのくだりがとても印象に残っている
    私も丁寧に物に触れようと思った、すぐに忘れてしまうのかもしれないけど

  • あったかいな。私もそういう繋がりをいろいろな人との間に築きたい。忙しかったり、他人の評価が気になったりと、上の空になっていると、ついつい雑にものごとに接してしまう。ていねいに、ていねいに生きてゆきたいものです。

    あと、商店街の描写がなんか懐かしいかんじがして好き。ちくわぶ食べたい。

  • 出会った占い師・楓と片岡さんは、フィレンツェに行ってしまうし…。おばあちゃんはマルタ島。
    都会で流れるような時間に慣れると共に、大事な何かを忘れて行く…。

    つくずく丁寧さを忘れている自分に気付かされます。雫石みたいな力があるわけじゃないけど、「感」が鈍る感じ、すごくわかります。

    最後のおばあちゃんからの手紙にうるっときました。

  • 夢の中では自分の精神だけが自分だ。
    だから感情は大きくなったら遠慮なく器からあふれ出してしまう。あふれて、いろいろな気持ちが100倍くらいに増幅されている。そして遠い旅をしてきたように、ただただ心が痛くなってくる。人々のストレスを感じ取らなくてはならない位置にあるのも大変だ。ストレスのある人間が発しているのは本当に毒なんだな、と思った。目に見えないからと言ってあなどってはいけないのだ。そして人はみんな、自分がストレスを抱えて歩いているだけで回りの人を害しているという事実を神経質にでなくって、素直に感じられた方がいい。
    人は人に慰められ、力を得ることができる。人間同士だから、誰だって痛いのはつらいから。
    大きな本当の目で見れば自分のしたことは絶対に消せないし、今までしてきた仕事や生活の型は必ず体のまわりに残ってしまうのだから、やり直すということは厳密にとっても難しい。だからできれば何事も慎重にやるべきなのだ。
    人は永遠に生きるけれど、何も感じない。感じないまま、なんとなくさみしい漢字がして、なんとなくものたりなくて退屈で、そして死んだらそのことはなかったことにしてまた術の中に戻っていって永遠に目はさめない、そう思えた。
    人は大変なものや来栖うものや輝いていないもの、うらぶれているもの、生々しいものを見るのを好まないのだ。本当は見たいのだが、みるといろいろと考えてしまうからできれば避けていたいのだ。
    人間がどれほど弱いものかは、私も身にしみて知っているし、誰でも一度くらいはおかしなタイミングのせいで何かそういうふうに楽しみます。
    この光こそが人間なんだ。人間の本当の姿なんだ。どうしてそんなふうに角新できたのかよくわからなかった。きっと心の目で見れば人間の世界はいつだってこんな風だった。真っ暗な宇宙空間にものすごい数の人間の光がただよい、つながりあい、光っている。ここは生死の区別もなく、大地も空もない。時間というものも存在しない。でも光はある。そのくらいに人間の光は強いものなのだ。

  • (1-3巻、同じレビューを書きます)

    私が学生だった頃、よしもとばなな氏といえば、吉本隆明氏のご令嬢ということで、昭和の知識人の家庭で育まれた文芸界のホープ、よく言えばサラブレッド、悪く言えば二世、みたいな印象でした。

    ここにきて幾つか作品を読むと、結構ねっとりと心の底を描写しつつ、しかも恋愛がらみの作品が多いことが分かりました。

    つまりクセがある。大分ね。

    好き嫌いでいうと、とても好きともいえないのですが、私の書籍の買い方というのは、結構一気に買ってしまうことが多いことから、過去に一気買いしたものを今般読み進めようと本作品を手に取ったものです。

    ・・・
    結論から言うと、結構ハマりました。

    スピリチュアルな感じのエッセンスを濃い目にブレンドするのが氏の特徴かと思います。そうした精神世界の話を入れ込むのは好き嫌いがあるかとは思うのですが、今回の作品はわたくし的には結構好きかもです。

    ・・・
    どういう背景か、両親がおらず、祖母に育てられた主人公雫石。祖母も祖母で、未だ色気を匂わす一方、雫石ととともに山奥に引っ込み、山の草や実からなる茶を客に提供し細々と生きているという設定。

    その生活はやや貧しいながら自然と共に生のリズムを刻むような生活。

    そして山のふもとで開発が始まり、薬草茶の原料となる草木に本来の力が失われつつあると分かると祖母はさっさと商売を畳むことを決意。山を引き払い、ネットで出会った彼氏のいるマルタ島へと渡る。

    一人残された雫石は山を下りて初めての一人暮らしをするも、占い師の楓、その彼氏の片岡さん、シャボテン園で働く真一郎くんなどと出逢い、導かれるようにして人生を歩むことに。

    ・・・
    こうして振り返ると、主人公雫石の自己陶冶小説なのですが、個人的には彼女の「受け止める」姿勢になんというか感銘を受けました。

    無菌室のような山奥から世俗へと降りてくる。世の中には汚い人もいる。清い人もいる。不倫もあるし、結婚も離婚もある。 

    そういうものに当初はあてられていたものの、次第に文脈や想像とともに受け止め、消化するようになる。

    その受容のしかたは非常にホーリスティックで、全体が運命論みたいな向きも感じられますが、他方で、全てに正誤はなくあるがままを受け取るという従容とした老子的ニュアンスも感じられました。

    その受け止め方は、思い込みと決めつけで相手を憎しみとともに見下げるのではなく、飽くまでフラットに受け入れる態度。そういう姿勢の主人公に好感が持てました。

    彼氏の真一郎くんと別れる雫石の、「あるべきところに収まるようになったのだ」(自分ではなくほかの人とそもそも一緒になる運命みたいな)という達観はちょっとすごい。20代そこそこでそういう達観しているのは先ずあり得ない話とは思いますが、自分の元から去る・しかも半ば裏切りのような形で去る人をも赦せる人間、すごいと思います。そんな広い心持ちになりたいゆえ、いっそう心に響いたのかもしれませんが。

    ・・・
    ということで、よしもと作品はこれで三作目。

    三巻まとめて買ったのですが、実は第四巻もあるそうですね。これも早々に読まねば、と思います。

  • 3.8

  • よしもとばななさんの本を読んでいると、わたしのくだらない固定概念が取っ払われる。
    雫石という名前が可愛すぎる。田舎で育っても都会で育っても、introvert でもextrovert でも心が壮大に広がっている子は素敵なんだ。

  • 商店街の描写良すぎ〜!!!
    旅行先で必ず私も商店街に行く。地元じゃないのにホッとする。

    あまりにも人智を超えたことが多くて、ちょっとうーんとなってしまったけど、最後のおばあちゃんの手紙にあるように「幸せで楽だった人たちが、占いなんていう職業につくことはありえないですから」ってことかも。
    現実が辛くてどうしようもなかったら、そういう目に見えないものに人はすがりつくしかないのかもしれない。

  • “なくなったものを惜しんでいるばかりで、得たものを考える余裕がなかった。ちょうど、閉じられたドアの前でじたばたして悲しんでいたら、新しいドアがすぐそこにあったというような気持ちだった。何かが終われば必ず何かがはじまっている。それを見るかみないかだけが私の自由なのだ。ドアが開いた匂い、新しい匂いの中で、私はあせらずにゆっくり立ち上がり、少しずつ歩きながら、何かを探し続けよう。”

  • ・大切なものを離さないよあにぎゅっとつかむのではなくて、お互いが気持ちいいと思えるくらいの力加減
    ・今しかないから出し惜しみなく生きていく
    この2つのようなことが書かれている部分に深く共感し、胸が熱くなりました。
    そして、植物を愛でたくなり、家にある観葉植物に話しかけるようになりました。
    優しい言葉で温かい物語なのに、なぜか言葉が心にくる、、。王国シリーズは私のお気に入りになりました。

  • p35
    大きな、ほんとうの目で見れば自分のしたことは絶対に消せないし、今までしてきた仕事や生活の型は必ず体のまわりに残ってしまうものだから、やりなおすときうことは厳密にはとってもむつかしい。だからでしればなにごとも慎重にやるべきなのだ。自分のまわりにはこれまでしてきたことや失敗したことやごまかしてきたことが、ぼんやりと層を作ってその人の輪郭をぼやけさせたりする。
    (略)
    もちろん過去を消すというのはできないことはないが、それはやってきたときのちょうど百倍くらいの力を使わないと、さらに自分に毎日魔法をかけて自分自身を説得しないとできない。つまり普通の人にはほとんど不可能だということで、できないと言っても過言ではない。

    p51
    「今が今しかないことを感じさせてくれるのが恋愛なんだ」と、そんなあたりまえのことを、私は彼を通じてはじめて知った。

    p73
    もともとはお金がきっかけでそういう体質になり、お金の色がとれなくなってどんどん不思議な植物のように育っていく。(略)
    あんな人たちがたくさんいるのに、どうしてこの世は終わらない?
    そのことにこそ、私は大感動してしまった。(略)
    世界とはなんと包容力があって、すごい浄化作用を持っているのだろう。信頼するに足るではないか、と思ったのだ。

    p87
    なんだっていいんだ、魔法は、何にでも存在する。(略)そこに人との思い出がちゃんと作られていれば、どんなものでも魔法の装置に変わっていくのだ。

    p95
    私のためだけに生きるのなら、私はすごく小さい。でも、私を必要としている人がいるから、私はひとまわり大きな力が出せるし、出したいと思うのだろう。

    p151
    「また来ます。」
    と私は、ついこの間まで知らなかった人たちに挨拶をする。その人たちは笑顔を見せる。そうやって、私という波紋を、宇宙の記録の中にどんどん刻みつけていく。
    さらに漕ぎ出していけ、私よ。新しい日常の中に、この小さな光をもって。

  • ◯好きな人の、生の声にはすごい力があるんだ...と私は愕然としていた。私が思っていたよりもずっと、人の、生の反応だとか、手の感触だとか、表情だとか、声の響きに直接触れることは、すごい力を持っているんだ。

  •  「王国」第2部。前作からはそれぞれの登場人物の住む環境が異なり、それによってどのような変化がもたらされるのかが描かれている。
     新しい環境というのは、本人が思っている以上に心に負荷がかかることであり、今まで上手くできていたことが急にできなくなったりすることも珍しくない。そして、環境の変化は人間関係にも変化をもたらす。それが自分にとってよい方向に向かうのか、それとも悪い方向に向かうのかは想像できない。しかし、周囲の人には案外その景色が見えたりしていることもある。その言葉に救われた経験は誰しもが持っているのではないだろうか。そんなことを思い出させてくれる作品。

  • 癒される。

  • 失恋したとき涙しながら読んだな

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著者プロフィール

1964年07月24日東京都生まれ。A型。日本大学芸術学部文藝学科卒業。1987年11月小説「キッチン」で第6回海燕新人文学賞受賞。1988年01月『キッチン』で第16回泉鏡花文学賞受賞。1988年08月『キッチン』『うたかた/サンクチュアリ』で第39回芸術選奨文部大臣新人賞受賞。1989年03月『TUGUMI』で第2回山本周五郎賞受賞。1993年06月イタリアのスカンノ賞受賞。1995年11月『アムリタ』で第5回紫式部賞受賞。1996年03月イタリアのフェンディッシメ文学賞「Under 35」受賞。1999年11月イタリアのマスケラダルジェント賞文学部門受賞。2000年09月『不倫と南米』で第10回ドゥマゴ文学賞受賞。『キッチン』をはじめ、諸作品は海外30数カ国で翻訳、出版されている。

「2013年 『女子の遺伝子』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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