アナザー・ワールド―王国〈その4〉 (新潮文庫)

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  • Amazon.co.jp ・本 (237ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101359403

感想・レビュー・書評

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  • 「王国」シリーズの完結(?)巻。
    ママとパパとパパ2に愛されて育った娘ノニのお話。
    と同時に、ノニが愛しているママとパパとパパ2のお話でもある。
    苦しいことがあっても生きていられるのは、この物語に描かれているような気持ちがあるからだと思う。

    「今日は今日の光だけを見て、精一杯体も心も動かして、とにかくただ生きるんだよ」
    心に残ったパパ2の言葉。
    この物語の優しさがこの言葉にぎゅっと込められているように思えた。

  • この小説と出会えてよかった。

  • 何かの小説の続編って、読まなくても成立するし、むしろ読まない方がよかったと思うことも無くはない。
    この小説も、読まなくても成立はする。主人公が別の人物だから。
    でも、これを読んでからまたその1から3までを読めば、色んな場面に感慨が増すような気がする。

    その1から3までの登場人物のその後。それは少し悲しく、温かく、力強かった。
    やっぱり変な人たちだと思ったけど。笑

    片岡さんという登場人物がものすごく好き。言葉は乱暴だし直球だし気も遣えないけれど、愛に溢れてて。
    「だれかをとことん好きになるということは、とにかく傷つくことなんだよな」
    こんなことを言えてしまう、優しい片岡さん。

    “命があるから、生きているのであって、なにかを成すために生きているのではない”
    もっと若い頃の私なら頷けなかったかもしれないけれど、今の私は、深く頷いた。
    目立たなくても、栄誉なんて得なくても、誰かの助けになる生き方をしている人はそこかしこに存在しているということ。

    江國香織さんの「きらきらひかる」の続編を読んだときにも思ったけれど、誰かの人生の時間は途切れることなく続いていて、小説や物語というのは、その時間のどの部分を切り取るか、ということなんだよね。
    長かったり短かったり、ほんの1日や1時間を切り取った物語も存在する。
    続編がなければ勝手に想像できるし、続編があって知れるのも悪くない。選択は自分次第。

    素晴らしい“王国”だった。

  • 読んでしまった。読んでよかった。

    登場人物全員が愛おしい。
    生きること、愛すること、働くこと、どこにも正解なんてないのに、優等生でいて優良企業に入って、子育てに悩んで人生に悩むのはくだらないことなのかもしれない、と思える余裕をくれる一冊だ。

    ただ、時間が流れていくだけ
    今日も何かに、誰かに支えられて生きていく

  • 3人の続きがうれしい。
    やっぱり片岡さんがすきだ!

  • 1~4すべて図書館で借りたけど、全部買おうかと思うくらい沁みる言葉があった。

  • キッチンから始まり、アムリタで何かが確かに出来上がり、この王国でさらに熟成されてゐるやうな気がする。
    3巻の終わりにもあるが、雫石といふ存在に吉本ばなな自身も対話してゐる。かうなのか、ああなのか。書きながら少しづつできあがつていつた存在なのだと思ふ。その形が時間の流れた4巻で実を結んでゐる。時間と空間の広がりといふのだらうか。何かが生まれ発生していくその瞬間を目にしてゐるやうだ。死と再生の次にある、旅立ちの物語だ。
    この自分が自分であることの不思議さ、どうにもならない何か。ならば、そんな自分がここで生まれ、どういふわけかひとの世で生きていくといふこと。山といふ世界から、ひとの世界へ。植物と動物の世界から、ひとの世界へ。
    このどうにもならない自分であつたとしても、決してこの世で生きていけないわけではない。必ずこの世界のどこかで、生き続けられる王国がある。どんな泥水の中にあつても光る石がある。その光があるから、生き続けられる。なんとなく当たり前の日々の愛しさ、人間の気高さ、美しさといふものがより一層光を増す。
    ひとりではくじけることもあるかもしれない。だからこそ、また明日も歩き出せる力、神の水、養生の術が必要だ。王国は必ず存在する。その希望と自分に誠実であり続けること。さうして今といふ点をつないでいくだけだ。この点の明滅が繰り返されていく先はただの死・滅びかもしれない。それでも、点はどこまでまた息づく。この自分が滅びてもバトンが世代をつないでいく。

  • 久しぶりに水が身体に染みていくような、言葉が、物語が身体に染みわたる感覚。弱いところもだめなところも、そうなんだと受け入れることができて、気づいてみたら自分に寄り添ってくれる気がした。
    また読みたい本。

  • すごく良かった。ちょっと変わった家族だけれど、みんな愛情で包まれていて素直に生きている。

    刺さる言葉が多すぎて困った。きっと読むべきときだったのかもしれません。

  • 話を全て理解できるわけじゃないけれど、なかなか止まらない位この本の中に引き込まれる。
    ◯長い飛行機の旅からやっと体が緩みだしていた。その時こそが、旅の中で最も幸せな瞬間だと思うのだ。
    ◯「君の人生はなんだかいろいろありそうで、聞くのが面白そう」
    ◯ただこの人には成田空港が似合うな、と思った。やっぱりどこにいても旅になってしまう人なんだ。

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著者プロフィール

1964年07月24日東京都生まれ。A型。日本大学芸術学部文藝学科卒業。1987年11月小説「キッチン」で第6回海燕新人文学賞受賞。1988年01月『キッチン』で第16回泉鏡花文学賞受賞。1988年08月『キッチン』『うたかた/サンクチュアリ』で第39回芸術選奨文部大臣新人賞受賞。1989年03月『TUGUMI』で第2回山本周五郎賞受賞。1993年06月イタリアのスカンノ賞受賞。1995年11月『アムリタ』で第5回紫式部賞受賞。1996年03月イタリアのフェンディッシメ文学賞「Under 35」受賞。1999年11月イタリアのマスケラダルジェント賞文学部門受賞。2000年09月『不倫と南米』で第10回ドゥマゴ文学賞受賞。『キッチン』をはじめ、諸作品は海外30数カ国で翻訳、出版されている。

「2013年 『女子の遺伝子』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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