なるほどの対話 (新潮文庫)

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  • Amazon.co.jp ・本 (312ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101359519

感想・レビュー・書評

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  • 何度も読み返しました。人と違う事に悩んだり、ちょっとずれてしまった、そういう人には救いになるのではないかと思います。

  • ◆吉本:「学校は自分をぐしゃぐしゃにした」という印象が強くあります。学校、つらかったですねえ…。河合:とにかく日本には、おせっかいが多い。それは、“創造する”作業にとって、ものすごくマイナスなんですよ。日本はクリエイティビティを表に出すのが、難しい社会です。―個性的な二人のホンネは、とてつもなく面白く、ふかい。対話の達人と言葉の名手が明かす生きるコツ。

    河合 隼雄
    1928(昭和3)年、兵庫県生れ。京大理学部卒。京大名誉教授。文化庁長官。日本のユング派心理学の第一人者であり、心理療法家。独自の視点から日本の文化や社会、日本人の精神構造を考察し続け、物語世界にも造詣が深い。

    吉本 ばなな
    1964(昭和39)年、東京生れ。日本大学芸術学部卒。’87年「キッチン」で「海燕」新人文学賞、’88年単行本『キッチン』で泉鏡花文学賞、’89 年『TUGUMI』で山本周五郎賞をそれぞれ受賞。海外での評価も高く、イタリアのスカンノ賞、フェンディッシメ文学賞を受賞。『アムリタ』(紫式部文学賞)『不倫と南米』(ドゥマゴ文学賞)など著書多数。


    ●河合「馬鹿げているようでも、『これは許さん』というのがその家にないというのは絶対におかしいですから。(中略) 高等学校で三年寝ていても黙ってるけど、『雨戸閉めなかったら殺すぞ』ぐらいのファイトがなかったらダメなんです。」●河合「『この夕焼け』とか『この息づかい』とか、それはちゃんと記憶され保存されるわけです。そういうのが、その人をつくっているのではないか、と。(中略)子どもの頃にそういうものが保存されている人とそうでない人の違いを感じるんです。」●吉本「ちょっとした、『風が吹いたら木が揺れた』とか、そういうことで人間がどんなに豊かになれるか、というようなことは、ずっと書いていきたいですね。」

    cf.
    河合隼人のバックボーンになっている著書:井筒俊彦『意識と本質』(岩波書店)
    吉本ばななの好きな書物:アンザック・B・シンガー『短い金曜日』(品文社) ロバート・C・フルフォード『いのちの輝き』(翔泳社) カルロス・カスタネダ『未知の次元』(講談社学術文庫)

  • 人生とは、仕事とは、恋とは。さまざまなカテゴリの問題を二人で語り尽くします。

  • 090228(a 090322)
    100413(a 100420)
    100512(a 100809)

  • 文句なしに5点。
    最近おもしろい小説がなく、新書も知識を詰め込む作業に思えてきてたので、この本に出会えてまた読書欲アップ。

    『本当に困って困って、「どうしよう」ということがあったら、寝る前に「どうしよう」って本気で自分に訊いて眠ると、朝起きたとき、必ず
    答えが出てる。眠りには再生の力がある』
    『自分の感覚、掴んだものは譲れないということをやっていくことが、個性を作ること。それをどうやって現代社会と折り合いをつけるかということ』
    『人生にまっすぐに向き合っているのに、周りからは「変な子」だと思われる』
    『日本は全体的圧力がすごく強いから、あんまりとっぱずれなかった割りに、才能を潰された人の数はすごく多い。そういう平均的な犠牲の上に成り立っている』
    『日本では「○○はこうしなさい」という一般的圧力が強い。』
    『関西の人は関西弁を話しているときの自分と、標準語を話しているときの自分とでは人格が違う』
    『日本では「なんとなく」の中身を訊くと、イヤな顔される。』
    『ほんとうのことを言ったら嫌われたり。野暮みたいな感じになっちゃう』
    『自分がなんでそうなっているのか。どういう状況にあるのか。わからない人たちがいる。「なんか知らないけど辛い」とか。それを作品を読むことで「あ!!」って思ったり』
    『日本はおせっかいの文化。変わってるは変わってるでいいじゃないか』
    『創造する作業において、おせっかいはマイナス。創造する人はその世界にいないとダメなのに、そこへガヤガヤと手や足を突っ込んでくる』
    『男女はあまりに好きになると、一体感への希求が高まり、何から何まで「ひとつ」でないと気がすまなくなる。そしてそのような生き方は一緒に住んでいると長続きしない』
    『いまの子供達が気の毒なのは、自分が考えたり判断したりする前に、いろんなものが先に入ってくること。しかも「これが本当」という形で入ってくる。そんななかで「おかしい、おかしい」と思っている子達が苦労している。昔だった流行に乗るのは少数だったのに今はテレビで何がメインかとか、何がメジャーかとかを意識して、時代精神を意識する』

    『学校に行く子と行かない子の違いで、いちばんわかりやすいのは、良心が認めてくれてるかどうか。あるいは家族が。誰かが。』
    『なにやらおかしいとだけ思ってる子は、黙っているか、引っ込むしかない。』
    『一般の人が言うことを言わないというのはすごいこと』
    『千人に講演するのと、一人に会うのとでは、一人のほうがよっぽど疲れる。千人を相手の講義では、僕が勝手なことを言って、ちょっとええかっこして、みんなに喜んでもらえて、「はい、おわり」ってもんやけど、それを喜んでやったら、僕がだめになる。ところが一対一というのは真剣勝負。』『本当に気の毒な人もたくさんいるから、そういう人にこそ会わなきゃいかんという気がある。本を書くことで一般の人にはある程度。。。そやけど、そういう一般の人に話すためにはすごく難しい人に実際あっていないと、とおりいっぺんのことしかいえなくなってしまう』
    『痛い目にあって、ギリギリのところで残ったものがヒーリング』
    『世の中のほとんっどのものはリラクゼーションであって、ヒーリングではない』
    『昔風の所謂ばかげた幸福パターン。何かにのっかってると楽だから。自分で判断できて、自分で自分を頼みにするという人はまだ少ない。しんどいから。自分を頼みにするのはくるしい。けど楽しい。でもみんなは「楽しい」の方だけやろうとするから、急に「苦しい」に落ち込んだりする』
    『自己実現。言葉としては平凡だけど、自分と向き合う、それだけで十分苦しかったり、つらかったりイヤだったりする。そういうことが自己実現。自分のしたいことをするのとは違う』
    『自分と向き合う作業は、人間にとって必要。必要と言うか、せっかく生まれてきたんだから自分は他のどこにもいないし、おそらくまぁ世界に一人。』
    『やっぱり自分を見ないほうが楽。「ああこんな汚いところもあるんだ」とか「こんなつらいことが」とか。「こんなふうに逃げた」とか自分自身に対して思ったり。嫌なところばかり見ちゃうことが多いと思うから、つらい作業。でもやるより仕方ない。自分をよく知らないと、もっともっとつらいことになっちゃう気がする。社会的に良いとされていることを、「つらいけど、やっておこう」と意気込んで、それこそ病気になっちゃたりしたらもったいない』
    『自分でああしようこうしようと思ってたら絶対ダメ。来たものになんとなく答えてく。「時が経っていった」という感じの方がうまくいく』
    『人には普通、「自分の能力を疑う機能」がついてる。「私、才能ないんじゃないか」とか普通は思う。そこで思うからみんなやめてく。でも私の中にはガード機能がある。そこまで考えがいたらないようにする機構も含めて。病と言っていいほどの思い込み。』
    『大事なのは先に考えるのではなくて、それに身を任せること。それさえ出来れば、何か生まれてくる。自分を頼みにする心がとても大事。それは自分に自信を持ちすぎるでもなく。いざとなったら自分がなんとかするだろうという。』
    『心が開いてる方が、いろんな偶然に対する心配りが広くなる。狭い人はおもしろいことが起こっても見えなくなる』
    『失敗した事例は、論理的に説明可能。でも本当にうまくいった事例は、論理的に説明できないのではないかと思っている』
    『その人の心の中で圧力の高いものがパーッと出てくる。普段はそういうことを抑え込んで言わないようにしてる』
    『楽しいときも何か溜め込んでる。でも口では「楽しい」と言う。そこで溜まったものはどこかで出さないと無理をしていることになる。』
    『私の場合は、自分の中で書くほうが突出してるから他のことが追いつかない』
    『人間が生まれてくる、その意味は何かって考えると、なんらかの形で社会に参加することだと思う。社会に参加するというのは、他の人を助けるという意味。』
    『謙虚であって、自分を信じてる。このふたつがないとダメ』

  • 2008.11.23貸出
    いたいとこを突かれる部分もあり。もう一回じっくり読んでもいいかも。

  • これは、おもしろくて一気に読んでしまった。

    しんどい時の自分にしみいる本。

  • 一回読んだけど、あらためて。

  • 癒すということばに疑問を持っていたが、それについてまさに思っていたことが語られており、はじめて吉本ばななが好きになった。

  • 言葉の感性がすごいですね。
    オシャレに会話を楽しみたいです。

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