- Amazon.co.jp ・本 (355ページ)
- / ISBN・EAN: 9784101360317
感想・レビュー・書評
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いまだに、コロナで亡くなったことが信じられず、「ひとみばあさん」や「変なおじさん」のコントを見たい、と強く感じます。
始めてドリフターズの「8時だよ全員集合」を見たときには衝撃を受けましたし、いかりや長介さんと志村けんさん、加藤茶さんの掛け合いは今でも大好きな場面です。
志村けんという偉大なコメディアンが、(やはり、というべきなのでしょうか)素の部分ではとてもまじめで、お笑いという仕事に真摯に向き合っていたこと、「一流」といわれる人ならではの哲学をしっかりと持っていたことがわかるエッセイ集です。
コントの台本が載っているのもファンとしてはうれしく、キャラクターたちが生き生きと動き回る様子が目に浮かび、笑わせてもらいました。
本気でふざけることでとる笑い(他人を傷つけたり貶めたりしてとる笑いではない)というのは、見た人を元気にさせますし、振り切れているからこその「バカバカしさ」というのが最近のテレビやお笑いでは見られなくなったなあ、と少し寂しく思います。
きっと、ドリフのネタのようなことをやると各所から非難されるのでしょうが、「だいたいワースト番組と言われていたけど、『全員集合』を見てグレたという話は一度も聞いたことがない。番組の中では、子供たちが親に「やっちゃいけない」と言われてることもずいぶんやったけど、それは子供ができないことを僕らが代わりにやったので笑ってるだけで、子供たちはいけないってことは知っている。それを頭っから汚いとか思われちゃうと、じゃあ何がおもしろいんだって言いたくもなる」(本文p.65)とあるように、「フィクションだから」「コントだから」こそできる表現や笑いというものをまた見せてもらえる番組やコンテンツが欲しいな、と思います。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
志村けんの美学が凝縮されてます。
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未だにもうこの世に居ない事が信じられない
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志村けんさんが平成14年に出した本ですが、令和2年4月に二刷になっていました。
ドリフの付き人になって、新井注さんの後に入り、頭角を現していく…というのは、才能ももちろんのことですが、ひとえに彼の頑張り。これまで環境と才能だろうと勝手に想像してたけど、特に面白いことを言ったりするような雰囲気もない家庭の中、ものすごい研究熱心と努力一筋があったのだと知った。お笑い、映画、その他エンターテインメント全般の不断なる研究。
そして、しょっちゅう見ていた「バカ殿」「だいじょうぶだあ」のコントはいずれも練りに練られた台本に基づき、かつ一つの番組の中のコントの順番も入念に検討、配置されたものだということも、初めて知った。
ビートたけしさん、タモリさん、さんまさんとかのことも出てきた。志村けんさんは直感でパっ!!っていうタイプじゃないことがよくわかった。改めて、本当にすごい。
「映画の主役やりたい」とか、「子供を持ってバカ殿二世にして一緒にコントやりたい」とか。前者のほうは実現する目前だったのに、残念でならない。
たくさんの笑いを本当にありがとう。
私はとくに、ひとみばあさんが大好きでした。 -
変なおじさん 完全版
志村けん
変なおじさん(1998年10月刊行)と変なおじさん リターンズ(2000年10月刊行)を合本にしたもの。
2020年7月12日読了。
今から20年ほど前。志村けんが50歳頃の自伝的一冊。
志村流も自伝的な感じではあったけどこちらの方がより自伝的な要素が強い。
ドリフのメンバーになるまで
「全員集合」時代
「加トけん」「だいじょぶだあ」時代
バカ殿様
お笑いについて
気になる人、お世話になった人
自分のこと
etc
志村けんはとてもシャイで慎重派。でも昔から人を笑わせることが好きで、中学には将来はお笑いをやっていくと決意していた。
それは父親が厳しい教員で家でも厳格な所があり、その反発もあったそう。
高校卒業前に、いかりや長介を直接訪問。最初は不在だったが帰ってくるまで待って付き人志願をした。
そこからドリフの付人として働き24歳の時に荒井注さんに代わりドリフのメンバーへ。
最初は全く受けなかったが、東村山音頭あたりから受けはじめたという。以後16年続いたドリフの大爆笑で大活躍するが、当時の思い出話が短くいくつもあって読み易い。
「志村流」よりもボリューミーでネタも多いので、読むならこちらがオススメかな。
シャイで、女とお酒と音楽が好きで、何よりもお笑いが大好きなコント職人志村けん50歳頃の一冊。
70歳になって改めて本も出して欲しかったです。
R.I.P -
今、個人的にドリフターズがリバイバルブーム中。志村けんさん、本当に残念だな~、
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私がお笑い好きなことの原点がこの人なのである。読みおわって、この人のコントが好きな理由が再確認できた気がする。
俳優さんやミュージシャンとの思い出も貴重な記録。 -
自伝的に語る我がお笑い人生。ドリフの付き人から「全員集合」「だいじょうぶだぁ」「バカ殿様」まで。(平成14年刊。本書は「変なおじさん」(1998年刊)と「変なおじさんリターンズ」(2000年刊)を合本したものである)
追悼のために買って読む。
「全員集合」の後半、「加トケン」はリアルタイムで見た世代である。時期的に「だいじょうぶだぁ」はそんなに熱心に見なかったが、5時の夫婦は今見ても秀逸である。「バカ殿」はいま5歳の娘が喜んでみている。月並みであるが、ずっと売れっ子で子供を笑わせる事が出来るのは凄いことである。読んでいると、生前、トーク番組での語り口調が甦ってくる。
いろいろな裏話や、芸能界での交遊録など興味深く面白いのだが、本書は、夢を持ち続けることの大切さを教えてくれる。
p203「やっぱり舞台をやりたい」は、舞台志村魂として結実している。
また、p276「映画は好きだけど、俳優は向いてないかも・・・」では、「一生に1本くらい、ドタバタの人情喜劇を主役でやるのもいいかな。」と言っているが、映画「キネマの神様」の主演が決まっていたことを考えると、感慨深いものがある。
p291「上島竜平はつまらないのがおもいろい」志村がテレビを見てると、時々竜平が困っている姿を見かけるという。「笑いが好きなら、救ってやれ」という言葉は重い。
2020年の現在、志村けんは終わった人ではなかった。まだまだ現役であり、今後も。活躍を求められていた人であった。大道具やセットを使い、メイクや衣装で扮装するコントが少ない今、この喪失感をどの様にしたら良いのだろうか。 -
構成とディテールの大切に改めて教えてくれ