文芸あねもね (新潮文庫 や 66-50)

著者 :
  • 新潮社
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本棚登録 : 542
感想 : 80
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  • Amazon.co.jp ・本 (470ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101360621

作品紹介・あらすじ

生きていれば、きっとある。恋が終わり、夢が破れ、自分が損なわれる瞬間が。でも、そこから立ち上がりまた歩き出す瞬間も、きっと-。3.11の後、「今、自分たちにできること」をしようとペンを執った10人の女性作家たち。そして2011年7月、その想いは全額寄付を目的としたチャリティ同人誌へと結実した。電子書籍から生まれた、再生への希望きらめく小説集、待望の文庫化。

感想・レビュー・書評

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  • 山本さんの一作を読みたくて購入した本。
    どの作品も個性的で質の高いものばかりなのも驚いた。あとがきで山本さんが書いた通りテーマとして何か掲げられたわけではないけれど、どの作品も共通して生きて行く強さが滲んでいたと思う。それは声高らかにではなく、ぎりぎりと噛み締められた喉の奥から這い上がってくるような強さだ。

  • 好きな作家(彩瀬まる、山本文緒、柚木麻子)さんの作品にはウンウンとうなずけて、知らない作家さんの作品読んでまた新しい文学に触れられる楽しさ。彩瀬さんの二十三センチの祝福が良かった。この男女がつつましく幸せに暮らせられていられるといいなと思う。三日月さんのボートも物悲しく投げやりな感じなんだけど嫌いではない。

  • 2016年1冊目。
    すっごい読み応えでもうお腹いっぱい。そんな感じのアンソロジーでした。

    久しぶりに小説を書いたという豊島ミホさんがなんかすごかった。そして山本文緒さんの存在感がハンパない。

    あとがきの「女として生きてゆく上での底なし沼のような苦悩と、ほんのぽっちりでも確かに輝く北極星のような希望」と言う言葉もすごく印象的で、それぞれが描く苦悩と希望がとても心に響いてきました。

    あと、南綾子さんが作中でやたらと自分のことを「売れない作家」と書いてたけど私あなたの作品凄く好きですと伝えたい。そんな気持ちになりました。

  • R-18文学賞を受賞した作家らによるアンソロジー短編集。
    もとは電子書籍で2011年東日本大震災のチャリティのための企画。企画の部分が文庫版では後についていて雰囲気がわかります。
    知らない作家ばかりでしたが、本のタイトルと表紙で読む気になりました。
    この直後に読んだ本でも「電車が来るまでの三分間だけでも、彼女のことを偲ぼう」(子供おばさん、山本文緒)のようなシーンが出てきて、流行り?とか思ってしまった。
    読むのが辛いのもあったけれど、未来に希望を持てるかはともかく、楽しめた。

  • 豊島さんの小説がよめる!!ということで読みたくてうずうずしていたのと、気になっていた作家さんが多かったこともあっていざ…!

    また大好きな本が増えた!!
    一冊を通して本当に前向きになれたというか…
    みんなそれぞれ違う生き方をしているけど、その中で少しでも前に進もうとする姿に、「こうしなきゃいけない」みたいな事から解放される感じがしました。
    巻末にはあねもねが出来るまでの物語もあって、大満足でした^^
    気になった作家さんの本も、読んでみようと思った。
    文庫化してくれて、本当に感謝です!

    • 円軌道の外さん

      フォローありがとうございました(^O^)

      レビュー読ませてもらったけど
      すごく良かったので、
      本棚覗かせてもらったら、
      共感...

      フォローありがとうございました(^O^)

      レビュー読ませてもらったけど
      すごく良かったので、
      本棚覗かせてもらったら、
      共感できるのが多かったので
      自分もフォローさせてもらいました。


      最近の小説にはうといので(笑)
      オススメ教えてくれたら嬉しいです♪

      今後とも
      よろしくお願いします☆

      2012/03/11
  • どれもこれも好みの作品ばかりで読むのが楽しかったです。
    特にお気に入りは豊島ミホ先生の『真智の火のゆくえ』、柚木麻子先生の『私にふさわしいホテル』。

    これが同人誌だなんて、贅沢すぎる!
    どの作品も手元に置いて何度も読み返したい。

    個人的に今年に入ってから仕事が忙しく読書する心の余裕が無かった上に、自己啓発本と実用書ばかり目を通していたので、この本を読んで娯楽とはこういう事だ〜と心に染みました。。
    物語は心を豊かにしてくれるなと改めて気付かせてくれた大切な一冊になりました。

  • 山内マリコ アメリカ人とリセエンヌ…「ここは退屈迎えに来て」のスピンオフ。感想はそっちで書いたので省略。
    彩瀬まる 二十三センチの祝福…自分の事を書かれているような怖さがあった。傷つけられた男のプライドが屈折した男の復讐へと変わる。
    宮木あや子 水流と砂金…「雨の塔」のスピンオフ。前回は途中断念で今回はしっかり読んだけど難解だった。どんな運命が待ち構えているのかわからなかったし、女同士の恋愛も消化不良。
    蛭田阿紗子 川田伸子の少し特異なやりくち…自分が特異ではないと気付く時のシチュレーションが特異。
    豊島ミホ 真智の火のゆくえ…大きな事をやらかしそうな火が不甲斐ない。え、なんで?となった。
    柚木麻子 私にふさわしいホテル…下の階で必死に邪魔をする様が微笑ましい。
    南綾子 ばばあのば…話として未完なのが気掛かりで著者が心配になった。こんなに暴露しちゃって大丈夫なんでしょうか。
    三日月択 ボート…評価はこの作品。命に無責任な男女の為に生まれてくる事ができない命の事を思うと、やり場のない怒りがこみ上げてくる。生まれて来なければ良かったのはこういう男女なのに。
    山本文緒 子供おばさん…なんでもない話なのに、じわじわ幸福感が湧き上がる。
    吉川トリコ 少女病 近親者・ユキ…「少女病」のスピンオフ。感想はそっちで書いたので省略。

    ※ 巻末の雑談もみんな楽しそうでいい。それと豊島ミホさん作成の似顔絵がうまい!
    この作品は東日本大震災復興支援目的で売り上げは全て寄付されるとのこと。

  • 宮木さん目当てで手に取ったもの。
    『雨の塔』のスピンオフ作品が収録。
    雨の塔では具体的に明らかにされなかった、矢咲実の心中未遂事件がスピンオフ作品として掲載されている。
    「針とトルソー」とこの「水流と砂金」の2つのスピンオフ、そして『太陽の庭』と4作品揃ってのシリーズかな、という印象。

    全体的に主人公がイタいキャラが多かったように思う。
    が、どの作品も結末に向けてそれなりに明るい未来に歩いていく終わり方だったので、読後感は悪くない。
    最も痛快で印象深かったのは柚木麻子の「私にふさわしいホテル」。
    ちょっとその“山の上ホテル”に泊まってみたい。

    他、「二十三センチの祝福」、「真智の火のゆくえ」、「子供おばさん」、「少女病 近親者・ユキ」が好みだった。

  • 震災チャリティーなのに図書館で借りてしまった…。内容は震災とは無関係。豊島ミホのは一人だけ長いだけあって読み応えあった。twitterのアイコンも描いてるのね。

  • 東日本大震災の復興のために出されたということで読んだ第一の感想は、これ読んだら独身女性の将来への不安を煽っちゃうのでは?という心配でした。
    でも、あとがきまで読んでみて、これは震災からの復興のために何かしなければという個人の想いからできたものだと分かりました。
    分かってみれば、「日本に元気を」とか言ってるだけのタレントよりずっといい。

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著者プロフィール

1986年千葉県生まれ。2010年「花に眩む」で「女による女のためのR-18文学賞」読者賞を受賞しデビュー。16年『やがて海へと届く』で野間文芸新人賞候補、17年『くちなし』で直木賞候補、19年『森があふれる』で織田作之助賞候補に。著書に『あのひとは蜘蛛を潰せない』『骨を彩る』『川のほとりで羽化するぼくら』『新しい星』『かんむり』など。

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