文芸あねもね (新潮文庫 や 66-50)

著者 :
  • 新潮社
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感想 : 80
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  • Amazon.co.jp ・本 (470ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101360621

作品紹介・あらすじ

生きていれば、きっとある。恋が終わり、夢が破れ、自分が損なわれる瞬間が。でも、そこから立ち上がりまた歩き出す瞬間も、きっと-。3.11の後、「今、自分たちにできること」をしようとペンを執った10人の女性作家たち。そして2011年7月、その想いは全額寄付を目的としたチャリティ同人誌へと結実した。電子書籍から生まれた、再生への希望きらめく小説集、待望の文庫化。

感想・レビュー・書評

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  • 山本さんの一作を読みたくて購入した本。
    どの作品も個性的で質の高いものばかりなのも驚いた。あとがきで山本さんが書いた通りテーマとして何か掲げられたわけではないけれど、どの作品も共通して生きて行く強さが滲んでいたと思う。それは声高らかにではなく、ぎりぎりと噛み締められた喉の奥から這い上がってくるような強さだ。

  • 好きな作家(彩瀬まる、山本文緒、柚木麻子)さんの作品にはウンウンとうなずけて、知らない作家さんの作品読んでまた新しい文学に触れられる楽しさ。彩瀬さんの二十三センチの祝福が良かった。この男女がつつましく幸せに暮らせられていられるといいなと思う。三日月さんのボートも物悲しく投げやりな感じなんだけど嫌いではない。

  • 2016年1冊目。
    すっごい読み応えでもうお腹いっぱい。そんな感じのアンソロジーでした。

    久しぶりに小説を書いたという豊島ミホさんがなんかすごかった。そして山本文緒さんの存在感がハンパない。

    あとがきの「女として生きてゆく上での底なし沼のような苦悩と、ほんのぽっちりでも確かに輝く北極星のような希望」と言う言葉もすごく印象的で、それぞれが描く苦悩と希望がとても心に響いてきました。

    あと、南綾子さんが作中でやたらと自分のことを「売れない作家」と書いてたけど私あなたの作品凄く好きですと伝えたい。そんな気持ちになりました。

  • R-18文学賞を受賞した作家らによるアンソロジー短編集。
    もとは電子書籍で2011年東日本大震災のチャリティのための企画。企画の部分が文庫版では後についていて雰囲気がわかります。
    知らない作家ばかりでしたが、本のタイトルと表紙で読む気になりました。
    この直後に読んだ本でも「電車が来るまでの三分間だけでも、彼女のことを偲ぼう」(子供おばさん、山本文緒)のようなシーンが出てきて、流行り?とか思ってしまった。
    読むのが辛いのもあったけれど、未来に希望を持てるかはともかく、楽しめた。

  • 豊島さんの小説がよめる!!ということで読みたくてうずうずしていたのと、気になっていた作家さんが多かったこともあっていざ…!

    また大好きな本が増えた!!
    一冊を通して本当に前向きになれたというか…
    みんなそれぞれ違う生き方をしているけど、その中で少しでも前に進もうとする姿に、「こうしなきゃいけない」みたいな事から解放される感じがしました。
    巻末にはあねもねが出来るまでの物語もあって、大満足でした^^
    気になった作家さんの本も、読んでみようと思った。
    文庫化してくれて、本当に感謝です!

    • 円軌道の外さん

      フォローありがとうございました(^O^)

      レビュー読ませてもらったけど
      すごく良かったので、
      本棚覗かせてもらったら、
      共感...

      フォローありがとうございました(^O^)

      レビュー読ませてもらったけど
      すごく良かったので、
      本棚覗かせてもらったら、
      共感できるのが多かったので
      自分もフォローさせてもらいました。


      最近の小説にはうといので(笑)
      オススメ教えてくれたら嬉しいです♪

      今後とも
      よろしくお願いします☆

      2012/03/11
  • どれもこれも好みの作品ばかりで読むのが楽しかったです。
    特にお気に入りは豊島ミホ先生の『真智の火のゆくえ』、柚木麻子先生の『私にふさわしいホテル』。

    これが同人誌だなんて、贅沢すぎる!
    どの作品も手元に置いて何度も読み返したい。

    個人的に今年に入ってから仕事が忙しく読書する心の余裕が無かった上に、自己啓発本と実用書ばかり目を通していたので、この本を読んで娯楽とはこういう事だ〜と心に染みました。。
    物語は心を豊かにしてくれるなと改めて気付かせてくれた大切な一冊になりました。

  • 山内マリコ アメリカ人とリセエンヌ…「ここは退屈迎えに来て」のスピンオフ。感想はそっちで書いたので省略。
    彩瀬まる 二十三センチの祝福…自分の事を書かれているような怖さがあった。傷つけられた男のプライドが屈折した男の復讐へと変わる。
    宮木あや子 水流と砂金…「雨の塔」のスピンオフ。前回は途中断念で今回はしっかり読んだけど難解だった。どんな運命が待ち構えているのかわからなかったし、女同士の恋愛も消化不良。
    蛭田阿紗子 川田伸子の少し特異なやりくち…自分が特異ではないと気付く時のシチュレーションが特異。
    豊島ミホ 真智の火のゆくえ…大きな事をやらかしそうな火が不甲斐ない。え、なんで?となった。
    柚木麻子 私にふさわしいホテル…下の階で必死に邪魔をする様が微笑ましい。
    南綾子 ばばあのば…話として未完なのが気掛かりで著者が心配になった。こんなに暴露しちゃって大丈夫なんでしょうか。
    三日月択 ボート…評価はこの作品。命に無責任な男女の為に生まれてくる事ができない命の事を思うと、やり場のない怒りがこみ上げてくる。生まれて来なければ良かったのはこういう男女なのに。
    山本文緒 子供おばさん…なんでもない話なのに、じわじわ幸福感が湧き上がる。
    吉川トリコ 少女病 近親者・ユキ…「少女病」のスピンオフ。感想はそっちで書いたので省略。

    ※ 巻末の雑談もみんな楽しそうでいい。それと豊島ミホさん作成の似顔絵がうまい!
    この作品は東日本大震災復興支援目的で売り上げは全て寄付されるとのこと。

  • 宮木さん目当てで手に取ったもの。
    『雨の塔』のスピンオフ作品が収録。
    雨の塔では具体的に明らかにされなかった、矢咲実の心中未遂事件がスピンオフ作品として掲載されている。
    「針とトルソー」とこの「水流と砂金」の2つのスピンオフ、そして『太陽の庭』と4作品揃ってのシリーズかな、という印象。

    全体的に主人公がイタいキャラが多かったように思う。
    が、どの作品も結末に向けてそれなりに明るい未来に歩いていく終わり方だったので、読後感は悪くない。
    最も痛快で印象深かったのは柚木麻子の「私にふさわしいホテル」。
    ちょっとその“山の上ホテル”に泊まってみたい。

    他、「二十三センチの祝福」、「真智の火のゆくえ」、「子供おばさん」、「少女病 近親者・ユキ」が好みだった。

  • 震災チャリティーなのに図書館で借りてしまった…。内容は震災とは無関係。豊島ミホのは一人だけ長いだけあって読み応えあった。twitterのアイコンも描いてるのね。

  • 東日本大震災の復興のために出されたということで読んだ第一の感想は、これ読んだら独身女性の将来への不安を煽っちゃうのでは?という心配でした。
    でも、あとがきまで読んでみて、これは震災からの復興のために何かしなければという個人の想いからできたものだと分かりました。
    分かってみれば、「日本に元気を」とか言ってるだけのタレントよりずっといい。

  • R-18文学賞出身の女性作家を中心に集まって作った東日本大震災復興支援同人誌の新潮文庫版です。著者印税はすべて寄付しています。今後も重版のたびに寄付する予定です。本気でイチオシな一冊です! どうかよろしくお願いします!

  • 続きを読むのがワクワクした。女性達の、がむしゃらじゃなく、ゆる~く、でも前向きな姿勢が好き。震災のためのチャリティーで集まった作家の短編集だと知ってますます好感が持てた。

  • 誰一人知らない作家で、まったく予備知識なく手にとったけれど、読み進めるたびどれもおもしろく、いちいち驚きながら一気に読んだ。
    これは読むべき。

  • 電子書籍が先行の、女性作家十名による、
    チャリティ企画のアンソロジー。
    楽しめたし、馴染みのない作家さんを知るイイ機会になりました。

  • 東北大震災を発端に、何か自分たちにできることはないか、と考えた若手女性作家10人がチャリティで同人誌を電子書籍として出そうとし、それに賛同した山本文緒も加わったことで(?)文庫化されたもの。文芸物が読みたかったのと、趣旨に賛同して読んだものの・・・どうも好みでないタッチの作品が多かったので、ちょっと評価が辛くなってしまった。そもそも、山本文緒のタッチまでも好みでなかった、そういえば。でも、そんなにひどい文章でもなかったですよ、皆さん、頑張って;

  • 女って生きづらい!
    でもしぶとくて強いなあ、と。
    豊島さんの新作読めて嬉しかった。
    (ここに島本さんが入ったらどうなるんだろう)

  • 震災後、チャリティとして出版された電子書籍同人誌を文庫化したもの。同世代の作家さん達が一から十まで全て自分たちの手で作られた、と聞き購入。文章自体は『んん…』なものもあるんだけど、その心意気が素敵だなあと思った。

  • 生きていれば、きっとある。恋が終わり、夢が破れ、自分が損なわれる瞬間が。でも、そこから立ち上がりまた歩き出す瞬間も、きっと―。3.11の後、「今、自分たちにできること」をしようとペンを執った10人の女性作家たち。そして2011年7月、その想いは全額寄付を目的としたチャリティ同人誌へと結実した。電子書籍から生まれた、再生への希望きらめく小説集、待望の文庫化(「BOOK」データベースより)

    アメリカ人に憧れる主人公と、哀れでキュートなその友人、ブレンダの会話がおかしい「アメリカ人とリセエンヌ」山内マリコ

    自分の中にある冷たいかたまりに気付き妻を失った男と、落ち目のグラビアアイドル・ルルコ。お互いがお互いを変えた、短い交流「二十三センチの祝福」彩瀬まる

    『雨の塔』の矢咲が登場。彼女が出会う、さくらという少女の絶望と諦めの中で夢見る逃亡のお話「水流と砂金」宮木あや子

    アニメキャラになりきり毎日を過ごす主人公の姿が、いっそ清々しく感じる「川田伸子の少し特異なやりくち」蛭田亜紗子

    特別だから好きになった?全てを焼きつくすための小さな火。消すことも燃え上がらせる事もできないまま、それを胸に持ち続ける主人公の心の変化「真智の火のゆくえ」豊島ミホ

    小説家志望の主人公。缶詰めにされる私、を妄想するためにやってきた憧れのホテルだったが・・・「私にふさわしいホテル」柚木麻子

    冴えないのになぜか惹かれてしまう上司。でも彼を受け入れたらお先真っ暗な人生が待っていると未来の自分に予言され・・・「ばばあのば」南綾子

    不妊治療に疲れた夫。距離を置くようにパートを始めた主人公だったが、そこで皮肉なことが起こり・・・「ボート」三日月拓

    中学時代の友人が無くなり、式に出席した主人公。亡き友人から託されたものは・・・「子供おばさん」山本文緒

    『少女病』のスピンオフ。いとこである三姉妹の長女の結婚式。その朝のあれこれ「少女病 近親者・ユキ」吉川トリコ

    以上、女流作家10人による短編集。
    宮木さん、豊島さん、柚木さん目当てでしたが、他の作品も「これは!」と驚かされるものがありました。
    いやー、読んでみてよかった!
    特に彩瀬さんの作品はほんとうによくできていて驚きでした。
    始まりはやや暗いものを予感させる出だしだったのですが、ケーキでお祝い、で違和感。その違和感がラストで一気に昇華される感覚がちょっと忘れられない感じですね。
    期待していた3人の作品は、思っていた通りの出来栄えで、こちらも満足。
    それぞれの持ち味が、短い作品の中でてんこ盛りになってましたよー。
    しかし柚木さんの作品に出てくる大御所作家って、ちょっとわかりやす過ぎるけどいいんでしょうかww
    でもある意味淳ちゃんって(あ、言っちゃった)ものすごーく愛されてる気がします。
    いじられキャラなんですね、きっと。

    文末の「文芸あねもね★できるまで物語」も、おまけ感覚で読みましたが面白かったです。
    女子高文芸部の先輩後輩の会話みたいで楽しいなぁ。
    憧れのOG山本先輩wwの登場にテンパる面々の姿もかわいかったですよ~。

  • ふんわり明るくて、きらりとした小説集。
    すてきです。

  • これまたなんとなくタイトルに惹かれて・・・

    全編通して面白く読了。「少女病」「私にふさわしいホテル」が特におもしろかったです。

  • お初の方が多いアンソロジーにしてはめずらしくどれも面白かった。

  • 電子書籍版で買ったにも関わらず結局パソコンの中で眠ったまま…
    やっぱり紙だ!と購入(笑)

    豊島ミホさんが一番好きだった。
    柚木さんは最近読み始めた作家さんだし、吉川さんの『少女病』もわりと好みの作品だったので、ユキの番外編が読めたのは嬉しかった。

    盛り沢山。全体的に読みやすくてイラストもかわいらしかった。

  • 山本文緒さん、文章とか言葉使いが好きです。これからの作品、待ってます。

  • 友達のオススメで読んだけど、凄く良かった。短編集だけど、どのお話しも短編と思えない奥深さがありました。

  • 私はアンソロジーが好きだ。自分の知らない作家に出会えるし、その上、運が良ければ好きな作家が増えるからである。

    今回、読んだ『文芸あねもね』は好きな作家の一人である、宮木あや子さんの作品を目当てで購入したのだが
    結局の所、私にとっては最高の一冊になった!
    なぜなら、参加している10人の女性作家全員の事を好きになったから!
    しかも、この『文芸あねもね』は東日本大震災のチャリティー同人誌でもあるのだ!

    何か読みたいけど、何を読もうか迷っているそこのアナタ!是非“買って”読んで下さい!電子書籍もあります!
    女性なら絶対、共感出来る物語があるはずです!
    そして、女性の気持ちがわからないと嘆いているそこのキミ!キミも“買って”読むと少しは女性の気持ちがわかるかも知れません。なんなら、気になる女性にプレゼントするのもオススメです!

    たまに本を読む習慣がない友人にオススメの本を聞かれると、その本を貸すことがある。
    けれど、今回は“買って”欲しいと言おうと思います。
    『文芸あねもね』の初めのページにもありましたが
    その行動が遠い誰かの心や体を温めるかも知れないから。

  • 贅沢な一冊だった。自分でポップ書いた通り。

    まず圧倒的に豊島ミホは豊島ミホで嬉しかった。
    戻ってきてくれないかな、切実に。
    あとは彩瀬まるさんがとても印象的。すき。
    柚木さんのもテンポよくて良かったし、
    宮木さんのも確立されててよかった。
    雨の塔と少女病読まないと。

    とにかく自分の環境的にも考えさせられたなあ。
    うーん、でも人間って案外しぶとく何とかして
    生にしがみついて生きてくもんなんだろーな。
    とても贅沢な一冊でした。巻末付録の掲示板見たい(笑)

  • 文緒先生の「残されたつぶやき」にて本書を知りました。

    何か力になりたいと考えた時の手段が「言葉を紡ぐ」に達するなんて、人にしかできない最高峰の手段やん、、、と羨望の眼差し。

    想いが詰まっているし、
    この作品によって被災地にいる誰かの生活が温まったかと思うととてもとても尊い。

    前3作品が無垢感があって、個人的に好きでした。
    そして文緒先生の文章の圧倒的重厚感。

    沢山の作家さんの作品が一気に読めると
    新たな発見があってそれもまた楽しい。

  • 寂しいようで、でもこの後も生きていくんだなぁ...って印象が残る。テーマは決めなかったとのことだけど、あとがきにある「苦悩」と「希望」というのが、どの作品にもとてもしっくりくる。

  • どの話も面白かった!
    特に豊島ミホさんの「真智の火のゆくえ」と綾瀬まるさんの「二十三センチの祝福」が好き。
    読み終わったけれどまたすぐ読みたい。

    3.11のあとに書かれた10人の作家による小説集。

    どの話でも主人公たちは、
    今よりも明るい方へ、今よりも温かい方へ、自分で決断して一歩前に進んでいる。
    落ち込んだ時に読めば、きっと自分も頑張ろうと思えるはず。

  • 文学
    東日本大震災
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著者プロフィール

1986年千葉県生まれ。2010年「花に眩む」で「女による女のためのR-18文学賞」読者賞を受賞しデビュー。16年『やがて海へと届く』で野間文芸新人賞候補、17年『くちなし』で直木賞候補、19年『森があふれる』で織田作之助賞候補に。著書に『あのひとは蜘蛛を潰せない』『骨を彩る』『川のほとりで羽化するぼくら』『新しい星』『かんむり』など。

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