自転しながら公転する (新潮文庫)

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  • Amazon.co.jp ・本 (672ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101360638

作品紹介・あらすじ

母の看病のため実家に戻ってきた32歳の都(みやこ)。アウトレットモールのアパレルで契約社員として働きながら、寿司職人の貫一と付き合いはじめるが、彼との結婚は見えない。職場は頼りない店長、上司のセクハラと問題だらけ。母の具合は一進一退。正社員になるべき? 運命の人は他にいる? ぐるぐると思い悩む都がたどりついた答えは――。揺れる心を優しく包み、あたたかな共感で満たす傑作長編。

感想・レビュー・書評

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  • 共感することが多く、楽しい作品でした。
    主人公が自身と同年代ということもあってか、感情移入して「ああ…」「そうなんだよね」と思うことばかりです。
    私は主人公のパートナー側の視点ですが…何かもどかしい、普段あまり意識していない言動を自身もやっていただろうなと。
    作品に出てくる言葉も、とても心を掴まれました。

    若い方にはまだ共感しにくいかもですが、性別問わずに楽しめる作品です。
    また読み直したいです。

    • きたごやたろうさん
      私の本棚に「いいね」をありがとうございます。
      「きたごやたろう」と申します。
      よろしくお願いします。
      この本は私も読んだことがあります。
      良...
      私の本棚に「いいね」をありがとうございます。
      「きたごやたろう」と申します。
      よろしくお願いします。
      この本は私も読んだことがあります。
      良い本ですよね。
      その頃はまだ「ブクログ」を私がやっていなかったので、私の本棚にこの本は載ってませんが。
      2024/09/19
    • きたごやたろうさん
      またまた私の本棚に「いいね」をありがとうございます。
      お礼の気持ちを申し上げる為に、この本のコメ欄を利用させて頂きました。
      またまた私の本棚に「いいね」をありがとうございます。
      お礼の気持ちを申し上げる為に、この本のコメ欄を利用させて頂きました。
      2024/09/22
  • 山本文緒さんの作品は『恋愛中毒』以来だと思います。内容は実は覚えていないのですが、自分には合わないと思ってたぶん読まなくなってしまったんだと思います。

    あれから23年もたつのですね。
    山本文緒さんは59歳の若さで亡くなられれてしまったのですね。今まで全然読まなくてごめんなさい。
    惜しいことをしたと思いました。
    ご冥福をお祈りいたします。

    これは、与野都32歳と、羽島貫一30歳の恋愛小説です。
    アウトレットのアパレルの契約社員の都(おみや)は同じアウトレットの回転寿司屋で働く貫一と偶然出会います。貫一は元ヤンキーの中卒で、お父さんの介護施設に毎月6万円の仕送りをしています。
    都は貫一の優しい人柄には惚れていますが、途中で職をも失った貫一と本当に結婚できるのか一生懸命考えます。「この人と結婚してやっていけるのだろうか。子供は産めるのだろうか」etc。
    そしてある決定的な事件で都は貫一と別れてしまいます。

    えーっ、貫一とおみやには(金色夜叉カップルだし)やっぱり幸せになって欲しかったよー、と思いながら読みました。
    プロローグがベトナム人との結婚式のシーンから始まっているので、「えーっ!おみや!ニャン君と結婚するのー?」と思って気が気でなかったです。
    ニャン君というのは貫一の友人でベトナム人ですごくお金持ちで都のことが好きなんです。

    おみやの悩みは他人事じゃなかったです。
    (私はおみやのお母さんで更年期障害に悩む桃枝の方が歳が近いのですが)


    上手くいくかどうかわからない恋愛。
    大変な仕事。
    家族の病気。
    どうやったて人生からひとりきり逃げることはできないのだと思いました。

    貫一とおみやはどうしたらいいか考えました。
    最後はちゃんと考えたのです。
    考えれば、どうにかなるものでもあるのですね。
    よかった。

    • しずくさん
      >プロローグがベトナム人との結婚式のシーンから始まっているので、「えーっ!おみや!ニャン君と結婚するのー?」と思って気が気でなかったです。
      ...
      >プロローグがベトナム人との結婚式のシーンから始まっているので、「えーっ!おみや!ニャン君と結婚するのー?」と思って気が気でなかったです。

      私もそうでした・・・。他の方の感想を読むと、そう思った人が見あたらなかったので私だけ?と少し自信がなくなったのを思い出しました。

      2022/12/17
    • まことさん
      しずくさん♪

      今、しずくさんのレビューを再拝読してきたのですが、やっぱり、プロローグに惑わされたと書かれていらっしゃいますね。
      あれは、皆...
      しずくさん♪

      今、しずくさんのレビューを再拝読してきたのですが、やっぱり、プロローグに惑わされたと書かれていらっしゃいますね。
      あれは、皆さん、そう思いますよね。でも、他の方のレビューで、プロローグとエピローグの仕掛けは途中でわかったと書かれている方もいらして、一体、どうやったらそんなのわかるんだ~!?と思いましたけど。
      2022/12/17
  • 恋愛小説?!
    普段読みませんが、このタイトルに惹かれて手に取りました。

    プロローグとエピローグが効いている!
    とくにプロローグで語られるシーンで、さらに、二人の関係がどうなるどうなるって読み進められます。

    母親の看病のために茨城の実家に戻ってきた32歳の都。アウトレットモールで契約社員として働いています。
    アパレル系の女性って大変ね。
    そして、ひょんなことから、寿司職人の貫一と出会い、付き合い始めます。
    中卒、ヤンキーだった貫一。
    経済的に不安定な貫一との結婚は?
    貫一の人柄に惹かれながらも、結婚となると...
    悩む都。
    友人に相談するも、その方向性はバラバラ

    さらに、母親は症状は一進一退
    職場では、正社員になれるのか?
    上司のセクハラ含めて問題だらけ。

    ぐるぐる悩む都がリアルです。
    自己嫌悪、結婚に対する不安
    いったい自分は何に悩んでいるのか..
    貫一との距離が近づいたり遠くなったり..

    恋愛小説でありながら、都の人生小説
    正面から向き合えるか..
    二人は結ばれるのか、別れてしまうのか?
    といった展開

    しかし、正直、この都さんは自分としては嫌だな(笑)

    お勧めです!
    プロローグでなるほどなってなりました。

  • 面白かった!!!ので、ラーメン食べて、また食べ終わったら続きを書こうとしていたのに、、、アプリも落としてないのに、、、消えたー(._.)

    その為簡潔に。。ショック。。
    恋愛結婚家族友人災害職場など色んな観点からの物語。共感の感情や、イラつく感情、いろんな感情に。主人公は32歳独身。
    530ページあたりの緊迫、650ページある長編ですが、読みやすいー!ラストも良かった(╹◡╹)
    これは読んで良かった〜文庫本新刊の日に即買いやっと読めた〜作者の初読み★

    • 土瓶さん
      わかります。
      せっかく書いたのがなぜか消えることありますよね~。
      自分も書いておいたのをコピペしようとしたら間違えて消してしまい……。
      わかります。
      せっかく書いたのがなぜか消えることありますよね~。
      自分も書いておいたのをコピペしようとしたら間違えて消してしまい……。
      2022/12/17
    • なんなんさん
      土瓶さん、そーなんですよ(u_u)
      ネットの問題なのかなんなのか、、
      悲しみでした( ; ; )
      作品は最高でした!
      土瓶さん、そーなんですよ(u_u)
      ネットの問題なのかなんなのか、、
      悲しみでした( ; ; )
      作品は最高でした!
      2022/12/17
  • この作者さんの本を最後に読んだのはもう13年前で、その本は『最初の話を書いた後、病気休筆して再び書いた』という作品だった。
    久し振りに手にしたこの本は、これを書かれた後に亡くなられていてということで、病魔と闘いながらでもしっかりとした読み応えのある話を書かれていたのだなあと今更ながらに思った。

    32歳の与野都が、母親の看病のために東京から茨城の実家に戻り、近くのアウトレットモールで契約社員として働いているところから始まる物語。
    そこで出会ったすし職人の貫一は優しいが学歴はなく経済的にも不安定で結婚は見えない。外面は人当たりも良く普通に見える都だが、胸の内では自信も覚悟も情熱も薄く、自己嫌悪や不安に苛まされながら貫一との関係を深めては離れていくを繰り返す。
    今の若い人たちの恋愛、結婚や生活に対する機微が繊細に描かれた話は、もはや共感という歳ではないが、行ったり来たり上がったり下がったりの予断を許さぬ展開に小説としての面白みを十分に堪能することができた。
    共感という意味では都の話に挟まれる、その母・桃枝の心情のほうが身につまされる。夫が倒れた時に感じるその死の影への慄きや、いつまで生きるか分からないその先を見据えた老後の生活プランの見直しなど、つつがなく人生を終えるには乗り越えなければならないことばかりだ…。

    本編のラストの切なさがとても余情に溢れていただけに、書き加えられたというプロローグとエピローグは私にはないほうが良かったように思えた。
    とは言いつつ、そこで『恋愛関係だけが男女の関係じゃないだろ』とか『少しくらい不幸でいい。思い通りにはならないものよ』という台詞を読まされれば、まあ、うまいこと締めるよなとは思わされた。

  • 共感度100%。
    キュンキュン度100%
    「恋愛関係だけが男女の関係じゃないだろ」
    今ここでこのセリフを書くと何のこっちゃ分からないが、「エピローグ」での主人公の父親のこの言葉までがストンと落ちる。
    何故だか一緒にいてしまう人と出会った人は幸せだな。
    もちろん、学歴、収入、仕事、色んなスペックを見て、条件に合った人を探し、結婚するというのも一つの幸せだが、それらが無くても尊敬出来るものを持っているところに何故か惹かれて、ギュッと一緒になれる力ってすごいよな。うんうん、それがあれば「自転しながら公転する」このスパイラル運動にも振り落とされずに生きてゆけそう。
    この小説では主人公自身が語っている部分とその母、その娘の目から見た主人公を語っている部分にも共感出来た。仲の良い母と娘でも、恋愛感や結婚感が異なっていたり、「友達と温泉行ってくる」という娘の言葉を「友達とじゃねーだろ」と分かっていながら、気づかないフリをしている母親だったり。ふふふ、スリルがあって面白い。
    ちなみに私の母は私の娘には父からのラブレターを自慢気に読ませたらしい。私は絶対見たくない。

  • そんなに幸せになろうとしなくていい。
    幸せにならなきゃって思いつめると、ちょっとの不幸が許せなくなる。
    主人公が最後に娘に伝えた言葉。
    「星々の舟」の幸福とは呼べない幸せ、よりも、納得できる重みがありました。

    将来に期待と不安が混じり合う、それなりの年齢の女性達。若さや経験不足から、間違い、遣り損ない、行き違う。
    友人達の家庭や仕事や恋人への 嫉妬や羨望。
    年々、役割が増してくる、仕事や家族。
    自転しているだけでは済まされない。

    主人公の女性が、彼が体験した被災地ボランティアに参加する。そして、そこで自分の弱さや未熟さを再認識する事になる。彼女には、必要な再生だったのだけれど、美談だけにされないところは、さすがだなと思いました。

    三十代から、何か押し寄せてくるけど、何を重点において生きるか、何を求めていくかを認め合えると楽になるだろうなと思いました。

  • 「自転しながら公転する」というタイトルが、この作品にとても合っていると思いました。
    ぐるぐる迷う都の気持ちも分かるし、そよかや絵里の言う結婚観にもなるほどなーと考えさせられました。
    エピローグの衝撃がすごい!
    読後感も良いし、お気に入りの一冊になりました。


  • 八方美人ではっきりせず他人任せで自分のことしか考えられない主人公。うーん、まるで自分を客観的に見ているようだ、、
    恋愛も仕事もうまくいかない30代のリアルな彼女にイライラしながらも、まあ分からんでもないと自分と重ねて黙々と読めた。

    誰かと比べちゃうし重ねちゃうよね、、
    価値観も幸せの在り方も人それぞれなんだしヨソはヨソ!ウチはウチ!の精神で貫いてかないと生きづらくてたまんない。

    長く一緒にいれば行き詰まるけど、いろんな人と会って経験して、変化があれば突破口は見つかるんだって強くたくましく成長していく都が力強くてすきだ!

    人生の「不安」に振り回されてながら幸せを求めながら、周りの目でなく自分の目で見極めて最終的に居心地良い相手と幸せに生きていける道を選べた都。
    人生の教訓をたくさん知れたよ。
    ありがとう都!
    正解も無いし失敗も無い!

    山本文緒さん、人間臭くて30代の私にぶっ刺さって好きな作家さんだ!
    、、だけどもう亡くなられてるって知って、新作が読めないのはとても悲しい。
    過去作もゆっくり探して山本さんの頭の中をたくさん読んでみようと思う。

  • 私が都ちゃんと同じくらいの歳だったら読めたかなぁ…友達の日記、いや、なんなら自分の日記を見ているような感覚になって最後まで読めなかったかも。
    思春期とは違うぐるぐるもやもやが出ますよね、30歳くらいって。なんか、20代の時みたいに無敵でもないし、仕事の伸び代も段々現実が見えてきたりして。
    人に対しても素直になれなかったり、妬んだり羨んだりして自己嫌悪したり。
    楽しいこともあるけど、なんとなーくうまくいかないことが多いような数年間。でも、後から考えるとすっごく大事な数年間。
    そんな感情を揺さぶられる一冊でした。
    最後は「よかった」と本を閉じることができました。

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著者プロフィール

1987年に『プレミアム・プールの日々』で少女小説家としてデビュー。1992年「パイナップルの彼方」を皮切りに一般の小説へと方向性をシフト。1999年『恋愛中毒』で第20回吉川英治文学新人賞受賞。2001年『プラナリア』で第24回直木賞を受賞。

「2023年 『私たちの金曜日』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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