ミラクル (新潮文庫)

著者 :
  • 新潮社
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  • Amazon.co.jp ・本 (169ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101361246

感想・レビュー・書評

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  • あたたかさを感じた記憶が…。挿し絵もすごくきれいで印象的。

  • 挿し絵とタイトルに惹かれた^^!!

    アル、ダダ、エラソーニ。

    フランスな雰囲気の文章と抽象的な挿し絵が不思議な調和を産んでいる。

    「ママ」とはどんな存在か。

    アルのあどけなさが好きだったけど、終わりが意外とあっさり!!

    一気に読めちゃいます。

  • 2006.1.22

  • 純粋な愛。優しさを身体中で感じた。

    人は大人になる過程で様々な経験をし、澱みや偽りを無意識の内に溜め込んで行く。それらの事実は憎むべきである一方、それを持ち合わせていない大人は世間から認められない。

    要するに私たちはどこかで悟るのだ。人間には複雑に入り組んだ罪深きルールが存在し、それを侵すことは誰にも出来ないということを。
    では私たちは生まれながらにしてグレーゾーンの感性を持ち合わせているのか。
    答えはノーである。子供は絶対的に無垢であり、光り輝くエンジェルなのだ。

    本書は、そんな子供の心境が事細かに的確な表現で描かれている。少年少女だけでなく、それ以上にかつて子供だった人達に向けて本書は作られたのである。

    辻仁成の執筆能力の高さを垣間見ることとなった。村上龍が描く暗く救いのない世界を彷彿とさせるような小説を書く一方で、こんなにも暖かく包容力のあるストーリーを頭の中に持ち合わせているのだ。
    きっと辻仁成は大人になりきれていない。今でも子供の心が辻仁成を支配しているのかもしれない。まるでスーパーでケーキ欲しさに駄々をこねる子供のように。

    特筆すべきは世間で自立して生きるには大人であるべきなのだ。それが時たま冷めた意見の出処や悪の温床と成り得たとしても。
    だからこそ誰もが辻仁成を羨ましいと思う。頭の片隅では若干冷笑していながら。

    物語では妻を亡くしたシドとその息子アルが描かれる。シドは妻の死を信じるこどができずにアルに対して嘘を貫き通す。
    そんな中でアルはいつも一つの疑問を抱えていた。
    「ママっていったい何?」
    アルだけに見える幽霊ダダはこう答える。
    「許してくれる人だよ」

    この後アルが母を追い求める。純粋であるが故に痛ましい。その全ての言動、行動に胸が苦しくなる。こんな時に私たちはどんな風に目と目を合わせて説明すればいいのか。子供心を破壊したくないけれど、偽りのない表現は少年、少女を間違いなくどん底に突き落とす。迷走する。

    最後にアルがママに出会ったとシドに高らかに伝える。アルはこのフィクション世界の中で本当にママに会うことができた。「ミラクル」は起きた。奇跡の重要性を子供たちに伝えたのかもしれない。

    最初私の脳裏を掠めたのはこちらの可能性だった。
    しかし、次の瞬間全く異なる「ミラクル」が頭に浮かんだ。

    アルはママに会うことが出来なかった。雪が積もった街に潤んだ目を向けながら彼は初めての嘘をついたのだ。身体も心もボロボロなシドを救うためにアルは「大人」になった。

    「そしてアルはその日、夢の中で、母親の声を聞いた」
    神様が本当にいるならば「ミラクル」がこんな風に一人の少年に起こっても良いではないか。最後にアルの下へと降り注いだ奇跡に私を構成するあらゆる細胞が呼応し涙を流した。

    こんなにも綺麗な大人への階段を描いた辻仁成に敬意を表したい。子供に読ませたい小説ベストだ。

  • 途中からオチが読めてしまった(けど、それなりに納得&感動)。でも、まあ、これが最初で最後の辻仁成。

  • 大好きな本!

    この本で始めて辻仁成作品を読んで

    一気にファンになった(。-_-。)

    またいつか読み直したい

    優しい気持ちになれる…

    子供はみんな
    母の愛に包まれているんだ

    目に見えなくっても…。*

  • 大人になる前に読もう。

  • 温かくて切ない話。

  • 本当に大切なものは目に見えない
    将来自分を振り返った時に恥ずかしくないような
    今を生きていきたいと思う

    と、高校時代に読書感想文で書きました

  • ・12/20 大人のメルヘンだという.挿絵のおかげで1ページ措きしかないから、あっという間に半分読んでしまった
    ・12/23 結末はなんだか物足りないけど、まぁこんなもんかな.それよりこの物語のできる背景の方が気になった

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著者プロフィール

東京生まれ。1989年「ピアニシモ」で第13回すばる文学賞を受賞。以後、作家、ミュージシャン、映画監督など幅広いジャンルで活躍している。97年「海峡の光」で第116回芥川賞、99年『白仏』の仏語版「Le Bouddha blanc」でフランスの代表的な文学賞であるフェミナ賞の外国小説賞を日本人として初めて受賞。『十年後の恋』『真夜中の子供』『なぜ、生きているのかと考えてみるのが今かもしれない』『父 Mon Pere』他、著書多数。近刊に『父ちゃんの料理教室』『ちょっと方向を変えてみる 七転び八起きのぼくから154のエール』『パリの"食べる"スープ 一皿で幸せになれる!』がある。パリ在住。


「2022年 『パリの空の下で、息子とぼくの3000日』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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