- Amazon.co.jp ・本 (211ページ)
- / ISBN・EAN: 9784101362113
感想・レビュー・書評
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夭折の天才音楽家、滝廉太郎の評伝小説であります。17年も前に出てゐたのですね。
当時は映画にもなつたやうで、カバー表紙も映画に出演した俳優の写真が使はれてゐます。風間トオルさんですな。
大分県の豊後竹田駅では、列車が到着すると「荒城の月」のメロディが流れます。
私は3度行つてゐますが、いい所ですね。初めて行つたのは学生時代でした。偶然といふか成り行きだつたのですが。
夜行列車「富士」で大分へ到着した私は、荷物をコインロッカーへ預け駅前をぶらついてゐました。すると雑踏の中、若い女性が話しかけてきました。「あんた、大分の人ぢやないね。東京? ふーん、愛知か」。手ぶらで歩いてゐたのに、なぜ地元の人ではないと見破つたのか、不思議でした。
そして明日の予定は?などと聞いてくるので、その時何となく「明日は竹田へ行く予定」と答へると、彼女の態度が一変したのであります。即ち突然尊敬のまなざしになり、言葉遣ひも丁寧になりました。
「きつと、あなたは素晴らしい人ね...今夜どこのホテルに泊まるの? まだ決めてゐない? それならうちに来ませんか。泊まつていけばいい」...彼女は一人暮しだといふのに、さういふ話をするのでした。いささか不安になつた私は適当な返事をして、その場を去つたのであります。
しかし何だか竹田を訪れなければいけないやうな気になり、翌日行くことにしたのでした。
短い生涯の中で、名曲を多く遺した滝廉太郎。改めて早すぎる死が惜しまれます。何となく彼は石部金吉タイプかと思つてゐましたが、本書では実に人間臭く描かれてゐます。せめて中年といはれる年代まで生きていたら、どんな曲を書いてゐただらうかと夢想せざるを得ません...
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映画:出演:風間トオル 鷲尾いさ子 加藤剛 柴田恭兵 浅野ゆう子 森本レオ 天宮良 藤谷美紀
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(2003.08.23読了)(2003.08.06購入)
<荒城の月やはなの作曲家の生涯>
『大辞林』で滝廉太郎を調べると、
たき-れんたろう【滝廉太郎】
(1879-1903) 作曲家。東京生まれ。東京音楽学校卒。ライプチヒ王立音楽院に留学したが病気で帰国。
静養中の大分で夭折した。二重唱「花」を含む歌曲集「四季」のほか、「荒城の月」「箱根山」「雀」「鳩ぽっぽ」などの作品がある。
とでています。
1894年、15歳で東京音楽学校を受験し、16歳のときに入学し、23歳で亡くなるまでの生涯が綴ってあります。
仲間たちとの交友、幸田露伴の妹、幸田延先生、幸田幸との淡い恋?
●荒城の月はどのように作られたのか。
中学唱歌集のために詩人に委嘱して作ってもらった詩の中に、土井晩翠の詩があり、それに滝廉太郎が曲をつけた。滝と土井が出会ったのは、滝が留学先で病気になって、日本へ帰る途中のロンドンでのことだそうですから、曲ができただいぶ後ということになります。
●「花」はどのように作られたのか。
歌曲集「四季」を構想し、その春の曲として、「花」が作られたということです。四季全部聞いてみたいものですが、そのようなレコードはあるのでしょうか?探してみようと思います。
幼稚園唱歌集を作った話。
島崎藤村とかも登場します。
●関連図書
「ピアニストという蛮族がいる」中村紘子著、文春文庫、1995年、460円
中村さんの本では、この本が一番面白かった.
(「BOOK」データベースより)amazon
「花」「箱根八里」「荒城の月」―。忘れえぬ秀逸な楽曲群で知られる不世出の音楽家・滝廉太郎。その生涯は未完成交響曲にも似て、悲しくも美しい。16歳で東京音楽学校の門を潜り、憑かれたようにピアノを弾き続けた学生時代。国費留学生としてドイツに渡り、僅か3カ月後病に倒れ呆気なく命を落とした23歳の夏。五線譜には記されなかった天才音楽家の生涯を詩情豊かに綴る、初の伝記小説。