日日是好日―「お茶」が教えてくれた15のしあわせ (新潮文庫)

著者 :
  • 新潮社
4.32
  • (226)
  • (166)
  • (52)
  • (7)
  • (5)
本棚登録 : 1620
レビュー : 217
  • Amazon.co.jp ・本 (252ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101363516

作品紹介・あらすじ

お茶を習い始めて二十五年。就職につまずき、いつも不安で自分の居場所を探し続けた日々。失恋、父の死という悲しみのなかで、気がつけば、そばに「お茶」があった。がんじがらめの決まりごとの向こうに、やがて見えてきた自由。「ここにいるだけでよい」という心の安息。雨が匂う、雨の一粒一粒が聴こえる…季節を五感で味わう歓びとともに、「いま、生きている!」その感動を鮮やかに綴る。

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
  • いい本に出逢えたとしみじみ思います。

    まず”第一章「自分は何も知らない」ということを知る”
    この言葉に引き込まれました。
    茶道のお稽古を通して感じた、さまざまな気づき、続けることの意味や大切さが書かれています。

    また、出てくる四季折々のお茶菓子が、とても美しくておいしそう。
    (和菓子好きにはたまりません♪)

    そしてお茶会で出会った「水仙」の花を思わせる、楚々とした老婦人。
    グループで動く女性が多い中で、清々と一人で行動されていて
    「お勉強って、本当に楽しいわね」とチャーミングに微笑まれた。
    森下さんも(こんなふうになれたらいいなあ)と思われたようですが…同感です。

    立ち姿や、おじぎの綺麗な女性に、とても憧れます。
    自然と身に付いた所作というものは、
    その人の、人となりを表しているような気がして。

    『日日是好日』毎日がよい日…。
    今の自分に足りない何かを教えてもらった気がします。

    梅雨の季節に「雨の日は雨を聴くこと」を読めたことに”感謝”です。
    折にふれ、何度も読み返すと思います。

  • ブクログ仲間さんたちのレビューを拝見して、読んでみたくなりました。
    以前読んだ『デジデリオ·ラビリンス』(集英社)もとてもおもしろかったのですが、この本もとても大切な1冊になりました。

    著者が茶道を習い始めたのは20歳のころ。
    それから25年間、お茶を通じて著者が気付いたことを瑞々しい文章で伝えてくれます。

    まず感じたのは、とても良い先生に出会えたのだなぁということ。
    習い始めたばかりの著者に、先生は茶道のふるまいを教えますが「なぜそうするのか」ということは教えてくれません。
    それにやっと覚えてきたと思ったら、今度は手順の異なる「冬のお茶」。
    なかなか覚えられない自分にも、「なぜでもいいからこうするの」と教える先生にも、もやもやする著者の気持ちがとてもよくわかります。
    それでも、何度も注意されながら、何年も繰り返しお手前をする中で、著者は感じ始めるのです。
    雨の匂い、身の回りにあった小さな花々、季節の移ろい···。
    柄杓から茶碗に注ぐときに水とお湯では音がちがうと気付いたとき。
    「瀧」の字が書かれた掛軸から水しぶきを感じたとき。
    著者が一つ発見するたびに私も喜びを感じ、その発見をすることができた著者を羨ましくも思いました。

    作法の理由を説明せず、器や掛軸の感じ方も生徒の気付きに委ねる。
    生徒が気付いても気付かなくても、毎回季節を感じられる仕掛けを用意する。
    そんな先生の在り方がとてもすてきで、「教える」ということの真髄を見たように思います。
    「教えるってことは、いろいろなことを教えてもらえることよ」と言う先生の言葉が、またすてき。

  • これは、ものすごくよかったです。
    20歳から25年お茶を続けた著者が綴った、お茶の世界。小難しい話は一切なくて、始めたばかりの頃の「なぜ?」という疑問や驚き、少しずつ広がりを見せていくお茶の世界、研ぎ澄まされていく五感…縁のなかったお茶の世界を知れて、その深さにとても感動しました。
    読み返そうとして、鳥肌が立ってしまうくらい。

    追体験したお茶の世界は、とっても不思議。
    「頭で考えない」「覚えない」と、お茶の先生が言うことは、学校の先生が言うこととはまったく違う。
    後にそれは、10年20年の流れで物事を見ているからだと気づかされます。詰め込みで知識や解法を頭に入れるのではなく、自分で気付く学びの喜びを知る。
    生き急いでいては思いもつかないくらい長く、優しい目で人の成長を見守る視点に、なんだか尊いものを感じました。

    それから季節のこと。
    「春夏秋冬」の四季は、古の暦では24に分けられていたんですよね。
    肌で季節を感じられるようになると、実際に季節は4つではなく、日々移り変わっているのを感じられるようです。道に咲く花や空気の湿り具合、空の高さなど、季節を感じるものはこんなにも溢れていたのに…意識を向けるだけで肌に感じるものが全然違うんですね。

    季節が巡るように、暑い日や寒い日も人生にはあって、同じ日は1日もない。
    どんな日も、その日を存分に味わう。
    日日是好日…毎日が、いい日。
    最後にその言葉が染み込んで、心が震えた。

    読めて本当に幸せでした。

  • 『花が咲いたら、祝おう。恋をしたら、溺れよう。嬉しかったら、分かち合おう。』

    『してはいけないことなど、何もない。
    しなければいけないことも、何もない。
    足りないものなど何も
    ない。』

    「日日是好日」
    人間はどんな日だって楽しむことができる。
    そして、人間はそのことに気づく絶好のチャンスの連続の中で生きている。

    素敵な言葉が散りばめられた、宝箱のような本。
    お茶の世界を通して、色々な事に気づいた森下さん。
    それを無言で語って、自分で発見するのを、待っていてくれた武田先生。

    私も広い世界と心を持って生きていきたい。

  • 雨を聴く。
    季節を感じることっていいなぁと思える本でした。
    私は茶道を習い始めて7年。
    まだまだだけど、
    あー確かに茶道以外に他のことで
    時間つかえるだろうなぁとか思っちゃうけど
    なんとなく教室に来てしまうし、
    来て良かったなぁと思う時ばっかり。

    軸の言葉、文字の形、
    お釜の沸く音、水の音
    どれも繊細に書かれてて
    読んでる間お茶が飲みたくなって
    しょうがなかった。

    感想簡単に書ききれない、、笑
    ノートに書くことにしよう。

  • 共感と納得の爽やかな読後感。

    著者がお茶の稽古に通う25年間で、心もちの変化や気づきを得ていく様子を15の章で綴っています。
    お茶の所作・ルールをひたすら反復して習うことを通じ、「今」を大切に生きることや、五感を研ぎ澄まして季節の移ろいを感じ、さらにはその中に身を置く自分自身を見つめることができるようになった、と著者は語ります。しかも、それは、先生から口伝で教わるものではなく、少しずつ少しずつ自分で気づき、実感するとのこと。だからこそ自分のものになると。

    私自身、お茶の心得がなく、お薄茶を見よう見まねでいただいたことがあるだけなのですが、著者の言葉の一つ一つは、私が下手の横好きで続けている生け花のお稽古で感じてきたことに、見事にぴったり当てはまるものでした。花材の変化で感じる季節の訪れ、お花に触れて感じる冷んやりした瑞々しさや、枝ものを矯める手に伝わる木の軋み、これから芽を出そうと控えている未生の葉など、心をシンと静めないと聴こえないことがあるし、繰り返しても必ず新鮮な気づきがある。お稽古でご一緒する人たちとの、絶妙な距離感と思いやりとに満ちたあったかい時間も。なぜ、下手なのに細々と続けているんだろう?と自問自答してしまう答えを、言葉にして見せてもらえているような、そんな気分になる本でした。

    そして、本編ではないのだけれど・・・柳家小三治さんの解説が、最高!

    • bobironmanさん
      「自分で気づくことで自分のものになる」に大いに共感
      「自分で気づくことで自分のものになる」に大いに共感
      2018/10/01
  • 映画化ということで手に取りました。

    この主人公のよう茶道というと一昔は花嫁修業の一つというイメージや
    単なる趣味の一つだろうということのイメージでしたが、
    この本を読んでイメージががらりと変わりました。

    お茶をたてることから作法、お茶の道具、そしてお茶菓子など
    お茶を通して季節柄から何から何まで通じていることなり、
    それが生き方までに通じているなんて
    なんて素晴らしいことなのだと思ってしまいました。

    お茶を通して今この瞬間に生きている歓びを
    感じなければいけないと思い、
    時間を大事にして、
    日本ならではの季節感を味わいたいと思いました。
    茶道の良さ、そして日本人としての素晴らしさも教えられた気がします。

    そして茶道の先生がいつも言っていた「一期一会」の大切さが身に沁みました。
    幸せな時には、その時の幸せを抱きしめて、大事な人に会えたら、
    共に食べ、共に生き、団欒を噛みしめるということ。
    その他にも本当の自由ということ、学ぶということについて
    人生の歩き方についてなど学べることが沢山あって、
    心の中にすっと言葉が馴染んで入り込んで納得出来ました。

    とても読みやすくて読んでいると心が落ち着くので、
    また後でゆっくりと再読したい一冊になりました。

    「日日是好日」という言葉もとても素敵な言葉なので、
    これを忘れないようにしたいと思います。

  • 久しぶりに自分にとっていいと思う本を見つけました。この本を読んでいると、茶道を習いたくなるのはもちろん、何事に対しても継続することの意味、またそこにある本当の自由について考えさせられます。終わりのない世界で成長し続ける、私も約15年、書道を続けてきたので著者の考えや思いに共感させられる場面が多々ありました。他人と比べずに、以前の自分と比較する。何年経っても上手にならず、まともに勉強もせずにだらだらと続けていた書道にも私は一旦区切りをつけました。書道から離れた今だこそわかります。機会があればもう一度始めたいと思います。茶道にもとても興味があります。たった1つの空間で、四季を感じ、五感で感じ、なんて不思議なんでしょう。茶道も是非、味わってみたい世界の一つです。

  • 日々が退屈だと思っているあなたに出会って欲しい
    1冊です。
    茶道を学ぶことを通して、毎日毎日、その瞬間に向き合う
    ことの大切さを思い出させてくれます。
    視界がぱっと開けるような瞬間は、外からもたらされるのではなく、自分の内面から湧き出るものだと実感します。

  • 人は仕事や趣味などを通して、一生勉強ですが、これはその茶道のお話。
    茶道の型はあるけれど、それを通すことにより、心を自由に人間の五感を研ぎ澄ます。
    とても興味深い本でした。
    作者の体験を通して、分かりやすく解説されています。
    タイトルの日日是好日は「どんな日でもよい日」という意味。
    映画化もされるようですので、是非見たいと思います。

全217件中 1 - 10件を表示

著者プロフィール

森下典子(もりした のりこ)
1956年生まれのエッセイスト。『週刊朝日』のコラム執筆を経て、1987年その体験を記した『典奴(のりやっこ)どすえ』を出版。
代表作『日日是好日―「お茶」が教えてくれた15のしあわせ』は、大森立嗣監督・脚本、黒木華主演により2018年10月13日映画化される。
他に、『いとしいたべもの (文春文庫)』『猫といっしょにいるだけで』などの作品がある。

日日是好日―「お茶」が教えてくれた15のしあわせ (新潮文庫)のその他の作品

森下典子の作品

この本を読んでいる人は、こんな本も本棚に登録しています。

有効な左矢印 無効な左矢印
村上 春樹
三島 由紀夫
有効な右矢印 無効な右矢印

日日是好日―「お茶」が教えてくれた15のしあわせ (新潮文庫)を本棚に登録しているひと

ツイートする