日日是好日―「お茶」が教えてくれた15のしあわせ (新潮文庫)

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  • Amazon.co.jp ・本 (252ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101363516

感想・レビュー・書評

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  • お茶の世界は全くと言っていいほど知らないのですが、
    この本がやたら評価が高いので、少し興味を持って読んでみました。

    小説だと思っていましたが、自伝小説やエッセイ的な感じでした。
    今、色々と心が忙しい状態で読んでしまったのですが、
    こういう本は心を落ち着けながら読まないとダメですね(笑)

    自分の何かに常に追われているような、
    早く解決していきたい/知りたいという欲求にあふれている生き方とは
    全く逆の世界がそこにはありました。

    自分がお茶の世界に入るのはまだちょっと先になりそうですが、
    巻頭にあったおいしそうな和菓子はちょっとつまんでみようかな。。
    あと、漫画「へうげもの」が読みたくなりました。。

    ※へうげもの
    https://booklog.jp/item/1/4063724875?carousel=B009KYBZPG

  • お茶を習って感じたこと学んだことを等身大に描くエッセイ。

    季節に関する解像度が高まると、生活が楽しくなる感覚には共感。最近のひきこもり生活で、そのセンサーも衰えぎみ。そんな中季節感を補充してくれる素敵な本でした。お茶もいつか習ってみたいんだけどなぁ。

    後半にかけて、「長い目で、今を生きろ」を悟っていく場面は「これタイのお寺でお坊さんが言ってたこととシンクロ!!」と興味深く拝読し、お茶の「無を目指す美の宗教」と言われる所以に触れられた気持ちです。

    最後に蛇足。本書に対する直接的な感想ではないですが、「四季は日本の文化だ」という詠嘆に関して、昔沖縄出身の友人に「沖縄にはあまり四季がない。四季が日本の文化だって言われると、中央からの押し付けに感じる」と言われてから、言い回しには気を付けるようにしています。

  • 生け花を習っていた時、稽古後に師が薄茶を立ててくれた。甘い和菓子を食べたあとに口に広がるお茶の味を思い出した。ほっとするひとときだった。移ろいゆく季節の中でお茶を通して幸せを感じることに胸がいっぱいになる。生涯、勉強。正座をして背筋を伸ばそう。

  • これは、ものすごくよかったです。
    20歳から25年お茶を続けた著者が綴った、お茶の世界。小難しい話は一切なくて、始めたばかりの頃の「なぜ?」という疑問や驚き、少しずつ広がりを見せていくお茶の世界、研ぎ澄まされていく五感…縁のなかったお茶の世界を知れて、その深さにとても感動しました。
    読み返そうとして、鳥肌が立ってしまうくらい。

    追体験したお茶の世界は、とっても不思議。
    「頭で考えない」「覚えない」と、お茶の先生が言うことは、学校の先生が言うこととはまったく違う。
    後にそれは、10年20年の流れで物事を見ているからだと気づかされます。詰め込みで知識や解法を頭に入れるのではなく、自分で気付く学びの喜びを知る。
    生き急いでいては思いもつかないくらい長く、優しい目で人の成長を見守る視点に、なんだか尊いものを感じました。

    それから季節のこと。
    「春夏秋冬」の四季は、古の暦では24に分けられていたんですよね。
    肌で季節を感じられるようになると、実際に季節は4つではなく、日々移り変わっているのを感じられるようです。道に咲く花や空気の湿り具合、空の高さなど、季節を感じるものはこんなにも溢れていたのに…意識を向けるだけで肌に感じるものが全然違うんですね。

    季節が巡るように、暑い日や寒い日も人生にはあって、同じ日は1日もない。
    どんな日も、その日を存分に味わう。
    日日是好日…毎日が、いい日。
    最後にその言葉が染み込んで、心が震えた。

    読めて本当に幸せでした。

  • 茶道に取り組む人のエッセイ、人生論。ゆったりした気持ちになる。

  • お茶を通して自分の周囲にあるものを素直に感じ、視界を広げる著者のお話、
    習いたての頃の話は茶道とは縁がない私にも共感できることばかりだったけれども、段々と歳を重ねて行く上で得た気付きにはそうなのかと感じいった。
    茶道において季節の巡りがそれほど重要だとは知らなかったし、精神的な意味で集中を高めることが出来るものだとは思わなかった。

    この本を読んで茶道に興味が出た。
    掛け軸や花、茶道具はとても素敵だし、和菓子も綺麗。
    茶事を見てみたいなぁ。

  • 良い本に出会えた。心持ちが変わったような、解き放たれたような気持ちになった。

    森下典子さんは日々の生活に追われ、心を乱すこともある中、お茶のお稽古を長い年月繰り返してきた。そこから見えてきたものがあると言う。

    繰り返すことの大切さを教えられた。
    「自分でも気づかないうちに、一滴一滴、コップに水がたまっていたのだ」と。それは人生そのものだ。
    長い年月、日々を繰り返してきた。年齢を重ね一滴一滴溜めてきたものがあるはずだ。そしてこれからの日々だって。

    年齢を重ねることが楽しみになる。
    今は分からなくてもいい、辛いことも悲しいこともあるだろう、けれど巡る季節を五感で味わいながら日々を大切に繰り返したいと心から思った。

    「長い目で、今を生きろ」 なんて良い言葉だろう。

  • また素敵な本と出会えました。

    15年ほど前に数回お茶の稽古に行ったことがあります。そのときに本作と同じように、なぜお手前の手順をしっかり教えてくれないのか、お軸の意味は、茶花は...

    疑問しかなくすぐに逃げだしてしまいました。

    本作でその意味を少し理解出来たと思うと同時に、いつの日かまた習ってみたいと思います。

    読み終えてこの作品は決してお茶の本ではない事に気付きました。

    お茶の世界を通じて、季節を感じ、自然と一体になることに気づく。

    今まで気づかなかったことにふとした瞬間に気づけるようになる。

    心穏やかな境地から多くの気づきを得て学び成長する。

    人生の大切なことを教えてもらえた気がします。

    きっとこれから何度も読み返す。

    いつの日かゆっくりとした時間の中で、ゆっくりと心静かに声に出して読み返してみたい。


    説明
    内容紹介
    「人生のバイブル! 」
    多くの読者を救ったベストセラー・エッセイ。

    毎日がよい日。雨の日は、雨を聴くこと。五感で季節を味わう歓び。
    今、この時を生きていることの感動を鮮やかに綴る。

    お茶を習い始めて二十五年。就職につまずき、いつも不安で自分の居場所を探し続けた日々。
    失恋、父の死という悲しみのなかで、気がつけば、そばに「お茶」があった。
    がんじがらめの決まりごとの向こうに、やがて見えてきた自由。
    「ここにいるだけでよい」という心の安息。雨が匂う、雨の一粒一粒が聴こえる……
    季節を五感で味わう歓びとともに、「いま、生きている!」その感動を鮮やかに綴る。

    来場者数100万人突破! 大ヒット映画『日日是好日』原作
    監督・脚本:大森立嗣
    出演:黒木華、樹木希林、多部未華子、鶴田真由、鶴見辰吾 ほか

    目次より
    まえがき
    序章 茶人という生きもの
    第一章 「自分は何も知らない」ということを知る
    第二章 頭で考えようとしないこと
    第三章 「今」に気持ちを集中すること
    第四章 見て感じること
    第五章 たくさんの「本物」を見ること
    第六章 季節を味わうこと
    第七章 五感で自然とつながること
    第八章 今、ここにいること
    第九章 自然に身を任せ、時を過ごすこと
    第十章 このままでよい、ということ
    第十一章 別れは必ずやってくること
    第十二章 自分の内側に耳をすますこと
    第十三章 雨の日は、雨を聴くこと
    第十四章 成長を待つこと
    第十五章 長い目で今を生きること
    あとがき
    文庫版あとがき
    解説 柳家小三治

    本文より
    会いたいと思ったら、会わなければいけない。好きな人がいたら、好きだと言わなければいけない。花が咲いたら、祝おう。恋をしたら、溺れよう。嬉しかったら、分かち合おう。
    幸せな時は、その幸せを抱きしめて、百パーセントかみしめる。それがたぶん、人間にできる、あらんかぎりのことなのだ。
    (第十一章「別れは必ずやってくる」)

    森下典子(もりした・のりこ)
    1956(昭和31)年、神奈川県横浜市生れ。日本女子大学文学部国文学科卒業。大学時代から「週刊朝日」連載の人気コラム「デキゴトロジー」の取材記者として活躍。その体験をまとめた『典奴どすえ』を'87年に出版後、ルポライター、エッセイストとして活躍を続ける。2002(平成14)年、『日日是好日―「お茶」が教えてくれた15のしあわせ―』を出版。同書は'08年に文庫化、'18年には映画化され、ベストセラーとなった。'18年には『日日是好日』の続編『好日日記―季節のように生きる―』を刊行。他の著書に『猫といっしょにいるだけで』『前世への冒険――ルネサンスの天才彫刻家を追って』『いとしいたべもの』『こいしいたべもの』などがある。

    内容(「BOOK」データベースより)
    お茶を習い始めて二十五年。就職につまずき、いつも不安で自分の居場所を探し続けた日々。失恋、父の死という悲しみのなかで、気がつけば、そばに「お茶」があった。がんじがらめの決まりごとの向こうに、やがて見えてきた自由。「ここにいるだけでよい」という心の安息。雨が匂う、雨の一粒一粒が聴こえる…季節を五感で味わう歓びとともに、「いま、生きている!」その感動を鮮やかに綴る。

  • 奥深いお茶の世界をほんのちょっとだけだけど、垣間見ることができた

    それと、同時に今は、忘れ去られてしまおうとしている季節のサイクルに沿った日本人の暮らしの美学と哲学を思い起こされた
    お茶の心得はなくても、かつての日本人の生活と心には、四季を愛で、楽しみ、その変化に合わせた暮らしが確かにあった

    お茶の作法や道具の美しさ、茶室のつくりなど、文章だけで読み取ることは難しかったが、昨年観た映画か理解を助けてくれた

    生き方を示唆してくれる味わい深いフレーズもたくさんあった

    ☆人生に起こるできごとは、いつでも「突然」・・・だからこそ
    会いたいと思ったら、会わなければいけない
    好きな人がいたら、好きだと言わなければいけない
    花が咲いたら、祝おう。恋をしたら、溺れよう
    嬉しかったら、分かち合おう。
    幸せな時は、その幸せを抱きしめて、百パーセントかみしめる
    それがたぶん、人間にできるあらん限りのことなのだ.

    ☆人の心も季節によって変化する。開く、閉じる、また開く
    そのサイクルが「呼吸」のように繰り返される
    世の中は、前向きで明るいことばかりに価値をおく
    けれど、そもそも反対のことがなければ、明るさも存在しない
    どちらも存在して初めて、奥行きが生まれるのだ
    どちらが良く、どちらが悪いというのでなく、それぞれがよい
    人間には、その両方が必要なのだ

    ☆過去や未来を思う限り、安心して生きることはできない
    道は一つしかない。今を味わうことだ。過去も未来もなく、この
    一瞬に没頭できた時、人間は自分がさえぎるもののない自由の中
    で生きていることに気づくのだ

    ☆雨の日、雨を聴く。雪の日は、雪を見る。夏には夏の暑さを、
    冬には、身の切れるような寒さを味わう・・・
    どんな日も、その日を思う存分味わえるなら、どんな日も
    「いい日」になるのだ 『日日是好日』

    散歩の途中、道端の草花に目を向けたり、頰を撫でる風の変化に気づくことができる心の余裕を持ち、毎日の生活を楽しみたい
    雨の音の違いにも耳を傾けてみたいと思った

    せっかく美しい四季のある日本に住んでいるのだから・・・
    そんな思いを抱かせてくれる静かな上品な本だった

  • 大学時代に茶室に通い始めた主人公の女性。
    仕事、交際、父との離別。この本の中では主人公の過ごした20年間が描かれる。

    だけど、その傍にはいつでも茶道があった。
    彼女は茶道から、そして茶道の先生からたくさんのことを学ぶ。
    それは決して知識として伝達されるものではなく、実体験としてしか得られることはできない。

    長い年月をかけて1つ1つのことを理解していく主人公の様に、胸が熱くなった。
    そしてその描写がなんとも綺麗。決して難しい言い回しではなく、絶妙な言葉の組み合わせが展開される。

    日本には季節の移ろいがあること。そして人生の中にも季節のようなサイクルがあること。
    僕らが見逃してしまいがちなありふれた事象を、お茶の世界を通じて学んでいく主人公がとても羨ましかった。

    長い年月をかけて体得していくものってとても素敵だなと思わされた。
    それが五感や歴史や自然と結びついたものなら尚更。

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著者プロフィール

森下典子(もりした のりこ)
1956年生まれのエッセイスト。『週刊朝日』のコラム執筆を経て、1987年その体験を記した『典奴(のりやっこ)どすえ』を出版。代表作『日日是好日―「お茶」が教えてくれた15のしあわせ』は、大森立嗣監督・脚本、黒木華主演により2018年10月13日映画化され、樹木希林の遺作ともなり、大きな話題となった。他に、『いとしいたべもの (文春文庫)』『猫といっしょにいるだけで』などの作品がある。

森下典子の作品

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