日日是好日―「お茶」が教えてくれた15のしあわせ (新潮文庫)

著者 :
  • 新潮社
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本棚登録 : 4778
レビュー : 576
  • Amazon.co.jp ・本 (252ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101363516

作品紹介・あらすじ

お茶を習い始めて二十五年。就職につまずき、いつも不安で自分の居場所を探し続けた日々。失恋、父の死という悲しみのなかで、気がつけば、そばに「お茶」があった。がんじがらめの決まりごとの向こうに、やがて見えてきた自由。「ここにいるだけでよい」という心の安息。雨が匂う、雨の一粒一粒が聴こえる…季節を五感で味わう歓びとともに、「いま、生きている!」その感動を鮮やかに綴る。

感想・レビュー・書評

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  • R1.12.29 読了。

     茶道の世界を紹介してくれた本。細かい作法の茶道を続けていく中で、自身の中での良い変化と四季や天候などをも受け入れられ味わっていく姿に感動しました。
     茶道って、奥深いものだったんですね。日本の良い文化や伝統は継承されていってほしいと願いますね。

    ・「人は時間の流れの中で目を開き、自分を成長を折々に発見していくのだ。」
    ・「ややこしいから間違える。間違えまいとお点前に没頭した。すると、何も思わず、考えない「真空」のような数秒がやってきた。そのときすべてから切り離された気持ちよさを一瞬、感じた。」
    ・「決して立ち止まらせてくれなかった。過ぎた過去にしがみつくことは、許されなかった。『さあ、気持ちを切り替えるのよ。今、目の前にあることをしなさい。「今」に気持ちを集中するの』」。
    ・「よく見なさい。見て感じるのが勉強よ。」
    ・「かれんな草の花や素朴な枝の花が、春はけなげに、夏は涼やかに、秋は淋しさの中にも華やかに、冬は冴え冴えと、床に間に飾られていた。」
    ・「文字を頭で読むのではないのだ。絵のように、眺めればいいのだ。」
    ・「今という季節を、視覚、聴覚、嗅覚、触覚、味覚の五感ぜんぶで味わい、そして想像力で体験した。」
    ・「遠い昔に嗅いだ、風や水、雨の匂いが、その時の感情とひとつになって、ふっと立ち現れ、煙のように消えていく。過去のたくさんの自分が、今の自分の中で一緒に生きている気がした。」
    ・「『神は細部に宿る』という言葉があるけれど、お茶は細部にわたるこだわりの集合でできていた。」
    ・「きっとむかしの人たちも、こうやって心と季節を重ね合わせながら、生きのびようとしたにちがいない。」
    ・「気づいていようといまいと、自分の才能の真ん中にいてそれを発揮する人は、まわりに影響を与える。」
    ・「だからこそ、私は強く思う。会いたいと思ったら、会わなければいけない。好きな人がいたら、好きだと言わなければいけない。花が咲いたら、祝おう。恋をしたら、溺れよう。嬉しかったら、分かち合おう。幸せな時は、その幸せを抱きしめて、百パーセントかみしめる。それがたぶん、人間にできる、あらんかぎりのことなのだ。だから、だいじな人に会えたら、共に食べ、共に生き、だんらんをかみしめる。一期一会とは、そういうことなんだ。」
    ・「世の中は、前向きで明るいことばかりに価値をおく。けれど、そもそも反対のことがなければ、「明るさ」も存在しない。どちらも存在して初めて、奥行きが生まれるのだ。」
    ・「してはいけないことなど、何もない。しなければいけないことも、何もない。足りないものなど、何もない。私はただ、いるということだけで、百パーセントを満たしていた。」
    ・「過去や未来を思う限り、安心して生きることはできない。道は一つしかない。今を味わうことだ。過去も未来もなく、ただこの一瞬に没頭できた時、人間は自分がさえぎるもののない自由の中で生きていることに気づくのだ。」
    ・「雨の日は、雨を聴く。雪の日は、雪を見る。夏には、暑さを、冬には、身の切れるような寒さを味わう。どんな日も、その日を思う存分味わう。お茶とは、そういう『生き方』なのだ。」
    ・「目を覚ましなさい。人間はどんな日だって楽しむことができる。そして、人間は、そのことに気づく絶好のチャンスの連続の中で生きている。」
    ・「先生は、私たちの内面が成長して、自分で気づき、発見するようになるのを、根気よくじっと待っているのだった。」
    ・「教えられた答えを出すことでも、優劣を競争することでもなく、自分で一つ一つ気づきながら、答えをつかみとることだ。自分の方法で、あるがままの自分の成長の道を作ることだ。気づくこと。一生涯、自分の成長に気づき続けること。『学び』とは、そうやって、自分を育てることなのだ。」
    ・「それがいかに限りある時間かということを垣間見る。そして、限りあるからこそ、慈しみ味わおうと思うのだ。」

  • フォロワーさん他の方々が、最近次々にこの本を読んでいらっしゃり、私も以前から読みたかったのですが、やっと読めました。

    大学生だった著者の森下典子さんが、週一回のお茶のお稽古を25年間、続けてこられて、見つけたもののお話です。

    私も20代になったばかりの頃、京都に住んでいたことがあり「せっかく京都にいるのだから」とお友だちと一緒にお茶とお花を同じ先生のところでほんの数年だけ習いました。
    お花の方は先生が毎回褒めてくださったのですが、お茶は何度やっても袱紗捌きや歩き方など、全く覚えられず、この本の著者と同じように才能がないのだと思っていました。
    けれども、お茶を数年でマスターするなんて、土台、凡人には無理からぬことだったのが、よくわかりました。
    京都を離れるのと同時に、お茶もお花もやめてしまいましたが、この本を読んで、お茶が大変心を豊かにするお稽古だったことに気づきました。
    できれば、本で知るのではなく、著者のように、長年続けて体験するのが一番いいのだろうと思いますが、本も読まないより、読んだ方がよい経験になったと思います。
    春の雨の音と秋の雨の音が違って聴こえてきたり、茶花の名前を覚えたり、豊かな毎日を送って過ごすためのバイブルのような本だと思います。


    本文より
    「日日是好日」(にちにちこれこうじつ)
    毎日がよい日。

    目を覚ましなさい。
    人間はどんな日だって楽しむことができる。
    そして人間は、そのことに気づく絶好のチャンスの連続の中で生きている。
    あなたが今、そのことに気づいたようにね。
    今まで感じなかった季節を感じるようになったり、
    五感が変わっていたことに気づいたりといった
    「変化」が起こるようになると、私はますます思った。
    もし初めから先生が全部説明してくれたら、
    私は、長いプロセスの末にある日、自分の答えを手にすることはなかった。
    先生は「余白」を残してくれたのだ…。
    なにも教えないことで教えようとしていたのだ。
    「お勉強って本当に楽しいわね」
    茶花の名前を覚えたり
    和菓子の素晴しさを知った。
    好きな「掛け軸」の言葉もいくつかある。

    • nejidonさん
      まことさん、こんにちは(^^♪
      これは良い本ですよね。
      私も読後の感動を思い出しながらレビューを読みました。
      習っていたのは子どもの頃...
      まことさん、こんにちは(^^♪
      これは良い本ですよね。
      私も読後の感動を思い出しながらレビューを読みました。
      習っていたのは子どもの頃ですが、当時の心情などはレビューに載せました・笑
      結局大人になってから習い直し、資格取得に至ったのですが正業にはしていません。
      お茶っていいですよね。たくさんのことを日々教えてくれます。
      ご近所にもし教室があれば、また通われてはいかがですか?
      この作品以来じわじわ人気が出て、特に女性はたくさん通っているようですよ。


      2020/05/07
    • nejidonさん
      まことさん、私の方にコメントをいただいて、ありがとうございました(^^♪
      少しでも手掛けたなら、もったいないなぁと思ったのですが。。
      私...
      まことさん、私の方にコメントをいただいて、ありがとうございました(^^♪
      少しでも手掛けたなら、もったいないなぁと思ったのですが。。
      私は何か学習する時はハードから入るのです。
      必要なツールを綿密に準備するという方法です。
      そうすると、続けないでいられませんよね・笑
      お時間のあるときに、お茶を点ててゆっくりお過ごしください。
      気持ちが鎮まって良いものですよ。
      私は「どこか違う」のではなく、「少し変わっている」のかもしれませんね。
      2020/05/08
  • 樹木希林さんと黒木華さんで映画化もされた作品。
    お2人が好きなので映画の宣伝で知ったというのがこの本との出会いですが、これは映画よりも本の方が断然良かった!と思います。
    私はこれまで茶道に一切縁がないし、これから先も触れることはないだろうけど、五感を研ぎ澄ませて季節を味わうことや、今ここに100パーセント居ること、など、私を感動させたその精神、在り方は参考にしていきたいです。
    生涯の読んで良かった本、ベスト20に入ると思います。

    • moboyokohamaかわぞえさん
      私も映画が入り口でした。
      黒木華さんが好きなので。
      でも樹木希林さんのチョット保守的な先生が良かったなあ。
      「理屈じゃないのよ。そういうもの...
      私も映画が入り口でした。
      黒木華さんが好きなので。
      でも樹木希林さんのチョット保守的な先生が良かったなあ。
      「理屈じゃないのよ。そういうものなの!」っていう感じの教え方も。教えられた通りにやっているうちに自分で何かしら見えて来るということなのだと思いました。
      2020/05/18
    • かおりさん
      moboyokohamaかわぞえさん
      「理屈じゃないのよ。そういうものなのよ」
      若い頃はなかなか納得のいかない言葉ですが、年齢を重ね、経験を...
      moboyokohamaかわぞえさん
      「理屈じゃないのよ。そういうものなのよ」
      若い頃はなかなか納得のいかない言葉ですが、年齢を重ね、経験を重ねるごとに実際そういう事ってあるよなあって思いますよね。

      本を読んでから映画を観たので、本の方が良かったなぁと思ってしまったのですが、樹木希林さんや黒木華さんの演技は素晴らしかったと思います。
      2020/05/19
  • みなさまのレビューを読んで是非読みたい!と……

    「お茶」を習ってどういうことだろう?
    ずっと気になっていた
    一体毎回何をやるんだろう?
    お点前をひと通り覚えたら、終わりじゃないの?
    小学生の頃、クラブ活動で茶道部に入った
    (当然お菓子が食べられるという不純な子供心で入部したのだ)
    だからお作法を学ぶことくらいはわかる
    しかしこれを何年もやるって、なにを習得するのだろう?と
    長年お茶を習っている友人にも学生時代聞いたことがある
    なんだか曖昧な答えでピンと来なかったような気がする…

    読んでいて、何度も何かが込み上げてきたり、何か自分の中できらりと光った
    じんわりくる温かい気持ち、ザワザワと鳥肌の立つ感覚、ハッとフラッシュバックが起きたみたいな一撃
    たくさんの感情が静かに押し寄せた
    そういうことか!
    そういうことなのか!
    うわ…
    奥が深い
    凄い世界をのぞいてしまった
    ちょっと放心
    長年お茶をやり続ける理由、信長や秀吉の天下人がお茶を好んだ理由
    少し理解できた気がする
    (利休のこともとても気になるなぁ…)

    人は自然と共存し、呼吸し、大地に足をつけて生きているのを実感
    型にはまったことを日々大切にしてこそ初めて自由になれるのだ
    日々の勉強を重ね、人は豊かになり、幸せになれる
    そんなことを教えてもらえた気がする


    またこちらに登場する先生の教え方にとても感動した
    人からどれだけ言葉を尽くして教えてもらっても、その時はわかったような気になるだけだ
    もちろんノウハウ的な理解は頭がしている
    でも自分の全身全霊が理解して受け止めるのは全然違う
    その時を「丁寧に集中する」のである
    その積み重ねでしか、人は本当に理解できない気がする
    大切な言葉、思い、感性、情緒、振る舞い…
    人から説明されたり、教えてもらって、納得したり、感動することももちろんあるが、自分が体感的に何かを得たあの瞬間!
    激しい時は雷に打たれる感じ
    ハッときた時は、目から鱗な感じ
    しみじみジワッと理解できた時はストンと腑に落ちる感じ
    あの体験て強烈だ
    そうやって得たものは必ず人生の糧にになる
    そういう時のために日々、全身を研ぎ澄ませて丁寧に生きてるのではないかと思うほどだ

    というわけで
    お茶をやっている方々がこの本を読むのと、やっていない人間が読むのでは何となく次元が少し異なるんだろうな
    お茶をやってみえる方のこの本のレビューを読んでみたい
    でも誰しも擬似体験的なことはある
    きっとこの本で何かを感じ、得ることは受け止める側次第だと前向きに感じる

    そして、お茶の世界って素敵だなぁ
    何らかの形でもっと知って携わっていきたいなぁ

    自分の中の忘れられないお茶経験が2回ある

    20代の頃、お仕事であるお宅の家にお邪魔したことがあり、そこでお抹茶と「かるかん」のお菓子が出た!
    ときめいた次の瞬間、さぁ、どうすればいいんだっけ?と変な汗が…
    お菓子を先にいただくんだよな?確か…
    いやでもそこまで形式ばらなくてもいいんじゃないの?このケース?
    頭の中でぐるぐるぐるぐる
    まだ若いし(と甘え)、普通にお抹茶とお菓子をおいしくいただいた(笑)

    こちらは割と最近
    兼六園の御茶室みたいなところ(時雨亭)でお庭を眺めながらお抹茶を飲めるとのこと
    勝手のわからないまま中に入ると、あるお部屋で待たされる
    割と広い畳敷きに皆さん適当に座っている
    そしてかなりの人数が集まってきた(30人はいたのかな?)
    いったいどうなってるんだろ?と思って待っていると暫くして別の部屋へ移動するよう促される
    それもそこにいた人全員で…
    移動したお部屋はだたっ広くそこに4列くらいにお座布団が敷いてある、床の間もある
    順番にお詰め下さいと言われるが1列10人以上の列×4列!圧巻である
    そこにこれまたたいそうな人数の方々がお菓子を以って並べていく、そしてお抹茶も…
    みんな並んでお茶をいただく
    不思議な空間である
    最初皆さん緊張した面持ちだったがそのうち、おしゃべりも始まりリラックスしてそれぞれが自由にお茶を楽しみ出す
    とても良い思い出だ

    お茶のある日本に生まれて本当に幸せ
    もっと早く知りたかったけど、これからの人生に楽しみがまた増えてしまった♪

    日日是好日
    一期一会
    何度も何度もこれからの人生で心から理解することができる生き方をしたい

    ブクログ のおかげて素敵な本と出会えて良かった
    ありがとうございます!

    • nejidonさん
      ハイジさん、その「お茶をやってて読んだひと」です(^^♪
      すごーく身に染みる内容でした。
      言われていることが、最初は全く分からない。
      ...
      ハイジさん、その「お茶をやってて読んだひと」です(^^♪
      すごーく身に染みる内容でした。
      言われていることが、最初は全く分からない。
      でも或る時を境にすううっと心に入ってきました。何年も何年もかかりました。
      理解するまで時間のかかるものって、それだけで価値がありますよね。本と同じです。
      はい、ちょっと語ってみました・笑
      2020/04/06
    • ハイジさん
      nejidonさん!
      うっ嬉しいです☆
      そうですよね。
      何の修行かわからない時期ありますよね。
      時間をかけて突き詰めることの素晴らしさは経験...
      nejidonさん!
      うっ嬉しいです☆
      そうですよね。
      何の修行かわからない時期ありますよね。
      時間をかけて突き詰めることの素晴らしさは経験してみないとわかりませんよね。
      お茶の本当に世界素敵ですね
      コメントありがとうございますm(_ _)m
      2020/04/06
  • 映画も原作も評判がよいと聞いていて、いつか読もうと思っていた本書。

    図書館で本を探していたら、探していた本はあるはずの場所になく、、たまたまばったり出会ってしまい、探していた本も見当たらなかったので借りてみました。

    すごく面白かったし、為になりました。

    お茶のお作法を通して、学んだことを綴ったエッセイなのですが、
    人としての成長とは何かが書かれていて、心が自由になった気がしました。

    何も考えない時間のなんと大事な事か。
    お茶だけではなく、師匠の様な人に出会えるかで人生での心の安定さは全然ちがうのではないかと思いました。習い事は、そういう人に出会える機会となるのかもしれませんね。

    ブク友さんのおかげでまたよい本に出逢えました。
    皆さま、本当にいつもありがとうございます。

    以下は、心に残った言葉を備忘録として記載しておこうと思います。
    またいつか読みたいな。と思います。
    〜〜〜
    頭で覚えちゃダメなの。55P

    夏のお手前のこおは、忘れなさい 65P

    お勉強って、本当に楽しいわね。101P

    その時、私はどこへも行かなかった。百パーセント、ここにいたのだ。145P

    みなさん、真剣におやりなさいね。茶事は、ご亭主もお客も、それが「一期一会」の茶事と思って、心を入れてするものなんですからね 191P

    教えないことで、教えようとしていたのだ。227P

    自分が満足するために、相手の発見の喜びを奪うことだった。227P

    気持ちがこもりがちになる。もの思いにふけり、長い静かな夜を、身のまわりの細かなことをして過ごすのだと言う。200P

    成熟のスピードは、人によって違う。その人の時を待っていた。
    理解の早い方が高い評価をされると言うこともなかった。理解が遅くて苦労する人には、その人なりの深さが生まれた。
    どの答えが正しくて、どれが間違っている、どれが優れていて、どれが劣っていると言う事はなかった。228P

    教える事が一番の勉強になるのよ P232

  • 森下典子『日日是好日―「お茶」が教えてくれた15のしあわせ』新潮文庫。

    著者の25年間に亘る『お茶』のお稽古と様々な気付きによる精神的な成長に触れ、読み手の心や魂、精神までもが清められていくような作品だった。読んでいて、心地よく、ゆったりした気分になるのだ。四季や自然と共に育まれる『お茶』の世界……深い。

    森下典子と言えば、ドラマにもなった『典奴どすえ』を書いた方。あれから余り作品に触れる機会は無かったが、最近『いとしいたべもの』を読み、知らぬ間に素晴らしいエッセイストになられていたことに驚いた。やはり『お茶』だろうか。

  • ブクログ仲間さんたちのレビューを拝見して、読んでみたくなりました。
    以前読んだ『デジデリオ·ラビリンス』(集英社)もとてもおもしろかったのですが、この本もとても大切な1冊になりました。

    著者が茶道を習い始めたのは20歳のころ。
    それから25年間、お茶を通じて著者が気付いたことを瑞々しい文章で伝えてくれます。

    まず感じたのは、とても良い先生に出会えたのだなぁということ。
    習い始めたばかりの著者に、先生は茶道のふるまいを教えますが「なぜそうするのか」ということは教えてくれません。
    それにやっと覚えてきたと思ったら、今度は手順の異なる「冬のお茶」。
    なかなか覚えられない自分にも、「なぜでもいいからこうするの」と教える先生にも、もやもやする著者の気持ちがとてもよくわかります。
    それでも、何度も注意されながら、何年も繰り返しお手前をする中で、著者は感じ始めるのです。
    雨の匂い、身の回りにあった小さな花々、季節の移ろい···。
    柄杓から茶碗に注ぐときに水とお湯では音がちがうと気付いたとき。
    「瀧」の字が書かれた掛軸から水しぶきを感じたとき。
    著者が一つ発見するたびに私も喜びを感じ、その発見をすることができた著者を羨ましくも思いました。

    作法の理由を説明せず、器や掛軸の感じ方も生徒の気付きに委ねる。
    生徒が気付いても気付かなくても、毎回季節を感じられる仕掛けを用意する。
    そんな先生の在り方がとてもすてきで、「教える」ということの真髄を見たように思います。
    「教えるってことは、いろいろなことを教えてもらえることよ」と言う先生の言葉が、またすてき。

  • いい本に出逢えたとしみじみ思います。

    まず”第一章「自分は何も知らない」ということを知る”
    この言葉に引き込まれました。
    茶道のお稽古を通して感じた、さまざまな気づき、続けることの意味や大切さが書かれています。

    また、出てくる四季折々のお茶菓子が、とても美しくておいしそう。
    (和菓子好きにはたまりません♪)

    そしてお茶会で出会った「水仙」の花を思わせる、楚々とした老婦人。
    グループで動く女性が多い中で、清々と一人で行動されていて
    「お勉強って、本当に楽しいわね」とチャーミングに微笑まれた。
    森下さんも(こんなふうになれたらいいなあ)と思われたようですが…同感です。

    立ち姿や、おじぎの綺麗な女性に、とても憧れます。
    自然と身に付いた所作というものは、
    その人の、人となりを表しているような気がして。

    『日日是好日』毎日がよい日…。
    今の自分に足りない何かを教えてもらった気がします。

    梅雨の季節に「雨の日は雨を聴くこと」を読めたことに”感謝”です。
    折にふれ、何度も読み返すと思います。

  • 頭で考えず自分の手に従う。
    「今」を五感全てで感じ取り、分からない時はお茶に聞く。
    無の自分と正面から向き合う。
    お湯と水の音の違いや季節による雨音の違い、風や水や雨の匂い等、自分の周りにある自然と向き合い感じる力。
    普段見過ごしていた、当たり前にあるものに対峙する心の余裕をしみじみ思う。

    森下さんが週に一度のお茶の稽古を何十年も続けることにより気づいたことは「長い目で今を生きる」こと。
    森下さんに対する武田先生の無言の教えが私の心にもじっくりと染み渡る。
    この本はこれからも手元に置いて何度でも読み返していきたい。

    何も思わない、何も考えない。頭の中に、眠りよりも深い安息の数秒が訪れた。
    「雨の日は、雨を聴きなさい。心も体も、ここにいなさい。あなたの五感を使って、今を一心に味わいなさい。そうすればわかるはずだ。自由になる道は、いつでも今ここにある」

  • 人は仕事や趣味などを通して、一生勉強ですが、これはその茶道のお話。
    茶道の型はあるけれど、それを通すことにより、心を自由に人間の五感を研ぎ澄ます。
    とても興味深い本でした。
    作者の体験を通して、分かりやすく解説されています。
    タイトルの日日是好日は「どんな日でもよい日」という意味。
    映画化もされるようですので、是非見たいと思います。

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著者プロフィール

森下典子(もりした のりこ)
1956年生まれのエッセイスト。『週刊朝日』のコラム執筆を経て、1987年その体験を記した『典奴(のりやっこ)どすえ』を出版。代表作『日日是好日―「お茶」が教えてくれた15のしあわせ』は、大森立嗣監督・脚本、黒木華主演により2018年10月13日映画化され、樹木希林の遺作ともなり、大きな話題となった。他に、『いとしいたべもの (文春文庫)』『猫といっしょにいるだけで』などの作品がある。

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