日日是好日―「お茶」が教えてくれた15のしあわせ (新潮文庫)
- 新潮社 (2008年10月28日発売)


- Amazon.co.jp ・本 (252ページ)
- / ISBN・EAN: 9784101363516
作品紹介・あらすじ
お茶を習い始めて二十五年。就職につまずき、いつも不安で自分の居場所を探し続けた日々。失恋、父の死という悲しみのなかで、気がつけば、そばに「お茶」があった。がんじがらめの決まりごとの向こうに、やがて見えてきた自由。「ここにいるだけでよい」という心の安息。雨が匂う、雨の一粒一粒が聴こえる…季節を五感で味わう歓びとともに、「いま、生きている!」その感動を鮮やかに綴る。
感想・レビュー・書評
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フォロワーさん他の方々が、最近次々にこの本を読んでいらっしゃり、私も以前から読みたかったのですが、やっと読めました。
大学生だった著者の森下典子さんが、週一回のお茶のお稽古を25年間、続けてこられて、見つけたもののお話です。
私も20代になったばかりの頃、京都に住んでいたことがあり「せっかく京都にいるのだから」とお友だちと一緒にお茶とお花を同じ先生のところでほんの数年だけ習いました。
お花の方は先生が毎回褒めてくださったのですが、お茶は何度やっても袱紗捌きや歩き方など、全く覚えられず、この本の著者と同じように才能がないのだと思っていました。
けれども、お茶を数年でマスターするなんて、土台、凡人には無理からぬことだったのが、よくわかりました。
京都を離れるのと同時に、お茶もお花もやめてしまいましたが、この本を読んで、お茶が大変心を豊かにするお稽古だったことに気づきました。
できれば、本で知るのではなく、著者のように、長年続けて体験するのが一番いいのだろうと思いますが、本も読まないより、読んだ方がよい経験になったと思います。
春の雨の音と秋の雨の音が違って聴こえてきたり、茶花の名前を覚えたり、豊かな毎日を送って過ごすためのバイブルのような本だと思います。
本文より
「日日是好日」(にちにちこれこうじつ)
毎日がよい日。
目を覚ましなさい。
人間はどんな日だって楽しむことができる。
そして人間は、そのことに気づく絶好のチャンスの連続の中で生きている。
あなたが今、そのことに気づいたようにね。
今まで感じなかった季節を感じるようになったり、
五感が変わっていたことに気づいたりといった
「変化」が起こるようになると、私はますます思った。
もし初めから先生が全部説明してくれたら、
私は、長いプロセスの末にある日、自分の答えを手にすることはなかった。
先生は「余白」を残してくれたのだ…。
なにも教えないことで教えようとしていたのだ。
「お勉強って本当に楽しいわね」
茶花の名前を覚えたり
和菓子の素晴しさを知った。
好きな「掛け軸」の言葉もいくつかある。-
まことさん、こんにちは(^^♪
これは良い本ですよね。
私も読後の感動を思い出しながらレビューを読みました。
習っていたのは子どもの頃...まことさん、こんにちは(^^♪
これは良い本ですよね。
私も読後の感動を思い出しながらレビューを読みました。
習っていたのは子どもの頃ですが、当時の心情などはレビューに載せました・笑
結局大人になってから習い直し、資格取得に至ったのですが正業にはしていません。
お茶っていいですよね。たくさんのことを日々教えてくれます。
ご近所にもし教室があれば、また通われてはいかがですか?
この作品以来じわじわ人気が出て、特に女性はたくさん通っているようですよ。
2020/05/07 -
まことさん、私の方にコメントをいただいて、ありがとうございました(^^♪
少しでも手掛けたなら、もったいないなぁと思ったのですが。。
私...まことさん、私の方にコメントをいただいて、ありがとうございました(^^♪
少しでも手掛けたなら、もったいないなぁと思ったのですが。。
私は何か学習する時はハードから入るのです。
必要なツールを綿密に準備するという方法です。
そうすると、続けないでいられませんよね・笑
お時間のあるときに、お茶を点ててゆっくりお過ごしください。
気持ちが鎮まって良いものですよ。
私は「どこか違う」のではなく、「少し変わっている」のかもしれませんね。
2020/05/08
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就職に悩み、失恋し、父が急死し…
人生の季節は、お茶と共にあった。
お茶を習い始めて25年、森下さんがお茶のことを綴ったエッセイ。
よくタイムラインで見かけるので、気になっていた。ただ、何となく茶道=風流、難しい、上品というイメージがあり、私には敷居が高いように思われて敬遠していた。風流で、難しくて、上品で…、このイメージが間違っているわけではないが、お茶の世界は茶室だけで完結しているのではなかった。その深淵をほんの少し垣間見させてもらった。
二十歳のとき作者は、母の薦めで、近所の「武田のおばさん」にお茶を習うようになる。
初めはわけがわからない。やることなすこと細かく注意され、がんじがらめで自由に振る舞えないことに苛立ちが募る。
ようやく少しずつ覚えてきた思ったら、季節が変わり新しいお点前が始まり、混乱する。
しかし、お茶と和菓子だけでなく、花、掛け軸、茶道具などの季節感を感じるおもてなし。茶室のサイクルを繰り返すうちに、次第に変化が訪れる。
ある日突然、雨が生ぬるく匂い始めた。「あ、夕立がくる」と思う。
庭木を叩く雨粒が、今までとは違う音に聞こえ、その直後、あたりにムウっと土の匂いを感じる。
季節が匂いや音という五感に訴え始める。毎年、4月には満開になる桜、6月半ばから降り出す雨。そんな当たり前のことに気づく。季節は折り重なるようにやってきて、空白というものはなかった。
あるお茶の日、降りしきる雨の中、雨を聴いて、天啓のように気づく。
"雨の日は、雨を聴く。雪の日は、雪を見る。夏には、暑さを、冬には、身の切れるような寒さを味わう。…どんな日も、その日を思う存分味わう。お茶とは、そういう「生き方」なのだ。"
先生の家でお茶を始めた日から、いつも掲げられていた「日日是好日」の額。作者は、お茶を初めて15年目にして、その意味するところを悟る。どんな日だって楽しむことができること。
この気づきの場面には震える。茶道の感覚的なもの、言葉にしにくいもの、本来は自分で体感し気付くものを、作者はこんなに言葉に託して表しているのに、私はこの本をレビューする的確な言葉を持たない。日々の忙しさに視野が狭くなってしまっているとき、折に触れて読みたい本。 -
樹木希林さんと黒木華さんで映画化もされた作品。
お2人が好きなので映画の宣伝で知ったというのがこの本との出会いですが、これは映画よりも本の方が断然良かった!と思います。
私はこれまで茶道に一切縁がないし、これから先も触れることはないだろうけど、五感を研ぎ澄ませて季節を味わうことや、今ここに100パーセント居ること、など、私を感動させたその精神、在り方は参考にしていきたいです。
生涯の読んで良かった本、ベスト20に入ると思います。-
私も映画が入り口でした。
黒木華さんが好きなので。
でも樹木希林さんのチョット保守的な先生が良かったなあ。
「理屈じゃないのよ。そういうもの...私も映画が入り口でした。
黒木華さんが好きなので。
でも樹木希林さんのチョット保守的な先生が良かったなあ。
「理屈じゃないのよ。そういうものなの!」っていう感じの教え方も。教えられた通りにやっているうちに自分で何かしら見えて来るということなのだと思いました。
2020/05/18 -
moboyokohamaかわぞえさん
「理屈じゃないのよ。そういうものなのよ」
若い頃はなかなか納得のいかない言葉ですが、年齢を重ね、経験を...moboyokohamaかわぞえさん
「理屈じゃないのよ。そういうものなのよ」
若い頃はなかなか納得のいかない言葉ですが、年齢を重ね、経験を重ねるごとに実際そういう事ってあるよなあって思いますよね。
本を読んでから映画を観たので、本の方が良かったなぁと思ってしまったのですが、樹木希林さんや黒木華さんの演技は素晴らしかったと思います。2020/05/19
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みなさまのレビューを読んで是非読みたい!と……
「お茶」を習ってどういうことだろう?
ずっと気になっていた
一体毎回何をやるんだろう?
お点前をひと通り覚えたら、終わりじゃないの?
小学生の頃、クラブ活動で茶道部に入った
(当然お菓子が食べられるという不純な子供心で入部したのだ)
だからお作法を学ぶことくらいはわかる
しかしこれを何年もやるって、なにを習得するのだろう?と
長年お茶を習っている友人にも学生時代聞いたことがある
なんだか曖昧な答えでピンと来なかったような気がする…
読んでいて、何度も何かが込み上げてきたり、何か自分の中できらりと光った
じんわりくる温かい気持ち、ザワザワと鳥肌の立つ感覚、ハッとフラッシュバックが起きたみたいな一撃
たくさんの感情が静かに押し寄せた
そういうことか!
そういうことなのか!
うわ…
奥が深い
凄い世界をのぞいてしまった
ちょっと放心
長年お茶をやり続ける理由、信長や秀吉の天下人がお茶を好んだ理由
少し理解できた気がする
(利休のこともとても気になるなぁ…)
人は自然と共存し、呼吸し、大地に足をつけて生きているのを実感
型にはまったことを日々大切にしてこそ初めて自由になれるのだ
日々の勉強を重ね、人は豊かになり、幸せになれる
そんなことを教えてもらえた気がする
またこちらに登場する先生の教え方にとても感動した
人からどれだけ言葉を尽くして教えてもらっても、その時はわかったような気になるだけだ
もちろんノウハウ的な理解は頭がしている
でも自分の全身全霊が理解して受け止めるのは全然違う
その時を「丁寧に集中する」のである
その積み重ねでしか、人は本当に理解できない気がする
大切な言葉、思い、感性、情緒、振る舞い…
人から説明されたり、教えてもらって、納得したり、感動することももちろんあるが、自分が体感的に何かを得たあの瞬間!
激しい時は雷に打たれる感じ
ハッときた時は、目から鱗な感じ
しみじみジワッと理解できた時はストンと腑に落ちる感じ
あの体験て強烈だ
そうやって得たものは必ず人生の糧にになる
そういう時のために日々、全身を研ぎ澄ませて丁寧に生きてるのではないかと思うほどだ
というわけで
お茶をやっている方々がこの本を読むのと、やっていない人間が読むのでは何となく次元が少し異なるんだろうな
お茶をやってみえる方のこの本のレビューを読んでみたい
でも誰しも擬似体験的なことはある
きっとこの本で何かを感じ、得ることは受け止める側次第だと前向きに感じる
そして、お茶の世界って素敵だなぁ
何らかの形でもっと知って携わっていきたいなぁ
自分の中の忘れられないお茶経験が2回ある
20代の頃、お仕事であるお宅の家にお邪魔したことがあり、そこでお抹茶と「かるかん」のお菓子が出た!
ときめいた次の瞬間、さぁ、どうすればいいんだっけ?と変な汗が…
お菓子を先にいただくんだよな?確か…
いやでもそこまで形式ばらなくてもいいんじゃないの?このケース?
頭の中でぐるぐるぐるぐる
まだ若いし(と甘え)、普通にお抹茶とお菓子をおいしくいただいた(笑)
こちらは割と最近
兼六園の御茶室みたいなところ(時雨亭)でお庭を眺めながらお抹茶を飲めるとのこと
勝手のわからないまま中に入ると、あるお部屋で待たされる
割と広い畳敷きに皆さん適当に座っている
そしてかなりの人数が集まってきた(30人はいたのかな?)
いったいどうなってるんだろ?と思って待っていると暫くして別の部屋へ移動するよう促される
それもそこにいた人全員で…
移動したお部屋はだたっ広くそこに4列くらいにお座布団が敷いてある、床の間もある
順番にお詰め下さいと言われるが1列10人以上の列×4列!圧巻である
そこにこれまたたいそうな人数の方々がお菓子を以って並べていく、そしてお抹茶も…
みんな並んでお茶をいただく
不思議な空間である
最初皆さん緊張した面持ちだったがそのうち、おしゃべりも始まりリラックスしてそれぞれが自由にお茶を楽しみ出す
とても良い思い出だ
お茶のある日本に生まれて本当に幸せ
もっと早く知りたかったけど、これからの人生に楽しみがまた増えてしまった♪
日日是好日
一期一会
何度も何度もこれからの人生で心から理解することができる生き方をしたい
ブクログ のおかげて素敵な本と出会えて良かった
ありがとうございます!-
ハイジさん、その「お茶をやってて読んだひと」です(^^♪
すごーく身に染みる内容でした。
言われていることが、最初は全く分からない。
...ハイジさん、その「お茶をやってて読んだひと」です(^^♪
すごーく身に染みる内容でした。
言われていることが、最初は全く分からない。
でも或る時を境にすううっと心に入ってきました。何年も何年もかかりました。
理解するまで時間のかかるものって、それだけで価値がありますよね。本と同じです。
はい、ちょっと語ってみました・笑2020/04/06 -
nejidonさん!
うっ嬉しいです☆
そうですよね。
何の修行かわからない時期ありますよね。
時間をかけて突き詰めることの素晴らしさは経験...nejidonさん!
うっ嬉しいです☆
そうですよね。
何の修行かわからない時期ありますよね。
時間をかけて突き詰めることの素晴らしさは経験してみないとわかりませんよね。
お茶の本当に世界素敵ですね
コメントありがとうございますm(_ _)m2020/04/06
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森下典子『日日是好日―「お茶」が教えてくれた15のしあわせ』新潮文庫。
著者の25年間に亘る『お茶』のお稽古と様々な気付きによる精神的な成長に触れ、読み手の心や魂、精神までもが清められていくような作品だった。読んでいて、心地よく、ゆったりした気分になるのだ。四季や自然と共に育まれる『お茶』の世界……深い。
森下典子と言えば、ドラマにもなった『典奴どすえ』を書いた方。あれから余り作品に触れる機会は無かったが、最近『いとしいたべもの』を読み、知らぬ間に素晴らしいエッセイストになられていたことに驚いた。やはり『お茶』だろうか。 -
人は仕事や趣味などを通して、一生勉強ですが、これはその茶道のお話。
茶道の型はあるけれど、それを通すことにより、心を自由に人間の五感を研ぎ澄ます。
とても興味深い本でした。
作者の体験を通して、分かりやすく解説されています。
タイトルの日日是好日は「どんな日でもよい日」という意味。
映画化もされるようですので、是非見たいと思います。 -
ブクログ仲間さんたちのレビューを拝見して、読んでみたくなりました。
以前読んだ『デジデリオ·ラビリンス』(集英社)もとてもおもしろかったのですが、この本もとても大切な1冊になりました。
著者が茶道を習い始めたのは20歳のころ。
それから25年間、お茶を通じて著者が気付いたことを瑞々しい文章で伝えてくれます。
まず感じたのは、とても良い先生に出会えたのだなぁということ。
習い始めたばかりの著者に、先生は茶道のふるまいを教えますが「なぜそうするのか」ということは教えてくれません。
それにやっと覚えてきたと思ったら、今度は手順の異なる「冬のお茶」。
なかなか覚えられない自分にも、「なぜでもいいからこうするの」と教える先生にも、もやもやする著者の気持ちがとてもよくわかります。
それでも、何度も注意されながら、何年も繰り返しお手前をする中で、著者は感じ始めるのです。
雨の匂い、身の回りにあった小さな花々、季節の移ろい···。
柄杓から茶碗に注ぐときに水とお湯では音がちがうと気付いたとき。
「瀧」の字が書かれた掛軸から水しぶきを感じたとき。
著者が一つ発見するたびに私も喜びを感じ、その発見をすることができた著者を羨ましくも思いました。
作法の理由を説明せず、器や掛軸の感じ方も生徒の気付きに委ねる。
生徒が気付いても気付かなくても、毎回季節を感じられる仕掛けを用意する。
そんな先生の在り方がとてもすてきで、「教える」ということの真髄を見たように思います。
「教えるってことは、いろいろなことを教えてもらえることよ」と言う先生の言葉が、またすてき。
著者プロフィール
森下典子の作品






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