日本防衛秘録: 自衛隊は日本を守れるか (新潮文庫 も 36-2)

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  • Amazon.co.jp ・本 (461ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101366623

作品紹介・あらすじ

防衛省トップとして最前線で指揮を執ってきた著者が解き明かす国家防衛、その真実。日本列島の軍事的価値、中国軍の狡猾な目論み、在日米軍の戦略、北朝鮮のミサイル開発など、激変する安全保障環境の未来を占う啓発の書。冷徹な地政学とリアリズムに裏づけられた知見から、領土・領海をめぐる議論に一石を投じる。国民には見えにくかった自衛隊員24万人の真の姿も明らかになる。

感想・レビュー・書評

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  • 日本を取り巻く状況の分析から、自衛隊の設立、ここに至る経緯、在日米軍との関係など、様々。

    4年ほど前の本で状況はかなり変わっている気はするが、明快で読みやすい。

    この人、確か問題あって辞めさせられたんだよな、と思ってたんだけど、その時の大臣て、そういや緑の女帝だったなと思って。

  • 現職の防衛官僚にとっては有難迷惑な一冊という気がする。

    元防衛事務次官が、「現場の自衛官の置かれた状況を周知する・改善する」「国民の防衛意識を高めるように啓蒙する」という熱意の下に書かれた本ではある。
    自身の見聞きしたエピソードを織り交ぜながら、防衛省・自衛隊が社会に認められ、法制上の位置づけを確立してきた歴史を振り返る記述は、「秘録」かどうかはともかく、整理されていてわかりやすい。
    なかでも、防衛施設庁の歴史や業務に関する記述は興味深かった。

    現職の防衛省関係者が言いたいことを代弁しているような筆致で、賛否はともかく、フンフン、と読み進んでいった。
    賛否というのは、あくまでも現状の自衛隊のあり方を是認するスタンスだから。
    そのこと自体は、必ずしもネガティブではない。「歴史的に声をあげられなかった自衛隊」の主張を誰かが明言しなければならないだろう。ただ、客観的ではない。

    なので、全体的には興味深い本なんだが、最終章の沖縄に関する部分は残念な出来になっている。
    「米兵が犯罪を起こすと必ず取り沙汰されるのが、日米地位協定である。(中略)米軍人の犯罪人の捜査・取り調べもこれにより規定されているが、日本国内と同じ手続きが取れない。そこが不公平であるとして問題視されるのだが、しかし米兵の犯罪は減少しているという事実が一方にある。」
    まさしく話のすり替えで、非論理的である。
    全体のトーンから、「これが防衛官僚の本音なのね」と思われてしまっては現職にとっては有難迷惑だろう(それとも、本音では共感するのだろうか)。
    それに、日米地位協定を米軍人の犯罪捜査に関するものとしてだけ言及するのも、矮小化と感じられる。

    沖縄の基地返還が進まない理由は「地主が地代を失いたくないから返還に応じない」ためだと匂わせているが、このあたり、部分の話と全体の話を混在させて分かりにくく書いていると感じた。
    数字をあげて書いているのだけど、分母の取り方が恣意的に見える。そこまでの熱意がないので検証しないが、文庫版の428ページあたりが妙な記述になっている。

    「沖縄勤務が辛かったの?」と言いたくなるくらい、この章ではなんか感情的になっている。

    ということで、最終章が後味が悪いけど、全体としては興味深い内容の本です。

  • 元防衛事務次官の守屋氏による著作。
    文官らしく、制度の話や基地対策的な話など、自衛官の著作とはまた違った切り口がある。

  • 守屋元防衛事務次官の著作。元防衛官僚としての視点から自衛隊や防衛庁/防衛省の歴史や業務、後回しにされていたことが後回しにされていた事由についてわかりやすい文体で述べられている。
    ただし、シビリアンコントロールと内局の文官優越は何の関係も無い。なぜなら、文中で筆者も述べているように、背広組も防衛庁・自衛隊の一員で有る。で、ある以上、背広組はシビリアンコントロールをする側では無く、制服組と同様にされる側なのだから。(背広組のことをシビリアンと『誤記』されていること以外はとくに問題は無い。
    沖縄の基地返還について、『跡地利用の目処が立たない場合、地元自治体が返還に応じない(返還されない方が、利用価値の無い土地が多額の基地使用料を生み出す)』という重要な点について、地元対策費的な事でそういった扱いだったのだろうが、もはやそのような扱いはやめるべき頃合いなのでは無いだろうか。

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