消された一家―北九州・連続監禁殺人事件 (新潮文庫)

著者 :
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  • Amazon.co.jp ・本 (339ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101368511

作品紹介・あらすじ

七人もの人間が次々に殺されながら、一人の少女が警察に保護されるまで、その事件は闇の中に沈んでいた-。明るい人柄と巧みな弁舌で他人の家庭に入り込み、一家全員を監禁虐待によって奴隷同然にし、さらには恐怖感から家族同士を殺し合わせる。まさに鬼畜の所業を為した天才殺人鬼・松永太。人を喰らい続けた男の半生と戦慄すべき凶行の全貌を徹底取材。渾身の犯罪ノンフィクション。

感想・レビュー・書評

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  • 淡々と事細かに卑劣な事件、裁判の内容が書かれている。フィクションなのに受け入れきれない自分はまだ正常なのか。こんな所業、松永は本当に人間なのか。

  • 同じ事件を扱った別の本をたまたま読んで、別の著者で書かれたものも読んでみようと思って読んだ本。

    先に読んだ本より、松永の供述や裁判での発言が具体的に書かれている。事件自体非常に酷い内容なので胸糞悪いのですが、松永の供述が具体的に読めると胸糞度がグッと上がります…。

    事件の内容は最低ですが、事件、裁判の内容をしっかり押さえてありわかりやすかったです。胸糞ですが。

  • ノンフィクションであるという重たさ、戦慄というより恐怖、あのアウシュビッツと比較されるほどの残虐さに押しつぶされそうになる。たった10歳で弟を殺めなければいけなかった心情は察するに余りある。

  • ノンフィクション小説のはずだが、内容が非現実的すぎて途中からフィクション小説のつもりで読んでしまった。洗脳されていたから罪はないという主張もわからなくはないが、最後緒方さんを擁護した部分は少し残念に感じてしまった。

  • 作品が悪いのではなく、犯行の悲惨さ、無慈悲さ、異常さが突出しすぎて評価のしようがなかった。

    こんな鬼畜な畜生が生まれる経緯が全く理解できず、何故こんな結末になるのか、無念でしかない。

    次はもうちょっとマイルドな話しを読みたいと思った。

  • 『完全ドキュメント北九州連続監禁殺人事件』(著:小野一光)を読んだ後に本書を読みました。
    比較すると、こちらは小説のような文体で書かれているので読みやすいですが、松永・緒方両名の生い立ちや″ワールド″時代の蛮行については掻い摘んで書いてあり、どちらかというと事件の異常性や残虐さを全面に押し出しているような感じがしました。

  • これ小説じゃないの?ってくらいひどい内容。

    小説の殺人事件でもここまでひどくない。

    大の大人がこんなに簡単に
    洗脳されてしまうのかと
    衝撃的だった1冊。

    ある意味洗脳の要素が詰まってて
    洗脳の教科書。

    人間って環境や行動制限で
    ここまで思考がおかしくなるのかと学んだ。

  • あの人が認めるはずはありませんが、人が死んでもいいという感覚だったのではないでしょうか。嘘ついて嘘ついて、嘘の上塗りをしていくと、あの人の中ではいつしか本当のことになるんです。『自分はやってない』と言い続けて、それが本当になってしまっている。あんな人間、二度と出てこないでしょうね。(P.78)

    複数の人間を監禁し、自分は殺害を誘導するだけで、拷問を受けて苦しんでいる人を見て笑っている。言葉巧みに騙して監禁して殺す。天才殺人鬼。人格は人相に出るなんて言うけれど、松永を見るとそれも信じられなくなる。狭い風呂場で遺体の解体が行われていたなんてこの世の出来事とは思えない。

  •  『完全ドキュメント北九州監禁連続殺人事件』小野一光著を読んでみたかったのだけど、図書館になかったのでこちらを借りました。

     これだけの事を調べて本にした著者の力量と努力(何しろ内容がエグいのでずっと取材していたら精神的にまいってしまいそう)に脱帽もので星5個でも足りない位なのですが、前出の通り事件の内容がエグいので星をつけかねました。この星は本として作品に対してつける星だと分かっているけれど。

     なんとも得体の知れない犯人で、読み終わっても消化しきれない感情があり、あとがきで書名が出て来た、『復讐するは我にあり』佐木隆三著と、『この手で人を殺してから』 アーサー・ウイリアムズ著(『世界ミステリ全集〈18〉』収録)を読んでみたけど余計もやもやとしてしまったので、BLを沢山読みまくってなんとか気持ちを切り替えました。

  • 本当に気分の悪くなる、気持ち悪い事件で、何度も途中で読むのをやめた。後半は駆け足だったけど、今は読了して良かったと思う。酷すぎて、口にするのも恐ろしい事件と登場人物たち。暴力に支配されて、家族を殺すのもやむなし、に至る心理。普通では理解できないと思う。私も、理解できない。この本に登場する被害者も、その遺族も、
    事件のことを公表されるのを望まないのは当然と想像できる。遺族が遺族だけでいられない中身で、だから、単に被害者と言って、同情することも難しいからだ。だから、被害者遺族の証言も難しいだろうし、裁判になっても、傍聴するのも憚られるだろうし、、、それを思うと、読んでる途中では、なんでこのライターは、こんな事件をわざわざ書くの?誰にとってもいいことなんて何もないのではないか?という思いに駆られてた。読み終えてみると、人間が暴力で支配されていく心理を、もっと法律の専門家とか、家庭問題の専門家、犯罪抑止の専門家、などなど、とにかくいろんな人がしっかり学ぶべきだと思うようになった。
    はぁ、それにしても、我慢に我慢を重ねての読了なので、星は三つにしておきました。作者の豊田さん、お疲れ様でした。

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著者プロフィール

1966(昭和41)年、東京生れ。早稲田大学第一文学部卒。ニューヨークの日系誌記者を経て、ノンフィクション作家に。戦争、犯罪事件から芸能まで取材対象は幅広く、児童書の執筆も手がけている。『ガマ 遺品たちが物語る沖縄戦』(講談社)は、厚生労働省社会保障審議会の推薦により「児童福祉文化財」に指定される。著書に『妻と飛んだ特攻兵 8・19満州、最後の特攻』(角川文庫)、『消された一家』(新潮文庫)他多数。

「2018年 『ベニヤ舟の特攻兵 8・6広島、陸軍秘密部隊レの救援作戦』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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