消された一家―北九州・連続監禁殺人事件 (新潮文庫)

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  • 新潮社
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レビュー : 206
  • Amazon.co.jp ・本 (339ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101368511

感想・レビュー・書評

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  • 本書は北九州・連続監禁殺人事件の全貌を明らかにしたノンフィクション作品である。明るい人柄と巧みな言葉で人々を操り、一家全員を監禁した挙句、虐待をし、自らの奴隷にさせた。さらに、恐怖感から家族同士を殺し合わせるといった、残虐極まりない事件を起こした松永太の半生とその心理について迫っている。松永の大きな特徴として、「相手を誘導させ、最終的な決断は必ず本人に下させ、自分は責任をとらない。」ということが挙げられる。彼は、被虐待者の心理を理解し、徹底的にマインド・コントロールを行った。その結果、逃げる機会はあったにも関わらず、ほぼ全員が殺害されてしまった。このような事件は類を見ないが、いつどこで起きてもおかしくはなく、他人事ではないのである。松永は最古パス、一種の精神病ではないかと考えられているが、私たちの身の回りにも多く存在するというのが事実なのだ。本書を読み、事件の裏側を知る大切さを痛感した。

  • 天才殺人鬼 松永太の凶行について書かれた一冊。人を使うことで責任をとらなくてよい、この松永のポリシーで自らの手を直接下すことなくDVによるマインドコントロールを駆使し、一家、計7名を殺害した。それは周到で繊細な計画であった。
    なぜ、被害者は松永による支配から逃げられなかったのか。それは被害者自らの意思決定により、人間関係を崩壊させることによる支配をおこなったこと、被害者間に序列をつくり、お互いをライバル視させたこと、電気ショックによる恐怖感により、合理的な行動選択を奪ったことがあげられる。これに松永の天才的話術による洗脳も加わることで被害者は松永から逃げられなくなった。
    まさに松永は悪魔である。そしてこのような悪魔はまだどこかに潜んでいるかもしれない。松永のケースを知っておくことは、回避の一助となるだろう。

  • いろいろと謎の多い事件ではありますが、なるほどDVとゆー視点で見ればすべてが府に落ちる。

    それにしても主犯男性の人心掌握っぷり!天賦の才とはこのことか?!おそろしや、おそろしや。しかも、彼の内面がまったく見えてこない。コンプレックス強そうだなぁ、とは感じるのだけれど、塀の中でも異様だし、マジキチのひとことではくくれない恐ろしさがある。

    この事件に教訓があるとすれば、「己の弱さに向きあえ」ってことなのだろうか。弱みを突かれてもひるまないこころがあれば最悪の事態は回避できたのではないか。保身がもたらした悲劇とも言える。なんども脱出の機会はあった筈。通電はそんなにも強烈な罰だったのか。そればっかりは想像するしかなのだけれど。

    家族の絆、みたいな神話はこの場所では通用しない。
    駄菓子菓子!本書を読み終えてそれでもなお「にんげんばんざい!」と叫ばずにはいられないのです。

  • フィクションよりも現実の人間の方が怖いんだと強く感じる作品。報道規制もかかるだろうなと納得する内容なので、耐性のない人にはきつく、精神的に余裕がある時でないと読めなさそう… ここまで人は残虐になれるのか…と思う一方的で、洗脳の恐ろしさ、自分もそうなってしまうのではないかと怖くなった

  • 実際にあった事件。
    とても怖い。
    いろいろ考えさせられる。

  • あまりの残忍さに報道規制されたというのも納得。日本でこんな事件が起きてたとは…。主犯の男は完全にサイコパス。こういう人間が生まれてしまうことに、とてつもない恐怖がある。未だに罪を認めていないようだけど、この手の人間が、自分の罪を認めるようなことは、この先ずっとないんだろうか。

  • 人間って・・・。

  • しょえ~・・・コワッ!!! っつーか、この事件、ちゃんと知らずにいた。
    読めてよかった。
    暴力に支配されちゃうのって、ほんとヤバい。。。

  • 残酷だが最後まで読んでしまった。昨年放送された、ザ・ノンフィクションがきっかけ。

  • 史上類を見ない程残忍でメディアも報道を取り止めてしまった北九州連続監禁殺人事件について事細かに記されていました。
    「事実は小説よりも奇なり」という言葉がこれほど当てはまる事件はないでしょう。これほどまでに凄惨な事件がかつて存在したかと思うととても恐ろしく、ノンフィクション故のリアリティも相俟って下手なホラー小説よりも恐ろしい作品でございました。
    語弊はあるかもしれませんが、ノンフィクションとしては傑作かと思います。

著者プロフィール

1966(昭和41)年、東京生れ。早稲田大学第一文学部卒。ニューヨークの日系誌記者を経て、ノンフィクション作家に。戦争、犯罪事件から芸能まで取材対象は幅広く、児童書の執筆も手がけている。『ガマ 遺品たちが物語る沖縄戦』(講談社)は、厚生労働省社会保障審議会の推薦により「児童福祉文化財」に指定される。著書に『妻と飛んだ特攻兵 8・19満州、最後の特攻』(角川文庫)、『消された一家』(新潮文庫)他多数。

「2018年 『ベニヤ舟の特攻兵 8・6広島、陸軍秘密部隊レの救援作戦』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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