火車 (新潮文庫)

著者 :
  • 新潮社
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  • Amazon.co.jp ・本 (590ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101369181

感想・レビュー・書評

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  • たぶん15年ぶりくらいの再読。本の中身にほとんど覚えはなかったが、ただただ面白かったという記憶があり、たまたま家にあったので読んでみた。
    結果、やっぱり私の嗜好は15年のうちに変わったんだなと思った。面白かったけど、やはりサスペンスだ。お題も重いし、深いし、練りに練られている(けど、ジャンルとしては好きじゃない)。でもお好きな方はたまらないんだと思う。よくよく練り込まれた素晴らしい作品なんだろう、そして、多くの人が星5つなんだと思うし、5桁の人が本棚登録してるんだからすごい。
    ところで、この場合、追いかけられる立場の喬子さんの視点から書いたら、どうなのかなー面白いのかなー。悲惨な話なんだろうけど、突然最後にパタンと終わるみたいな。

  • 主人公の探す女性に対してどうしても同情を禁じ得ない。彼女のやったことは許されるはずではないのに。
    この小説は推理小説でもあるが、経済小説でもある。住宅ローンやクレジットカードによる債務の累積は、様々な要因が絡み合って起こるいわば公害みたいなものである。ひとえにその当事者が悪いとは言えない。行方不明の女性たちもただ「幸せになりたかった」だけなのに、人生を狂わされてしまう。

  • 山本周五郎賞受賞作品。

    休職中の刑事が、亡妻の遠縁の親戚から、婚約者の捜索を依頼される。

    失踪した婚約者には、過去に自己破産した経歴があることが解る。

    更に調べが進むと、その婚約者は別人の名前をかたっていた。

    世の中の状況やクレジット破産などが加味され、舞台背景がとても細やかに描かれている。

    また人物の描写も細やかで、いろんな伏線を張りながら、事件の真相が少しずつ解きほぐされていく様が何とも心地よく感じた。

    受賞納得の作品

  • エンタメとしてのミステリー性とリアリティーある社会性の融合した快作です!と、とても素晴らしい作品なのにこんな安っぽい表現しかできないのが残念ですが、それを実際成功させる宮部さんはすごいですね。

  • 面白かった。自己破産という題材も誰もが自分と関係ないと割り切ってしまえるようなものではなく、どうなるのか、何が起こるのか急いてしまいながらページをめくった。私は彼女の口からの言葉を聞きたかったのでここで終わり!?と思ってしまいすごく興味をかきたてられ、続編が無いのかすぐに調べてしまった。

  • 【苦しむ人】
    「苦しみ」は日常のどんな所に口を開けているかは分からない。
    好きこのんで「苦しみ」を欲しがる人はいないだろう。
    だか知らずのうちに「苦しみ」に囚われることは誰にでもある。
    病気、事故、災害…
    世の中は『金』と『物』が苦しみの原因になることが多々ある。

    逃れようとするが逃れられず、怖れを持ち続ける日々。
    「普通」を装っていながらも「狂気」に支配される。
    誰もが平凡ではないのだ。

    苦しみが大きくなる前に、人に相談することは良いこと。
    救いの手を求めることは正しいことだ。

    苦しむ人と苦しめる人がいなくなりますように!

  • 2018年に読んでしまうとサラ金に関する法律も変わっているし、クレジットカードの知識も昔よりはある前提なのでそらそうだろうと思う部分も多くそんなに面白くないです。
    しかし、そのクレジットカードの知識を私たちがきちんと知ることができたのはこの本のおかげもあるのでしょうね。
    2001年宇宙の旅を今見て腐すのと同じことなのだと思います。
    アバターを20年後に見た時にこんなCG遅れてると思うような。
    現代文化の足場になっている本。

  • 5年以上ぶりに宮部みゆきさんの著書を読んだが、やはり彼女独特の女性らしい細かな描写が相変わらず私の好みではない。男性警察官が、犯人の女性が今何をしているか想像するシーンで、「資生堂パーラーで春の新作ルージュを試しているのでは」なんて、普通の男性警察官がそんなことを思い浮かべるだろうか。他にも、男性警察官が女性を見る際、「若草色のスーツを粋に着こなす女性」と表現するのだが、「若草色」など、はたしてすぐに出てくるのだろうか。人物の服装に関する描写、心理的描写や比喩の数々、なぜここまで女性らしい感性を出してくるのか。いつもこれが私を現実の世界に引き戻し、鬱陶しい気分にさせる。本の内容は、クレジットカードローン地獄にはまり、他の人物に成りすます周到な女性と、それを追う警察官、友人の話である。内容は面白く、数日で読みきった。しかし女性的な描写が苦手で、どうも宮部みゆきさんの小説は好きになれない。

  • 名作の誉高い作品。ようやく読めた。身内の婚約者が破産宣告をしてることが分かり失踪したことで、その人探しからスタート。捜査ミステリーの王道、少しずつ真実が明らかになっていく。そして、サラ金地獄のタイヘンさが現代版「砂の器」のように描写される。その苦しみから逃れるため、他の人にすり替わろうとしていたことが分る。二人の女性の過去や接点が丁寧に描写されている。評価はなるほどではあるが大感動というほどではない。

    「徹夜小説書店員100人が選ぶ宮部みゆき1位」「平成の小説ベスト50 6位」

  • 現代でも通用してしまう社会派ミステリー。現代でも通用してしまうのは喜ばしいことではないが、そういうものを題材にできる構成力と力量はさすが宮部さん。
    ここまで犯人達の「動機」が鮮明なミステリはなかなかないと感じた。この小説には被害者しかいない。どこにも純粋な悪人がいない。さっぱりとした結末ではないが、後味が悪いわけでもない。考えさせられる一冊。

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著者プロフィール

宮部 みゆき(みやべ みゆき)
1960年、東京都生まれ。1987年に「我らが隣人の犯罪」でオール讀物推理小説新人賞を受賞し、デビュー。1992年『龍は眠る』で日本推理作家協会賞、1999年には『理由』で直木賞、2002年『模倣犯』で司馬遼太郎賞、2007年『名もなき毒』で吉川英治文学賞など、数々の文学賞を受賞。大沢オフィス所属。日本推理作家協会会員。日本SF作家クラブ会員。直木賞、日本SF大賞、小説すばる新人賞、河合隼雄物語賞など多くの文学賞で選考委員を務める。『模倣犯』や『ブレイブ・ストーリー』など、多くの作品がドラマ化や映画化などメディア・ミックスされており、日本を代表するエンターテインメント作家として人気を博している。2019年7月10日『さよならの儀式』を刊行。

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