- Amazon.co.jp ・本 (686ページ)
- / ISBN・EAN: 9784101369235
感想・レビュー・書評
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この本を初めて読んだのは大学生のころで、もう10年以上前だった。
当時は何に感想残してたんだったっけなって思って、至ったのはmixiだった。けれど、いくらレビュー振り返っても見つからない。きっと、これだけの情報を詰め込んで、それを言葉にすることから逃げ出していたんだと思う。
今回は逃げ出さずに、頑張ってこの作品に向き合って、自分なりに表現したいと思う。
事件自体はそこまで複雑ではないのだけれど、ドキュメンタリーの手法を用いて、丁寧に、じわりじわりと事件の核心に迫ってゆく。だからやっぱり長い!年末ちょっと仕事でバタバタしていて、「読み進める時間が取れないなぁ…」なんて思っているうちに、年を越した。
人と関わっていると「なんでそう思ったの?」「なんでそういう行動をとったの?」と思うことは結構あって、それがこちらには共感できなくても、相手の話を聞くと、きちんと相手なりの「理由」があることは多い。理解はできなくても、筋は通っている、というような。
じゃあその共感できなさってどこからくるんだろう、と考えた時、その人をその人たらしめる、生い立ちからきている、とわたしは思う。
だからわたしは、人の話を深く聴くときには生い立ちを聴くようにしていて、さらに「当時どう思ったのか」を聴いていく。すると、その人が今そう「思った」、そう「した」、「理由」が見えてくる。
初読当時、この作品がここまで「家族」のことを掘り下げた作品だということに、わたしは気付いていなかった。当時そこに思い至らなかったのは、ドキュメンタリーの手法に圧倒され、ここに登場する様々な家族に、思いを馳せきれなかったからだ。わたしも今ほど自分自身の家族関係に悩んでいなかったし、身の回りの人たちの背景にある家族、というところにまで目を向けきれていなかった。
当時と今とで変わる、母への思い、家族への思い。
八代が、親に愛されていたら。
小糸孝弘が、別の家庭で生まれ育っていたら。
宝井康隆が、もう少し頭の回転が鈍かったら。
タラレバをあげたらキリがない。でもそこに産まれ育ったからこその「その人」でもあるわけで、性格や特性まであげだしたらニワトリか卵かの話になる。
この作品では、家族関係の難しさを、二世代・三世代と遡って、一瞬を切り取ると事件とは何の関係もないような、なんてことないストーリーが差し込まれる。しかし、そのなんてことない出来事の積み重ねが、家族・その人を形成して、その人が事件に関与していくのだ。事件の「理由」は、そのなんてことない出来事の積み重ねの中にこそ、ある。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
自分でも驚いたが、初宮部みゆきだ。
僕が図書館に毎日入り浸っていた20年くらい前、予約本ランキングで不動の1位だった本。当時は全く好みの本と思えなかったのでずっとスルーしていた。年齢とともに嗜好も変わるものだな、と。
文庫本をかみさんが持っていたので借りて読む。
ちなみにかみさんは娘にもこの本読ませてたけど、分かるのか?ドキュメンタリー的に多視点で描かれるので、感情移入がしづらく中学生には読みづらいと思うのだが…。
「競売」だの、「占有」だのと「ナニワ金融道」読んで育った世代としては懐かしい思いで読み進めた。
「住む場所」「家族」両方の意味でのイエのあり方がテーマ。バブルがはじけて、まだその後遺症の真っ只中にいる時代感がひしひしと伝わってきた。
面白かった。
宮部さんの本、他にも読んでみたい。
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夢のマイホームとか、夢がマイホームとかの願望がないからなぁ…周りに人いても一人の世界に入れるんで(^^;; あんまり必要性が…そういう話ではないわ!^^;
マイホーム(=家族の絆?)に拘って、奈落の底へ〜!いくら安いからって、素人が分かりにくい競売物件に手を出すからやん!と言いたくはなる。
何度も言ってしまうけど、そこまでマイホームに拘らんでもとは思ってしまう。家族が、そんなちっぽけなもんでまとまらんでも…
色々な家族の色々な軋轢…ミステリーというより、人間ドラマやな。
段々とそういう人間の絆とかが希薄になって来ている昨今。
八代裕司の成仏は近いかも…
嫌やけど… -
久しぶりの宮部みゆきさん。いつも何かと表現が細かいわーと思って読んでたけど、この本はその細かい感じが良かった。そうだよね〜人それぞれに生きてきた過程があって、今の事柄に繋がってるんだから、それぞれに理由があるんだよね。
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ドキュメンタリータッチ
その意味もわからないくらいの学生の頃に
一度読み、再読
映画版も見たけど、逆にドキュメンタリー映像
っぽい映像になって嘘くさくなってた印象
芸能人が演じてる役多かったし…
原作はやはり丁寧に描写されていて
人々が「取材をし記録した」感があってリアル -
直木賞受賞作という事で買った一冊。
ドキュメンタリー?形式の話しの進みで主人公がいないみたいに感じた。
事件の内容を書いある部分は興味もてたが、各個人の人物背景まではあまり興味が持てなかった。
各個人の人物背景を細かく書く事でこの事件の全体の内容がわかるという事で、細かく人物背景まで書いたのかな?とも感じた。
直木賞受賞作・・奥深い内容だから受賞したのかな?と感じた小説でした。 -
「孤宿の人」が面白かったので再び宮部みゆき。
ミステリーの舞台としてはびっくりするもののそう複雑ではなかった。話の核心:テーマは人間の行動理由にある、と思う。本編の中で“理由”という言葉が使われなかったことにも驚く。
入りくんでいてドキュメンタリータッチでともすれば途中で投げ出したくなる長さなのにそれでも飽きさせずに最後まで読者を惹きつけるのはさすが。
解説の池上冬樹さんが「模倣犯」「火車」と並ぶ三大リアリズムの傑作と評していたので、いつか「火車」も読んでみようと思う。 -
読みやすく、しかし長い…どういうことが起こっていたか、を理解してからが丁寧で長かった。インタビュー形式なのは面白かった。色々な人が様々なことを考えていることをこんなにわかりやすく描く方法は他には無いと思った。
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家族との関わり方を考えさせられました。
見栄をはってまで借金してたなぁ、と思い出しつつ、家のローンが心配になるのであった。
事件にあまり関係ない人の目線?で書かれているのが、ちょっと変わってた。直木賞、なるほど!? -
2021.7冊目
多様性のある現代において本当に起こりそうな物語。
でもちょっと長いかな。。。
著者プロフィール
宮部みゆきの作品






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