理由 (新潮文庫)

著者 :
  • 新潮社
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  • Amazon.co.jp ・本 (686ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101369235

感想・レビュー・書評

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  • はい、おびーに「あとがき」を読んでほしいと言われたので、読んでみましたよ

    ただ…「あとがき」のために676ページは長過ぎるわ!
    ま、直木賞なんでいつかは読もうと思ってたからいいけどね
    直木賞と本屋大賞と山本周五郎賞とメフィスト賞とアメリカ探偵作家クラブ賞と英国推理作家協会賞は読むつもりだったからいいけどね

    前にも読んだことある気もするんだけど、思い出せないな〜

    「家族」というより「親」?というものについて書かれた作品です
    宮部みゆきさんの多彩さをこれでもかって見せつけられた作品でした
    でもわしルポルタージュ形式ってあんまり好きじゃないんよね
    なんかカクカクしてない?

    で、本題の「あとがき」です
    元々この『理由』は朝日文庫で出版されていたんですが、ご本人の希望で新潮文庫版でも刊行されることになったわけです
    その『理由』について「あとがき」から引用いたします

    〜新潮文庫には、わたしがこれまで上梓してきた現代ミステリ作品が多く集まっています。また『理由』は、わたし自身にとって、ある時期の現代ミステリのけじめとなる作品でした。ですから、どうしても、同じ色の背表紙で、新刊書店の文庫の棚の同じ場所に、『理由』を並べたかった。〜

    いやもうなんか嬉しくなっゃいますよね
    ここで土瓶さんとかだと、じゃあ最初から新潮社で出せよ!とか無粋なこと言うんでしょうけど、粋でいなせな江戸っ子のあっしとしてはもう、ただただ嬉しくなっちゃうわけですね

    日本を代表する作家である宮部みゆきさんが、自分たち一読者と同じような子どもっぽいこだわりを持っちゃうことに
    そして、日本を代表する作家でありながら、とんでもない読書家でもある彼女であるならば、当然そうだろうな、当然こっち側だろうな、なんて勝手にバリバリの親近感を持っちゃうわけですよね

    この「あとがき」だけでもう好き
    宮部みゆきさん好き
    でも★3(そこは冷静)

    いやこりゃあ、いよいよもって『シャイニング』読まねば!
    (いやそこは宮部みゆきさんが推してる作品じゃなくて本人の作品挙げなさいよ!)

    • ひまわりめろんさん
      レバー嫌い
      ほうれん草好き
      マカロニほうれん荘好き
      レバー嫌い
      ほうれん草好き
      マカロニほうれん荘好き
      2023/08/26
    • 1Q84O1さん
      「同じ色の背表紙で」そのこだわり良いですね(≧∀≦)
      「同じ色の背表紙で」そのこだわり良いですね(≧∀≦)
      2023/08/26
    • ひまわりめろんさん
      作家さんの立場でそれをしちゃうのってなんか嬉しくなっちゃうけど、それを許される宮部みゆきさんの大御所感ね
      作家さんの立場でそれをしちゃうのってなんか嬉しくなっちゃうけど、それを許される宮部みゆきさんの大御所感ね
      2023/08/27
  • 知名度の高い直木賞受賞作。気になっていたけど初読。
    巻末の「新潮文庫版のためのあとがき」。宮部さんのその新潮文庫化の“理由”に その通り!
    ひまわりめろんさんに読んでいただきたい。
    既に、朝日文庫として刊行されていた本書を現代ミステリを多く集まっている新潮文庫の同じ色の背表紙で揃えたかった、ただそれだけ。
    わかる!揃えたい!
    ここをお借りして(私の本棚だけど)朝井リョウさんに言いたい。ご自分のお名前が、あ行の責任を少し感じて欲しい。だいぶ本を処分して残りは少なくなってきたけれど、死ぬまでにもう一度くらい読みそうな本は、まだ所有している。そして、朝井リョウさんの作品は、残してある。当然ですが、作者あいうえお順に並べる。本棚の先頭に関わらず、背表紙が揃わない。小野さんの十二国記の美しい背表紙、宮部さんのシックな臙脂色。
    馴染んだ安部公房の薄いブルー。
    いつの日か、朝井カラーを手に入れて欲しい。

    で、小説ですが、高級マンションの一室で男女4人の死体が発見される。家族と思われた四人は、全くの他人の集まりだった。ミステリーですが、犯人やトリックを追うのではなく、この事件に関わった人達の家庭や生い立ち、ここにたどり着いてしまうまでの理由を丹念に書き上げていきます。
    家族とか血の繋がりを煩わしいとして生きてきた人達の悲劇。

    • 1Q84O1さん
      おびのりさん、熱く語ってますね!(≧∇≦)b
      おびのりさん、熱く語ってますね!(≧∇≦)b
      2023/04/10
    • おびのりさん
      おはよーございます。私、パソコンが個人に普及する前、自分の図書カード作ってたんだわ。情報カードみたいなやつで。
      今、考えると、キモい。
      おはよーございます。私、パソコンが個人に普及する前、自分の図書カード作ってたんだわ。情報カードみたいなやつで。
      今、考えると、キモい。
      2023/04/11
    • 1Q84O1さん
      本を愛するおびのりさん、マイ図書カードいいじゃないですか!
      本を愛するおびのりさん、マイ図書カードいいじゃないですか!
      2023/04/11
  • この本を初めて読んだのは大学生のころで、もう10年以上前だった。
    当時は何に感想残してたんだったっけなって思って、至ったのはmixiだった。けれど、いくらレビュー振り返っても見つからない。きっと、これだけの情報を詰め込んで、それを言葉にすることから逃げ出していたんだと思う。
    今回は逃げ出さずに、頑張ってこの作品に向き合って、自分なりに表現したいと思う。

    事件自体はそこまで複雑ではないのだけれど、ドキュメンタリーの手法を用いて、丁寧に、じわりじわりと事件の核心に迫ってゆく。だからやっぱり長い!年末ちょっと仕事でバタバタしていて、「読み進める時間が取れないなぁ…」なんて思っているうちに、年を越した。

    人と関わっていると「なんでそう思ったの?」「なんでそういう行動をとったの?」と思うことは結構あって、それがこちらには共感できなくても、相手の話を聞くと、きちんと相手なりの「理由」があることは多い。理解はできなくても、筋は通っている、というような。
    じゃあその共感できなさってどこからくるんだろう、と考えた時、その人をその人たらしめる、生い立ちからきている、とわたしは思う。
    だからわたしは、人の話を深く聴くときには生い立ちを聴くようにしていて、さらに「当時どう思ったのか」を聴いていく。すると、その人が今そう「思った」、そう「した」、「理由」が見えてくる。

    初読当時、この作品がここまで「家族」のことを掘り下げた作品だということに、わたしは気付いていなかった。当時そこに思い至らなかったのは、ドキュメンタリーの手法に圧倒され、ここに登場する様々な家族に、思いを馳せきれなかったからだ。わたしも今ほど自分自身の家族関係に悩んでいなかったし、身の回りの人たちの背景にある家族、というところにまで目を向けきれていなかった。
    当時と今とで変わる、母への思い、家族への思い。
    八代が、親に愛されていたら。
    小糸孝弘が、別の家庭で生まれ育っていたら。
    宝井康隆が、もう少し頭の回転が鈍かったら。
    タラレバをあげたらキリがない。でもそこに産まれ育ったからこその「その人」でもあるわけで、性格や特性まであげだしたらニワトリか卵かの話になる。
    この作品では、家族関係の難しさを、二世代・三世代と遡って、一瞬を切り取ると事件とは何の関係もないような、なんてことないストーリーが差し込まれる。しかし、そのなんてことない出来事の積み重ねが、家族・その人を形成して、その人が事件に関与していくのだ。事件の「理由」は、そのなんてことない出来事の積み重ねの中にこそ、ある。

  • 自分でも驚いたが、初宮部みゆきだ。

    僕が図書館に毎日入り浸っていた20年くらい前、予約本ランキングで不動の1位だった本。当時は全く好みの本と思えなかったのでずっとスルーしていた。年齢とともに嗜好も変わるものだな、と。
    文庫本をかみさんが持っていたので借りて読む。
    ちなみにかみさんは娘にもこの本読ませてたけど、分かるのか?ドキュメンタリー的に多視点で描かれるので、感情移入がしづらく中学生には読みづらいと思うのだが…。

    「競売」だの、「占有」だのと「ナニワ金融道」読んで育った世代としては懐かしい思いで読み進めた。
    「住む場所」「家族」両方の意味でのイエのあり方がテーマ。バブルがはじけて、まだその後遺症の真っ只中にいる時代感がひしひしと伝わってきた。

    面白かった。
    宮部さんの本、他にも読んでみたい。

  • 2004年(発出1998年朝日新聞社) 790ページ

    『火車』に続く宮部みゆきさんの作品、2冊目を読破。
    第120回直木賞受賞作です。

    巻末に池上冬樹さんの解説がおさめられています。池上氏は、アメリカの現代文学の巨匠、ジョイス・キャロル・オーツの言葉を借りて、この『理由』を、『まさに“ドラマとして具体化された、心の琴線に触れる意義深い状況に読者を引き込む小説” “表現と人物造形の独創性”に満ちた傑作』と評しています。さらに『リアリズムでありながら形式上の実験もおこたらず、それが見事な成果をあげている』と。形式上の実験がドキュメンタリー的手法ということで、このスタイルが素晴らしいとのことです。『どの場面も生々しく、事件を語る人々の表情と心理、その興奮と失望と躊躇と怒りが直截伝わってくるし、記述者が変わることによって見る角度がかわり、現代社会の複雑な様相がやおら迫り出してくる仕掛けだ』と。

    長々と池上氏の解説を引用してしまいましたが、まさしく引き込まれました。
    また、前回の『火車』も同様でしたが、この『理由』も社会派小説の側面を持っています。法律関係の知識がないと理解するのに難しい用語などが出てきますが、宮部さんは実にわかりやすく物語で解説してくれています。バブルが崩壊した後の不良債権処理のため大量の不動産を競売にかける中で常に付きまとう『執行妨害』。その中の罪名に『競売妨害』がありますが、この罠にかかってしまったのが、話の冒頭「荒川の一家四人殺し」の重要参考人である石田直澄でした。マンションを競売で落札したにも関わらず、占有屋により邪魔されてしまう。
    裁判所の不動産競売物件は市場よりも破格の安値で売られる物件で、一般人も入札に参加できますが、それでも不動産業者がほとんどでしょうか? 暴力団関係者なども関わってくるみたいです。ここの件りは作中で詳しく書かれており、物語の1番の被害者は誰なのだろうか?と思うにつけ、石田直澄には同情してしまいました。石田は事件の原因は自分にあると後悔し、マスコミにはあらゆることを書き立てられているのですから。

    作中、多くの家族が登場し、それぞれ家族間の問題がリアルに赤裸々に綴られています。フィクションだけどリアリスティック。その中で、共感したり嫌悪したり、同情したり腹がたったり。
    ギスギスした夫婦関係、親子関係、親に振り回される子供など、リアルな存在感で迫ってきます。
    家族の在り方を考えさせられました。

    そして、事件の被害者と犯人は最後の方まで読み進めないと正体が明らかになりません。ジワジワと核心に迫っていき、ついに明らかになった被害者については、あまり記述がなく影が薄かったです。

    それにしても、題名の『理由』の意味がわからなかった( ; ; )
    作中、『理由』という言葉がいくつか出てきます。
    多角的な視点から語られるこの物語、登場人物の行動、それぞれの理由づけがあるということなのでしょうか?
    『「その前になんであたしがまたあの人と会うようになったか、それは訊いてくれないの?」ーー「いいよ。理由は何さ」』
    『八代祐司は、なぜ彼が砂川信夫たちとそんな暮らしをしているのか、理由を説明しましたか』
    など。


    長いお話ではありますが、一読の価値ありです。面白かったなあ。

  • 夢のマイホームとか、夢がマイホームとかの願望がないからなぁ…周りに人いても一人の世界に入れるんで(^^;; あんまり必要性が…そういう話ではないわ!^^;
    マイホーム(=家族の絆?)に拘って、奈落の底へ〜!いくら安いからって、素人が分かりにくい競売物件に手を出すからやん!と言いたくはなる。
    何度も言ってしまうけど、そこまでマイホームに拘らんでもとは思ってしまう。家族が、そんなちっぽけなもんでまとまらんでも…
    色々な家族の色々な軋轢…ミステリーというより、人間ドラマやな。
    段々とそういう人間の絆とかが希薄になって来ている昨今。
    八代裕司の成仏は近いかも…
    嫌やけど…

  • 久しぶりの宮部みゆきさん。いつも何かと表現が細かいわーと思って読んでたけど、この本はその細かい感じが良かった。そうだよね〜人それぞれに生きてきた過程があって、今の事柄に繋がってるんだから、それぞれに理由があるんだよね。

  • ドキュメンタリータッチ
    その意味もわからないくらいの学生の頃に
    一度読み、再読
    映画版も見たけど、逆にドキュメンタリー映像
    っぽい映像になって嘘くさくなってた印象
    芸能人が演じてる役多かったし…

    原作はやはり丁寧に描写されていて
    人々が「取材をし記録した」感があってリアル

  • 直木賞受賞作という事で買った一冊。

    ドキュメンタリー?形式の話しの進みで主人公がいないみたいに感じた。

    事件の内容を書いある部分は興味もてたが、各個人の人物背景まではあまり興味が持てなかった。

    各個人の人物背景を細かく書く事でこの事件の全体の内容がわかるという事で、細かく人物背景まで書いたのかな?とも感じた。

    直木賞受賞作・・奥深い内容だから受賞したのかな?と感じた小説でした。

  • 長いし、暗い、、

    評価1.9
    audible 21時間58分

     事件の起こった高層マンションの紹介から始まる。もちろん事件の詳細も述べられるのではあるが、これが長い。エレベーターの仕組みから、セキュリティまである意味宮部みゆきらしく暗い雰囲気で説明されていく。細部が重要なとこは分かるが、事件の詳細を知る前にちょっと飽きてくる。
     やっと分かったことはどこの誰だか分からない4人の死体。しかも一人は転落してる。これがスタート。
     話はスタートしたがスムーズにはすすまない。次は事件の起こった部屋の持ち主である小糸家の話。これも相変わらずの暗い話で、このトーンで続くのかと思うと小説の行く末が心配になる。
     こんな感じで事件を振り返りながら情報が少しづつまとめられていく。次第に全体像がつかめてくるのではあるが、ついでに述べられる周辺一家の家族背景が重々しくて嫌になる。特に覗き見したくもない姉弟関係、嫁姑問題、若くして子をつくった出戻り娘、親子喧嘩から悪徳不動産を掴まされる父親などの家族問題を知ることと引き換えに事件の情報が少しづつ得られる。皮肉な言い方をすれば、こういうのが作者の得意技のようにも思われる。作者のファンには怒られそうだが、暗い話を我慢するたびに新しい情報を一つ知ることができるシステムに辟易とする。もちろん、この作風が社会派小説としても評価が高いことは分かっているし、こっちが少数派のことも分かる。ただお気軽に楽しく読める本をこよなく愛する僕には苦痛でしかない。もっとお気軽に読みたい、、
     最後までこの雰囲気は変わらず、特に驚きもなく終幕を迎える。いろいろな人に怒られそうだが、一応総括しておくと、暗くて長い話と向き合う非常に苦痛な時間であった。このような小説を評価するような文学的な才能は残念ながら僕にはない。

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著者プロフィール

1960年東京都生まれ。87年『我らが隣人の犯罪』で、「オール讀物推理小説新人賞」を受賞し、デビュー。92年『龍は眠る』で「日本推理作家協会賞」、『本所深川ふしぎ草紙』で「吉川英治文学新人賞」を受賞。93年『火車』で「山本周五郎賞」、99年『理由』で「直木賞」を受賞する。その他著書に、『おそろし』『あんじゅう』『泣き童子』『三鬼』『あやかし草紙』『黒武御神火御殿』「三島屋」シリーズ等がある。

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