模倣犯2 (新潮文庫)

著者 :
  • 新潮社
3.82
  • (552)
  • (714)
  • (818)
  • (46)
  • (10)
本棚登録 : 5682
レビュー : 295
  • Amazon.co.jp ・本 (413ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101369259

作品紹介・あらすじ

鞠子の遺体が発見されたのは、「犯人」がHBSテレビに通報したからだった。自らの犯行を誇るような異常な手口に、日本国中は騒然とする。墨東署では合同特捜本部を設置し、前科者リストを洗っていた。一方、ルポライターの前畑滋子は、右腕の第一発見者であり、家族を惨殺された過去を負う高校生・塚田真一を追い掛けはじめた-。事件は周囲の者たちを巻込みながら暗転していく。

感想・レビュー・書評

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  • かなり厚めの文庫本が全5巻の大部、三部構成になっていますが、2巻から第二部が始まります。

    以下にネタバレがあるかもしれないので、いらんことを書いて間隔を空けておきます。

    ブクログユーザーはみなさん読書好きだと思いますが、ブクログを使い始めるのと読書を始めるのが同時の人(「これからは読書を趣味にしてみよう、趣味にするんだから、PCを利用してつけて読書記録をつけてみよう」みたいな)はいないでしょう。
    では、みなさん「ブクログ以前」の本をどうしているのか、フォローしている範囲を観察すると、これまで読んだ本や手元にある本とは関係なく好きな本、★5の本、読みたい本を登録するブクログ中心派、メディアとしての本にはあまり思い入れを持たず、ブクログ以後の本は本棚登録してレビューを(簡単に)書いて、場合によっては売っちゃう、だからブクログ以前に読んだ本は手元にないことも多く、内容もあまり覚えていない、という断舎利派と、ブクログ以前に使っていたWebサービスからレビューを移行し、ブクログ以前から手元にあった大量の本も登録するというビブリオマニア派の3派閥があるように思えます。

    自分はもちろんビブリオマニア派。
    ブクログ以前の本がまだ3千冊くらいあるなかから、何冊かを選んでブクログに登録し、再読してレビューすることを続けています。
    その「登録再読レビュー」作業で、最初に手をつけたのが宮部みゆきでした。
    ブクログ以前で手元にある著作はすべて登録を済ませましたので再読し、レビューしている最中です。
    この「模倣犯」はその登録・再読レビューの中での最大の山場でした。ボリュームと内容のしんどさに再読開始になかなか取り掛かれませんでしたが、ひとたび始めたらやっぱり夢中になってしまいました。
    このまま5巻まで再読レビューが終われば宮部みゆきの再読も一山越えた感じがします。残り5冊の再読と4冊(かな?)の積読を読了したら、次は誰の本を再読しようかな?

    と、これだけ空ければ大丈夫でしょうか。

    2巻3巻の2冊を使って語られる第二部は、1巻の衝撃のラストで名前が挙がった栗橋浩美(ヒロミ)と高井和明(カズ)の物語。ヒロミが悪、カズが善の悪vs善の戦いが繰り広げられます。
    2巻では特にヒロミに焦点が当てられ、冒頭は1巻末の急展開とは一転、やや静かな感じで始まります。1巻のラストが一刻も早く次の展開を見たくなるものだったので、この辺、初読のときはだいぶ飛ばし読みをしてしまっていたところです。
    しかし、物語は徐々に加速し、彼が道を踏み外すまでの経緯とその後の所業が語られるに至って、その嗜虐的な行為が描写されます。全5巻の中でもっとも読むのがしんどいところで、先を知りたい気持ちと見るに耐えない気持ちに挟み撃ちされながらようやく読み終えることができました。


    ヒロミは今で言う「無敵の人」や「オトナの引きこもり」に近いキャラクターです。あるきっかけから女の子たちを攫って陵辱して殺すという鬼畜の所業にはまり込んだ彼は、女の子たちをだますためになりすました「あちら側」本当のエリートである人間に(自分すらだませるほど)なり切り、いったん本性を現した後はサディスティックに振る舞うことで日頃自分が感じている不全感を麻痺させる、そんな日々を送っています。彼のエピソードは時間軸を前後しながら、彼がそんな所業に入り込んだきっかけと1巻で有馬義夫をいたぶり、振り回した出来事を犯人側から見た様子が描かれています。

    彼をスポイルした生育環境は、ヒロミ視点で語られていることを割り引いても相当異常なものです。今では「毒親」なる言葉ができて説明がしやすくなりましたが、そんな毒親の影響下で過ごした彼が如何にして最初の一歩を踏み出してしまったかを宮部みゆきの筆力でしんねりと繰り返し描かれているうちに、何だか自分まで一緒になって毒されているような気になってきます。
    自分の性格から、この状況を何とか改善できないかという読み方をどうしてもしてしまうのですが、読めば読むほどどうしようもないデッドロック感があります。栗橋家内での王としての地位を確立した彼に対し両親はもはや金を貢ぐだけの存在で歯止めにはなりません。そして、ヒロミと社会との唯一の窓口であるピースはヒロミに輪をかけて異常です。
    そんな状況での感情の暴発により、ヒロミは初めて岸田明美と梶浦舞衣を手にかけ、我に返って助けを求めた先がよりによってそのピースでした。警察に捕まるか、精神の均衡を崩して自滅するか、いずれにしてもカタストロフィ以外にその暴走を止める手立てはないように思えます。

    そこに係わってくるのが第二部の主人公、のろまの「カズ」。
    善代表の彼はヒロミに馬鹿にされ、たかられながらなぜかヒロミの元から去ることなく、それどころか、ヒロミと事件との関わりに気付きつつも、単に警察に告発するのではなく、ヒロミを何とか救い上げようとしている様子さえうかがえます。

    ヒロミの人生には、目を背けたくなるものであっても、先がどうなったか見届けたくなる魔力がある一方で、カズの人生、中卒で親のやっている蕎麦屋を継ぐべく、そこで働いている、彼女もいなければ、テレビでドラマを見るのが楽しみだけの人生は、ヒロミとのかかわりがなければ平凡で退屈なもので、有馬義男が属するのとまったく同じ「善」の陣営の日常は全体としてそんなものです。読者は彼の言動を歯痒く思い、彼の障害(おそらくディスレクシア/識字障害)に同情し、妹や両親やテニス部の先生にちょっと意見したくなっているうちに、すっかり彼に感情移入していることに気づくでしょう。一般的な人の共感とは正反対の側にいるヒロミと並行して語られるのだから尚更です。

    彼らの関係がどうなっていくのか、果たしてカズの想いは届くのか、固唾を呑みながら、結末はもう提示されているのですが、それでもその結末は「どういうこと」なのか、気になって仕方がありません。…やはり再読は正解でした。再読でなければやっぱり飛ばし読みをしてしまっていたような気がします。

    そして、徐々に明らかになってくる核心の人物「ピース」。「純粋な悪」を口にしているものの、どうもずいぶん線が細いように見受けられます。てか、自分の妄想に夢中になって自慢したがるとか、これも最近では適当な言葉があります。「厨二病」です…。


    最後に。
    被害者代表の塚田真一が哀れです。もしああしていたら、もしあんなことを口にしなかったら…。
    彼に減刑の嘆願書名をしろと迫る樋口めぐみは最近の事件でもよく見る「被害者にも落ち度があった」の意見そのものです。
    こうやって見ていると、やっぱり世間というものの恐ろしさを感じます。作者もそんな視点を入れたくて塚田真一を創造したのでしょうけれど、ただ、全体の中で彼のエピソードが浮いているように思ってしまうのは私だけではないのではないでしょうか。
    ここに来て「要素を入れすぎる」宮部みゆきの悪いところがちょっと顔を出してしまったように思えてなりません。

    • kuma0504さん
      こんにちは。「模倣犯」のことではなくて、ブクログ以前をどうするか、に反応してコメントします。

      私もブクログ以前の本がおそらく2千冊程度残っ...
      こんにちは。「模倣犯」のことではなくて、ブクログ以前をどうするか、に反応してコメントします。

      私もブクログ以前の本がおそらく2千冊程度残っています。半分以上は既にアマゾンに載っており、一部重複して半分近くはブログに載っています。全てが載っているウエブサービスはないのです。ブクログは、アイコン?読み取りによって簡単には登録できるし、検索機能もあるという1番利用しやすいメリットがあるので、ブクログに全てを登録すべきだと思っているのですが、そうすると、いつ登録するのか、過去の膨大なレビューはどうコピーできるかという問題があり、ブクログ利用者への迷惑と私自身の時間の無さから実行に移せれていないのです。悩ましい(笑)。

      あ、「模倣犯」も読んではいるのですが、ブクログ登録できていません。
      2019/07/23
    • hanemitsuruさん
      コメントありがとうございます。

      ・「以前」について
      多すぎること、同じ本を再読するのが好きではなかったことから、放置するしかないと思...
      コメントありがとうございます。

      ・「以前」について
      多すぎること、同じ本を再読するのが好きではなかったことから、放置するしかないと思っていた頃もありました。ところが、ちょっとしたきっかけから「以前」の本を再読してみるとこれが面白いのです。
      とにかく先が見たいという雑な読み方をしていたこと、そもそもの記憶力が弱いことから、再読であっても、好きな作家の新作を読むのと同じように楽しめるということがわかったので、ならば登録して再読してレビューしてやろうと思い立ちました。
      ところで、「以前」のもののうち、本の現物があるものはまだいいのですが、借りパクされたり引越しのときに行方不明になったりして、現物がないのに「確か読んだはず」という記憶だけある本が(さらに絶版になっていたりするとなおのこと)一番厄介です。あんなに好きだった星新一や筒井康隆や北杜夫はほとんど散逸して手元になく、小松左京に至っては「さよならジュピター」や「復活の日」のようなほぼ代表作といえるものですら文庫新刊は入手できません。
      幸いネットの発達で古書が簡単に入手できるようになったので、買いなおしも含めてのんびり再読崩しを続けていこうと思っています。先は長いし、人生で読める本の数には限りがあるのは間違いありませんが、目標があるのはよいことだと(無理に)思っています。

      ・Webサービスについて
      フォローさせていただいている方でよく見かけるのが「○○というWebサービスが終了になったのを機にブクログに引っ越してきた」というもの。引越しに当たっては、引越し元のデータを一般的な形で出力(エクスポート)する機能を利用してデータを移行している方が多いようですが、amazonレビューはエクスポートできないのですね…。1,000冊もあると手作業では大変ですね…。

      ちなみに自分がブクログで気に入っているところは、表紙を並べて一覧できる本棚を作れることと、データが出力(エクスポート)できること。これまで、いろいろなWebサービスで痛い目に合わされているので、潰れるときに逃げ出しやすいもの、というのがWebサービスを選ぶときに最重視する要件です(読書メーターではなくブクログを選んだ決め手もこれでした)。
      ちなみにこのこともあって電子書籍を利用する気にはまったくなれません。
      2019/07/23
  • 【感想】
    1巻に引き続き、寝る間も惜しんで読み入ってしまうくらい夢中になりました。

    物語自体の進捗は小休止気味で、1巻ラストに遺体となって発見された栗橋浩美と高井和明のエピソードがメイン。
    2巻の冒頭、「栗橋浩美が初めて人を殺したのは、彼の満十歳の誕生日のことだった。」という一文で、一瞬で引き込まれた。
    (結局、この10歳の時に何があったのか、まだハッキリとした記述はない。ただ、おそらく・・・・)

    栗橋博美の猟奇性と自家中毒という一種の病気について、また高井和明の朴訥というか不器用な様子について。
    様々なエピソードを交えながら2人を主人公として物語は描かれている。
    何故あのような事件に発展したのか?という謎に対する回答は3巻の感想に書くとして、、、
    この2人の青年の最期を知っているだけに、読んでいて悲しい気持ちになった。

    伏線回収に徹した1冊ではあったが、読んでいて本当に面白かったです。
    ただ、まだまだ作中に謎が多く潜んでいる。早く続きが読みたい。


    【あらすじ】
    鞠子の遺体が発見されたのは、「犯人」がHBSテレビに通報したからだった。
    自らの犯行を誇るような異常な手口に、日本国中は騒然とする。
    墨東署では合同特捜本部を設置し、前科者リストを洗っていた。
    一方、ルポライターの前畑滋子は、右腕の第一発見者であり、家族を惨殺された過去を負う高校生・塚田真一を追い掛けはじめた――。
    事件は周囲の者たちを巻込みながら暗転していく。


    【内容抜粋】
    1.栗橋浩美が初めて人を殺したのは、彼の満十歳の誕生日のことだった。
    そのときも「ピース」がそばにいた。ピースが彼に、人殺しのやり方を教えてくれたのだ。

    2.これは初めてのことではなかった。栗橋浩美には、こういう趣味があった。
    近寄ってくる女の前で、その女が夢想するタイプの理想のエリートを演じてみせ、夢が叶って悦びにひたる女を観察して、密かに大笑いをする・・・という趣味が。
    大抵の場合、彼は実にうまく女を騙した。
    彼の手練手管にはまってしまうと、女は自身はそれも知らないうちに彼の共犯者となり、自分で自分を騙し始め、そうして夢を紡ぎ始める。
    栗原浩美はそれを微笑ましく眺め、時には女の夢を補強してやりながら、機が熟すのを待つ。
    女の夢が、充分に壊し甲斐のあるくらいまで強固になるその時を。

    3.栗橋浩美自身が、岸田明美が彼に向かって投影している幻想に惑溺(わくでき)し、その幻想に染まりつつあるということだった。彼自身がその気になってきてしまっているのだ。
    自分で自分を、一色証券の有能な社員であると、社会の有益な構成員だと、「エリート」だと思いこみつつあるのだ。これは立派な自家中毒だった。
    そして、多くの自家中毒患者がそうであるように、栗橋浩美もまだ、自分がそういう状況に陥りつつあることに気付いていなかった。

    4.むらむらと、岸田明美は腹を立てた。しかしその立腹は栗橋浩美に向けられてのものではなく、ほかの女の持ち物である男に図々しく寄りついてくる田舎娘への立腹だった。
    「早く行きましょう。寒いわ」
    栗橋浩美の腕に腕をからめて、女店員から引き離した。対抗心でいっぱいになった心からは、里心も、栗橋浩美への不満も、一時的に消え失せていた。

    最後の退路は断たれた。この瞬間に、岸田明美の運命は決まった。あとは、セットされた時限爆弾が爆発するのを待つだけだ。


    【引用】
    p7
    ・冒頭の一文
    栗橋浩美が初めて人を殺したのは、彼の満十歳の誕生日のことだった。
    そのときも「ピース」がそばにいた。ピースが彼に、人殺しのやり方を教えてくれたのだ。


    p114
    文子はまた、和明と栗橋のあいだには、まだまだたくさんの語られざる真実、秘密の出来事、内緒のつながりがあるんだと、母親の直感で感じた。文子の問いに対する和明の答の余白の部分に、文子には読めない文字で書かれた物語があるのだと。
    (だけど・・・)
    あの子だってもう赤ん坊じゃない。お尻を叩いて白状させるわけにはいかない。これ以上はもう、自然に打ち明けてくれるまで、様子を見るしか手はないんだ。

    そのとき、そんな穏便な道を選んだことを、中学二年生の二学期の我が子・高井和明をつかまえて、叩いて揺すぶって攻め立ててでも真実を吐かせなかったことを、15年後に激しく後悔することになるなど、文子にはまだ想像もつかなかった。


    p159
    これは初めてのことではなかった。栗橋浩美には、こういう趣味があった。
    近寄ってくる女の前で、その女が夢想するタイプの理想のエリートを演じてみせ、夢が叶って悦びにひたる女を観察して、密かに大笑いをする・・・という趣味が。

    彼にあるのは、笑いたいという欲求だった。
    彼を好みの「エリート」だと勘違いして寄ってくる女たちの、その野放図でお人好しな幸せ気分を、腹の底で笑って笑って笑い倒してやりたいという欲求だった。

    大抵の場合、彼は実にうまく女を騙した。
    彼の手練手管にはまってしまうと、女は自身はそれも知らないうちに彼の共犯者となり、自分で自分を騙し始め、そうして夢を紡ぎ始める。
    栗原浩美はそれを微笑ましく眺め、時には女の夢を補強してやりながら、機が熟すのを待つ。
    女の夢が、充分に壊し甲斐のあるくらいまで強固になるその時を。


    p168
    激怒の発作は、来たときと同じように唐突に去った。こういうことが、最近はよくある。
    自分でも何に向かって怒っているのか判らないまま、瞬間的に怒り狂っては冷めるのだ。

    そして、「最近よくあること」はこれだけではなかった。明美から電話をもらった途端、鉢植えの件も、カズからたかりとらない限り金欠状態であることもケロリと忘れ、いそいそと彼女を迎えに来てしまった。こういうことこそ、激怒の発作よりもより頻繁に起こっていた。

    それはつまり、栗橋浩美自身が、岸田明美が彼に向かって投影している幻想に惑溺(わくでき)し、その幻想に染まりつつあるということだった。彼自身がその気になってきてしまっているのだ。
    自分で自分を、一色証券の有能な社員であると、社会の有益な構成員だと、「エリート」だと思いこみつつあるのだ。これは立派な自家中毒だった。
    そして、多くの自家中毒患者がそうであるように、栗橋浩美もまだ、自分がそういう状況に陥りつつあることに気付いていなかった。


    p198
    うんざりだと、岸田明美は思った。
    ヒロミにこんなふうに脅かされ、苛められ、虐げられて、なんで我慢しなくちゃならない?あてがはずれた。あんな男だと思ってなかった。なんてしつこいの。なんて話がくどいの。
    あたしには、もっと優しくしてくれて、あたしのことお姫さまみたいに大事にしてくれて、敬ってくれる男がほかにもいっぱいいるんだから!
    霞んだ鏡に向かって、明美はにこっと笑ってみせた。自信を取り戻しなさい、明美。

    (中略)

    むらむらと、岸田明美は腹を立てた。しかしその立腹は栗橋浩美に向けられてのものではなく、ほかの女の持ち物である男に図々しく寄りついてくる田舎娘への立腹だった。
    「早く行きましょう。寒いわ」
    栗橋浩美の腕に腕をからめて、女店員から引き離した。対抗心でいっぱいになった心からは、里心も、栗橋浩美への不満も、一時的に消え失せていた。

    最後の退路は断たれた。この瞬間に、岸田明美の運命は決まった。あとは、セットされた時限爆弾が爆発するのを待つだけだ。

  • 怖くて胸糞悪い。話の展開がじゃなくて登場人物が。正直ほんとに信じられないくらい言葉に出来ないくらい胸糞悪い人達。ここまで感情揺さぶられるのすごい。だけど一方でどこか栗橋の考えることに共感する部分があったりして怖くなった。怖い。胸の辺りがずんて痛い。家族大切にしたいしなきゃダメだってすごい思わされてる

  • 2巻では、1巻の終わりに自動車ごと転落死した犯人と思われる二人の生い立ちと関係が描かれる
    その一人、栗橋浩美は、亡くなった彼の姉を求める両親のもとで
    愛情をかけられることなく育つ
    「 お姉ちゃんが生きていたらよかったのに。もし生きていたらあんたよりもっといい子になったはず 」 と
    やがて、現世に戻りたいと浩美の身体を狙っている女の子(姉)の亡霊と悪戦苦闘する妄想にとらわれるようになる
    こんな浩美は、人を利用し小馬鹿にし、世の中を斜に見るような青年に育ってしまう

    そんな浩美に小馬鹿にされ利用されていると知りながらも、愚直に従い、理解しょうとする高井和明

    読みながら、浩美から離れろ、ついていくな、また、利用されてしまう!と、兄を心配する由美と一緒になって心で叫んでいた

    個人的には、あんないい人の高井和明を事件に巻き込まないで欲しかった!
    残酷すぎる!

  • 2巻目は事件の新展開は特になく、事件の共犯の1人の素性を明らかにすることで、事件の真実に迫っていき、これをふまえて今後の展開がどうなるのか?が楽しみですね!
    それにしても宮部みゆきはディテールが細かいです。
    2巻目を読み終えて1巻目の最後の話が、どう繋がるのかというのも気になるところです。
    事件の鍵を握るピースという存在が、まさに今後の展開のキーとなり、彼の背景が気になります。

  • ほぼ犯人の生い立ちや、どのようにして歪んだ残虐な人格が形成されていったのかを描いている巻だった。

    どの様に犠牲になった女性たちをターゲットにし、死に至らしめたかのくだりも勿論おぞましくて悪寒がし気分が悪くなったけれど、犯人の子供の頃からの残虐性や、人格の歪みや家庭内の問題などが描き出されている部分を読んでいる時も吐き気すらおぼえるほど気分が悪くなった。

    でもその一方で、「そら歪むわな、、、」と犯人の生い立ちが非常に気の毒で胸が痛んだ。
    彼はただ愛されたかった。自分は存在してもいい人間なんだ、愛されるに値する人間なんだという肯定感がただ欲しかっただけなのだと思う。
    けれど否定される事はあっても、彼に愛が与えられる事は決してなかった。愛情が枯渇し過ぎて限界の線を通り越してしまっていたのだろうと思う。
    その結果色んなものが歪んでしまったのだろう。

    犯人には自分たちが恐ろしい事をしているという実感がなく、自分たちが現実を生きているというリアリティがない様にも思えた。

    殺人までは犯さないまでも、こういうモンスターを胸の内に抱えている人は決して少なくはないと思う。
    この連続殺人は狂気で一見殆どの人間が「自分には関係ない」「自分はこんな事はしない」と思う出来事だろうけれど、いじめや虐待、身近な人間に対する暴力や支配(たとえ本人は相手の為と思って言ったりやったりした些細な事であったとしても)にも通ずるものがあるし、誰にでもこの犯人の様な怪物に成りうる可能性はあるのだと感じた。

    この作品は1996年の設定だけれど、今の世の中の方がより一層この狂気に近づいている様な気がする。

  • 内容(「BOOK」データベースより)
    真犯人Xは生きている―。網川は、高井は栗橋の共犯者ではなく、むしろ巻き込まれた被害者だと主張して、「栗橋主犯・高井従犯」説に拠る滋子に反論し、一躍マスコミの寵児となった。由美子はそんな網川に精神的に依存し、兄の無実を信じ共闘していたが、その希望が潰えた時、身を投げた―。真犯人は一体誰なのか?あらゆる邪悪な欲望を映し出した犯罪劇、深い余韻を残して遂に閉幕。

  • 恐怖の描写がリアルで、読んでて怖くなります。

  • いよいよ、栗橋浩美、ピースという犯人二人組が登場。浩美は、しがない薬屋の息子、幼稚で屈折した人格、そしてゾッとするほど残忍で邪悪、頭の回転は早い。ピースは浩美の同級生、父親が転勤族で裕福な家庭。頭脳明晰で冷静沈着だが、本名を含め未だ正体不明。

    浩美は、大川公園で見つかった手の持ち主の女性、古川鞠子、日高千秋の殺害以前に、岸田明美、嘉浦舞衣の二人を殺害していて、一連の猟奇殺人はどうやら「゛連続殺人者゛の幻の陰に隠れて、岸田明美、嘉浦舞衣殺しという過去の動かし難い事実から逃れることが目的」で行ったようだ。だが、少なくとも浩美は、舞台演出家として登場人物(被害者の家族や警察、マスコミ関係者)を選び、「くすぐり」で弄び、踊らせ、混乱させ、苦悩させることに酔いしれている。だからこそ、綻びも見えてきている。

    犯人の片割れ、浩美の邪悪さには吐き気を催すほどだが、真に恐ろしいのは、正体不明のピースの方なのかもしれない。

  • 登場人物たくさんいすぎて、これ誰だっけ?ってなった

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著者プロフィール

宮部 みゆき(みやべ みゆき)
1960年、東京都生まれ。1987年に「我らが隣人の犯罪」でオール讀物推理小説新人賞を受賞し、デビュー。1992年『龍は眠る』で日本推理作家協会賞、1999年には『理由』で直木賞、2002年『模倣犯』で司馬遼太郎賞、2007年『名もなき毒』で吉川英治文学賞など、数々の文学賞を受賞。大沢オフィス所属。日本推理作家協会会員。日本SF作家クラブ会員。直木賞、日本SF大賞、小説すばる新人賞、河合隼雄物語賞など多くの文学賞で選考委員を務める。『模倣犯』や『ブレイブ・ストーリー』など、多くの作品がドラマ化や映画化などメディア・ミックスされており、日本を代表するエンターテインメント作家として人気を博している。2019年7月10日『さよならの儀式』を刊行。

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