孤宿の人(上) (新潮文庫)

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  • 新潮社
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レビュー : 282
  • Amazon.co.jp ・本 (493ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101369310

作品紹介・あらすじ

北は瀬戸内海に面し、南は山々に囲まれた讃岐国・丸海藩。江戸から金比羅代参に連れ出された九歳のほうは、この地に捨て子同然置き去りにされた。幸いにも、藩医を勤める井上家に引き取られるが、今度はほうの面倒を見てくれた井上家の琴江が毒殺されてしまう。折しも、流罪となった幕府要人・加賀殿が丸海藩へ入領しようとしていた。やがて領内では、不審な毒死や謎めいた凶事が相次いだ。

感想・レビュー・書評

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  • 丁寧に作り込まれた世界観と、登場人物一人ひとりの多彩な人間味が揃った傑作だと思います。
    また、張り巡らされている伏線がしっかり回収されていくスピード感があり、あっという間の上下巻でした。

    時代小説ですが、読みにくさはないので、このジャンルを避けいてる人にもおすすめです。

  • 宮部さんの歴史背景の本はなぜか敬遠していたのだが、本屋で積んであったので久しぶりに手に取る。

    圧巻。素晴らしい。
    なぜ敬遠していたのか自分を呪ったぐらい(笑)

    「ほう」という女の子が主人公で、望まれないで生まれ、疎まれて、あちこちに奉公に出され、やっとたどり着いた地で、いろいろな事件に巻き込まれ、いろいろな人に悪く言われ、でももともとのほうの素直さで乗り越えて生きていく物語。
    私は常々、歴史物を見ていると「この時代の人の命は軽く思われているんだな」と思っていたのだが、本作もそういうところが良くも悪くも上手に描かれている。
    ほうもそれを目の当たりにしていくわけで、その出会いと別れと、その時のほうの気持ちが痛いほどわかり、涙なくして読めなかった。

    最後に、
    かなりオススメ。
    上下巻と長く、難しい表現も多いので時間がかかりそうだが、読み始めると引き込まれる。
    内容も深く、「頑張ろう」と思える作品。

  • 江戸時代の殺人事件

    もや〜として話は進む最後は衝撃的

    ほうが可哀想な子なんだけど…

    あたたかい人達が守ってくれて良かった。

  • ずっと家にあったけれども1度もきちんと読んだことがなかった本。初めてしっかり読んだけど、宇佐やほうが不甲斐なくって

  • 江戸の大店萬屋の若旦那が女中と関係を持ったことで生まれたほう。だが母は死に、店からは疎まれ(ほうの名前が阿呆からつけられたほど)、母の祟りを祓うためといって江戸から金比羅代参にいった途中の丸海藩の地で捨て子のように置き去りにされてしまう。しかしその他で藩医を勤める井上家に引き取られ、初めてほうは人の暖かさに触れる。
    だがそれも面倒を見てくれた琴絵が毒殺されたことで終わりを告げる。毒殺の犯人は分かっているのだが、丸海藩の存続に関わる問題のため表沙汰にすることはできない。真相を知る幼いほうは井上家を出され、ふたたびひとりになってしまう。そのほうを哀れに思った引手の宇佐が面倒を見るが、宇佐も厄介ごとに巻き込まれ、、とひたすら暗い展開の多かった上巻。幕府の要人であった加賀様が流罪で丸海藩にきてから立て続けに起こる事件。謎は深まるばかりであり、下巻でどう回収されるのかとても気になる。

  • 穏やかな土地柄である讃岐国・丸海藩。幕府の要人・船井加賀守が流刑で入領される前後から、領内で連続不審死事件が起こる。
    宮部さんの人物描写に唸る。不幸な生い立ちのほうをはじめ、引き手の宇佐に役人の渡部。医者の舷州と啓一郎親子に嘉介親分。脳内映像で人物像と折々の季節の情景が浮かんでくる。不穏な空気に包まれたまま前編が終わった。後編では心からの笑顔を見せるほうが見たい。

  • 久方ぶりの宮部作品。最初時代小説らしからぬ「セリフまわし」に少し戸惑った感なきにしもあらずだったが、読み進めるにつけ徐々に宮部ワールドに引き込まれていったという感じ。題名の「孤宿」に住む人物は、周りの人々からあれこれ想像されて語られるだけで未だその姿を具体的に現さないが、さてこの後どうなるのだろう。下巻での展開が楽しみ。

  • 天涯孤独の身である女の子ほうとその周りの人々が藩に政府役人が流罪されたことをきっかけに過酷な運命に翻弄されていく様子が上巻では描かれます。

    丁寧に描かれる町の様子や藩がおかれた状況の説明もあって話の動きだしは遅い感じですが、宮部さんらしくやはり登場人物たちの描写が丁寧!
    ほうとほうを預かることとなる引手の宇佐とのやり取りや、途中から大きく見方の変わった登場人物もいてそういう点もいいのですが、特に心に迫ってきたのは登場人物たちが大きな権力による思惑を前にどうしようもない状況に置かれてしまう様子がとてもやるせなく架空の出来事とは思いながらも非常に悔しい思いになってしまいました。
    特にほうの人生は苦しいことばかりで、どうにかしてあげれないのかなあ、と終始思いっ放し。

    上巻では重たい雰囲気のまま下巻に続いていったのでここから登場人物たちにどんな運命が待ち受けているのか、少し不安を抱えながら読み進めていくことになりそうです。

  • 長編でしたが、最初から引き込まれてしまった小説でした。

    というのも、学のない主人公に根気よく、あたたかく生活の知恵や文字を教える大人たちがいるからです。
    ほんとうに、涙が出るほどにあたたかい導き方でした。
    それは真に広く深い知識を持っているからなのでしょうか。それとも性格?

    覚えの悪い子にものを教えるって、とっても大変なことなんですよね。
    三秒前に頭の中に存在したはずなのに、何度繰り返しても忘れられてしまう、教えた内容。
    思わずもれてしまうため息が、目の前の子を傷つけたと気づき後悔する瞬間。思い出します。
    ・・いえ、これが子どもならまだ笑えるのだけど、すでに成人した若者にとなると、ねえ。(苦笑)

    でも、教えるということは、教える側にも力を与えてもらえるものです。
    この作品の中でも、「生きることをやめてしまいたい」と考えている人物がそうなりました。
    無学で賤しい身分の主人公に出会った高貴な身分のこの人物が、ひょんなことから主人公に手習いを教え始めた時から健康面に不安がなくなり始めるのです。


    ものを考えること、学ぶことの大切さを教える者のこと、
    自ら考えることなく噂や他人の考えに流される者のこと、
    純粋であるが故の愚かさ、尊さ・・・
    いろいろなことを考えさせられ、気づき、省みながら読み進め、何度も号泣しつつ、
    ついに読了しました。

    最近は、身体を動かす方面にばかり気を取られて 書くことから遠ざかっていたからでしょうか。
    心の内に悲しくも温かいものがこんなに広がっているのに、それを言葉に表すことができません。
    主人公の「ほう」が「阿呆のホウだから、自分が何を考えているのかも伝えられないのだ」と歯がゆく思う気持ちと同じことを感じています。

  • 江戸から金比羅代参に連れ出された九歳の「ほう」は、讃岐国 丸海藩で捨て子同然に置き去りにされた。
    幸いにも藩医を勤める井上家に引き取られるが、面倒を見てくれていた琴江が毒殺されてしまう。
    一度は引手見習いの宇佐と暮らすが、丸海藩へ流罪となった幕府要人・加賀殿の下女として働くこととなる「ほう」。
    悪霊がいる、鬼が棲むという涸滝の屋敷で「ほう」は無事にすごすことができるのだろうか。


    人の命がとても軽く扱われる時代、何が良いことで何が悪いことなのかわからなくなります。

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著者プロフィール

宮部 みゆき(みやべ みゆき)
1960年、東京都生まれ。1987年に「我らが隣人の犯罪」でオール讀物推理小説新人賞を受賞し、デビュー。1992年『龍は眠る』で日本推理作家協会賞、1999年には『理由』で直木賞、2002年『模倣犯』で司馬遼太郎賞、2007年『名もなき毒』で吉川英治文学賞など、数々の文学賞を受賞。大沢オフィス所属。日本推理作家協会会員。日本SF作家クラブ会員。直木賞、日本SF大賞、小説すばる新人賞、河合隼雄物語賞など多くの文学賞で選考委員を務める。『模倣犯』や『ブレイブ・ストーリー』など、多くの作品がドラマ化や映画化などメディア・ミックスされており、日本を代表するエンターテインメント作家として人気を博している。2019年7月10日『さよならの儀式』を刊行。

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