ソロモンの偽証: 第I部 事件 上巻 (新潮文庫)

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  • 新潮社
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  • Amazon.co.jp ・本 (515ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101369358

作品紹介・あらすじ

クリスマス未明、一人の中学生が転落死した。柏木卓也、14歳。彼はなぜ死んだのか。殺人か、自殺か。謎の死への疑念が広がる中、“同級生の犯行”を告発する手紙が関係者に届く。さらに、過剰報道によって学校、保護者の混乱は極まり、犯人捜しが公然と始まった――。ひとつの死をきっかけに膨れ上がる人々の悪意。それに抗し、真実を求める生徒たちを描いた、現代ミステリーの最高峰。

感想・レビュー・書評

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  • 【感想】
    映画にもなった宮部みゆきの超大作、「ソロモンの偽証」。
    文庫版だと6冊に及ぶ長編ですが、ようやく6分の1読了しました!
    (かなり前に映画版を観たのですが、内容全く覚えていない・・・笑)

    学校内で発生した同級生の転落死の謎を、生徒のみによる校内裁判で追求しようとする中学生たちを描く物語。
    物語の節々にアナログな表現が多々あったので、バブル終末近くの1990年代あたり?
    文庫の発行が2025年頃だったので、「なぜ時代背景が1990年代なのかな~」とそのタイムラグを不思議に思いましたが、原作自体は2002年に小説新潮にてスタートしたらしいです。
    (それでもタイムラグあるけども・・・)

    時代が時代なだけに、中学生ヤンキーの粗暴な感じや校内暴力などがガッツリと描かれていました。
    僕の中学時代は2000年はじめ頃ですが、地元には中学生ヤンキーがいっぱいいたな~
    ただ、大人になって思いますが、中学生のヤンキーって大人からしてそんなに怖いものなんですかね?
    中学生なんてまだまだ子どもですし、腕力ひとつとってもいざとなったら絶対に大人のほうが強いでしょ(笑)
    このご時世なので、さすがに体罰で粛清することはできないでしょうが、、、「中学生にビビる大人」という構図には納得できないなぁ。

    全6巻もあるので、1巻目は登場人物それぞれの背景や性格など、本当にサワリだけでした。
    なので、まだまだ面白いかどうか、全貌は読めませんね・・・
    伏線がかなりあるため続きは気になりますが、1巻目からのインパクトは今のところあまり感じられませんでした。



    【あらすじ】
    クリスマス未明、一人の中学生が転落死した。
    柏木卓也、14歳。彼はなぜ死んだのか。殺人か。自殺か。
    謎の死への疑念が広がる中、“同級生の犯行”を告発する手紙が関係者に届く。

    さらに、過剰報道によって学校、保護者の混乱は極まり、犯人捜しが公然と始まった。
    一つの死をきっかけに膨れ上がる人々の悪意。それに抗し、死の真相を求める生徒達を描く、現代ミステリーの最高峰。


    【メモ】
    p229
    なぜかしら今、涼子は柏木卓也が怖い。とてもとても怖い。
    早くあたしから離れて。そう願う。
    でも、彼が離れていかないことも知っている。
    そう、正確に言うならば、柏木卓也は涼子に憑いたのではなく、元々あった涼子のある一面を掘り出したのだ。
    死によって。


    p429
    幼さは、若さは、すべて同じ弱点を持っている。「待てない」という弱点を。
    事を起こせば、すぐに結果を見たがる。
    人生とは要するに待つことの連続なのだという教訓は、平均寿命の半分以上を生きてみなければ体感できないものなのだ。
    そして、うんざりすることではあるけれど、その教訓は真実なのだと悟るには、たぶん残りの人生すべてを費やすまでかかるのだ。

    三宅樹里も待てなかった。
    だから、自分ではよく考えているつもりでも、その思考は上滑りしているだけだった。

  • 祝・文庫化☆
    中学生の転落死を発端に描く大長編~宮部みゆきの話題作。
    現代ミステリは5年ぶり?
    さすがの描写力で、長さを感じさせません。

    雪が積もったクリスマスの朝、中学の裏庭で2年生の柏木卓也の遺体が発見された。
    屋上から転落死したらしい。
    一ヶ月前に不良グループ3人と揉めた後、不登校になっていた。
    大出俊次をリーダーとする不良グループのせいという噂も流れるが、卓也の親が自殺と認めるような発言をしたことから沈静化する。
    ところが、連鎖するように事件は起き続けて‥
    大出の父親は横暴なタイプで、世間に対してはむちゃくちゃな態度で息子をかばうが、家では暴君という。

    同級生の急死に女子は泣くが、クラス委員の藤野涼子の目は乾いていた。
    友達ではなくほとんど知らなかったためだが、自分が冷たいのかと内心悩む。
    剣道部でも活躍する文武両道の涼子のりりしさはすっきり輝いていて、親子関係も含めて、重い話の希望になっていますね。
    優等生(しかも美人)は嫉妬されることもあるけれど。

    柏木卓也が頭はいいが超然とした孤立しがちな性格だったので、教師達は家庭訪問を重ねてはいたが、あまり急いではいなかった。

    大出らにいじめられていた三宅樹理は、柏木が突き落とされるところを見たという告発文を作成、学校と、担任の森内恵美子と、藤野涼子に送りつけます。
    藤野の父・剛は警視庁の捜査一課の刑事で、娘に来た見るからに不審な手紙を開け、学校へ向かいます。

    森内はモリリンとあだ名される若い教師で、男子にアイドル的な人気はあった。
    校長らが生徒のことを考えて伏せたことも裏目に出て、学校側のことなかれ体質が批判を浴びることにも。
    相次ぐ事件が噂ばかりで解明されないことに憤りを感じた涼子は‥?

    一人々々がそこにいるかのようにありありと描写されていきます。
    それぞれの家にある思いがけない事情。
    親の影響を強く受け、意志は持ち始めていても上手く伝えるすべも知らない子供達。

    時代がバブル末期の1990年という設定なので、まず携帯が出てきません。
    他にどんな意味があるのだろうか‥?
    いじめの質やスクールカーストは違うのでしょうか。
    重い内容だけど、重苦しすぎることはなく、先が知りたくなるばかり。
    さすが宮部さんというか~最近のものでも、かなりいいほうですよね。

    それぞれの弱い面悪い面はしっかり出てくるけれど、そうなった理由もさりげなく描かれ、していない罪を噂される理不尽さからは解き放たれることに。
    最後まで筆裁きの密度は落ちませんよ!

  • 全巻読了。
    重たい、辛い、なんとも言えない。中2のナイーブさと、厚顔無恥と、大人の傲慢と無責任さと、自意識過剰な人々の織りなす悪意の連鎖。読んでて辛いし、この設定で宮部みゆきは何を描きたいのかと気になったことだけが、読み続ける動機となった。が、こういうネタバレ的な展開はミステリーなのかと疑問を持ちどうもしっくりこない。6巻全て一気読させられたのは、筆者の力なのだろうけれども、自分の求めるエンタメ観や世界観には合わなかった。
    死んだ松子やその両親が酷すぎて、少しも報われてないし、津崎校長が失策を犯したとは思えないし、加害者となった者達が償えたものは何なのかもわからずモヤモヤして読後もスッキリ出来ず、時間がたって残りのみんなは仲良く大人になりましたっていうのは無責任な感じがして、唖然とする。何とも救いが得られずに後味の非常に悪い物語であった。

  • 全部で三部に分かれており、各部が二冊で構成されている。全部読むと、六巻の物語を読むことになる。読み始めるには長さが気になる。
    しかし、読み始めたら、乗せられるようにぐいぐい読めてしまうのが宮部みゆきなのだろう。特にこの物語はそうである。的確でわかりやすく、かつ緻密な心理描写。リズム感のある文章。登場人物もいちいちキャラクターが立っている。
    物語はまだ1/6が進んだに過ぎない。しかもさまざまな人物の視点から語られる物語は、決して直線的ではない。いろいろなエピソードが絡まりながら、やがて一つの物語の軸に収れんされてゆくのだと思う。
    ここまで読んだだけでは、十分な感想は書けない。ただ、六巻からなる物語も、さほど長いとは感じなくなった。この先が楽しみだ。

  • 90年の12月24日、そのとき30歳の誕生日を前日に迎えたばかりの宮部みゆきは何をしていただろうか。長編3作目SFサスペンスの「龍は眠る」を一生懸命書いていたのだろうか。それとも、後に社会派の傑作と言われる「火車」の構想を練っていたのだろうか。私には、何故か彼女には世の独身女性が謳歌していたはずのバブル期のクリスマスイブのイメージが湧かない。あの夜の寒々とした風景は、彼女の記憶だった気がする(←失礼だなぁ)。宮部みゆきがこの夜を起点にしてこの長編を書き始めたのは、この日がバブル崩壊前夜だけとは思えないのだ。もちろん彼女には異才とも言えるカメラアイ(昔の記憶を細部に渡るまで表現して見せる能力)があったので、24年前のこの夜の雰囲気はいくらでも再現出来た。

    冒頭の数ページは、まるで独立した短編だ。小林電気店の主人は長いこと電話ボックスで話をしていた中学生の男子が気になって仕方なかった。

    三つの事件以来、修造は、この電話ボックスで起こる出来事はー特に、若者たちを巻き込んで起こる出来事はーどんどん世間から離れて穏和な老後を送ろうとしている自分たち夫婦にとっての貴重な"窓"なのだと考えるようになった。そこから見えるものは、どれほど信じ難くてもたぶん真実で、ひょっとすると時代の最先端の心情なのかもしれない。ただしその"最先端"は、怖ろしく先が鋭いが脆いものでできており、ある限られた期間だけ、時代の流れの一端がそこにあるのだろうけど、けっして長続きはしない。というより、ここに映し出される心情が長続きして一般化するような社会だったら、それはもはや社会とは呼べないのだろう。少なくとも、昭和7年生まれの修造は思う。(12p)

    だから、修造はそのときの男子の服装、仕草、か細い言葉をすべて覚えていた。まるで戦争のときに死に別れた母のときのように、ふと振り返った男子の表情まで。

    修造さんの観察はおそらくずっと後々まで発掘されることはないだろう。また、この男子ー柏木卓也くんが自殺だったのか、殺人だったのか、その決定的な証言になり得るかどうかは、また別の話となる。「模倣犯」以来の新潮文庫の大長編、じっくりと楽しみたい。
    2014年9月27日読了(なお、4巻まで読み進んでいる今、ここに書いていることの一部分を訂正しなくちゃいけないことになっているが、あえてこのまま載せる14.10.11記す)

  • 積読がまだあるのに、とうとう手を出してしまった宮部みゆき畢竟の大作(←誤用だって書いてありました。「畢生の大作」が正しいらしい)。年末年始は少し時間が取れそうなので気合を入れて大長編に手を出してみようか、と思って買ってみたのですが、いったんページを開いたらもう閉じられなくなって、2日間で全6巻を一気読みしてしまいました。
    その後、気を落ち着けて2回目を読んでから、これを書いています。




    以下、ネタバレあります。
    できるだけ興を削ぐようなことは書かないように気を付けます。でも例え粗筋であってもネタバレと感じる人はいると思いますので、ある程度はご容赦を…。




    とにかくもう圧倒的な筆力です。
    鼻面を取られてラストまで引きずり回されました。目を離すことができませんでした。「模倣犯」以来の経験です。
    サイコパスがいるわけでもなければ、密室事件が鮮やかに解き明かされていくわけでもないのに、ストーリーの牽引力に捕まって最後まで解放してもらえませんでした。

    そのストリーテリングの出力を全開にして、各巻500ページを超える文庫を6冊も使って語られたのは、クラスメイトの死にまつわる「真実」を解き明かすため、中学3年生たちが開いた「学校内裁判」の顛末です。

    初め、裏表紙の粗筋を見、amazonの紹介文を見ても、これがどんな話なのか、自分には全くピンときませんでした。同級生の死の真相を知るために、まではともかくとして、その後に続く言葉が「学校内裁判」。
    何で?同級生の死の真相を知るために探偵役の中学生が活躍するお話、じゃないの?どうしてそこで裁判??だいたい、学校での裁判って言葉で連想するのは、「〇〇君はいつも掃除中にさぼっていていけないと思います」っていう吊し上げか、「みんな目をつぶって。給食費を盗った者、怒らないから手を挙げなさい」っていう魔女狩りで、いずれにしてもいい印象は全くありません。

    でも、ラストまで読んで、なるほど、こりゃ「学校内裁判」と紹介したくなる、そう紹介するしかないな、とようやく腑に落ちました。

    まず、作者はなによりリーガルサスペンスが書きたかったのでしょう。作中での、野田健一の台詞の中に「裁判小説」として知られる大岡昇平の「事件」の名前が挙がっています。
    法廷ものを盛り上げるために、何としても日本の法廷に陪審制を登場させたい。そのためには「学校内裁判」は格好の舞台装置です。
    中学生の課外活動で「同級生の死」について模擬裁判をやる、という相当突飛な設定を、抜群の筆力と大部の頁数を使って丁寧に語ることで、そこに不自然さを感じさせずに真相が暴かれる過程にのみに目を向けさせるという離れ業を、作者はこなしています。
    時はバブル真っ盛り、場所は東京の下町。いずれも使い慣れたお得意の場面なので、舞台に説得力を持たせることに一役買っています。

    捜査権はもちろん、ノウハウも持ち合わせない中学生がかなり踏み込んで事件の事情を調べることについては、主人公が「刑事の子」であるという設定を引っ張り出してつじつまを合わせています。
    ティーンズを主役級に据えるのが(たぶん)好きな宮部みゆきですが、日本のティーンズには「日常の謎」を超える事件を扱う能力が普通はありません。そこで、超能力だったり、ピッキングのような特殊能力だったり、猟銃のような武器を持っていたり、舞台が異世界だったりと、あれやこれやと力を与えようとするのですが、ご都合主義と紙一重に見えたり、逆に与えられた力が小さすぎて主人公は警察の捜査の進捗をただ聞くだけだったり、巻き込まれて右往左往するだけだったり、と、掛け値なしに大活躍できる主人公がなかなか出てきませんでした。
    今回の主人公が持たされている力は、親が警視庁の、それも捜査一課の刑事であること。
    藤野涼子はずいぶんと機密性が高そうな情報を父から仕入れるのにとどまらず、父の口添えで所轄署の刑事から事件の事実関係をまとめた書証を入手したり、その掲示を学校内裁判に証人として召喚したりしています。
    さすがに、ずいぶん口の軽い捜査一課の刑事さんや、お人よしの所轄署の刑事さんがいたもんだと思ってしまいますが、そのあたりまで読み進んだ頃には、作者の繰り出す筆力に折伏されて、それくらいのことは気にならなくなっています。

    さらに、学校を舞台にしたことは、参加者である中学生やその保護者といった「素人」に説明するという形をとって、法廷劇の読みどころが作中に解説されているという大変親切なリーガルサスペンスとなっています。
    検事がどういう意図で証人に質問し、陪審員にどういう印象を与えようとし、その意図を弁護側がどうやって覆そうとしたのかが作品中に説明されていることはなかなかないのではありますまいか。

    加えて、当然ながら主人公(はやっぱり藤野涼子、でいいですよね?)をはじめとした多くの登場人物が中学生であることで、この作品はジュブナイルになっています。不良、優等生、いじめられっ子、一人ひとりが丁寧に描写された上質のジュブナイルです。
    もっと言えば、その未熟で多くの問題を抱えた登場人物(中学生以外の人も)が、この裁判を通じ、心の裡を吐露し、言いたいことを言い、人の言い分を聞き、そして成長したり、一歩を踏み出したりする、群像劇にもなっています。

    これだけ多くの要素を盛り込みつつ、初期作品に多い「盛り込みすぎ」の印象が全くありません。作者52歳、デビュー25年の脂の乗りきった時期に書かれた、代表作でしょう。



    文庫1巻目は「第I部 事件」の上巻。
    主人公たちがまだ中学2年生のクリスマスイブの翌朝、2年A組の柏木卓也が死体で発見されるところから「事件」が始まります。
    卓也が事件前しばらく不登校だったこと、そして警察の捜査で不審な点が発見されなかったことから、いったんは自殺として処理された事件は、しかしこれだけでは終わりませんでした。不登校の直前に彼とトラブルがあった札付きの不良、大出俊次達3人が卓也を屋上から突き落としたとする「告発状」が届いたのです。

    単純な自殺かと思われた事件は、この後縺れに縺れていきます。
    卓也の死の真相以外は、読者がほぼすべての動きを知ることができる形で話が進んでいきます。登場人物達がそれぞれの思惑で事件に関わり、そのせいで糸が絡みに絡むのを手をつかねてみることしかできない立場から舞台の上を見せつけられることになります。

    さらに、登場人物たちはそれぞれに重たい事情を抱えています。
    弟を疎ましく思っていた柏木宏之、心を病んだ母と人生をリセットしたい父に挟み撃ちにされている野田健一、自分が自分であることに絶望している三宅樹里。気楽そうな倉田まり子でさえ、出来のいい弟との仲がうまくいっていません。

    どんどん混迷の度を深める「事件」、思い詰めていく登場人物たち。第1巻を支配する空気は「不穏」さです。
    読者としては、野田健一の首根っこをつかんでこちらに引き戻したい、三宅樹里によい皮膚科を紹介してやりたい、垣内美奈絵にこんこんと説教をしてやりたい、そして大出勝・俊次に天罰が下ればいいのに…。そんなことを思いながら事態の推移を見守るしかないのです。

    そんな中、1巻のラストで、野田健一の前に光が差したかもしれません。「黄金の魔法」は消えてしまったのかもしれませんが、でももしかしたらこの出会いは彼にとって蜘蛛の糸なのかもしれない…と思いつつ2巻に続きます。


    なお、一度6巻まで読み終わってからすぐに読み返していますので、伏線や手掛かりを探しながらの再読となります。ミステリとしては「長い長い自白の物語」だったと思います。ミスリードを誘う仕掛けを見つけるのが楽しいですね。

  • 相変わらず、宮部みゆきのミステリー小説には引き込まれてしまう。全六巻に及ぶ大作の第一巻であるが、綿密に練られ、細部まで丁寧に描かれているように思う。しかし、まだ物語は始まったばかり。この先、どういう展開を見せてくれるのだろうか。

    クリスマスに発見された14歳の中学生の転落死体…様々な憶測と疑念が渦巻くものの、真相は見えて来ない。

  • 相変わらず、細かな心理描写が続く宮部みゆき節。
    皆がちょっとずつ邪悪なのが、人間。

  • 私たちが生きる社会は、大人も子供も大して変わらない。差別や区別はそこら中に転がっているし、誰だって自分が一番可愛い。自分を騙しながら、時には自己嫌悪で傷つけながら、他人と自分を比べ、価値を擦り合わせ、居心地の良い場所を選んで生きていく。大人と子供で決定的に違うのは、その社会の大きさと、感情の濃さだろう。学生にとっては「学校」が社会の全てであって、その小ささゆえに感情の密度も濃い。外側に、あるいは内側に向かうエネルギーが、大人のそれよりも切実で、重くて、刹那的だ。

    誰もが体験しただろうあの頃の感情を、そのベクトルを、軽薄なのにとてつもなく重いややこしさを、ものすごく的確に、かつ端的に、見事に表していると思う。説明しすぎず、感情的にもならない、冷静で計算され尽くされた文章が読んでいてとても心地良い。

    さすが宮部みゆき、当たり外れがない安定感。まだ6分の1だという安堵と期待で駆け足になりそうだけど、この先もじっくり読みたいと思う。

  • ソロモンの偽証(第1部事件上巻)(新潮文庫)
    著作者:宮部みゆき
    発行者:新潮社
    タイムライン
    http://booklog.jp/timeline/users/collabo39698
    WOWOWプライム:22時00~
    放送開始日:2021/10/3
    日曜日放送スタート
    公式サイト:
    https://www.wowow.co.jp/drama/original/solomon/

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著者プロフィール

1960年東京生まれ。87年「我らが隣人の犯罪」でオール読物新人賞を受賞。『龍は眠る』(日本推理作家協会賞)、『本所深川ふしぎ草子』(吉川英治文学新人賞)、『火車』(山本周五郎賞)、『理由』(直木賞)ほか著書、受賞歴多数。

「2021年 『ブレイブ・ストーリー 下』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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