悲嘆の門(上) (新潮文庫)

著者 :
  • 新潮社
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本棚登録 : 1483
レビュー : 86
  • Amazon.co.jp ・本 (370ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101369426

作品紹介・あらすじ

インターネット上に溢れる情報の中で、法律に抵触するものや犯罪に結びつくものを監視し、調査するサイバー・パトロール会社「クマー」。大学一年生の三島孝太郎は、先輩の真岐に誘われ、五カ月前からアルバイトを始めたが、ある日、全国で起きる不可解な殺人事件の監視チームに入るよう命じられる。その矢先、同僚の大学生が行方不明になり……。〈言葉〉と〈物語〉の根源を問う、圧倒的大作長編。

感想・レビュー・書評

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  • 今年のお正月文庫は、この上中下三巻になりそうだ。「英雄の書」の続編らしいが、今のところ、あの書の登場人物どころか、異世界への入り口も現れてはいない。

    むしろ、アルバイト仲間の失踪の謎を解き明かそうとする大学一年生の三島孝太郎くんや、お茶筒ビル屋上にあるガーゴイル像が動くという謎を解き明かそうと動き出した元刑事の都築茂典氏の描写を含めて、連続する猟奇事件の怪異といい、極めて「模倣犯」などの現代小説のスタイルを保っている。

    しかしながら、起きている出来事は、直ぐにでも異世界に入って行きそうなことばかり。果たしてどう決着つくのか。

    子供の貧困、裏サイトでのイジメ、等々、現代社会の闇を背景に映しながら、それとは違う景色が出てくる予感がある。

    第一章の山科社長と孝太郎くんとの会話の中に、おそらくこの作品のテーマが隠れている。あのシリーズの続編だとしたならば、だ。

    「溜まり、積もった言葉の重みは、いつかその発信者自身を変えてゆく。言葉はそういうものなの。どんな形で発信しようと、本人と切り離すことなんか絶対にできない。本人に影響を与えずにはおかない。どれほどハンドルネームを使い分けようと、巧妙に正体を隠そうと、ほかの誰でもない発信者自身は、それが自分だって知っている。誰も自分自身から逃げることはできないのよ」
    うちのおふくろだったら〈やったことは身に返る〉という言い回しをするだろうと、孝太郎はふと思った。(176p)

    今年は、ネットで言葉巧みに自殺願望者を誘いこんでいた、連続猟奇殺人鬼も登場した。小説の世界が現実化するスピードが速くなっている。
    2017年12月14日読了

  • サイバーパトロール会社。裏サイトでのいじめ。連続猟奇殺人事件。次々に消えるホームレスたち。動きだすガーゴイルの像。好きすぎる要素が満載すぎてイッキ読み。
    この先、ファンタジックな展開になったとしても最低限の満足度は得られそう。この上巻だけでいえば文句なしの★5。

  • 元刑事で引退して、地域の防犯担当になっているおやじとサイバー関係を調査する会社でアルバイトをしている学生とが、タグを組むのか?この連続していなくなっている最近の事件と幽霊ビルの屋上にあるオブジェは、何なのか?これからの展開がどきどきするような上巻でした。早速次を読まないとわからない。

  • 切断魔の殺人事件が連続し、ミステリー小説かと思い読み始めたら、動く怪物像とか何やら、ファンタジー小説の体をなしてきた。
    この作品は『英雄の書』の続編のようで、そちらを先に読むべきだったか。
    ともかく、著者の小説は読みやすく、たちまち最終頁に辿り着く。
    さらに最終頁が興味を惹く終わり方で、すぐさま中巻を読まずにいられない。

  • 私のベストブック「英雄の書」の続編。

    そりゃ、読まないわけにゃいかない!

    でも、同じく私の大好きな「ブレイブストーリー」同様、どうも上巻がちょっとだけダルい。

    話が繋がってきて、ガラが姿を現したあたりから
    ようやく、
    おー。キタキタ〜って感じ。

  • アニメ、もしくはアメリカンドラマのような上巻終わり。
    私は美香ちゃんが気になるのだけど、さらに緊急事態っぽいので大急ぎで中巻へ

  • 最近の宮部作品はハマる・ハマらないが分かれてしまった。この作品は残念ながらハマれなかった。最初の展開は大好きで、次々と起こる連続殺人的なもの、を掲示板の力、ネットワーク社会の力を駆使してどう解決していくか、という物語にみえたからだ。しかし、私の拙い創造力を超えて物語はもっとファンタジックで神話的な方向へ。このギャップがハマれなかった一番の理由です。その中でも印象的だったのは、話した言葉は蓄積されてその人をつくってゆく、というような内容の部分。物体としては見えないところで、その人を形づくってゆく…

  • わぉ。現代ミステリーかと思いきや笑

  • 上中下の3巻構成。上巻はネット社会の中で起きる事件を中心に物語が進んでおり、そこに「ファンタジー」の要素は最後の方にならないと垣間見得ないが、同作者の「英雄の門」の続編の位置付けに本作はなる。

    中巻以降、英雄の門の世界観が色濃く出てくるため、普通のサスペンスを期待した人にはがっかりかもしれない。

    物語の全体を通して感じるのは主人公の若さゆえに暴走する正義感だ。非常にまっすぐな性格の主人公の、その正義感が逆に彼を怪物にしていく様は考えさせられるものがある。決してハッピーエンドではないが、それでも幾ばくかの救いのある結末には好き嫌いが分かれそうな気もする。

  • 下巻にまとめ。

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著者プロフィール

宮部 みゆき(みやべ みゆき)
1960年、東京都生まれ。1987年に「我らが隣人の犯罪」でオール讀物推理小説新人賞を受賞し、デビュー。1992年『龍は眠る』で日本推理作家協会賞、1999年には『理由』で直木賞、2002年『模倣犯』で司馬遼太郎賞、2007年『名もなき毒』で吉川英治文学賞など、数々の文学賞を受賞。大沢オフィス所属。日本推理作家協会会員。日本SF作家クラブ会員。直木賞、日本SF大賞、小説すばる新人賞、河合隼雄物語賞など多くの文学賞で選考委員を務める。『模倣犯』や『ブレイブ・ストーリー』など、多くの作品がドラマ化や映画化などメディア・ミックスされており、日本を代表するエンターテインメント作家として人気を博している。2019年7月10日『さよならの儀式』を刊行。

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