悲嘆の門(中) (新潮文庫)

著者 : 宮部みゆき
  • 新潮社 (2017年11月29日発売)
3.60
  • (14)
  • (36)
  • (38)
  • (7)
  • (0)
  • 383人登録
  • 23レビュー
  • Amazon.co.jp ・本 (343ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101369433

作品紹介

失踪した同僚の森永を探す三島孝太郎は、西新宿セントラルラウンドビルで元捜査一課の刑事・都築に出会う。だが、そこで二人を待ち受けていたのは、まさに“怪物” と呼ぶべき存在だった……。〈狼〉を名乗る謎の美少女・森崎友理子との遭遇。クマー社長・山科鮎子を襲う悲劇。悪意による〈物語〉が拡散され、汚濁に満ちた闇が日常へと迫る中、正義と復讐に燃える青年は、ある決断を下す。

悲嘆の門(中) (新潮文庫)の感想・レビュー・書評

並び替え:

表示形式:

表示件数:

  • 第5の殺人が起き、主人公たちの犯人探しが続く。
    一方、<始源の大鐘楼>!<言葉の生まれ出る領域(リージョン)>!<輪(サークル)>!などの言葉が行き交い、物語はますますファンタジーっぽくなってきた。
    言の葉の精霊に使える戦士が現れ、主人公の青年も異能力を身に着ける。
    この後、犯人捜しのミステリー部分と異世界のファンタジーは、どのように融合して終焉するのか。
    「物語というものは、人間が<死>と対抗するために生み出したものなんだって」と、謎の少女は語る。この作品も、その物語のひとつなんだろうか。

  • むう、、、そうか、そうきたのか。そうきてしまったのか。その方向に、舵は切られたのだな。そうか、、、うむ、そうか。
    というのが、中巻を読み始めていきなりの感想でした。

    上巻で、できれば、個人的には、そうなっては欲しくないなあ、と、思っていた方向に、物語が、全力で向かって行っている、という事を、知った時の感想、と、いいましょうか。

    中巻の最序盤で、いきなり、分ったのですが、お茶筒ビルの屋上のガーゴイル像、えー、マジでガーゴイルでした。ってか、ガーゴイルであり、女戦士でした。「ガラ」でした。うおーい、そうなんかい。ホンマにファンタジーやんか。リアルな現代ものでは、無いやんか。何でもアリやんか~涙。というね、自分としては、そっちには行って欲しくなかったなあ~、という展開に、完璧に話が振り切れましたね。ふはあ。

    で、そもそも、この「悲嘆の門」という作品自体が、「英雄の書」と、繋がってる物語だったのですね。そうなんかい!という。続編、というか、同じ世界観のもとに創りあげられた物語、なのですな。そうかそうか、そうなのか。「森崎友理子」が、「咎の大輪」が、登場してくるやんか。うわーもう、どうせなら、上巻でいきなり登場してほしかったよ。そしたら、「ああ、これは英雄の書の続編か」って、安心しながら読むことができたのに、、、とかね、思ったのは事実なのです。

    「英雄の書」も、こう、ホンマに、微妙な立ち位置の作品ですよね。いやもう、そらもう、宮部さんの作品だから、好きです。それはもう、もちろん。でもこう、すげえ、微妙ですよね。敢えてひどくいうならば、中途半端。
    「ブレイブ・ストーリー」や「ドリームバスター」や「ICO -霧の城-」だったら、こう、ある意味安心して読むことができるんですよね。「ああ、この作品は、ファンタジーだ。そういう世界観のもとにある作品だ」って。

    でもなあ、、、「英雄の書」にしろ、この「悲嘆の門」中巻にしろ、こうね、現実とファンタジーとの、両方を、こう、取り入れての作品として、成り立たせようとしている?かのような、ある意味、宮部さん、めっちゃ難しい事にチャレンジしてるんちゃう?という気がしますね、うん。そう思う、個人的には。で、その試みは、、、うーむ。文句無しに上手くいっている、とは、個人的には、思えないわけです。生意気な文句を言って、ごめんなさいです。

    いやでも、あれだ。やっぱこうね、好きな場面も、多いですね。三島孝太郎と森崎友理子(ユーリ)が初めて出会った時に、ユーリが語る、「物語」というものの意味、存在価値。あれは多分、宮部さん自身の、「物語」というものに対して抱いている希望であり、ポリシーなんだろうなあ、、、って思ってね、こう胸が熱くなりますね。小説家としての決意表明だよなあ。旗幟鮮明、といいますか、「show the flag」と言いますか、自らの依って立つところを、言葉を書くこと、物語を語る事を職業とした自らの矜持を、ちゃんと説明している、気がする。好きです、うん。あの考え。「英雄の書」読み返したくなったなあ、、、

    「クマー」の社長、山科鮎子の殺害、という、とんでもねえ重大な出来事が起こります。で、その犯人だった、一応は鮎子の友人だった?と言ってもよい?的な存在の田代慶子と、孝太郎との対決も、くう。好きですね。こう、宮部さん、ここでも全開だなあ。自分の言いたい事、「本当に」書き倒してるなあ、とかね、思いましたね。
    ブランキー・ジェット・シティの「★★★★★★★」(「人殺しの気持ち」という題名だと言われている曲です)を、連想させられましたね。「クロスファイア」の青木淳子を思い出しましたね。とある人物にとって「本当に悪い」と感じられた人間を、私的に裁くことの、是非。くう、深い、、、深すぎる問題やで。
    再登場した都築茂典を、確固とした「私刑」反対論者として位置付けているところも、好きですねえ。絶対の善、絶対の悪、それは、存在するのか?ガラのように「渇望に善悪無し。其れを是非せず」と達観したように、悟ったように考えるのが正解なのか?うーむ。価値観を試されますね。面白い、面白い。

    下巻も、しっかり、読み進めたいと思います。ただ、自分の中では、この作品は「英雄の書」の続編であり、ファンタジーである、という理解の仕方になってしまっているので、もう、ストーリーの上でのハラハラドキドキは、無くなりました。「なんでもあり」に、なってしまった。という、ある意味、達観した見方になってしまっております。

    その思いを抱えつつ、それでも、なんらかの「ガツン!」としたものを、感じられるかどうか。ふむ。期待しちゃいますね。

  • 引き込まれる展開で先が読みたくなる。一気見した。

  • ユーリが登場した!とテンションが上がってしまった。
    世界観は繋がっているものの、登場人物は関係ないと思っていたので、ユーリやアッシュが出てきたのは驚きというか嬉しかった。
    やはり前作を読んでおいてよかった、、、。
    あれからそんなに時間は経っていないようだけれど。

    上巻よりぐっとファンタジー色が強くなり、また主人公が暴走気味なのが気になる。
    やめろと言われてどんどん食い気味になる感じが、、、。
    偽善ぽくて共感というか、素敵だ!とは全く言えない。
    皆止めるは止めるけど止め方が間違っている気がしてならない。
    ガラに関わってはいけないとかそんな抽象的なこと言われて止まるやつがいるのだろうか。
    私だったら「殺人鬼止めてどうするの?それだけ?世の中にはもっとたくさんの悪人がいるよ?それは止めないの?なんで一つだけ?約束したから?誰が頼んだのそんなこと。あんたが勝手に言い出したんだよ。そういうのを偽善、ヒーロー気取りって言うんだ」とかって畳みかけてしまいそう、、、。

    それにしてもちょっとガーゴイルとは言え頭の中でのイメージ的には翼があって目が云々でと言うと一昔前に流行ったデスノートを思い出してしまう。
    あれは本当の死であったけれど、<キラ>として悪人を裁くという設定といい。
    死神の目は言葉は読めないけど。
    宮部さんの作品は多く実写化されているけど、こればっかりは実写しないで欲しいなぁと思ったり、、。
    (その前に英雄の書もあるけど)
    どちらかというとアニメっぽいかなとも思ったりした。

    中巻ラストではいよいよ都築が動くか、といった感じで終わる。
    <悲嘆の門>もキーワードとして少し出てきたが、まだ大きな話は見えないまま。下巻で一気に話が進むのか。
    まだ手元に届いていないので届き次第早く読みたい。

  • どんどんファンタジー色が強くなってきた。
    飲み込まれてサクッと読めるんだけど、英雄の書と同じで、記憶に残せないかも。

  • 上巻のミステリー的話とは打って変わって、完全にファンタジーな感じになってしまい、少々戸惑った。

    ファンタジー的な設定の登場により、謎の真相や連続殺人の真犯人を考えるようなミステリー的な楽しさはなくなり、そのファンタジー的設定により表現される現代社会の闇をどう考えるかを楽しむ展開になってしまった。

    下巻では表題の悲嘆の門が具体的に登場しそうな気配であるが、できればへーという感じで終わるのではなく、ネットでの書き込みとかが日常的な現代社会を生きる人間として、身につまされるような内容であったり、展開であったりしてほしい。

  • まだ、ファンタジーものだっかのか…というショックから抜け出せず。
    大事な推理の部分もファンタジー的要素でぱぱっと見当がついてしまうし。
    不思議な力自体は、独創的で新鮮でした。
    読みやすさはさすがの宮部さんの本!

  • 「模倣犯」と一部重なるが、基本的にはファンタジー小説

  • 「復讐から導き出されるものは絶望だけだ。この二つの精霊(すだま)は一対のものであり、憤怒の子であり、嘆きの親なのだから」
    闇のように黒い瞳が孝太郎の瞳を覘き込む。孝太郎がこれまでの人生で見たことのない深淵の闇。光をも包み込む闇。それでいて冷たくはない。恐怖を与えない。
    傷ついて泣く子供を抱き、外の世界から隠して慰める闇。
    もう一度ガラは問うた。
    「それでも、おまえはその女の仇を討ちたいのか」
    孝太郎も身を起こし、その場に正座した。
    「そうだよ。だって、これはただの復讐じゃない。正義の裁きだ。これ以上犠牲者を出さないように、この領域を守るための正しい行いなんだ」
    ガラは孝太郎から目を離さずにかぶりを振る。
    「復讐と裁きは違う。似て非なるものだ。人と、人の形に似せて造られたものが異なるように」(185p)

    ダメだよ、孝太郎くん。ガラの言う通りだ。復讐と裁きは違う。でも孝太郎は肯んじ得ない。仇討ちに一段落ついても、もう止まらない。孝太郎よ、それが「業」だ。自ら「物語」を作っているのだ、と私は思う。嫌な予感がする。「おまえは後悔する」と何度も何度も予言されている。それが何か。幾つかフラグは立っているが、私にはわからない。下巻を読むのは正月明けになる。
    2017年12月26日読了

  • あれれ 猟奇連続殺人に惹かれて読み始めたんだけど、なんだか違う方向に進んでいく、、、ちょっと苦手だな。

全23件中 1 - 10件を表示

宮部みゆきの作品

この本を読んでいる人は、こんな本も本棚に登録しています。

有効な左矢印 無効な左矢印
宮部 みゆき
米澤 穂信
宮部 みゆき
有効な右矢印 無効な右矢印

悲嘆の門(中) (新潮文庫)を本棚に登録しているひと

ツイートする