サイバラの部屋 (新潮文庫 さ 66-4)

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  • Amazon.co.jp ・本 (274ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101370743

作品紹介・あらすじ

ようこそ、何でもアリの部屋へ――。よしもとばななやともさかりえを相手に、なぜだか近所のオカン談義。重松清と成り上がり人生を振り返る。リリー・フランキーにはライバル意識むき出し。出所したてのホリエモンとはダイエット話に花を咲かせる。大胆にもやなせたかし先生のポジションを狙う……。野望も下ネタも人情も一緒くた! 読めば不思議と元気になれる、盛りだくさんの対話集。

感想・レビュー・書評

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  • 「無敵のサイバラ、各界の著名人相手に大放言!」
    と文庫の帯にありましたが、まさしくその通りの内容で…こんなにぶっちゃけてしまってよいものかとも思ってしまったけど、むしろサイバラとの語りにより「あ、こんな人だったの?」っていう一面が垣間見えてよかったです。皆様意外とあけっぴろげで雑で(笑)野望もネタもたくさんお持ちの方々で(笑)中でも好きなエピソードは、「毎日かあさん」のサイン会で、飽きた男の子のために「やなせたかし」ってサインしたという話をご本人にしたら(!)、「いいよ、僕も売れないときはドラえもんのサイン描いてたから」って(笑)大丈夫なのかそれ!でも、やなせ先生のそんなおおらかさがいいなぁと思えました。
    荻原博子さん、深津絵里さん、堀江貴文さん、重松清さん…様々なジャンルの方々との語りはどれも抱腹絶倒で、それでいて学べることもあって(カネの話とか育児の話とか)色々興味深いのだが、個人的に好きなのは、武蔵美の先輩後輩の間柄であるみうらじゅん、リリー・フランキーとの下ネタてんこ盛り対談。対談した頃というのは武蔵美が「ハチミツとクロ-バー」のモデルになったってんで話題になってたときだろうか。「俺のハチクロは…」と言いながら披露する、しょぼくて下品でシュールなリアル「ハチクロ」エピソードの数々に、噴いた。(おちょくられちゃってるけど、個人的にはハチクロはハチクロで大好きだけどね!)
    全体的にふざけているようでも、いろ~んな人生が凝縮されていて、とても読み応えありの、痛快で豪快で爽快で愉快な一冊。

  • おなじみの人だったり、映画の宣伝用とおぼしき女優さん相手だったり、いろんな人とサイバラとの対談。一番面白かったのは(意外なことに)重松清さんとのもの。古い知り合いだったのね。

    重松さんってなんか「泣かせの人」っていうイメージがあって、読んだことがないのだけれど、俄然興味が湧いた。たたき上げのライターで、売れなくなったらいつだって元の売文業でやっていくという感じが、サイバラと共通していて、いかにも仲間内という雰囲気が良かった。

    「東大のヨン様」姜尚中氏や、柳美里さんとの対談も、おお!という感じ。文庫オリジナルだが、少し前のものもあったり、前書きあとがき何にもなしというのがちょっと謎。

  • 戦国時代にあらわれたゴジラぐらい暴れています。
    B級映画にならないどころか、
    不思議とお涙ちょうだいできちゃいそうなあたりは、
    猛烈下品なハーマイオニーなのかもしれません。

    (以下抜粋)
    ○虫や生き物とか食べ物は、においを嗅いだり、なめたりします。その方が後々漫画として描く時や状況を説明するのに覚えやすいんです。(P.18)
    ○だって子育ては大変だもん。大変じゃなかったら、おもしろくないじゃん。でもさ、常にきれいに着飾ってスタイルもよくて収入があっても、消費ばかりして何も残らない人生だったらきっとつまらないよね。「大変だけどおもしろい」ってことが大事だと思うよ。(P.127)
    ○それと大人になると、簡単に白黒つけられない問題が多いでしょう。そういう時に、アレコレ口出ししないで、見守っていてくれる感じとか大事ですよね。たとえば私がアルコール依存症の夫のことで大変だった時、アシスタントのあいちゃんは何も言わずに、そばにいて子どもの面倒を見てくれたんです。暴れる夫を見ても、「別れなさい」なんて言わなかった。そんな簡単な言葉で片づけられる問題じゃないってわかってるから。あれはすごい友情だと思いましたね。(P.136-137)

  •  サイバラが過去8年くらいの間にいろんな雑誌で行った、各界の著名人13人との対談を集めたもの。文庫オリジナルである。

     玉石混交で、あまり面白くない対談もあるが、全体としては値段分きっちり楽しませる好読み物だ。
     サイバラのサービス精神はいつもながらアッパレなもので、真面目なテーマの対談でもガンガン笑いを取りにいく。それも、自らの過去と現在を「ネタ」と化しての捨て身の笑いなのだ。

     カバー裏の紹介文が本書の魅力を的確に要約しているので、そのまま引用。

    《ようこそ、何でもアリの部屋へ──。よしもとばななやともさかりえを相手に、なぜだか近所のオカン談義。重松清と成り上がり人生を振り返る。リリー・フランキーにはライバル意識むき出し。出所したてのホリエモンとはダイエット話に花を咲かせる。大胆にもやなせたかし先生のポジションを狙う……。野望も下ネタも人情も一緒くた! 読めば不思議と元気になれる、盛りだくさんの対話集。》

     個人的にとくに面白く読んだのは、VS重松清対談と、VSみうらじゅん対談。
     前者は、“物書き業界スゴロク”の四方山話が他人事とは思えず、共感しまくり。後者は、ムサビ時代の裏話が面白すぎ。
     VS重松対談から、印象に残った発言を引く。

    《重松 でもおれ、取材とかだといまだに聞くよ。「テープ起こしはどっち?」って(笑)。「スケジュールの問題もあるし、先に言っといて」って(笑)。
    西原 そこなんだ! テープ起こしするかどうか、じゃないんだ(笑)。でも、重松さんがゴーストライターからの叩き上げっていうのは、わたしも含めた鉛筆乞食の希望の星ですよ。》

     どんなに売れっ子になっても、「鉛筆無頼」(@竹中労)ならぬ「鉛筆乞食」と自己規定できるあたりが、サイバラの凄さだろう。すかした「文化人」になど、けっしてならないのだ。

  • 相変わらずのサイバラ節。読んだことのある話もたくさん出てきます。対談相手も面白い人ばかりで読むとスッキリします!

  • 13名の方との対談集。
    相変わらずのサイバラ節?は健在だけど、対談相手も精神的な自立(ということでいいのかしら)をしている方々なので、どちらも話にぶれはない。
    柳美里さんとの対談は、明るく話している感じは伝わってくるけど、話の内容は、読んでいる方もつらくなるほど。でも、対談後の「サイバラのひとこと」によって救われる。
    子育てで愚痴を言うのは赤提灯で会社の悪口を言っているのと同じ。悪口言っているのは「できない女」だ、と。愚痴はいいわけだしね。私は「できる女」になれるのか。

  • 西原さん、相変わらずパワフルで、対談相手も巻き込んで、すごいなーと感心。このかたにかかれば、自分の悩みも「まぁ、すぐには死なないし」と思えてきます。

  • メモ
    p37 よしもとばなな✕サイバラさん
    『おかあさんがウチで飼うものは全部ダメになる。お父さんもあんなになっちゃったし、ヤバイよね』

    p46 重松清✕サイバラさん
    『女は地図読めないけど空気読める』
    p51『居場所を見つける力』も男の子よりあると思う。
    p52『体育会系というか武士道の精神というか、上の男の人にキチンと叱ってもらったり、寮みたいなとこで集団生活しないと、周りの空気読む訓練が詰めないんじゃないですかね。

    p255 伊藤理佐✕サイバラさん
    『給料の全額が保育園代やシッター代に消えたとしても、仕事は辞めるな、って言いたい。その後のながい人生を夫の金に頼るなんて、そんな恐ろしいことだけはしてはいけない』
    p258子どもは『炭水化物たっぷりあげて、陽を当てて、風呂に入れて、ぐったりさせて弱らせればさっさと寝るから。夏はプール』
    『赤ちゃんは眠るために疲れたくて泣くのよ。泣いてすぐ抱っこしちゃうと疲れないから、何時間でも泣き続ける。最初は5分でいいか抱きたい気持ちをぐっとこらえて泣かし続けてみてね』

    ためになりました\(^o^)/

  • リリーフランキーも、みうらじゅんもサイバラさんもみんな武さ美なんだぁ。
    すごい濃い面子。

    著者は大学時代すーっと学食はただ飯ですごしたとか、絵の具が一本千円もするからよく万引きしてたとか、まあ細かいエピソードは事欠かない。
    でも、とにかく逞しい。
    とにかく半生が激動すぎて、朝ドラには無理かもしれないけど、女の一生として大河ドラマでやってほしいくらい。
    (もっと無理か)

  • 本当に、西原は発言がぶれない。姜さんと柳さんとの対談が面白かった。自分の原作の映画の主演女優には、一応、遠慮してるかな。

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著者プロフィール

高知生まれ。漫画家。’88年『ちくろ幼稚園』で本格デビュー。’97年『ぼくんち』で文藝春秋漫画賞を受賞。’05年『上京ものがたり』『毎日かあさん』で手塚治虫文化賞短編賞受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)

「2021年 『猫組長と西原理恵子のネコノミクス宣言 コロナ後の幸福論』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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