おそめ―伝説の銀座マダム (新潮文庫)

著者 :
  • 新潮社
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本棚登録 : 404
感想 : 48
  • Amazon.co.jp ・本 (476ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101372518

作品紹介・あらすじ

かつて銀座に川端康成、白洲次郎、小津安二郎らが集まる伝説のバーがあった。その名は「おそめ」。マダムは元祇園芸妓。小説のモデルとなり、並はずれた美貌と天真爛漫な人柄で、またたく間に頂点へと駆け上るが-。私生活ではひとりの男を愛し続けた一途な女。ライバルとの葛藤など、さまざまな困難に巻き込まれながらも美しく生きた半生を描く。隠れた昭和史としても読める一冊。

感想・レビュー・書評

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  • 誰も綺麗に生き、綺麗に死ねない


    ・よしえは最後まで秀贔屓。きくこがかわいそう

    ・注目すべきは俊藤
    秀とダンスホールで出会って、声をかけてからの人生の変容ぶりよ

    こんなに人間くさい人も珍しいと思う。

  • 昭和初期の活躍した京都出身の銀座マダム。
    ガムシャラに店を経営している人かと思ったら人を疑う事を知らず、周りに助けられて頂点までいってしまう。
    接客とお酒が好きで気前もいい。そして愛される要素を持っているが時代の流れには乗れずに閉店。
    旦那がもっと堅実な人で見守る人なら長く続けられたのかも知れないと思うと、不幸だったのか、それとも愛する人がいた事が幸せだったのだろうか。
    この人は口数が少ないので、周りを取材して憶測も含めて書かれているので、人生を満足しているのか、後悔した部分があるのか深い部分も知りたいと思うのはフィクションを読みすぎだからなのかな。

  • 競争戦略を本分とする楠木建が自著『戦略読書日記』の中で「改めて『商売は理屈じゃない』というどうしようもない真実をイヤというほど思い知らされた」と脱帽した一冊。
    「おそめ」と呼ばれた祇園の芸妓が天賦の才と強運を味方にして、昭和財界の大御所や文豪たちが集う銀座のバーのマダムとして一斉を風靡する。当時は「癒し」なんていう言い方はなかったと思うけれども、おそめが殿方たちに提供していたものは間違いなくそれ。川端康成、白洲次郎、小津安二郎らが通ってしまうほどの癒し。しかも、その提供を「仕事だと思ったことがない」と言い切ってしまうのだからまさに天性。
    バーのマダムをやるために生まれてきたのではと思わせる彼女の一生が、著者の抑えた筆致で活写される。その頂点への駆け上がり方の鮮やかさだけでなく、その後の凋落の哀しさも含めて。ノンフィクションの傑作。

  • [無垢なる夜の精]戦後間もない頃に「おそめ」という名のバーを京都と銀座に開き、文芸界に属する人々をはじめとした著名人を文字通り虜にした上羽秀。そんな彼女に期せずして魅せられてしまった著者が、浮き沈みのあった秀の人生と、一筋縄ではいかなかった往時の人間模様を記した作品です。著者は、約5年をかけて本作を執筆したという石井妙子。


    川端康成や大佛次郎、小津安二郎や白洲次郎と、「おそめ」に通った人物たちの名前をあげれば、いかに「おそめ」がとんでもないバーであったかが察せられると思うのですが、本作では何故に「おそめ」がこれらの人々を魅了したか、そしてその魅力ゆえに彼女自身はどのような苦労を経験しなければいけなかったかが丁寧に記されており、(まったくもって良い意味で)まるでよくできた脚本を読んでいるかのようでした。石井女史により書かれなければ、「おそめ」は誰しもの記憶からいつか消えてしまったであろうことを考えれば、単なる読み物以上の意味を有しているのではないでしょうか。


    「おそめ」を軸に戦後から高度成長期にかけての京都、そして銀座の変貌ぶりがわかるのも興味深い点。特に(?)一世代ぐらい前までの人々にとって「銀座」という響きが有していたであろう艶やかかつ「大人もの」の雰囲気の淵源が、「おそめ」を始めとした銀座のバー、そして雇い上げた(当時は女給と呼ばれていたようですが)ホステスではなく、自身の魅力で勝負を賭けたママたちにあったことがよくわかりました。

    〜うちはほんまに可愛がられました、せやけど、その分、憎まれました。〜

    自分もいつかは銀座が似合うオトナに......☆5つ

  • サブタイトルの通りの伝説の銀座マダム。男の小説家が書くヒロイン(化粧をしなくても美人、いるだけでそこが輝いている、芯が強いけど男を立てて万事に控えめ、自分からなにもしなくても男たちが寄ってたかっていろいろとやってくれる、etc…)って、女の私から見てどうもピンと来なくて、そんなキャラって男が都合よく作っているだけじゃないのか?って思っていましたが、「おそめ」を読んで、そういうキャラの人がほんとうにいたんだ、ということにまずびっくり。これでは錚々たる文士たちが放っておかないわけだ、と納得しました。おそめと対比されて登場するエスポワールのマダム川辺るみ子はおそめとは対照的に一所懸命にがんばっちゃうキャラで、晩年は辛いことが多かったようだけど、凡人の私としてはるみ子さんのがんばりに1票投じたい感じでした。

  • 面白かった!!
    まずは、内容もさることながら、色々な想いがあるなかでこれを調べて書き上げた石井さんに敬意を、という内容やったな。
    日本のめちゃめちゃ激動の時代に、こんなこともあったんやな。凄い時代と凄い人たちやな。
    もう少しだけ早く読めてたら、載ってるお店もいくつか行けたやろうに、それだけが残念やな。

  • 派手なお姉さんがいて、お金持ちが集う印象の銀座、それも印象で体感はない。それよりも前、戦後から京都、銀座へとバーを開き、空飛ぶマダムとしても有名だったらしい、おそめ、の「事実は小説よりも奇なり」を感じさせる一生を振り返る。

  • 京都と東京を行き来したバーのマダム「上羽秀」さんの一生。
    細かい情報収集と、その組み立てが見事だと思った。

  • どういう雰囲気の人だったんだろう。会ってみないと分からないんだろうなぁ、と読みながら思っていた。一歩下がって多くの男から可愛がられる女、なんて簡単に表現できない、オーラがあったのだろう。雰囲気とかオーラといったものを、深く勉強してみたくなった。
    しかし、いつでもどこでも嫉妬や敵意、トラブルに見舞われて、壮絶な人生。普通の人の何倍も濃い一生。こうでもないと名は残せない。

  • いわゆる水商売の人物なので伝記をまとめるのは難しかろう。
    全盛期が昭和30年代だから関係者に物故者が多い、晩年の本人から話を聞く機会はあったというが寡黙な人物だったという、そんな中で週刊誌記事を含む関連記述に当たって整理したわけだから労作というにふさわしい。
    内容について触れていないが、世事から超越した偶像的な人物に見えるので、何も言うことがないのだ。再現性のない天才と言おうか。

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著者プロフィール

太田・石井法律事務所
昭和61年4月弁護士登録(第一東京弁護士会)。平成30年経営法曹会議事務局長。
専門分野は人事・労務管理の法律実務。

「2022年 『経営側弁護士による精選労働判例集 第12集』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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