スキップ (新潮文庫)

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  • 新潮社
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本棚登録 : 4324
レビュー : 557
  • Amazon.co.jp ・本 (571ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101373218

感想・レビュー・書評

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  • 北村薫さんの作品二作目。最初のほうはペースが上がらず読み進めるのが辛い。しかし中盤までいくと、あ〜終わらないで〜!ってなるくらい素敵な話になってきます。北村さんの作品って何でこんなにも暖かくて深いんだろう。薄っぺらくなくて、ずっと読んでいたい充実感がある。最高の作品。

  • 北村薫さんの小説は,この本が初めてです.読むきっかけとなったのは,演劇集団キャラメルボックスのお芝居として上演されることが決まったから.
    上演前に読みましたが,この小説の透明感にびっくりしました.これまで読まなかったのが不思議なくらい.
    キャラメルボックスの脚本家・成井豊さんがこの本をお芝居にしたいという気持ちがわかります.成井さんの読書量は半端ではなく,従って成井さんがお薦めする本は,ハズレがありません.
    スキップから始まるシリーズは,この本をきっかけにすべて読むことになりました.3冊のなかではやはりこの本が一番という気がします.

  • この本を読むチャンスは4回与えられている。
    17歳。42歳。
    教師になったとき。母親になったとき。
    4回のチャンスのうち、1つはもう永遠に叶わないし、1つはあるかどうかわからない。でも、1つは実現する可能性が高いだろうし、そして1つは必ず私を待ってくれている。
    どうか、22年後の私の本棚に、この本がありますように。

  • 時と人の三部作、第一弾。十数年ぶりに再読してみた。
    17歳の私が42歳の今を生きる話。著者はなんで17歳の女子高生の感性をそんなに想像できるのか。
    すごく面白いのでお薦めです。
    今後、ターン、リセットと続く。

  • ミステリかと思って読んでたらミステリじゃなかった。
    17歳からいきなり42歳に飛ばされたらそりゃショックでかいだろうなと思う。
    それが記憶の欠落であれほんとに時間がすっ飛んだのであれ本人にしたら同じことだろう。
    でも本人も辛いけど周りの人間も辛いよなぁ。
    旦那なんか何十年も一緒に過ごした時間がなんだったの?
    ってなっちゃうよね。
    ただ物語としては爽やかな青春小説だし真理子がとても前向きでハッピーエンドなのは良かった。

  • いきなり17歳から42歳に飛ばされてもなおたくましく生きる真理子の強さに感服。
    しかし、両親にもう二度と会えない悲しみ、二度と17歳の生徒たちと同じ場所に行けない切なさが全編を通して伝わりました。「ターン」は甘酸っぱい恋愛小説でしたが、こちらは少しほろ苦いお話でした。

  • 北村薫さんの文章を読むたびに、美しい、という言葉がただ浮かぶ。美しく清冽な感覚と意志。

    私は真理子のようにありたいと願い、いつしか願ったことすら忘れて、そして思い出したとて、真理子のようにはなれないと今は思うけれど。
    17歳の自尊心は確かにこの胸にもあったのだ。そのことを、様々な記憶を、喚起させる読書だった。そんな風にして、真理子のスキップは、私自身の過去や未来にも橋を架けている。

    人生に対し、こんなはずではなかったと思わないことが全く欠片もない、なんてことはないのだ。そんな想いへの返答が綴られている。
    かろやかでありたいと、読み終えた今の私は痛烈に願っている。

    なぜ今まで読まずに置いてきたのだろう。今読めて本当に良かった。まさしく名作である。

  •  まぁ、一風変わった小説、とでもいうかな。内容が、ではなくて、文章が。
     内容は、とっても魅力的。真理子は17歳の少女。高校2年生。女子高へ通っていて、好きな人がいるわけでもなく、のんびりと学生生活を送っていた。そんなある日、ちょっと仮眠をとっただけのある日。真理子は自分が知らない場所にいることに気づいた。そこにいた女の子は自分のことをこう呼ぶ。「お母さん」…。そこは、25年後の自分の家だったのだ。
     とまぁ、こんな感じ。
     文章は、とっても細かい。小説で右手と左手を書き分ける人ってのは、なかなかお見かけしません。ものの名前も、実名を使っている。マンガや小説ってのは、けっこう仮の名前を使いがちだけど。これは違う。「氷点」、「布施明」等がひょこひょこと登場してます。
     そこで、考えてしまうのは、私が未来へ飛んだら、どうなるかってこと。私が25年後へ飛ぶのは、高校時代の私が25年後へ飛ぶのよりは、楽だろう。自分の学歴がどんなものかも知っている。高校時代って、自分が1年でも、何をしているか知らないものじゃないですか。
     それでも、私が25年後、例えば結婚して子供がいる光景を見ることになったら、やっぱりとても苦痛でしょうね。その結婚相手が、もし今自分が好きな人だったとしても。結婚や出産といったイベントを見ることも無く、年を取ったその人と、知らない子供と、急に年をとってしまった自分が一つ屋根の下に生活しないといけないとしたら、やっぱり苦痛でしょうね。
     たとえば、高校時代の私が、今の私に飛んでくる、というのでも、すごいパニックを起こすと思いますから。あの頃の私は、自分がどんな大学に行くのか知らなかった。どんな仕事につくのか知らなかった。今好きな人の顔すら、知らないわけですから。すごい、ショックでしょうね。
     そんなわけで、「スキップ」では、どんな風に話が進むんでしょう。太い本なわりには、すらすら読めてしまいそうな空気がとても不思議です。これからが楽しみですね。


     読んでいると、些かくやしくなってくる小説です。だって北村薫さんて、所謂おっさん、なんです。年代や性別に限った話で。たいていこういった人の小説は…おもしろいんだけど、やっぱり年代が違う、と思わせられてしまうものが多いです。難しい漢字や、火サスのような内容や、そういうイメージ、強いんですけど。この人のは、そうじゃない。主人公は乙女心…まぁ、理解できているかは置いといて…内容もおもしろい。さらさらと読みすすめることができてしまう本のようです。


     これで約3分の1くらいでしょうか。4章まで。
     家族の人たちとも、なんとかコミュニケーションがとれるようになりました。学校へいって騙さなければならない人たちも、たくさん出てきました。
     でも、私が考えてしまうのは、やはり恋愛のこと。その人生のなかで結婚したいと思えた人が、その恋愛期を知らないで、いきなり40過ぎのおじさんで、好きになれるかどうか。愛しい妻がいきなり自分の存在を知らないと言い出して、受け入れられるかどうか。私だったら、絶対無理です。


     さくさく読めて、その本のサイズから、本を読んでるっていう気にもさせられる。5章まで。話にのめりこんでしまう。箱入り娘は?桜木さんと真理子の関係は?真理子の行く末は?
     桜木さんは、ときどき先生みたいなことを言う。私は、その言葉を、大人の人が言うのを聞くように読む。納得半分、反抗心半分。素直だけじゃきいてられない。それがまたいい。
     改めて、真理子の新しい生活が始まった。いろいろ知っているふりをするのは、はたしてここまでうまくいくものだろうか。


     6章まで。昔を思い出した。真理子の授業は、私の学校の授業を思い出した。今まで人に説明するのが難しかったものだけれど、毎日真理子の授業だといったらわかりやすいだろうか。私が好きなタイプの授業だ。
     現代の学校。そこは真理子とはかけ離れた世界であり、どこよりも身近な世界です。そこで話をする真理子は、桜木さんとは違い一生懸命さがあって新鮮な感じです。
     私が好きな言葉は何?ってきかれたら何と答えるだろう。好きなものは多すぎて、きっと答えられません。


     第7章までです。物語の山場として、文化祭が用意されているみたいです。演劇部の新入生集めから、クラスのイベントやら。
     真理子はがんばっている。現代の文化をたくさん勉強しながら、真理子はがんばっている。そこで思うのは、どうして池ちゃんを探さないのかってこと。親がダメでも、池ちゃんなら…と思わないだろうか。家族の人は味方で理解者だけど、知らない人です。知っている人を探したいと思わないでしょうか。私だったら知っている人、探してしまうかもしれません。


     第8章ですね。文化祭の内容を決めるシーンでは、少なからずドキドキしました。昔を思い出してか。高校時代にかえりたくはないけど。また高校の文化祭、やりたいなって思いましたね。
     あとやっぱり考えてしまうのが桜木さん。やっぱり無理だと思うんです。出会った瞬間や一番甘い時期を忘れて、いきなりおっさんだしてこられても、絶対困ります。それこそ家出してしまうかもしれない。万が一好きになれたとしても、また甘い時期がくるかしら。光のことなんて考えられません。


     第9章。第9章はバレー大会の章。真理子のクラスの目立ったいい子、ニコリが壁をこえるところです。生徒は、そのへんの小説よりリアル。女の子は泣く。男の子は騒ぐ。冷めた目で女の子を見る。北村薫は、先生だったこともあってリアルが描ける人なんでしょう。ただ、真理子は違う。17歳はこんなこと言いません。私が聞いたことのあるこの口調は、10年は国語の先生をやってきた人間の台詞です。「嫌いな言葉は《どうせ》だと書いた人がいるわ――わたしも嫌いよ。」これ本当に17歳?


     第10章。9の最後の部分が印象的でした。《いいえ、初めましてなのよ》と説明してあげよう。ハンドルを軽く手に握り、説明する真理子が心に浮かぶような気さえしました。昔の自分の面影を見つけつつも、現在の自分にむかっていこうとする真理子。それは偉いと思うけれど、本当にそれでいいの?真理子。現代になじんでいく真理子。でも考えてしまいます。現代に存在していた桜木真理子は、どこへ行ってしまったんだろう。桜木真理子は真理子と本当に同じ人生の同じ人なのだろうか。


     第11章。文化祭が始まった。ということで。
     印象的なのは里見はやせの劇の内容。怪しい父、死んだらしい母、気持ちが暗いのはわかるけれどでも、何が暗いのかよくわかりません。だから何度も読み返してしまいます。
     あと、不良生徒に助けられるシーンね。ここはほほえましいけれど。やっぱり桜木真理子は必要だと思ったシーンでした。この世界に、ちゃんと時間を歩んできた、生徒の顔をすべて思い出せる、桜木真理子が。でないと、生徒達が、かわいそうだと思うのです。


     第12章。微妙にエピローグだけを残しつつ読みました。えーって思いました。年をとった体に入ると、心まで年をとってしまうんでしょうか。まだ17歳の少女が、昔は、なんて言えるでしょうか。新田くんのことを受けとめられるでしょうか。私が今時間を飛んだら、そんなこと絶対にできない。新田くんのようなことがあったら、きっともっと目を回してしまうことでしょう。桜木さんと1度は見比べてしまうでしょう。どんな姿になったって、その姿に合わせて生きるなんて、できないです。


     「スキップ」、読み終えました。普段の私なら、えーって言って終わるようなこの作品。でも、この本ではこういった終わり方を許せてしまいました。そうなんだよね。わかってたんだよね。過ぎてしまったことだっていうこと。これが、本当に時間を飛んでしまった話なのか、でも実は記憶喪失だったのか、とかいうお話はあまり関係なくて、そんなことが起こって、過去のことっていうのはやっぱり自分の気持ちひとつで乗り越えないといけないことってありますから、乗り越えて、生きていこう、って思う話なんですよね。
     その気持ちは、真理子のこの言葉、「昨日という日があったらしい。明日という日があるらしい。だが、わたしには今がある。」にもあらわれています。
     しかし、私が過去のことを…つまり、今まできめてきたことや、できなかったことへの後悔なんかに対して、どうにか乗り越えてきているのは、私自身がそのとき下した決定を知っているからです。私がそのとき本気で考えたことや選んだことを、知っているからです。じゃあ、真理子は?真理子は、その決定を知りません。もともとその選択を与えられてすらないのですから。その決定を下したのが自分だと思えるものだったとしても。それはやっぱり自分ではないと思ってしまうんじゃないでしょうか。私がそんな立場だったら、やっぱり納得いかないかもしれません。どうしてこんなことになったのだろうと、自分が昨日までその歳だった若い人を見つめては毎日を過ごしてしまうかもしれません。
     真理子は強すぎます。こんなことがあったら、私だったら、絶対に乗り越えられません。
     なんにしろ、「スキップ」、おもしろい話でした。老若男女の方々にお薦めいたします。

  • 読後とても不思議な気持ちになりました。
    突拍子もない話なのに、どうしてこんなに心にしみるんだろう。ヒロイン真理子さんの言動や、高校生たちの姿がキラキラして、一瞬一瞬がかけがえのないものだと感じられる。何があっても、私たちは今を生きることしかできない。
    それにしても、北村薫さんの描く人物はなんで毎回、こんなに皆魅力的なんだろう。

  • うたた寝から目覚めると、17歳の私は25年後の42歳にタイムスリップしていた…。
    17歳からの25年という人生にとって一番輝かしい時期をスキップすることは、身体的な“美”の盛衰だけでなく、精神的な成熟もままならないと思いきや、主人公のなんと素敵なこと!こんな先生に出会いたかったー。
    人生をスキップしてしまった真理子さんを支える家族も、一所懸命でとっても温かい。心がホンワカして、ギュッと感動する作品でした。

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著者プロフィール

1949年埼玉県生まれ。高校教師を務めるかたわら、89年『空飛ぶ馬』で作家デビュー。91年『夜の蝉』で日本推理作家協会賞、09年『鷺と雪』で第141回直木賞、15年には第19回日本ミステリー文学大賞を受賞した。エッセイや評論、編集の分野でも活躍している。近著に『八月の六日間』『太宰治の辞書』『中野のお父さん』など。

「2019年 『覆面作家の夢の家 新装版』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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