スキップ (新潮文庫)

著者 :
  • 新潮社
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レビュー : 554
  • Amazon.co.jp ・本 (571ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101373218

感想・レビュー・書評

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  • 全然覚えてないのだけど、こんなような夢を見たような
    でも全く覚えてないので、全然別のきっかけだったのかもしれないけど。

    なんか突然、この本が気にかかり、図書館で何気に目に入り、なんとなくそのまま借りてしまいました。
    懐かしいなぁ。
    すっごいむかしに読んだ気がしてたけど、今世紀になってからだし、そうむかしでもなかった。

    10年前の2003年だとちょっと最近な気がして感覚が変なんだけど、さすがに25年経つと人も世も変わるよね。
    タイムスリップもののSFファンタジーというイメージがあって、最後元に戻らないことにすごく衝撃だった記憶があるんだけど、これそういう話じゃないよね。

    まぁ、古き良き時代の優秀な文学少女だったとしても、どんなに聡明で柔軟な心の持ち主だったとしても、25年後の世界を受け入れて、高3の国語教師を果たせる17歳はあり得ないと思いますが、この話を通して伝わってくる、初心を忘れずおごらずに自尊心を持って相手の目線に合わせることの大切さだとか、そういう真摯で前向きな感じがすごくいい。

    高校生には絶対読んでほしい本だなぁと、今あらためて思いました。
    そして、桜木真理子先生に近い年の人が読んでも、現状で楽しく頑張れる気持ちをもらえると思う。

  • 昭和30年代の女子高生がうたた寝から起きたら、意識はそのままなのに25年という時間を”スキップ”してしまい、突如42歳の中年女性になってしまったという、設定だけなら名作『リプレイ』の逆のことが起こるお話。あとがきで作者も『リプレイ』について触れていますが、当然ながら内容はまったく別ものです。17歳の心のまま、見知らぬ夫と娘に助けられながら、高校の国語教師という現在の役割りを誠実にこなそうとするなかで、時間とは、自分とは、若さとは何か、というようなことを見つめます。1秒ずつ過ぎてゆけば自然な変化もうたた寝の一瞬で過ぎるとギャップが大きくその差は歴然。同じなのに変わってゆくこと、変わっても同じであることなどなどを、考えたりしました。これぞ北村薫作品という凛としてきちんとした雰囲気のお話で大変おもしろかったです。

  • 何か不思議な作品。

    ストーリーとしては悲しくて切なくて、どうにもやりきれないものではあるんだけど、細かな状況描写から浮かび上がる登場人物が優しくて誠実で前向きなので、読んでて暗い気持ちになることがないです。

    自分ではどうにも出来ない事は生きていれば色々あるんだろうけど、絶望するではなくそんな環境でも生き甲斐を見いだして一生懸命頑張る姿っていいなぁと思いました。

  • 強くて美しくて、もろさを必死にこらえて生きる主人公、真理子に惹かれる。
    彼女に惹かれる娘や、旦那や、生徒たちとともに心が躍る。
    でも、時は戻れない。戻れないのだろうか。
    真理子は40代としては「強くて美し」いし、だからそこ、「もろさを必死にこらえて生きる」姿に惹かれる。
    しかし彼女は17歳なのだ。
    親友が、同様に歳をとって現れて、「一ノ瀬」って呼んでいたのに「真理子」なんて呼ばれたら、どれだけ絶望するだろう。どんなに苦しいだろう。彼女は17歳なのだ。17歳が懸命に生きた姿が、みんなには「おばさん」が「強くて美しく」見えているのではないか?
    だとすればあまりに残酷だ。

    最後に引きつけられ、私は絶望する。
    「お母さん」
    娘にそう言われる。受け入れる。
    17歳ではないのか、いいのかそれで。

    受け入れてしまったら、もう17歳に戻れないのではないか?25年もの時を、失ってしまったままでいいのか?好きな人と恋をして両思いになって手を繋いでキスをして、そんな時間を、諦めてしまうのか。

    次を読まなければ。

  • 内容(「BOOK」データベースより)
    昭和40年代の初め。わたし一ノ瀬真理子は17歳、千葉の海近くの女子高二年。それは九月、大雨で運動会の後半が中止になった夕方、わたしは家の八畳間で一人、レコードをかけ目を閉じた。目覚めたのは桜木真理子42歳。夫と17歳の娘がいる高校の国語教師。わたしは一体どうなってしまったのか。独りぼっちだ―でも、わたしは進む。心が体を歩ませる。顔をあげ、『わたし』を生きていく。

    17才から一気に42才になったらそりゃ可哀想だわー。しかも自分の親がそれを言い出したら間違いなく若年性アルツハイマーをまず最初に疑うと思います。心は少女、体は大人ってコナンの逆ですからね。人生が25年くらい短くなっているようなもんですので、あらゆる意味で悲惨です。でもこの話好きなんですよね、自分も40才を過ぎた今、振り返ると不器用に生きていた17才の頃の自分が愛おしいんですよ。で上手く立ち回れるようになった自分も好き。
    この話みたいに時空をすっ飛ばして大人になってしまったら、自分の人生に何の愛着も持てないだろうと思います。北村先生やさしげだけど意外と容赦ないです。

  • 北村薫さんの作品二作目。最初のほうはペースが上がらず読み進めるのが辛い。しかし中盤までいくと、あ〜終わらないで〜!ってなるくらい素敵な話になってきます。北村さんの作品って何でこんなにも暖かくて深いんだろう。薄っぺらくなくて、ずっと読んでいたい充実感がある。最高の作品。

  • ミステリかと思って読んでたらミステリじゃなかった。
    17歳からいきなり42歳に飛ばされたらそりゃショックでかいだろうなと思う。
    それが記憶の欠落であれほんとに時間がすっ飛んだのであれ本人にしたら同じことだろう。
    でも本人も辛いけど周りの人間も辛いよなぁ。
    旦那なんか何十年も一緒に過ごした時間がなんだったの?
    ってなっちゃうよね。
    ただ物語としては爽やかな青春小説だし真理子がとても前向きでハッピーエンドなのは良かった。

  • 北村薫さんの文章を読むたびに、美しい、という言葉がただ浮かぶ。美しく清冽な感覚と意志。

    私は真理子のようにありたいと願い、いつしか願ったことすら忘れて、そして思い出したとて、真理子のようにはなれないと今は思うけれど。
    17歳の自尊心は確かにこの胸にもあったのだ。そのことを、様々な記憶を、喚起させる読書だった。そんな風にして、真理子のスキップは、私自身の過去や未来にも橋を架けている。

    人生に対し、こんなはずではなかったと思わないことが全く欠片もない、なんてことはないのだ。そんな想いへの返答が綴られている。
    かろやかでありたいと、読み終えた今の私は痛烈に願っている。

    なぜ今まで読まずに置いてきたのだろう。今読めて本当に良かった。まさしく名作である。

  • うたた寝から目覚めると、17歳の私は25年後の42歳にタイムスリップしていた…。
    17歳からの25年という人生にとって一番輝かしい時期をスキップすることは、身体的な“美”の盛衰だけでなく、精神的な成熟もままならないと思いきや、主人公のなんと素敵なこと!こんな先生に出会いたかったー。
    人生をスキップしてしまった真理子さんを支える家族も、一所懸命でとっても温かい。心がホンワカして、ギュッと感動する作品でした。

  • 170821*読了
    昭和40年のことはほとんど知らないし、真理子さんの飛んだ25年後の世界でさえも、わたしが子どもの頃の話なので、少し古く感じる。
    ただ、そんなことを抜きにしても、おもしろい。
    一つ一つのエピソードの丁寧さもいい。

著者プロフィール

1949年埼玉県生まれ。高校教師を務めるかたわら、89年『空飛ぶ馬』で作家デビュー。91年『夜の蝉』で日本推理作家協会賞、09年『鷺と雪』で第141回直木賞、15年には第19回日本ミステリー文学大賞を受賞した。エッセイや評論、編集の分野でも活躍している。近著に『八月の六日間』『太宰治の辞書』『中野のお父さん』など。

「2019年 『覆面作家の夢の家 新装版』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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