ターン (新潮文庫)

著者 :
  • 新潮社
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感想 : 555
  • Amazon.co.jp ・本 (426ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101373225

作品紹介・あらすじ

真希は29歳の版画家。夏の午後、ダンプと衝突する。気がつくと、自宅の座椅子でまどろみから目覚める自分がいた。3時15分。いつも通りの家、いつも通りの外。が、この世界には真希一人のほか誰もいなかった。そしてどんな一日を過ごしても、定刻がくると一日前の座椅子に戻ってしまう。いつかは帰れるの?それともこのまま…だが、150日を過ぎた午後、突然、電話が鳴った。

感想・レビュー・書評

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  • 時と人シリーズ2冊目。銅版画家の真希が交通事故に会い、生きているのか、死んでいるのか、分からない。1日過ごすと何故か15時15分にその日へ舞い戻る。しかも誰もいない世界。150日目に真希の下に電話がかかり、現実世界の1人の男性・泉との会話が始まる。主人公・真希の潔癖性と泉への強烈なカタルシスが真希の可愛らしさを表現していたのだが、その一方で、これまでの母親との薄い関係性が母との愛情を深くした。最初から登場する「君」の存在、最後の眼を開けた瞬間、君達同士の印象はどうだったのだろうか。

    まさかとは思うけど、泉さん、柿崎の病室に行っていないよね?まさか、行ってしまったのか?

  • 今だからこそ心に沁みた、一冊。

    どんな一日を過ごしても定刻がくると一日前に戻ってしまう、そして永遠にひとりぼっちの世界を繰り返すという物語。

    単調な毎日に心の疲れも蓄積され、孤独な世界が欲しいなんて思っていた自分にはこの物語に頭をコツンとされた気分。

    静寂と孤独、主人公の心の機微はもちろん、何をすべきか…徐々に心が起き上がっていくような過程は何度も胸を打った。

    人は完全な孤独では生きていけない。何かと誰かと繋がっていることの有り難さを改めて噛み締める。

    今だからこそ、この物語の世界、数々の言葉、思いが心に沁みた。

  • 初の北村薫さん。文庫本の紹介文に惹かれて読みました。
    主人公の真希は内なる声といつも会話してるようだ。どうやら小さい時から。交通事故で意識不明の真希は誰もいない世界に入り込み、同じ日を数ヶ月孤独に過ごすのだか、やはり内なる声はそばに居る。突然、泉という男から電話がかかってきて現世との接点が出来るところから面白くなってきました。内なる声は泉なのか・・・。

  • 北村薫の描く主人公が大好きだ。
    凛としてて、一本芯が通ってて、明るく前向きで、妙に生真面目だけどユーモアもある。
    読んでて爽やかで清々しく温かい。
    今回もそんな女性が主人公。
    「永遠であるというなら、一瞬さえ永遠だ。」
    そうなんだ!人生は目的ではなく一瞬一瞬の積み重ねの過程なのだ。
    人生が旅なら、どこへ行くかが問題なのではなく、どのように。どんな手段で、どんな景色を見ながら、何を感じながら、誰と出会い、誰とともに行くかが大切なんだ。それもひとつひとつの出来事を丁寧に感じ、味わいつくして楽しみながら。


  • 誕生日直前29歳の女性版画家が7月のある日自動車横転事故に遭い目覚めると誰もいない、どんな一日を過ごしても15:15になると昨日にリセットされる世界に。
    150日過ぎたある日電話が鳴り物語が動きます。毎日何事もなく繰り返す日常は尊くもあり年を重ねるごとに時間の流れがますます速くなる今日この頃、自問自答させて
    いただきました。後悔ない時間を過ごしたいものです。

  • 序盤、少し退屈で 読むの やめようかとも思ったが
    文章がとてもきれいで そこから浮かぶ風景が良くて
    途中からはやめられなくなってしまった。

    北村薫さんて、女性だったっけ?と 検索してしまうほど
    とにかく 柔らかくて繊細な美しい文章を書く作家さん。

    ストーリーもとても素敵だった。
    感じの良い美しい映像が浮かびっぱなし。
    登場する人物も魅力的。

    独特の世界観があって、出会えて良かった作品。

  • 交通事故をきっかけに、私は同じ1日を繰り返し過ごすようになる。


    現代のルーティーンにかけている。


    主人公は、時の意味を見出だしたから、そのルーティーンから抜け出すことができたとしている。

    そう考えていると、現代の人たちの多くは「くるりん」しているのかなあ、と。

  • 20年近く前の学生時代に一回読んでいたがその時の文庫を紛失してしまったので買い直し再読。

    たったひとり時の流れから弾き出された人の孤独と絶望はいかほどか。そんな中で鳴った電話の音はさぞ頼もしく響いただろうな。しかもそれが文字通りの‘運命の人’との繋がりになるなんて出来過ぎな程のロマンス。

    八章で語られる「内なる声」について。声は何故「わたし」に語りかけてきたのだろうか?こうなる 運命は決まっていたという事か。全ては昏睡状態が見せた夢か。

    そもそも‘こちら’と‘あちら’の違いなんてただの見せかけなのかもしれない。


    17刷
    2020.12.28

  • スキップの後に読んだ。
    スキップの、お昼寝から起きたら時が進んでいたと言う状況も辛いが、わたしならこっちの方が辛い。
    初めはいいかも知れないけど、ずっと独りぼっちだし、戻れる保証もない。自分が何かを残しても、翌日には元通り。

    最後の方で、第2の若い男が出てきて「やだやだヤバい逃げて!」と思ったが…無事に戻れてよかった。
    真希はとても強くて前向きで、素敵な女性だった。
    勿論、彼女の母も、電話の相手も。

  • 最初は二人称に慣れなくて、読み進めるのに時間がかかりました。
    でもその秘密が明かされてからは一気!
    ふたりのやり取りが清らかに甘くて、昔の純文学を読んでいるよう。
    想像の余地があって、ひそやかな感じ。贅沢だなぁ。

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著者プロフィール

1949年埼玉県生まれ。早稲田大学第一文学部卒業。大学時代はミステリ・クラブに所属。母校埼玉県立春日部高校で国語を教えるかたわら、89年、「覆面作家」として『空飛ぶ馬』でデビュー。91年『夜の蝉』で日本推理作家協会賞を受賞。著作に『ニッポン硬貨の謎』(本格ミステリ大賞評論・研究部門受賞)『鷺と雪』(直木三十五賞受賞)などがある。読書家として知られ、評論やエッセイ、アンソロジーなど幅広い分野で活躍を続けている。2016年日本ミステリー文学大賞受賞。

「2021年 『盤上の敵 新装版』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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