ターン (新潮文庫)

著者 :
  • 新潮社
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レビュー : 524
  • Amazon.co.jp ・本 (426ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101373225

作品紹介・あらすじ

真希は29歳の版画家。夏の午後、ダンプと衝突する。気がつくと、自宅の座椅子でまどろみから目覚める自分がいた。3時15分。いつも通りの家、いつも通りの外。が、この世界には真希一人のほか誰もいなかった。そしてどんな一日を過ごしても、定刻がくると一日前の座椅子に戻ってしまう。いつかは帰れるの?それともこのまま…だが、150日を過ぎた午後、突然、電話が鳴った。

感想・レビュー・書評

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  • 北村薫の描く主人公が大好きだ。
    凛としてて、一本芯が通ってて、明るく前向きで、妙に生真面目だけどユーモアもある。
    読んでて爽やかで清々しく温かい。
    今回もそんな女性が主人公。
    「永遠であるというなら、一瞬さえ永遠だ。」
    そうなんだ!人生は目的ではなく一瞬一瞬の積み重ねの過程なのだ。
    人生が旅なら、どこへ行くかが問題なのではなく、どのように。どんな手段で、どんな景色を見ながら、何を感じながら、誰と出会い、誰とともに行くかが大切なんだ。それもひとつひとつの出来事を丁寧に感じ、味わいつくして楽しみながら。

  • 序盤、少し退屈で 読むの やめようかとも思ったが
    文章がとてもきれいで そこから浮かぶ風景が良くて
    途中からはやめられなくなってしまった。

    北村薫さんて、女性だったっけ?と 検索してしまうほど
    とにかく 柔らかくて繊細な美しい文章を書く作家さん。

    ストーリーもとても素敵だった。
    感じの良い美しい映像が浮かびっぱなし。
    登場する人物も魅力的。

    独特の世界観があって、出会えて良かった作品。

  • 最初は二人称に慣れなくて、読み進めるのに時間がかかりました。
    でもその秘密が明かされてからは一気!
    ふたりのやり取りが清らかに甘くて、昔の純文学を読んでいるよう。
    想像の余地があって、ひそやかな感じ。贅沢だなぁ。

  • 中学生の時に読みました。
    今思えば、恋や愛やものの考え方等、多くをこの本から学びました。
    今でも読み返す大好きな一冊です。

  • 不意に巻き込まれた事故のせいで、同じ1日を何度も何度も「くるりん」と繰り返すことになってしまった真希。

    気が遠くなるような孤独の中でも絶望することなく、お店で買い物をすれば誰に咎められるわけでもないのにきちんとお金を払い、庭に水を撒く真希は、やはり北村さんが描く女性ならではの、清潔感とひたむきさを持っていて、すがすがしい。

    「君は。。。」という主語で書かれる地の文に戸惑う方も多いようですが、ラストまで読み進むと、そうでなくてはならなかったのだ、とすとんと腑に落ちて感動が深まると思います。

    それにしても、運命の人にしかつながらない電話!今、恋をしている人にも、恋にあこがれている人にも読んでもらいたい作品です!

  • 交通事故をきっかけに、私は同じ1日を繰り返し過ごすようになる。


    現代のルーティーンにかけている。


    主人公は、時の意味を見出だしたから、そのルーティーンから抜け出すことができたとしている。

    そう考えていると、現代の人たちの多くは「くるりん」しているのかなあ、と。

  • モノクロの世界からカラーの世界へ。
    主人公の心理描写に色彩を感じる。
    クライマックスが、何度読んでもときめくねぇ。

  • 素晴らしかった。
    これはよかった。もっと若くに読んでいたかった。
    タイムループものSFであると同時に、さわやかな青春小説でもある。

    午後3時が訪れると、昨日の午後3時に戻ってしまう、永遠に一日を繰り返す世界にはまってしまった29歳の女性の物語だ。この29歳というのは女性にとっては特別な年齢であるはずだが、それを男性作家が書いているのだから恐れ入る。

    一日過ごせば、また形あるものや生み出したものが全て元に戻ってしまうのなら、凡人ならまずやる気を削がれて、漫然と時を過ごすだろう。だが、この主人公の頑張りには、読者たる私に渇を入れるかのごとく、力を振り絞る。
    これは極上のエンタメであると同時に最高の啓発書でもあると思う。

    そして、いつも優しい視線で文章を紡ぐ北村氏だが、こういう優しい人が、牙を剥いたときが最も怖い。
    クライマックスはホラー小説以上に戦慄した。

    読んで良かった。

  • 車が衝突して、記憶がとだえ、真希は昨日に戻っていた。そして午後3時15分、気づくとまた同じ一日が始まる。 ターン、ターン、その繰り返し。(Amazonより)
    この説明をどこかで読んだとき、ターン、ターン、は繰り返しの意味ではなく、跳んだときの音なのだと思っていた。
    実際それは違うのだけど、この本を読んだときその音が聞こえてくる気がする。

  • やっと…読み終えたよ…といった感じ。後半は面白さが増してあっという間に読めました。
    ただ前半部、泉さんと話せず1人主人公が彷徨っているところがとにかく長くて長くて…北村作品を読むといつもこう感じている気がする。
    でもさすがあったかい。後書きにも書いてあったけど、やっぱり時の流れとか気持ちがゆーっくりと進んでいるのが心地いいなぁ。
    いい作品。
    しかしオススメはできない!オススメするならやっぱりスキップのほうだよ!

  • 中盤までちょい退屈。
    もっと無や静けさの中で冒険して欲しかったかなぁ。
    でも電話で繋がってからは動き始めて、どんどん読み進める事ができた。
    終わりは爽やかでよかった。

  • 大好きな小説。
    はじめは文体に違和感があるけど、その理由が分かった時にゾクゾクっと鳥肌が立つ。繰り返す終わりのない日々に変化が現れたときのドキドキ感と、そこからの展開がほんとスピーディーでおもしろい。
    この作者の時間のシリーズの中で一番すきです。

  • 「スキップ」に続き、前フリが長く読むのが辛いが、物語が動き始めたら、一気に読ませる作品だった。好きな作家の一人になった

  • 救いのある物語でよかった。

    柔らかな、優しいタッチで描かれていて、だけれども時折、心の奥底に強く響く言葉がある。

    どんな状況でも自分を見失わない強かさ。
    時間に翻弄されても、主人公には、困難に立ち向かっていく強かさがある。
    その強かさがあるからこそ生まれる言葉、投げかけられる言葉
    それらの言葉たちが格言めいて、読んでいる自分に突き刺さってくる。

    前へ進もうという気持ちにしてくれる物語というのは、とても貴重なものだと思う。そうそう出会えるものでもないし、自己啓発本とはまたワケが違う。
    前作のスキップ、そして今回のターン、主人公の強かさから多く学びとれるものがあった。
    うん、読んで良かった。

  • この本は、北村作品のなかでも一番好き。
    起きている事態はすごく残酷なのに、優しく描かれるのは北村作品ならでは。
    北村の描く女性は本当に素敵だ。
    こんな出会いをしたい。
    最後の一文にしびれる。

  • まず、本に「君」と呼びかけられ驚いた。
    まるで本と対話してるかのような錯覚に襲われ、
    不思議な気持ちで読み始めた。
    そして、この本を通して、メゾチントというものの存在を知った。
    さらには、「くるりん」を経験した「君」の最初の行動に驚かされ、
    私ならどうするだろうと考えた。

    そして、明かされる真実ー。
    リターン。

    ぜひ、すべてを読み終わった後にもう一度読み返し
    その意味を、この作品を味わいたいと思った。

  • 所々でふっと優しいきもちになれる本。特に終わり方が大好き。不思議な設定ではあるけれど、決して特別なことではなくて、真希に限らず誰もが体験しうる時間の感覚というか…。繰り返すのか、繰り返さないのか。そう感じるのか、感じないのか。全部がその人次第で、過ごし方次第。長さはあるけれど穏やかな気持ちになれる、存在感のある本。

    • まろんさん
      はじめまして。フォローしていただいて、ありがとうございます!まろんです。

      時が「くるりん」する、北村薫さんの『ターン』、大好きな作品です!...
      はじめまして。フォローしていただいて、ありがとうございます!まろんです。

      時が「くるりん」する、北村薫さんの『ターン』、大好きな作品です!
      まだ見ぬ運命の人とだけ繋がる電話、
      誰も見ていないし、時間はまた戻ってしまうのに
      買い物にきちんとお金を支払ってくるヒロイン真希。
      出会ったひとや、なんでもない毎日を大切にしなくては、と思わせてくれる本でした。

      好きな作家さんがかなり重なっていてうれしいsioさんの本棚と
      素直で綺麗な言葉で綴られたレビュー、これからも楽しみにしています。
      どうぞよろしくお願いします(*^_^*)
      2012/11/29
  • あらすじ
    真希は29歳の版画家。夏の午後、ダンプと衝突する。気がつくと、自宅の座椅子でまどろみから目覚める自分がいた。3時15分。いつも通りの家、いつも通りの外。が、この世界には真希一人のほか誰もいなかった。そしてどんな一日を過ごしても、定刻がくると一日前の座椅子に戻ってしまう。いつかは帰れるの?それともこのまま…だが、150日を過ぎた午後、突然、電話が鳴った。

  • 時と人三部作の二作目。
    今作は世界の時の流れに置いていかれ、同じ時を何度も過ごす女性の話。
    誰もいない一人ぼっちの世界で絶望する中、ある日突然電話が鳴り…。

    前作のハッピーエンドなのかバッドエンドなのか複雑な気持ちになるストーリーとは違い、今作はどっちなのかは明確。
    さて、どちらでしょうか。

  • 夏の午後、運転中にダンプと衝突し、目が覚めると自宅の座椅子だった。
    事故は夢だったのかと外へ出ると、家も街も変わらないのに、自分以外の生き物が消えてしまっていた。
    そして毎日ある時刻になると前日に戻り、また座椅子で目覚める。
    時間の流れに取り残された彼女は、このまま時を繰り返すしかないのか。

    受け入れがたい現実を受け入れるだけでなく、そこで生きていく中で自分を見失わない強さがすごい。
    どんな一日を過ごしても全てがなかったことになる。
    自分一人の世界で何を生きる糧にすればいいのか。
    私ならきっと心がもたないだろうな。

  • 「だが、150日を過ぎた午後、突然、電話が鳴った。」この続きが気になるあらすじに惹かれ読みました。最初は文章が美しいものの読みづらい二人称文章に悪戦苦闘したものの、あらすじにあった電話が鳴る以降の展開で一気に話が加速しあっという間に読了出来ました。
    最初女性作家さんかと思っていたほどきめ細やかな描写や強くて優しい女性主人公、くすぐったい恋愛描写も素敵です。もう一度じっくり読み返したいお話です。

  • 3分の1くらいから流し読み。うっかりネタバレを見てしまったので結末はわかっていたけど…いまの気分に合わなかったのか。でもデジャヴが実は何回も時間を繰り返してた経験だとか、ちょっと怖かったです。ありえないけどありえたら…いやこういうことは起こっていても記憶に残らないだけかも…と思わせる内容。半分以降は恋愛も絡んで、後半くらいからはサスペンスも絡み、流し読みながらも色んな意味でドキドキ。とても良い本です、おもしろいです。流し読みしたわたしが言うのもなんだけどf^_^;

  • 主人公の駆け出しの女性版画家に絶えず話しかける男性の声。昔、池澤夏樹さんの1枚の写真をもとに「君」に話しかける掌編集があったけど、それに似ている文章。
    でも、あれは一方的に君に語りかけていかけど、この本では主人公とその誰かが対話している。不思議な文体。筆者が主人公に話しかけているんだろうか。

    事故で誰も居ない時間の中に囚われてしまった彼女。その時刻が来ると、1日前に「くるりん」してしまう。

    長い孤独の末に1本の電話が鳴って、物語が動き出さす。これが声の主?そうすると、これまでの文章は回顧してたわけか?
    後になって、勘違いに気付くんだけど、ボール球で空振りを取るのが上手いなあ。文句をつけているじゃなくて、お蔭で更に感動が深くなっている。

    北村薫さんの描く女性は皆、凛としているけど、本書の森真希さんが一番魅力的だと思う。北村さんはオジサンなのに、なんでこういう女性を活き活きと描けるんだろう。

    文章もドキッと心に刺さる処がそこここに。
    (引用)
    君は、くるりと振り返って、≪フウの木≫にいう。
    「わたしは、真希よ」
    そうか、と木は、葉を鳴らした。

    終幕も良かった。こんなラブロマンスもあるんだなあと感激しながら本を閉じた。僕にとって北村薫最高作。

    以下、雑文。
    実は子供の頃から目が覚めたら誰も居なくなっていることを夢想していた。そして、いい年したオッサンになったのに、まだ時々誰も居ない、たった一人の毎日を考えている。
    電気も水道などのインフラは使える前提は都合良過ぎ。スーパーに行けば食料はあるから、生きていける。
    急に人が居なくなっても何故か交通事故は起きていないし、火事も起きない。そう云う処はこの小説に似ている。
    つまりこういう空想をするのは人間嫌いだからなのかな。北村さんも?まさかね。

  • なんて言ったらいいのかなぁ。
    くるりん、泉さんの声、時を生きること

    うーん
    生きていなければなぁ
    ただ過ごすのではなくて
    くるりんの中でも生きようと思えたように
    生きていなければなぁ

  • 序盤は「君は…」と話しかけてくる「声」と、発話している女性との二人称をどう捉えて読み進もうかペースがつかめず、なかなか進まなかったが、だんだんと、明らかになっていく。
    前作「スキップ 」のほうがわかりやすく楽しめたが、この「ターン」は読み直すと、また違った味が楽しめそうな作品。とにかくストーリーを追いかけることに必死だったので、細部を落ち着いて読み直したい。

  • 第1章がつまらな過ぎて挫折しかけた。
    以降は面白く読めた。

  • 銅版画家の真希はある日、大きな交通事故に遭う。目覚めるとそこには自分以外の人間が誰一人としていない世界だった…。
    著者の時と人シリーズの一部作目『スキップ』を読んだので、続けて二作目のこちらも読破。前作と違って、パラレルワールド的な世界観の本作。世にも奇妙な物語とかでありそうだなぁと思いながら読みました。
    ストーリーは前作と好みが分かれそうだが、北村薫さんの描くヒロイン&ヒーローは、とても温かくて魅力的。一本の電話で繋がる運命、なんてロマンチック!

  • 版画家森真季、ターンを繰り返す。

  • 面白かった!
    確かにパラレルな話題に見えて
    実はとてもリアルに繋がったお話だった。

    最初はターンしてからの繰り返しの日常の描写に
    正直飽きてきたんだけど、
    電話が鳴ってからは一気読みだったな。

    ともすれば私たちの日常だって
    リピートな毎日になり得てしまう。
    そうなってくるりんの輪に陥ってしまわぬよう、
    時を大事にしなければと自戒。

    特にこの2ヶ月は寝たきりに近かったので
    ここらで仕切り直しだな。
    いいタイミングで読んだ本と思おう。

  • 主人公真希の潔さがすごい。
    こうなったからには、と自暴自棄にならず毎日をいつもと同じように送る。
    何をやっても同じ、なら、柿崎のようにも真希のようにも生きることができるのだけど、なかなか真希のようにはいかないなぁ。

    北村薫の文章の美しさも堪能

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著者プロフィール

1949年埼玉県生まれ。高校教師を務めるかたわら、89年『空飛ぶ馬』で作家デビュー。91年『夜の蝉』で日本推理作家協会賞、09年『鷺と雪』で第141回直木賞、15年には第19回日本ミステリー文学大賞を受賞した。エッセイや評論、編集の分野でも活躍している。近著に『ヴェネツィア便り』『小萩のかんざし いとま申して3』『中野のお父さんは謎を解くか』など。

「2019年 『遠い唇』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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