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Amazon.co.jp ・本 (448ページ) / ISBN・EAN: 9784101373287
みんなの感想まとめ
時間に翻弄される人々の物語が、戦争という歴史的背景を通じて描かれています。完結編では、過去の思い出や詩、歌が再会の鍵となり、二人の切ない想いが胸に響きます。特に啄木の詩が二人の心情を巧みに表現し、物語...
感想・レビュー・書評
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時と人シリーズ三部作、ついに完結!
前作『スキップ』では時間を奪われ、『ターン』では同じ時間に閉じ込められた。完結編の『リセット』では、一体どのような形で時間に翻弄されるのだろう――。そんな期待に胸を膨らませつつページをめくった。
物語の背景にあるのは意外にも、太平洋戦争だ。昭和初期のモダンな日常が戦争によってじわじわと壊されていく過程が丁寧に描かれ、理不尽に奪われた生、叶わなかった想いの重みが、ひしひしと心に刺さる。
そんな中、啄木カルタや木下夕爾の詩、ドイツの歌を「合言葉」にして、時を超え再会する二人の姿には胸が熱くなった。
特に啄木の「かの時に言いそびれたる 大切の言葉は今も 胸にのこれど」という一首は、もう、二人の想いをそのまま歌にしたようで、たまらなく切なく感じてしまう。ただの再会ではなく、こうした歌や詩が再会の「鍵」になっているのが、なんとも北村薫さんらしくロマンチックではないか。
後半、黄金色の麦畑で二人が向き合うシーン。それはまるで『風の谷のナウシカ』のナウシカが、金色の野に降り立つ奇跡を見ているようで、嬉しさと感動で心が震えた。
私は見たことはないが、33年周期の獅子座流星群のように、一度「リセット」されても、大切な人と必ず巡り合える――。修一の「また会えたね」の言葉がそんな奇跡を信じたくなる。
冒頭の「星です。私の最初の記憶は流れる星なのです」から始まり、ラスト家族で見上げる流星群。「そして時は流れ星は巡りつづける」という結び。
ふと夜空を見上げた時、「独りじゃない、また巡り会える」と思わせてくれる、最高のハッピーエンドだった。
引用される詩や歌、本のひとつひとつが祈りや願いとなり強く心に残る一冊。シリーズ完結に相応しい壮大な物語だった。
三部作のなかでわたしはこの作品が一番好きかも。
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「時と人」3部作、ようやく本棚に並びました。
最初に読んだのはまだ学生の時で、
いまいちよく分からなかったのですよねぇ。
やっぱり『スキップ』の感動が大きすぎて。
でも、今、改めてこうして読み返してみると、
歳取ったから、分かる面白さ。
10代の時にしか味わえない感動がある一方で、
歳重ねなきゃ分からない感動もある。
この本は、そういう本だったんだ。
すっごく丁寧に書いてあるので、
途中でどこに向かっているのか
正直分からなくなる時もありますが、
負けずに最後まで読み進めてほしい。
恋愛小説好きとしては、
このロマンチックは味わわっとかないと。 -
結末がハッピーエンドならそれでよい…などと
もう軽々しく口にできなくなりました。
他の記憶を失くし 生まれ変わっても
胸に残り続ける想いのことを
何と呼ぶのでしょう。
執着ですか?
でも…2人の想いのどこからも
そのような暗い引力は感じませんでした。
第三者の予断を許さない厳しさが
この物語にはあるような気がします。
2人の想いは、理不尽に引き裂かれたからこそ
生まれ 継がれたものだからでしょうか。
この物語からは 軽々しく口にできない
さまざまな時代と文明と人間社会への
猛烈な憤激を感じてしまいます。
終わりがよければそれでよいと
いうものではない。
哀しみや罪悪感の代価としての幸せなら
そんなものを求めたくはない。
心からそう感じつつ、表紙を閉じました。 -
時代の空気感が滲み出てきて、文字を追っているあいだ周りの空間から切り離されるような本だった。
先の展開は若干読めたものの、割にめっちゃ泣きながら読んでた。 -
新手のタイムトラベルもの、心の時間空間遊泳。生きるよすが。
心のゆくえを文学は様々な描き方をしてくれる。それを楽しむ読者は幸せというもの。
「しし座の流星群」のことが印象深くあった「愛の一家」を子供のころ読みましたとも。
だから...。
ちょうど、私はヒロインまあちゃんこと、真澄とあの人こと、村上君の中間の世代に生きた。だから、お姉さまたちのまだ物のかろうじてあった時代(戦争が始まる前)の話はうらやましく、なつかしく、いぶし銀の輝きのごとく見える。そして、村上君の時代(戦後16年経って)は、私がもう成年になっていたからよく知っている、それはそれで懐かしい。
村上君の小学時代の日記(たぶん作者)の記述の数々から思い出す私の経験。
フラフープ、ホッピング。
そして、忘れもしない高校入学を果たしたので、家でも買うことになった白黒のテレビジョン。
アメリカTVドラマ『パパは何でも知っている』キャシーの初恋。
...。
ほんとに、作者は資料をよく調べこんで描いている。出てくる風物ことごとく懐かしくて、懐かしくて仕方が無かった。いずれにしても帰らない日々。
でも、『百年前の人は、今のものを見られないし、今の人は百年後のものを見られない。だからって、後の人のほうが得だってことはないと思うの。』という真澄の言葉。
感動の時の流れ!それしか言えない。読んでよかった。 -
時の流れが漣のよう。穏やかに寄せては返し、時々大きなうねりとなって。
戦時中に心は通い合ったが、終に一緒になれなかった二人の時間はそのまま永遠にバラバラになってしまうはずだった。時代を超えて再び出会えて、そしてまた別れ。次に出会えた時、戦争という悲しい過去によって交わらなかった時がようやく一つになったんだな、と優しい気分になれた。 -
時と人の3部作、スキップ、ターンに続く第三弾。
十数年ぶりに再読したが、すっかり内容を忘れてた。
スケールの長い話。戦中の第1部、戦後の第2部で全く別の話が語られるが、そこまではその意味がわからない。
最後の第3部でやっとそれらがつながる。
スキップやターンのような、シンプルな時間の移動の話ではなく、ちょっと趣が異なる。そこに好き嫌いは出るかも。
これ、二回続けて読まないと内容を味わえない話だと思う。個人的にはそれは面倒なので、シンプルな話のほうが好みではある。 -
時と人3部作、完結。
第1章は、昭和ヒトケタの芦屋のお嬢さん。子供の頃に出合った運命の人。太平洋戦争に突入してゆく世の中に巻き込まれ、別れを迎える。
第2章の主人公は昭和30年の子供時代を語る。
スキップやターンのような「事」は、読み進めて半ば過ぎても起こらない。その後、たぶん、こういう話になるかなと考えてたら、そのままだった。
ひねりが無いというか、「事」が起こる必然性もあまり無い。
二度の再会、つまり真澄さんと和彦君の出会い、和彦君と真知子さんの出会いは、都合良過ぎじゃないのか。それに記憶があっても、人格は別なのではないのか。それを運命と云っていいのだろうか。
そんな文句の付け処はあるけれど、でも、さほど不満を感じず、物語を楽しむことが出来た。
真澄さんの体験した学徒勤労動員の話は父母から聞かされていたし、和彦君の子供時代は、僕自身の少年期を思い出させてくれた。神は細部に宿るというが、その細部の一つ一つに胸を突かれる思いがする。
僕自身の子供の頃、スーパーなんて無いから、野菜は八百屋で買い、肉は肉屋で買っていた。豆腐売りから豆腐買っていた記憶はないけど(子供だから寝ていたのかな)、街で豆腐屋のラッパか鈴をつけた自転車を見掛けていた。そんなことを思い出しながら、読み進めた。
ただ、若い読者には無駄が多いと感じるかもしれない。
(引用)
ー帝国と我々ではなかったのか。それでは、どうして皆な、帝国と共に滅びないのか。
八千代さんには申し訳ありませんが、最悪の時に、最悪の人から、最悪の言葉をかけられたとしか、言いようがありません。
この著者の断罪の言葉が胸に刺さった。 -
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「時と人」三部作の第3作。
太平洋戦争末期。
お嬢様学校に通う女学生の水原真澄は
結城修一という少年にほのかな恋心を抱いていたが
その想いは、あっさりと引き裂かれる。
そして時は昭和30年代前半に飛ぶ。
小学5年生の村上和彦は、ある女性と知り合うのだが
覚えのないことを記憶している自分に違和感を持つ。
そして、和彦も女性も気付いてしまった。
奇跡が起こっていたことを・・・
けれど、奇跡の全てが幸せをもたらすものではなかった。
やがて悲劇が訪れ・・・そして・・・
都合がいいと言われれば、それまでかもしれないが
二人の想いが起こした奇跡を信じたくなります。
それほど優しさに満ちている。
いやぁ~最後の豪快な笑いが最高でしたねぇ~
リセットって、そういう意味だったのかと
納得して読み終わりました。 -
一番好きな本。
もう、何度も繰り返して読んでいる本。
お互いがお互いを想う心がとても好き。
厳しい時代の中で、真摯に生きる姿がとても好きだ。
これからも何度も読んで、勇気をもらい続ける1冊。 -
時と人三部作は、どれも大好き。
三作とも、何度も読み返している。
この「リセット」は三部作完結にふさわしい壮大さで、しかし描写はとてもとても細やかで、情景が鮮やかに浮かぶ。
読み終わってしばらくしても、あちこちの場面が思い出されて胸が詰まる。
ラストは何回目でも涙が出る…。
とても愛おしい気持ちになる作品。 -
しばらくは「これも『時と人のシリーズ』?」と読んでいたけれど、三部作の中ではこれが一番ロマンティック。でも私は『スキップ』や『ターン』の方が好き。ヒロインの年齢や時代設定(戦前~戦後がメインだから)からそう思うのかな。ただ戦前のお嬢さまの日常生活や戦時中の生活ぶりなんかは結構興味深く読めた。
こんな風に、ただ一人の人と巡り会うために生まれ変わってみたい。 -
時と人シリーズ読了。一番好きなのはターンかなぁ、
でもこのリセットは、前半が青春が戦争と共にあった少女のエッセイとなっている点で他の2作とは違う面白さがあった。この世界の片隅にを観たくなった! -
〈再登録〉「時と人」三部作の三作目。互いに惹かれ合いながらも戦争に翻弄され、死別する二人。いくつかの時代を経て再び巡り合う…
前世からの恋とは、ちょっと照れくさいテーマだと思いながらも静かにゆっくりとハッピーエンドに向かっていく展開は感動してしまいました。 -
第二部の半ばまで別個だった二つの話が繋がっていく面白さ、人の思いの深さにしみじみした。恋愛小説はあまり読みたいとは思わないのだが、こういうのは素直に良かったなと思う。一部のブルジョアの家庭の戦争時の話も興味深かった。
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時と人のシリーズ第三作。記憶は人を形作るものではあるが、それが時を超えたらどうなるのだろうか。
本作には様々な物語の伏線が張られている。それらのモチーフが突然現れては消え、また現れては消える。それでいて、一つの大きな物語を何度も形作っているのだ。
第二部は独白が続くので、読み難いが、読み進め、時を遡っていくうちに、大きな物語のうねりに飲み込まれていく。
惜しむらくは『スキップ』『ターン』から読み始めるべきだったかと思うことである。
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