- Amazon.co.jp ・本 (400ページ)
- / ISBN・EAN: 9784101373317
感想・レビュー・書評
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「どんなお話?」と聞かれたとき、言葉に詰まる本というものがある。
とてもじゃないけど、ひと言では到底言い表せない、そんな本。
語れば語るほどに空虚な言葉が宙を飛んでいく、そんな錯覚に囚われる。
話せば話すほど、その本が詰まらなく感じてしまう、そんな本。
説明すればするほど、空虚でグダグダになってしまうような、そんな本。
けれど、間違いなく、自信を持って名著であると言い切れる、そんな本。
読書中には、ぐいぐい引き込まれてページを繰る手が止まらない。
読後には、心に豊かな感情が湧き起こる。
ああ、この本と出会えてよかったな―、と幸福を噛み締められる。
本書は、そういう作品です。
「良かったよね」「うん、とても良かった」
「素敵な作品だよね」「うん、本当に素敵」
そんな会話を、ぽつぽつと誰かと交わしたい。
そして、互いの間に交わされる、目に見えない共感の糸を感じていたい。
緩やかで暖かい雰囲気を感じながら、互いを包み込んでいる幸福感に身を委ねたい。
そんな、至福の時間を誰かと共有したい。
なんとなく、人恋しくなる。そんな作品です。
北村薫氏は、やはり天才なのだなあと思いました。 -
北村薫さんの作品一冊目。スキップ同様、中盤までなかなか読み進めることができなかったけれど、だんだん味がついてくる。事件やどんでん返しがあるわけではないけれど、登場人物一人一人がすごく魅力的で見守っていたくなる作品。あ〜こういうの好きだなぁ。
《二回目追記》2016/03/19
初めて読んでから約10年くらい経ち、一回しか目を通していないのにわたしの1番好きな小説と周りに言いふらしてました。
今年二回目で再度読み、やっぱりこれだなって思うくらい、暖かいものがあるとおもいます。
すっかり忘れていたけど、病院での千波と牧子が夕日を眺めているところ。本当に涙が止まらない。 -
<再登録>人生の折り返しに入った女性3人の物語。
大切な人の命が僅かだと知った時、何をしてあげられるのか?もしくは自分の命の終わりを知る側だったら?夫や娘の視点も含めて進んでいく中、色々と考えさせられました。 -
三人それぞれの考え、矜持、スタンスがありながらも、何十年も続いていく絆にしんみりと浸ることができる。「思い出すたびに、トムさんが帰って来る」(p.384) の台詞は、寂しくもあり、温かくもある。
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"円紫"シリーズといい、北村薫は女性の心情を描くのが本当にうまい。
何気ないエピソードの積み重ねが心情を紡ぎ、危機に直面して結びつきが強まる。
友情や愛情の本質を見せつけられる思いがする。
こういう友情は女性ならではだろうか。
新潮文庫版は詩人佐藤正子の解説がすばらしい。言語感覚、表現力に優れた評者にかかると、かくも的確な評論が書けるのか。 -
自分の本棚にあったから2度目のはずなんだけど、今回全くストーリーにはいれなかったのはなぜ…?
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切なさで胸が痛いです。人々が皆、幸せであってほしいと祈るような気持ちになりました。