仙丹の契り 僕僕先生 (新潮文庫)

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  • Amazon.co.jp ・本 (416ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101374383

感想・レビュー・書評

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  • 前巻の鋼の魂より、すごく良かったと思う。いつもの僕僕節が戻った感。
    ドルマさんが、どんな人だったのかが明らかに。どれだけ遠かろうとも、友人を助けたいと思えば、駆けつける王弁の心意気は、いつ見ても清々しい気持ちになります。
    何があっても、(まぁおバカさんなのですが)ほんとはこんなことがあっただけなんだー!と周りに訴える王弁。ある意味、正々堂々としてるけど、誰も聞いてくれてないわー!と、僕僕とともに苦笑いする私がいる。
    でも、そんな正直者な王弁だから、いろんな人が惹かれるんだろうな。
    私は、ドルマさんの気持ちよく分かります。基本的にアホだし、能力もあるわけでもないけど、真心で人も神も動かす、そんな王弁はほんとに素敵ですよ。
    ここから、2人の旅も、ついにラストスパートに入るそうで、好きなシリーズがまた一つ終わっていくことに寂しく思います。
    素晴らしいラストを楽しみに待とうと思います。

  • 吐蕃の国での話。王弁がこれまでの無鉄砲さを脱ぎ捨て、強くなっていく過程をまざまざと読み取れて、ものすごく読み応えがあった。
    薄妃と蒼芽香は手前の地に留まり、新たな旅の仲間が加わる。吐蕃の政のあれこれを読み進めるうちに、漠然と国家や統治者、良くも悪くも民の意向を整える政治のあり方の難しさがわかってきた。人間とは弱いから強くなるのか。
    僕僕の人間社会に干渉しないけど王弁の成長のために末端で小さく関与するスタイルが好ましい。王子ドルマは民の中を放浪して王側の敷いたレール上の鍛錬だけではない、自分の頭で考え動く、見聞を広めて己を鍛える時間が必要だったと思う。王位を捨てきれない苦悩は決して贅沢ではない。苦悩も成長の糧になった。しかしそのドルマ他の動向をうまく影で操っていた輩がいたのには驚いた。
    この巻から旅の終わりが始まった。もうじきすべて読み終えてしまうのが少し寂しい。

  • 王弁君の成長に反するように僕僕先生がやけに人間味?溢れる存在になってきた。
    初期の頃に比べると僕僕先生が無敵の存在では無く、仙人でも手に負えない相手が出てくるところが周囲の人との関係を深める原因となっており、単なる面白い読み物から共感する要素が強くなってきたような気がする。
    いつまでも旅が続いて欲しいと思えるシリーズなので、終わりに近付いているのが寂しいです。

  • あー、「仙丹の契り」って、そう言う事だったんだあ。

    王弁くんと僕僕先生に旅も8巻目。
    とうとうチベットまでやって来た。
    旅の仲間にも入れ替わりがあり、ちょっと寂しくもあり、また、いよいよ物語が違うステージに入っていくのかなと感じられる。

    物語の縦糸はドルマを巡るチベット王の後継問題。
    横糸はもちろん王弁と先生の関係だ。
    序盤から、王弁と先生のやり取りがいつも通りで、とても楽しかったのだけど、ついに二人の交わりがという展開にドキッとさせられた。
    でも、王弁くんじゃないけれど、情緒も減ったくれもなくて、ちょっと思ってたのとは違った(笑)
    しかも、きわめて仙界的な表現になってて、で、結局どうなったのよと言いたい!(爆)

    でも、王弁が僕僕先生に、「あなたを導きたいんです」といった場面は、なかなかよかった。
    王弁くんもやるときゃやるようになったんだね。
    うん、成長したなあ。

    さて、二人の旅もついに長安に引き返すことになり、物語も終盤に向かうよう。
    次巻を楽しみに待ちたい。

  • 王弁くんの成長著しい本作。
    物語が終盤に向かっているのを感じる。
    自分は先生とのいちゃいちゃを見ていたいだけなんだけどね。

    今後、長安では胡蝶との戦いを控えているので仕方ないところではあるんだけど、メンバーが戦闘要員ばかりになったのは少し残念。ソウガコウちゃん可愛かったしね。薄妃さんはもて余している感じだったで妥当。

  • 気づいたらもう8冊も読んでいることに驚きました。

    そう言えば舞台はとうの昔に中国から離れているし、メンバーも入れ替わっている。

    一番の変化は王弁の立ち振る舞いです。RPGのような目に見える強化ではありません。明らかな強さ、例えば戦う力や、奇妙奇天烈な技がバンバン使える訳ではない。
    それでも、彼が成長していると感じるのは、心のあり方。人との接し方が変わってきたからでしょうね。
    あのドルマから、あそこまで賞賛される姿は一巻では想像できません。立場や生い立ちよりも、望まれるもの。王弁はそんなキャラクターの塊です。

    そんな彼は、最後僕僕先生とどうなるのか、、、気になります。

  • 長らくの仲間と別れ、新たな旅路へ出発した僕僕一行。国境を守る街で、王弁は吐蕃の医師ドルマと再会した。どうやら同地の城の主ダー・バサンが病に倒れ、医師と薬師を募集しているらしい。二人はタッグを組んでチャレンジするが、患者に触れずに診断してみろと妙な条件を出され…。奇怪なおねえキャラも登場し、王弁と僕僕の仲も進展、か?「僕僕先生」シリーズ、ドキドキの第八弾!

  •  しばらく変化のなかった、ような気がする中心人物たちが、いろいろと変わる巻。
     薄妃さんが行く道の先に待つのは、誰とのどんな結末なんだろう。消化しきれない想いを、他の子を手助けしようとすることでまぎらわせるかのような振る舞いが、せつない。
     劉欣の誰にも見せない素顔。
     そして僕僕と王弁の・・・!僕僕の経路がゆっくりと円を描いている、というのがイマジネーション豊かでいい。甘い杏の香りと色が見えるよう。
     ドルマが王弁をうらやましがるのはややしつこくも思えるけど、重責を背負わんとする決断の前にはそれぐらい揺れるものなんかな。
     バイーはよく分からなかったな・・・デラクとデュケはなんというか影の王様みたいだ。

  • そろそろ終幕

  • いよいよ物語が終幕に近づいているという感じ。ここからどうまとまっていくのか楽しみ。

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著者プロフィール

1973年大阪府生まれ。信州大学人文学部に入学後、北京に留学、2年間を海外で過ごす。2006年『夕陽の梨─五代英雄伝』で第12回歴史群像大賞最優秀賞、同年『僕僕先生』で第18回日本ファンタジーノベル大賞を受賞。「僕僕先生」シリーズは読者の圧倒的支持を集め、ベストセラーとなる。著書に「千里伝」シリーズ、「くるすの残光」シリーズ、「黄泉坂案内人」シリーズ、「立川忍びより」シリーズ、『撲撲少年』『真田を云て、毛利を云わず 大坂将星伝』『三舟、奔る!』など多数。

「2022年 『モノノ怪 執』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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