インディヴィジュアル・プロジェクション (新潮文庫)

著者 :
  • 新潮社
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本棚登録 : 968
レビュー : 126
  • Amazon.co.jp ・本 (206ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101377216

感想・レビュー・書評

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  • インディヴィジュアル・プロジェクション(個人的な投影)。このタイトルを掘り下げていった作品。読んですぐ感想として記しておくべき作品。アイデンティティーなんてものは人に写して反射してきたものだ。人は人に育てられ、人を育てるものだ。こんな感想です。

  • #17

  • 久しぶりに一気読みをしてしまった。個人的にスパイ私塾の指導者マサキの脳内イメージはビンラディン。

  • これは、頭をぶち抜かれました。

    最高傑作です。
    表紙も最高です。

  •  「グランド・フィナーレ」で芥川賞を獲った時から、阿部和重は読んでみたかったのだけども、なかなか積読のまま消化できず、先日ようやく1冊読むことができた。作品紹介に「ハードな文体。現代文学の臨界点を越えた長編小説。」とあって、そう言われればそうなのだが、どこか違和感を感じる。一見ハードに見せていて、設定や起きる出来事や事件も確かにハードボイルドなのだが、読んでいるとそこはかとなくどこか軽々しい、実は正常の判断力を持ってすればそれほど大したことではないことを、錯乱状態に陥った視点から表現することで、大げさに誇張するような印象。最後が近づくにつれて、自分の中では夢オチとか「シークレットウインドウ」みたいな錯乱オチが来るんじゃないか、とドキドキしていたのだが予想はある意味では的中した。

     あまり内容について言及するというのは感想を書く上でやってはいけないことなのだろうが、この最後のオチにはどうしても言及せざるを得ないくらいのインパクトがあった。最後まで読み進めてきた読者に「?」を抱かせるに十分なインパクトがある。おそらく、これがあるかないかで、この作品は全く別のものになる。なければ読み進めたまま、合っているにせよ間違っているにせよ意外とすんなりと自分なりの理解ができたのかもしれないが、最後のオチがあることで、読者は今まで自分で形成してきたこの作品の世界観というものをある意味でぶち壊されてしまい、宙ぶらりんの状態になる。ただ、これはいわゆる夢オチのような一般的にタブーといわれる手法とは一線を画している。

     この何ともいえない気持ち悪さ(作品としての読後の気持ち悪さではなく、自分の理解が追い付かないという意味での気持ち悪さ)を抱えたまま、解説を読んでみると、なるほど、と自分の感じている気持ち悪さを少なからず埋めてくれることとなった。解説でもあるように、この作品について書くのは難しい。しかし、最後のオチとスパイが持つべき多様性、自己と他人の関係性、そして日記部分の最後のシーンから読み解くと、案外すんなりと体に染み入ってくるような気がした。小説を読む際に、「この作品ではこのように感じるのが正解」という国語の授業のような読み方をする必要は全くないし、むしろ学校の勉強の慣習からそのように作品を読んでしまうことはある意味悲劇だ。ただ、この作品のように、自分が作品から感じたことを表現するのが難しい小説を読んだ後の気持ち悪さを、解説という他人の手を借りるにせよ、最終的に消化できたと感じられた時には、本はやはり面白いと思わざるを得ないのだ。

  • これがJ文学か、といった感想。村上竜とか山田詠美がこのカテゴリーに属するのかどうかは知らないけど、(消費される文学という意味では、この2人はぴったりだと思うが。)阿部和重の作品を始めて読んだが、とても構成がおもしろい。シチュエーションやデティールというよりは、全体の仕掛けが楽しくて、解説で東さんが書いていたが、読み返すたびに異なる感想を、テーマを発見する気がした。初めて呼んだときのぼくの感想は、主人公は薬物かなんかで、酩酊しながら日記を書いているのだと思っていた。酩酊と覚醒が交互に入れ替わり、リアルとフェイクが溶け合っていくような不思議な世界を日記という、主観的かつある意味で客観的なフィルターを通して描いているように感じた。そこが面白く、最後のMの感想で締めくくられるあたりは、日記というフィルターの上位にMの感想があり、読み手のぼくの混乱を招く。なんか、かなり薄ぼんやりとした印象を持った。でも、そこにはフェイクならフェイクなりの確かな手ごたえを感じる作品でもあった。渋谷という雑多で、何かありそうで、実はハリボテのような街をを舞台にして、アイデンティティーなんて、適当にその辺に落ちているもんで代用しちゃえよ的な偽者を、いかにホンモノっぽく見せるかという時代のアンチテーゼにも思えた。これを書いている時点で既に、こういう読み方も出来るかな?、と思っているので、近いうちに読み返そう。
    071113読了

  • 2005年の芥川賞作家の初期の作品。
    渋谷文学のはしりと言える。
    文体が特徴的だった。
    才能を感じる。

  • 2007.1.20

  • 途中から何となくラストはこうなるんだろうな、と思ってはいましたが、
    最後のアレは、誰なのでしょう。

  • 阿部さん苦手なんだよね。授業で大作かつ傑作の「シンセミア」を扱ったんだけど内容がハードなんです。よってシンセミアに関してはちゃんと読まず。そんな抵抗感もあったんですが、こっちのほうは意外とするっと読めてしまいました。「渋谷系」のルーツなのかな。舞台は渋谷それも裏社会って感じ。後半内容についていけなくてちょっと解読できず腑に落ちないところもあるけど、引き込まれてしまったので★4つ。ちなみにカバーと内容はまじ関係ない。よくわからんこのカバー(笑)

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著者プロフィール

1968年生まれ。『アメリカの夜』で第37回群像新人賞を受賞し作家デビュー。’99年『無情の世界』で第21回野間文芸新人賞、2004年に『シンセミア』で第15回伊藤整文学賞・第58回毎日出版文化賞、’05年『グランド・フィナーレ』で第132回芥川賞、’10年本作で第46回谷崎潤一郎賞をそれぞれ受賞。他の著書『クエーサーと13番目の柱』『IP/NN 阿部和重傑作集』『ミステリアスセッティング』ABC 阿部和重初期作品集』対談集『和子の部屋』他多数。

「2013年 『ピストルズ 下』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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