インディヴィジュアル・プロジェクション (新潮文庫)

著者 :
  • 新潮社
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本棚登録 : 964
レビュー : 125
  • Amazon.co.jp ・本 (206ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101377216

感想・レビュー・書評

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  • 変態しか出てこない~と思ったけど、そうでもなかった。
    解説読まないとわからないことってある。
    短いけど濃い。

  • 持っているのはハードカバー版。

  • 『ファイトクラブ』の錯乱+『メメント』の諦観+『イングロリアス・バスターズ』の祝祭 という感じ。アメリカでオリンピックが始まったと作中にあるので舞台は明確に1996年の渋谷であり、前年にはサリン事件と震災という2つの大きな傷を負った日本のヤケッパチ感が充満している(パラニュークといい人間は世紀末を迎えるとこのような心性になるものなのだろうか?)。
    アイデンティティというのは多面体なわけだが(親に対しては子、子に対しては親、恋人に対しては恋人)それぞれの場面で演じているアイデンティティを絶えず意識し、それぞれの「自分」の間にあまり距離が開かないようにそれらを連動させコントロールすることができればわたし達は統合を失わずに済む。また、その技術に習熟してよりたくさんの面を扱えるようになればより「完全な状態」へ近づく。これが’スパイマスター’マサキの教えである。またマサキは他人の身体の中に入るようにして、他人として世界を感知しそれを自分の思考に反映させることを教える。そのために注意すべきなのが「身体感覚」で、月並みな言い方をすれば「あなたの痛みは私の痛み」的教えなのである。こう考えればマサキは特段変わったことを言っているわけではない。
    しかし教え子である主人公はそのように考えることができない。彼は自分の身体感覚は絶えず把握できている(頭痛、胃痛)ものの、彼の周りにやたらとしょっちゅう現れる「けが人」たち(コンビニ店員や同僚の娘)のことは冷淡にとらえている。というか、そもそも描写するという事自体が冷淡な行為なのだ。主人公も作中で「書けば書くほどずれていく」と述懐しているが、他人の怪我を正確に描写しようとすればするほどその怪我は統一性を失い、痛みのリアリティも下がっていく。だからこそマサキはレポートの形式として絵を評価したのである。
    身体感覚という当たり前に備わっている機能を、文字というこれまた当たり前な媒体でもって表現することを課されるという理不尽。これこそが今まで小説が続けてきた試みであり、本作品はこのことの不可能性自体を描いているのである。

  • もっとよく読んで内容を精査しないといけないんだけど、とりあえずこの小説の仕掛けについてどうこう言うつもりはなくて、ただただフリオ・イグレシアスの歌詞分析に圧倒され、彼の曲を聴いてみたくてたまらなくなった。阿部和重さんが書く小説を読むとまず間違いなく作中に登場するアイテム(小説や音楽)に自分も触れてみたくなるのだ。

  • キャプテンサンダーボルトを読んで気になったので阿部和重を読んでみた。
    伊坂幸太郎に近い現実からちょっと離れたような感じがあった。
    個人的には現実認識が希薄になりすぎてて、好みからはややずれたけど、まあ、好きな方向だった

  • 大江健三郎の初期作品を読んだ時に感じた、高揚感を味わうようで、懐かしい気持ちにさせられた。

    基本的に軽やかなトーンで、手垢にまみれた素材である渋谷を舞台に、スパイ小説的なハードボイルド状況を描いている。ハードボイルド的状況は、終盤になると律儀で健気なブンガク的味付けで撹拌される運びとなるが、なかなか奥ゆかしい。

  • 図書館で。この間キャプテンサンダーボルトを読んだので他の作品も読んでみるか…と借りてみたのですが断念。多分主人公の青臭さ(もしくは中二病っぽさ)が合わなかったのではなかろうかと推測。

    なんとな~くですが規模の小さな浅間山荘というか、オウムというか、小人閑居して不善を為すというかそういう雰囲気がしたので苦手なのかもしれない。変に努力家が時間を持て余すとロクな事しないよな、実際…というような感じで序盤に醒めてしまいました…
    それにしても表紙の下着姿のお姉ちゃんはなんなんだろうか…?

  • あ。あれ?
    自分で何がなんだかわからなくなる感覚が
    本人の目線で描かれているのが面白かった。

    ファイト・クラブとか、
    クワイエットルームへようこそとか、
    小説になるとこんな感じなのかな。

    で、結局どうだったの?
    が知りたくて最後まで読んだのに
    わからなかった・・・。

    あーなのか、こーなのか、それともそうだったのか、
    ご想像にお任せします、ですか!

  • 15年?ぶりくらいに再読。面白かった。表現やキャラが平板過ぎる部分もあるけど、日記として強引に読ませるところなんか微笑ましかったり。筆者の企み自体に読者が共感できた、幸せな時代の作品なんだろうな。シンセミアはそんな甘い共感を許さない凄みがある

  • あー面白かった。
    薄いわりに読み応えあったと思います。

    阿部さんの出世作的な作品。
    スパイ養成塾について映画をとるためにスパイ養成塾に入って〜といった設定で、それはめっちゃ面白いのである。危惧したことはこんなに広げといて、ふわっと終わらないでね!!!ちゃんとすっぽり落ち着かせてくれるよね。。。大丈夫よね。。。と心配しましたが、最後はほー!!!という感じ。
    (というか解説読むまでチガウように解釈していましたが・・・解説よんでさらにほー!!!)

    阿部さんの文体やっぱり好きなので、まあわたしに合うのだと思いました。

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著者プロフィール

1968年生まれ。『アメリカの夜』で第37回群像新人賞を受賞し作家デビュー。’99年『無情の世界』で第21回野間文芸新人賞、2004年に『シンセミア』で第15回伊藤整文学賞・第58回毎日出版文化賞、’05年『グランド・フィナーレ』で第132回芥川賞、’10年本作で第46回谷崎潤一郎賞をそれぞれ受賞。他の著書『クエーサーと13番目の柱』『IP/NN 阿部和重傑作集』『ミステリアスセッティング』ABC 阿部和重初期作品集』対談集『和子の部屋』他多数。

「2013年 『ピストルズ 下』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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