西行 (新潮文庫)

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  • Amazon.co.jp ・本 (304ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101379029

感想・レビュー・書評

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  • facebookの友人が読まれており、私自身も「おくのほそ道」を通じて西行に興味があったことから本書を読んだ。残念ながら和歌の素養はないが、著者の解釈と解説が、沁み込むようにすんなり入ってきた。武士から出家した西行だが、自然宗教的で、奔放な生き方に憧れる。

  • 歌と紀行文で辿る西行の生涯といった本でしょうか。
    歌の解釈もなるほどと思わせる説得力がありますし、旅と数寄に生きた西行の魅力が余すところなく描かれていて、いい本だと思います。ですが、紀行の折に案内してくれた人には○○さんとか書いているのに、土地の人なら平気で男とかじいさんと書く……道を教えてもらっているにも関わらず、です。この本に限ってじゃないですが、この著者には上から目線を感じることがあって、正直不快な時もありますね。

  • お坊さんて、禁欲無欲なイメージだったけど、そうでもないな。というのが大雑把な感想。
    官僚社会なんて狭い世界で登りつめることばかり考えるのもばからしい。
    旅して芸術に触れて、ここじゃ出会えない人に会おう。
    そんなところに西行の原初的欲求があったのだとすれば、それは私自身とも大いに共通する部分がある。
    ロックなお坊さんかっこいい。

  • 「現代人は、とかく目的がないと生きて行けないといい、目的を持つことが美徳のように思われているが、目的を持たぬことこそ隠者の精神というものだ。視点が定まらないから、いつもふらふらしてとりとめがない。ふらふらしながら、柳の枝が風になびくように、心は少しも動じてはいない。業平も、西行も、そういう孤独な道を歩んだ」(p.107)

  • 旅と数寄に生きた西行の足跡をたどりながら綴られた、歌を鑑賞するための手引きです。

    著者は、西行ゆかりの風土の中でその歌を味わい、待賢門院璋子や崇徳院への西行の思いを追想することによって、その人間像に迫ろうとしています。また、西行の仏教への帰依についても触れられています。

    著者は、明恵の会見についての伝承を紹介し、一首詠むたびに一体の仏を作る思いをし、一句を案じては秘密の真言を唱える心地がしていると西行が述べていることに注目します。ここに、花鳥風月をはじめ西行の万物に対する興味が、広大無辺の虚空こそ如来の真の形体と呼ぶべきだという彼の仏道への帰依に直結していると、著者は解釈しています。

    西行と明恵の会見が、本書の最初の章と最後の章で取り上げられており、この二つの章のおかげで、主として西行の数寄と人間に迫るという、ややもすれば甘さに流れてしまいがちな本書全体の叙述を引き締めているように感じました。このバランスが、いかにも白州正子という書き手にふさわしく思えました。

  • 何年か前の大河ドラマ「平清盛」で、私に一番の印象を残した登場人物が、藤木直人演ずる西行でした。
    ドラマで描かれた以上に、自由でふわふわ生きる西行の足跡は非常にきれいだと思いました。

  • さらさらとした文章。「私はこう思う」と言い切るところが小気味よい。
    西行をもっと知りたい、そしてまた白洲正子という人も。

  • 西行について、半分は紀行文。いい本だったと思う。

  • 桜が散る前に読みたくて。〈桜狂い〉であった西行は〈空気のように自由で、無色透明な人物〉で〈とらえどころがないばかりか、多くの謎に満ちている〉西行の足跡を辿って全国を取材した伝記のような紀行文のようで著者と共に旅した気分になれる。奥州への旅路は芭蕉の「奥の細道」の幻想空間と重なる。芭蕉は西行に憧れて旅をし、西行は能因法師、在原業平の跡を辿る。詞書付きで引用された和歌の数々は花鳥風月を愛でながらもそこに込められた激しい想いが伝わってくる。73歳で没しているのでかなり長生きだ。激動の時代を生き抜いた人生。


    待賢門院璋子への激しい恋情をさくらの歌に歌った。身分違いの許されざる恋なれど片思いでなく契りを交わしただけにより忘れ難かったのかもしれない。激動の時代で親しくしていた人々の死もまたいかばかりの哀しみだったことか。保元の乱による同じ数寄の道の崇徳院の配流ときょうし狂死、悪左府頼長の死、源平の争乱と義経の死。
    〈桜への讃歌は、ついに散る花に最高の美を見出し、死ぬことに生の極限を見ようとする。〉女院の死を散る花にたとえて心中したいとまで歌う。ひとりの女をここまで愛せるとは。

    「春風の花を散らすと見る夢は
    さめても胸の騒ぐなりけり」
    「青葉さへ見れば心のとまるかな
    散りにし花の名残と思へば」
    「たぐひなき思ひいではの桜かな
    薄紅の花のにほひは」

    大河ドラマ「平清盛」を思い出す。あれは面白くていいドラマだった。

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