白洲正子自伝 (新潮文庫)

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  • Amazon.co.jp ・本 (302ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101379074

作品紹介・あらすじ

いったい、白洲正子という人は、いかにしてかの「白洲正子」になったのか-。初太刀の一撃に命を賭ける示現流・薩摩隼人の度胸を、魂深く受け継いだ人。危うきに遊んだ名人たちとの真剣勝負を通じて、生はもちろん死の豊饒をも存分に感得した人。ものの意匠に何らとらわれることなく、本来の裸形をしかと見すえ続けてきた人。その人が、その人自身の来し方に目をむける時…。

感想・レビュー・書評

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  • 父方の祖父が樺山資紀、母方が川村純義で夫が白洲次郎、14歳で米国留学、幼少期より能を学んだというまさに深窓の令嬢の交友録。

  • 今まで読み知った逸話を本人の語り口で読み直した感じか。

  • なるほどうつわなりに大きくも、小さくもなるという証拠みたいなエッセイだった。

    うらやましく思った時代先取りの感覚に、うつわのちがいをひしと感じる。「高ぶらず卑下もせず」と私も気取ってきたけれど、庶民の血筋はあらがいがたい。薩摩隼人の祖父、貴族の出自の本当はこういう方が「高ぶらず」というと本物なのだ。まず、ちいさい自分が恥ずかしくなった。

    伝法な言葉を駆使しているようで、お行儀が悪いと言っているそばから、的確な表現や上品さがすけてみえるからかなわない。

    『両性具有の美』を読んで力強い文章に魅せられた、その「白洲正子」という人たらしめた所以がわかってくる自伝のこの文章も端整だ。

    お能のことは知らないけれども、それの著書も多い著者の素養のなせるわざと思う。堪能。

    目利きの達人といわれた「白洲正子自身」への目利きがいいから、他作品も読みたくなって来る。

  • 白洲次郎が好きなので、読んでみた。

    白洲次郎の妻、白洲正子。
    とは言え、完全に「白洲次郎の妻」の枠組みを脱していて、「白洲正子」として成り立っている。

    江戸時代がほんの最近だった時代に生まれた人の話は面白い。白洲正子の祖父は普通に武士で、戊辰戦争に参加したりしていて、まるで映画や歴史の教科書の世界が彼女にとっての実際だったのである。

    白洲次郎は目には見えないもの、物事のメカニズムを捉える力や、先見の明に長けていたと思うが、正子は今現在に忠実で、目に見える現実を捉える力に優れていたように思う。

    白洲正子がどのような生涯を過ごしたのか、ざっくりと追うことはできたので、次は物書きとしての側面を彼女の著書から見てみたい。

  • 華族のお嬢様の自伝。白洲正子の生き方。
    でもあの時代に14歳でアメリカに留学できること自体、そしてそのことを本人もどうとも思っていないこと自体、すごい次元が違いすぎてずーんとなってしまった。
    お嬢様はお嬢様。

  • それを叶える環境が整っているのもあるけど、正子さんが強い意志でどんどん挑戦して実現して、めっちゃかっこええなあと思った

  • 19/02/18。韋駄天お正、ここにあり。
    3/9読了。

  • 違う世界の違う考えを持った人の自伝という感じ。
    良い所のお嬢さんはいくつになっても良い所のお嬢さんなのでした。

  • 華族の生活、白洲次郎の、妻を務められた強さが垣間見られる

  • 最近本屋の店頭で「白州次郎」「白州正子」関係の本が目立つ。はてこれはどういう現象なのだろう。最近のナショナリズムの動きと何か関係があるのか。プリンシプルを重んじた白州次郎を礼賛する日本国民は皮肉なことに相変わらずミーハーな気もするが。

    白州正子は樺山資紀の孫であるらしい。このことに少し興味を覚えこの本を手にしてみた。当時の日本をになってきた人物やその周辺の雰囲気が少し分かるのではないかと思ったので。

    この著書自体は随筆的なもので断片的な記述しか提供しないが、限られた階層の人々が確かにこの世に存在しているのだというある種の感慨を持つことはできた。

    人は多かれ少なかれ、与えられた環境で生きることを余儀なくさせる。いくら自由奔放に生きたと振り返ってみてもしょせんはお釈迦様の手のなかから出られないのだろう。人間の一生はこの随筆にも書かれているとおり3歳から8歳くらいまでの経験で方向づけられてしまうのではなかろうか。だとすればそれ以降の努力はあがきに近いのかもしれぬ。まあこれも極論だとも思うが。

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著者プロフィール

1910(明治43)年、東京生れ。実家は薩摩出身の樺山伯爵家。学習院女子部初等科卒業後、渡米。ハートリッジ・スクールを卒業して帰国。翌1929年、白洲次郎と結婚。1964年『能面』で、1972年『かくれ里』で、読売文学賞を受賞。他に『お能の見方』『明恵上人』『近江山河抄』『十一面観音巡礼』『西行』『いまなぜ青山二郎なのか』『白洲正子自伝』など多数の著作がある。

「2018年 『たしなみについて』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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