私の百人一首 (新潮文庫)

著者 :
  • 新潮社
3.51
  • (10)
  • (29)
  • (41)
  • (2)
  • (2)
本棚登録 : 339
レビュー : 38
  • Amazon.co.jp ・本 (299ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101379098

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 百人一首の本を書くのって、きっと大変なんだろうな、とかねがね思っていた。
    書くことが浮かぶ歌ばかりでもないだろう。
    特に紙数が決められていて、きちんとそれに収めなければいけない作りの本なら、なおさらだ。

    で、本書は白州正子の読みが示される。
    でもそこは白州さん。
    興味のない歌人はあっさり。
    貫之にはさすがに言葉は費やされているが、「興味がない」とばっさり。
    新潮選書への書き下ろしだったそうで、自由に、好きなように書くことが許されたらしい。

    薩摩出身の高級軍人のお嬢様だけに、かるた取りの感覚や、お能の経験などに裏打ちされた捉え方も、まあ面白い。
    でも、本書で一番惹かれたのは、彼女の持っていた元禄時代に作られたというかるたの写真である。
    流麗でもあるけれど、どこかたっぷり、ぼってりとした「御家流」の書体に目を奪われた。

  • 平安期にその高みを極めた日本文化の深みを教えてくれました。もし、和歌の意味を知っていて、藤原・天皇家の系図や因縁を知っていれば、もっと楽しめるのでしょう。白州さんの教養が凄すぎて、こんな風に百人一首を読み解く様子に憧れを抱いてしまいました。

  • 高校の時に冬休みの課題で覚えた百人一首。読み直して見ると結構忘れている物も多く、ややショック。
    著者は歌の専門家ではないですが、著者の美意識と、各歌の作者の背景・人物関係の分析に基づく解説は、簡潔な文体もあり非常にわかりやすい。

  • 百人一首については、田辺聖子「小倉百人一首」が、挿絵も素敵で読みやすい。
    白洲正子のは、当然、和歌の意味はわかるでしょ、現代語訳なんてしちゃダメですというスタンスなのですが、実朝や、定家、後鳥羽院についてまた、少しわかったような気がします。

  • 日本的なものってなんだろう?となんか探求したくなって、どこから入るかなと考え、やっぱ短歌なのかな〜と思う。

    短歌といえば、なにから始めるといいかな、と思うと、百人一首か?と思い、研究者のものより読みやすいと思って、白洲正子さんのこれを読む。

    百人一首くらい、どれも聞いたことくらいあるだろう、と思って、読み始めたのだが、わりと知らない歌がたくさん。。。

    で、意味もよくわかっていないので、その辺の解説がほしいところだが、白洲さんは、少々、わからなくても歌として、音として鑑賞することが大事という感じで、現代語訳をつけない。歌の背景の説明とか、どんな解釈があるか、どんな技法が使われているかといったことは、必要最小限とまではなくても、少なめ。

    まずは、日本語としての歌を味わうことを大切にしているということだね。

    味わうといっても、そこは白洲さんのこと、結構、好き嫌いが明確で、結構有名な歌でも、つまんない、みたいな感じで、バサッと切り捨てちゃうところが気持ち良い。

    また、選者の定家に対しても、この人はもっといい歌あるのに、なんでこんなの選ぶんだろうね?みたいなことも書いていたりして、面白い。

    というのは、本の前半で、本が進むに連れ、白洲さんの定家への評価はだんだん上がってくる。百人一首は、たんに素晴らしい歌人のベスト100を選んで、それぞれのno.1を選んでみたという単純なものではないのだ。選ばれた人同士の関係性、歌同士の意味的なつながりなどを考えながら、編み上げられた精緻な織物なのだ。

    いわば、歌と歌とが、お互いに意味を共有しながら、共鳴しながら、新たな意味を生み出していく、そういう一つのテキストなんだね〜。

    新古今和歌集の時代には、本歌取りといったテクニックが盛んになったわけだけど、この百人一首が全体として、そういうテキスト的な実践だったんだ〜。

    すごいな!

    という感じに後半がなっていくところが相当に面白い。(もちろん、白洲さんは、テキストがどうだこうだみたいなことを言っているわけではないが)

    今回あらためてすごいと思ったのは、万葉集〜新古今和歌集までの時間の長さ。万葉集の成立は780年ごろ?、古今和歌集は905年、新古今和歌集 1205年。万葉集と古今和歌集のあいだに150年くらい?、古今と新古金で300年。あわせて、450年。

    そして、万葉集の編纂の前には、少なくとも100数十年のまたかなりの長い時間があって、これもあわせると百人一首が成立するまえに600年間にわたって和歌を読むという営為が積み重ねられたわけである。

    そして、本歌取りなどの技法が発達した新古今以前であっても、過去に読まれた有名な歌が集団的な記憶として残っていて、なにか歌を読むときには過去の歌を思い出しつつ、そこへの尊敬の念をもって、意味の関係を踏まえつつ、自分らしい表現を生み出していくという営為が積み重ねていたわけなんだな。

    こうした長い期間をかけて、短歌は、文化として、成長し、成熟し、表現としての限界にまで到達したんだな〜。

    その和歌の歴史を一つの到達点から振り返って、歌の連鎖、相互関係として語られた暗黙の物語が百人一首なのだ。

  • 19/04/18。

  • 2018/12/25読了

  • "百人一首を解説したもの。
    定年後また読みなおしたい本。
    もっと、歴史を知った上で読んだりすると、また受け取るものが変わる。"

  • 百人一首のそれぞれの歌の意味を丁寧に解説してくれるわけではない。現代語に訳せば風情が失われてしまうから。
    でもそれぞれの詠み手の背景とか面白く勉強になった。

  • 通り一遍でもなく、教科書的でもない、個性の際立つ寸評や思い出話で、その分には印象的。

全38件中 1 - 10件を表示

著者プロフィール

1910(明治43)年、東京生れ。実家は薩摩出身の樺山伯爵家。学習院女子部初等科卒業後、渡米。ハートリッジ・スクールを卒業して帰国。翌1929年、白洲次郎と結婚。1964年『能面』で、1972年『かくれ里』で、読売文学賞を受賞。他に『お能の見方』『明恵上人』『近江山河抄』『十一面観音巡礼』『西行』『いまなぜ青山二郎なのか』『白洲正子自伝』など多数の著作がある。

「2018年 『たしなみについて』 で使われていた紹介文から引用しています。」

白洲正子の作品

私の百人一首 (新潮文庫)を本棚に登録しているひと

ツイートする