- Amazon.co.jp ・本 (380ページ)
- / ISBN・EAN: 9784101381138
作品紹介・あらすじ
次期支援戦闘機・FSXを自主開発したい-。それが、日米同盟のジュニア・パートナー日本の悲願だった。だが米国は、ニュー・ゼロファイターを許そうとしなかった。ニッポンが独自の航空機産業を育て、ワシントンから自立していくことを恐れたのだ。国家的ビジョンを持たぬまま、孤立無援の闘いを続ける哀しき外交戦士たちの姿がここにある。
感想・レビュー・書評
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アメリカで反日感情が強かったというのが、想像しにくいが、ちょっと一官僚が火をつけるだけで、ここまで燃え広がるものなのか。前に読んだ湾岸戦争期といい、アメリカが日本に無茶を突きつけるシリーズだが、アメリカ外交はいつもこんなものだとしたら、相当やね… この時期だけだとしたら父ブッシュ…
あと、米国の統治構造に関する細かい知識がちらほら得られたのも良い。 -
日米同盟の根幹を揺るがしたFSX問題を取り上げる
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手嶋氏の論調は、ジャーナリストの持つべき公正性に時に強く拘束され、日本という国の持つべき資質というか素養というか、読みてが意識しながら、または無意識のうちに帰結していくポイントへの切り込みを避けて書き込んでいるように思える。日本の次期戦闘機選定を巡り、激しく対立する日米。単純に日本人の税金で日本の為の防衛力を賄う事が許されなかった現実がそこにある。
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中堅の一外交官の孤軍奮闘により、日米大国二国間関係がここまで翻弄されるのは圧巻で、感銘すら覚えた。
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いただき本。ありがとうございます。
たそがれゆく日米同盟
FSX次期支援戦闘機をめぐる日米外交の攻防史になりましょうか。
1980年代のお話で、
レーガン大統領からブッシュ(パパの方)大統領へ移行時の一悶着二悶着です。
アーミテージとかチェイニーとか懐かしい名前が出てきます。
国対国のインテリジェンス(諜報、情報かけ引き)は我々一般人には理解を超えるところにあって、へぇこんなことになってたのか!ということになり、非常に面白く読めます。
ただフィクションが混ざってるのか、ノンフィクションなのか。一般人にはまったくもって把握できなく、関係者のみが懐古できるんですよね。あたりまえですけど。
手嶋さんって何ものですか?って感じになりますね。
9.11のときに号泣しながらNHKでニュース読んでましたけど。
ウルトラダラーもオススメできます。 -
ウルトラ・ダラーの書評を読んで著者に注目していた。期待に違わぬ濃い内容で、沢山のニュースソースから得た情報で構成され適当な記述は感じられない。1980年代末の当時の次期支援戦闘機(現在の三菱F-2)誕生前の日米の政治状況、特に米国上院の内幕は、実際に現場で見聞きした者でなければ描けないと思われる。ビル・ブラッドレー、松永信雄といった登場人物に強く惹かれた。軍事的には同盟関係を堅持している2国が経済、政治的にどのようなバランスのなかで付き合っているのかよくわかり、一線の方々の労苦が忍ばれる。
初版年から日が経っていることでかえって客観的に読み進めることができる。 -
国産戦闘機を開発しようとする日本と自国の戦闘機を購入させようとするアメリカ。日米同盟の陰で次期支援戦闘機を巡る政治戦争が始まった。
日米の航空機産業、国防省、商務省、防衛庁、通産省、反日勢力、それぞれをバックに控え、米議会議員、駐米日本大使が大統領府を巻き込んで闘う。
接戦となった投票戦、相手の真意を読もうとする心理戦の連続で、静かに動くその様は手に汗握る頭脳戦であった。 -
外交関係のスペシャリストであり、文章も上手な手嶋氏の作品。
FSXの開発がレーガンからブッシュ父の政権交代であり、ベーカーを陥れるための道具として使われたことがわかり、日本にとっての国益が損なわれた。冷戦後の日米同盟を考える上で、非常によい作品。 -
ウルトラダラーがおもしろかったので読んでみた。次世代戦闘機FSXを国内開発したい日本とF15や他の戦闘機を売りつけたい米国との駆け引きのつぶさな記録。戦闘機を作って飛ばすという技術者のロマンは、転がり転がって日本に対する漠然とした不安のスケープゴートとして闇にきえる。本書で日本側は外務省が一番の役者になっているが、実際のところ三菱重工の中にはもっと熱い思いがあったのではないかと感じた。1980年代の空気、菊倶楽部という誇らしげなエリート集団、表舞台には現れない水面下の戦争のお話である。