スギハラ・サバイバル (新潮文庫)

著者 :
  • 新潮社
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本棚登録 : 186
レビュー : 21
  • Amazon.co.jp ・本 (483ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101381176

作品紹介・あらすじ

ヒトラーとスターリンの悪魔の盟約から逃れるため、ポーランドを離れ神戸に辿り着いたユダヤ人少年。彼はそこでかけがえのない友を得る。時は移り現代、英国情報部員スティーブンは、アメリカ人捜査官コリンズと共に金融市場に起きている巨大な異変を探り当てた。全ては歴史に名を刻む外交官杉原千畝から始まっていた。作家手嶋龍一はここまで進化した。

感想・レビュー・書評

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  • リアルな時代背景を嘘っぽさで飾りつける感じが、ウルトラダラーとともに、大好きな作品。

  • 『スギハラ・サバイバル』は『ウルトラ・ダラー』に続く、手嶋龍一の続篇。全体からみるときっかけでしかないが、杉原千畝によるリトアニアあるいはポーランドのユダヤ人に対する通過ビザ発給をトリガーにした、2人のユダヤ人とその親友のつながりが物語の主軸となっている。
    そして、ブラックマンデーや9.11など国家あるいは国際社会を揺るがす事件の前の株の空売り・買い占めとその影響を丹念にに調査していた調査官と、その親友であり英国諜報機関員であるスティーブンの調査から、背景が明らかになってくるというストーリー展開である。

    『ウルトラ・ダラー』はインテリジェンス小説を標ぼうし、大胆なおストーリー展開ながら、その小説としての表現のイマイチさからどうも物足りないというか読みにくさがあった。一方本書『スギハラ・サバイバル』は小説としての読みやすさという表現の巧拙は格段に向上しており、小説として先ず先ずの仕上がりとなっている。スティーブンと親友の興奮したやりとりが、そのまま小説のスピード感に繋がっている。

    ただし、インテリジェンスの部分はというと、スティーブンやその同僚の活躍がどちらかというと探偵が謎を読み解く的な展開がそう感じさせるのかもしれないが、なんというか解説小説のような違った物足りなさを感じてしまうのである。

    きっかけでもあり、杉原千畝自身がインテリジェンスオフィサーであったことが本書の中心話題であるなら、ここがもう一段深められるととは思ったのが、シカゴ先物市場をはじめとする株価操作系に主眼が移ってしまい、それはそれで興味深いのではあるが、中途半端になってしまったのだろうか。

    インテリジェンス小説はいわゆる探偵ミステリー物に比べても取り扱う範囲やバックグラウンドが幅広く、難しい領域ではあると思う。それだけに著者に期待するところも大なのである。

  • スティーブンの彼女は前回から変わってしまったのだろうか・・・
    相変わらずかっこいい。

  • 白石仁昭氏の杉浦千畝を読んだ後だったので、背景が良く理解できた。昭和初期の日本や上海の雰囲気を感じた。

  • 前作『ウルトラダラー』は今作を読みたくて読んだので、前作を読み終えてすぐに読み出し、すぐに読み終わってしまった。
    杉原千畝の命のビザによって出会うことのできた生涯の友との友情が感動的。
    インテリジェンスオフィサーとしても知られるようになった杉原千畝がインテリジェンス小説に登場することはどこか誇らしい。
    シリーズが続くならぜひ読みたい。

  • 杉原千畝のことが知りたいと思って、この本を読むことにした。
    もちろん、例の「6000人の命のヴィザ」のことは知っている。
    外交官として何をしようとしていたのかが知りたかったのだ。
    で、結論から言えば、それは著者自身があとがきに書いているように、白石仁章さんの『諜報の天才―杉原千畝』を読むべきなのだとわかった。

    本書は、杉原によって救われたアンドレイ・フリスクと彼に関わる人物たちの戦後の動きを通して、どんなふうに国際マネーが動いていったかを描いた話。
    この三人が戦中の神戸で出会い、友情のもとに情報を融通し、そこで得た財をユダヤ人のネットワークに還流させていく、といった内容。
    これをイギリスの諜報部員たちが突き止めていく。

    ユダヤ人ネットワークの中心人物となったソフィーや、相場師松山雷二はきっと架空の人物なんだろうと思っていたが、フリスクもそうなんだ?
    実在のモデルはいそうな気がする。

  • 悪くはないけど前作の方が良い。なんというか詰め込みすぎた割に、オチが弱いような…

  • 手嶋氏のヒット作となつた「ウルトラダラー」続作となる本書では、金融市場を舞台に蠢く国際社会を英国諜報部員ブラッドレーと盟友マイケルが紐解く体裁で抉っていく。その端緒となるのがナチスドイツのポーランド侵攻とそれにより散り散りになった在ポーランドのユダヤ人社会である。シンドラーのリストで有名なオスカーシンドラー氏とともに在ボーランドユダヤ人の救世主となったリトアニア領事代理杉原千畝氏。彼の発行したビザのもと多くのユダヤ人が国外へ脱出したが、その時のユダヤ人家族のひとりで後にシカゴマーカンタイル市場で大立者となったアンドレイと彼が脱出譚の際に立ち寄った日本で友情を育んだ相場師マツライこと松山雷児そして後のユダヤ人アンダーネットワークの中核となるソフィアが織りなす複雑な紋様を静かに描きあげる。インテリジェンスを扱うと複雑な心理戦か、激しい逃走劇がテーマとなりそうなものだが、ただひたすらに静かな謎解きが進行する。なかなかのプロットに感心することしきらの作品である。

  • 読みづらい。
    登場人物の相関関係、登場の必然性がいまいち繋がらない。
    そして、金融と諜報。どっちつかずで中途半端です。片方を掘り下げれば良いのに。そうすれば、タイトルにも必然性が出てきたのにな。

  • 第二次世界大戦の惨劇の地となったポーランド出身の青年を主人公に、時代や世界に翻弄されながらも、自身の夢の実現・復讐に燃える姿を、様々なインテリジェンスを紹介しつつ描いた作品。

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著者プロフィール

手嶋龍一 Teshima Ryuichi 

外交ジャーナリスト・作家。9・11テロにNHKワシントン支局長として遭遇。ハーバード大学国際問題研究所フェローを経て2005年にNHKより独立し、インテリジェンス小説『ウルトラ・ダラー』を発表しベストセラーに。『汝の名はスパイ、裏切り者、あるいは詐欺師』のほか、佐藤優氏との共著『インテリジェンスの最強テキスト』など著書多数。

「2020年 『公安調査庁』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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