鉄塔 武蔵野線 (新潮文庫 き-15-1)

  • 新潮社 (1997年1月1日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (307ページ) / ISBN・EAN: 9784101383217

感想・レビュー・書評

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  • 「ファンタジー」のイメージとはかけ離れているだろうなって思うけど、でも実はファンタジーってシンプルなものなんだろうなって思わされる不思議な魅力をもったお話し。

    文章は決して読みやすくないし、鉄塔に興味があるわけじゃないので説明的な部分はかなりの流し読み。それでも、行動を掻き立てる「理由などない”好き”という一途な思い」に、ぐっとくる何かを感じさせられました。

    15年?それ以上?前に単行本で読んでたのを新潮文庫版で再読。書き換えられているらしいラストについて単行本版は覚えてないのですが(苦笑)、この文庫版の終わり方は悪くないって思います。

  • 別に鉄塔でもなんでもよいけど、なんかわけの分からないものに燃えるってのは最高に楽しい。年をとってもどうでも良い事ばっかりやってるようにも思うけど、でもやっぱちょっと違うよなぁ。

  • この小説、何が面白いかというと、フィクションなのにノンフィクションのような形態をとっていること。
    「ぼく」とアキラは鉄塔の番号をたんたんとさかのぼり、たんたんと任務を遂行していく。
    そして、その様子をたんたんと描いている。
    まるでロードムービーのようなのだ。
    道中に大きな事件も起こらない。

    でも、この話は大勢のの共感を誘うだろう。
    きっと誰しも似たような経験があるから。
    「このゴールには、何かすごいものが待っているかもしれない」という期待や
    鉄塔の真ん中にメダルをうめるという意味のない儀式。
    自分たちだけが秘密に気付いて、すごいことをしているのだという「大人の知らない世界」。
    意味のないことに重要な意味があるような気がして、わくわくした幼少時代。

    鉄塔に番号があるなんて、大人は気にも留めないだろう。
    この番号をたどったら、どこに行けるかなんて、考えもつかないだろう。
    考えたとしても、答えをインターネットか何かで調べてしまうだろう。
    子どもは、想像することから始まる。
    そして行動してしまう。

    これが冒険ってやつじゃないか。
    強い敵と戦うわけじゃない。
    命の危険を感じるわけじゃない。
    客観的にみれば、ドラマチックなことなんて何もない。
    だけど「いけないことをしている」という気持ちにとがめられながら、
    それでも行かなくちゃという勇気に突き動かされ、
    仲間とともに、大人がどうでもいいと思うような目的に汗水たらしてしまう。

    これは、私たちみんなの「冒険小説」なんだ。
    きっと誰しもが子どもの頃「鉄塔」を追いかけていた。
    手の届くかもしれない、素晴らしいゴールを夢見ていた。
    これはフィクションであるけれど、
    われわれみんなのノンフィクションの物語を思い出させるすごい力を持っている。

    小説の最後に待っている、見晴が手に入れた、思いがけないプレゼント。
    冒険の先に誰もが夢見たゴールだ。
    見晴がみた、ただの夢のようでもあるし、
    フィクションだからこそ、夢ではないようにも思える。

  • カルト分野の最高峰

  • 本物の鉄塔の写真が掲載されているふしぎな小説である。スタンドバイ三―のような小説である。朝日新聞の文学紀行の埼玉編で紹介されていた。鉄塔について80番からは実際には見たことがないが、これを見に行く小学生がいるのかもしれない。

  • 随分昔にTVで見たような記憶があったのですが、ようやく原作を入手。

    近所の鉄塔に「武蔵野線 75-1」と書かれた表示を見つけて、その武蔵野線を遡って行くという、ただそれだけの話。
    ただそれだけの話なんだけど、壮大な冒険譚です。

    主人公の少年の鉄塔に対する知識、そして愛情がハンパじゃないです。こんな趣味の世界もあるんだ、とビックリしました。
    先へ進むにつれて心理描写が深さを増してきて、ある種厳粛な心地にさせられます。ラストはまあ、ちょっとアレですが。

    鉄道に興味の無い人が宮脇俊三「時刻表二万キロ」を読むと、こんな感触なのかもしれないなあ。

    気になったので、自宅の窓から見える鉄塔まで歩いてみました。
    市沢22号でした。

  • 序盤のですます調の語り口と、延々と続く鉄塔の描写にややとっつきにくさを感じたものの、気付けば一気に読み終えてしまった。

    鉄塔の始点を目指す少年の心情、道中で起こる出来事、些細なことながらも、子供の頃に誰しも感じてきたであろう瞬間が鮮やかに描かれている。

    鉄塔には何の興味もないが、共感と好感を抱かずにはいられなかった。

    最後以外にファンタジー要素はなく、純文学に近い。
    きっと他の文学賞に送っても評価されていたであろう作品。

  • 1章終わった段階で、ここからどう展開するんだろう?と思ってたら、そのまま突っ走られるとは…変すぎる。

  • 映画の印象が強く残っています。夏の暑さと、汗と土の臭いと、小学生男子の世界がぶふぉ~っときた感じでした。
    小説だとまた違う味わい。ちょっと読みにくさがありましたが、とにかく1号までたどりつきたくて最後まで読んでしまいました。

  • 鉄塔に魅せられた小学生がその先にある「原子力発電所」を追い求める冒険物語。まず「鉄塔」という対象のマニアックさ、そしてそれを延々と辿っていくある種単調な、たわいない「冒険」をここまで美しく描き出せるその筆力は、まさにファンタジーノベル大賞の名にふさわしいものと言えましょう。
    かくいう自分も小学生の頃からいろいろな地物を追っかけるのに執心していて、それをこじらせて今に至っている節は十分にあるので、そういった意味でも共感を持って読むことができる作品でありました。

  • 小さな事で冒険が始まった子供の頃の気持ちを思い出します。

    スタンドバイミーのように冒険を続ける主人公達がかなり可愛かった。

    ただ、鉄塔というあまりにもマニアックな内容にはかなりひきました。。

  • 不思議な作品。ひたすら鉄塔について語っている。珍しく途中放棄しようかと思った。でも鉄塔を巡っていく少年二人の期待や不安、夏の暑さまでもが伝わってきて一緒に冒険してしまった感覚。最後まで読んで良かった。

  • 何度読んだかわからないぐらい読んでる。鉄塔を辿って自転車を走らせる小学生の冒険。真夏の陽射しの匂いがする本。

  •  鉄塔に番号を見つけた少年が、ひたすら番号順に鉄塔を巡っていくロードノベル。
     少年2人がただ次から次へと鉄塔を巡るだけ、それだけなのに、なぜか冒険譚として成立しているのです。
     工事現場に立ち入って怒られたりはするものの、大きな起伏もなく淡々と進む。しかし、なぜか退屈しない。
     所謂トマソン的に少年目線で解説したり、武蔵野線のすべての鉄塔の写真まで添付されたマニアックさも好いんだけど、やはりこの単調さで少年のトキメキを見事に表現したスタイルにただ感心する。
     本作は第6回日本ファンタジーノベル大賞を受賞したとか。そうか、ファンタジーとして読んでもいいのだ。

  • う〜む。
    高橋源一郎氏の言葉を借りるなら、
    これはファンタジーノベルなのか?
    いや、そもそもこれはいったい「小説」と呼べるのか?

    小説だけどさ、間違いなく。
    だけど、ピンとこなかったです。
    鉄塔好きな人ごめんなさい。
    読んでも鉄塔に、興味もてません。

  • 鉄塔には2種類ある。男性塔と女性塔だ。

  • 子供の頃の冒険心がよみがえる本。
    我が家にあるのはこの表紙の新潮文庫版だが、最初に発行したハード版とこの新潮版、現在新書で買えるソフトバンク版と結末は若干書き換えられているそうだ。

  • 2007年04月05日

  • 第6回大賞受賞作品。

  • 子供が「失う」ということを知っている、というのが胸に残りました。

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